資産形成・老後資金 2024.11.19

資産形成の基礎知識|具体的な金融商品や年代別のポイントも解説

「資産形成」に対して、大きな資金で資産を増やしていくというイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし、資産形成とは、将来のために必要な資金を早い段階から準備することです。

将来への不安からなんとなく資産形成の必要性を感じているけれど、実際にどうすればよいかわからない方もいるでしょう。

本記事では、資産形成の意味や貯蓄と投資の違い、資産形成が必要な理由を解説します。資産形成するための具体的な金融商品や年代別のポイントも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

資産形成とは?

資産形成とは、貯蓄や投資を活用しながら、将来に向けて無理のない資金準備を行うことです。

似た用語に「資産運用」がありますが、これはある程度資産がある方がお金を増やす目的で投資などを行う手段をさしており、資産形成とは異なります。

資産形成の方法は、大きく「貯蓄」と「投資」の2つです。

資産形成の方法 概要 金融商品の例
貯蓄 お金を蓄えること 普通預金や定期預金など
投資 利益を見込んで資金を投じること 株式や投資信託、債券など

貯蓄は、低金利のため大きくお金を増やすことはできませんが、元本保証があり、安全に資産形成ができます。また、いつでも引き出すことができ、流動性が高いのも特徴です。

投資は元本の保証がなく、損失が生じる可能性がある一方で、貯蓄より大きく増えることも期待できます。

資産の状況やライフプランに応じて、貯蓄と投資を使い分けながら効果的に資産形成していくことが大切です。

資産形成が必要な3つの理由

昨今、メディアなどで「資産形成が必要」と耳にすることが増え、なんとなく将来に不安を抱えている方もいるでしょう。

そこで、資産形成が必要な3つの理由を解説します。

1.ライフプランの実現に必要だから
2.公的年金だけで老後資金をまかなうのが難しいから
3.預金だけでお金を増やすのが難しいから

1.ライフプランの実現に必要だから

人生には、就職や結婚、出産、子育て、マイホームの購入、介護など、さまざまなライフイベントがあり、そのたびにまとまったお金がかかります。

なかでも、住宅、教育、老後資金は人生の3大支出といわれており、大きな資金を用意しなければなりません。

例えば、子どもが幼稚園から大学まで通うのに必要な教育資金は、1人につき1,000万円以上(幼稚園から高校まで公立、大学が私立の場合)かかるといわれています。

希望するライフプランを実現するには、これらの資金を早い段階から計画的に準備することが重要です。

2.公的年金だけで老後資金をまかなうのが難しいから

日本の年金制度は、現役世代が支払う保険料を高齢者に年金として給付する仕組みです。

しかし、日本では少子高齢化が急速に進行しています。今後も高齢化率が上がり続け、2070年には高齢者1人を現役世代1.3人で支える社会が到来すると推定されています。

寿命が延び、老後期間がますます長くなるなか、老後資金を公的年金だけでまかなうのは難しいでしょう。

豊かなセカンドライフを送るには、公的年金だけに頼らず、自ら資産形成していく必要があります。

3.預金だけでお金を増やすのが難しいから

日本では、長く低金利が続いており、預金だけではなかなかお金が増えません。

かつては、預金に置いておくだけでお金が増える時代がありました。しかし、現在は定期預金に100万円を1年間預けたとしても、250円程度(税引き前)増えるだけです。

こつこつ貯蓄を続けていても、インフレ(物価が継続的に上がること)が続くと、お金の価値は目減りしてしまいます。

例えば、現在100万円で買える車がインフレによって1年後に102万円になると、定期預金に預けておいたお金が1年間で100万円+250円(利子)になっても購入することができません。これは、インフレによって相対的にお金の価値が下がったためです。

インフレに備えるためにも、投資も資産形成の手段として考慮するのがよいでしょう。

資産形成に利用できる主な金融商品

どのような金融商品で資産形成をはじめればよいかわからない方や、そもそも金融商品の種類や特性がわからない方に向けて、資産形成に利用できる主な金融商品を紹介します。

預貯金

預貯金は、金融機関(銀行など)にお金を預けることです。

収益性は低いものの、預貯金には元本保証があり、万が一金融機関が破綻しても元本1,000万円までとその利息が保護されます。また、必要に応じていつでも引き出せる流動性の高さも預貯金の特徴です。

保険

保険は、万が一に備えながら資産形成を行いたい場合に適した金融商品です。

保険には、満期保険金や解約返戻金が支払われる貯蓄型保険があります。

預貯金の場合、死亡したときに手元に残るのは、それまで積み立てた金額とその利息分です。一方、保険の場合は、死亡すると払い込んだ保険料にかかわらず一定の保険金が支払われます。

なお、保険には、契約時に保険金額などが確定する定額保険や、運用実績に応じて変動する変額保険、外貨で運用する外貨建て保険などがあります。

債券

債券とは、国や会社などがお金を借りるために発行する有価証券です。国が発行する債券を「国債」、会社が発行する債券を「社債」といいます。

債券の購入者は、満期を迎えると額面金額(決められた金額)を受け取ることができ、購入時から満期まで定期的に利息を受け取れます。

比較的安全性は高いものの、発行体が破綻するリスクがあり、元本保証ではありません。一方で、預貯金と比べると収益性は高くなっています。

株式

株式は、株式会社が資金を集めるために発行する有価証券です。

購入時よりも高い株価で売却できれば、値上がりによる売却益(キャピタルゲイン)が得られます。また、株式を保有していることで、会社が得た利益の還元として配当金(インカムゲイン)を受け取れるほか、株主優待が受けられる場合もあります。

ただし、株式は債券と比べて値動きが大きく、預貯金や債券と比べてリスクが高い金融商品です。会社の業績や景気、為替、金利などさまざまな影響を受けて変動するため、利益を狙える一方で、損失が生じる場合もあります。

投資信託

投資信託は、多くの投資家から資金を集め、プロが株式・債券などを組み合わせて運用する商品です。

預貯金とは違い、元本の保証はありません。損失が生じる可能性がある一方で、運用がうまくいって利益が得られることもあります。運用するのはプロですが、運用によって生じた損益は投資家に帰属します。

通常、株式や債券を購入する際はある程度まとまった資金を用意しなければなりません。

しかし、投資信託はたくさんの投資家から資金を集めるため、少額から購入できます。また、プロが運用するため、初心者でもはじめやすいのが特徴です。

ただし、リスク型商品であるためプロであっても絶対はありません。手数料で利回りが悪化するケースもあります。目論見書もよく読み理解したうえで行うことが必要です。

資産形成に利用できる制度

金融商品で取引する際、税金や手数料などのコストがかかります。より効果的に資産を増やすため、非課税制度の活用も検討しましょう。

この章では、資産形成で利用できる非課税制度を紹介します。

・NISA(少額投資非課税制度)
・iDeCo(個人型確定拠出年金)

NISA(少額投資非課税制度)

NISA(少額投資非課税制度)とは、金融商品の運用益が非課税になる制度です。

通常、株式や投資信託などで売却益や配当金を得ると、20.315%の税金が課税されます。しかし、NISA口座で投資した金融商品で得られた運用益(売却益や配当・分配金)には、税金がかかりません。

NISA口座で投資できるのは、年間最大360万円までです。

区分 年間投資可能枠
成長投資枠 240万円
つみたて投資枠 120万円
合計 360万円

つみたて投資枠で投資できる金融商品は、金融庁が定めた低コストなどの基準を満たした一定の投資信託に限られているため、初心者でもはじめやすいでしょう。

また、一定額を定期的に購入するため、購入するタイミングで悩む必要がありません。

なお、2024年1月から新しいNISAがスタートしました。これまで5年間(つみたてNISAは20年間)だった非課税保有期間が無期限化され、より長期の資産形成が行いやすくなっています。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoとは、老後資金を私的に準備できる年金制度のことで、正式には「個人型確定拠出年金」といいます。毎月掛金を拠出して自ら金融商品を選定・運用し、60歳以降に老齢給付金を受け取れる仕組みです。

iDeCoには税制の優遇措置が設けられており、拠出した掛金の全額が所得控除の対象となります。また、運用益は非課税で再投資されます。

ただし、専業主婦(主夫)などで課税所得がない場合、所得控除は受けられません。掛金とは別に、加入時の手数料や口座管理手数料、信託報酬(投資信託の場合)などのコストがかかることも踏まえ、加入するかどうかを検討しましょう。

なお、iDeCoで拠出した掛金や運用益は原則として60歳になるまで引き出せません。

【年代別】資産形成のポイント

資産形成を早くはじめるほど長期的な運用が可能となり、複利(元本についた利益にもまた利益がつくこと)効果が期待できます。

しかし、適した資産形成の方法は現在の資産状況やライフプランなどで変わってくるため、一概には言えません。

そこで、年代別に資産形成のポイントを解説します。

20代

20代で、特に独身の場合、まだ資産形成の必要性をそこまで感じないかもしれません。

しかし、ライフプランが明確に決まっていなくても、これからやってくるさまざまなライフイベントに向けて資金の準備をはじめるのは決して早すぎません。むしろ、ほかの世代と比べてより長期的に資産形成できる点でメリットだといえます。

20代は一般的にまだ収入が少なく、余剰資金は多くないでしょう。そのため、無理なく続けられるよう少額の積立投資が選択肢に入ります。

NISA(つみたて投資枠)を活用すれば、国の基準を満たした投資信託を購入でき、運用益が非課税になるという税制優遇メリットがあります。

ただし、近い将来使う予定があるお金は投資には回さず、預貯金などで置いておきましょう。

30代~40代

30代~40代になると、一般的に20代と比べて収入が増えますが、結婚、出産、マイホーム購入などのライフイベントを迎える方も多く、まとまった出費が増えたり生活費が増えたりする傾向があります。

他方で、老後に向けた資金準備についても考えはじめなければならない時期です。

20代と比べてよりライフプランが明確になってくる時期でもあるため、これから必要になる費用をより具体的に把握したうえで資産形成に取り組みましょう。

30代~40代の方は、NISA(つみたて投資枠)に加えてiDeCoで将来への備えをはじめるのも手段のひとつです。iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となるため、税金の負担を軽減できます。

ただし、原則として60歳までは資産を引き出すことができません。そのため、生活に必要なお金や不測の事態に備えるためのお金は手元に残しておきましょう。

50代

50代は、子どもの独立や住宅ローンの完済などによって経済的な負担が減り、老後に向けた準備をしやすい時期です。また、ほかの世代と比べて、どのようなセカンドライフを過ごしたいかも具体的になってきます。

退職金の額や将来受け取れる年金の額、老後にかかると予想される生活費などから老後の収支を具体的に把握したうえで、資産形成に取り組みましょう。

50代の資産形成のポイントは、資産が減らないように守りつつ、長いセカンドライフに向けて着実に増やすことです。

ただし、近年は晩婚化、住宅ローンの長期化などの影響で50代が教育費や住宅ローンの負担が大きいケースも増えています。それも踏まえて、40代までに計画的に準備を進めましょう。

なお、一般的に60代以降は収入が大きく減少するため、リスクの大きい資産の配分が高いと老後の生活に支障をきたしかねません。そのため、債券などの比較的安定性の高い資産を中心に資産配分するのが理想です。

また、NISAやiDeCoなどの制度も活用しましょう。「50代でiDeCoをはじめるのは遅いのでは」と思うかもしれませんが、条件を満たせば65歳まで掛金を拠出できます。

また、所得控除や運用益が非課税になる税制上の優遇措置があるため、加入期間が短くても一定の効果が期待できるでしょう。

長期・積立・分散投資が資産形成の基本

資産形成の基本的な考えとして、「長期・積立・分散投資」を知っておきましょう。

長期投資 投資期間を長くする投資手法
積立投資 定期的に一定額ずつ購入する手法
分散投資 投資する資産(株式や債券、不動産、金など)を分散する手法

長期投資は、投資期間を長くする投資手法です。長く保有するほど、複利効果が期待できます。なお、複利とは、利益を元本に組み入れて再投資することでさらに利益が生まれる効果のことです。

短期的な売買と比べて、収益が安定しやすいことも長期投資の特徴です。

積立投資は、定期的に一定額ずつ購入する手法です。価格が高いときは少なく、低いときは多く購入するため、平均の購入価格を下げられます。また、少額でコツコツ投資できるのもメリットのひとつです。

分散投資は、投資する資産を分散する手法です。値動きが異なる複数の資産に投資することで、リスク軽減効果が期待できます。また、複数の銘柄や地域に投資するのも分散投資のひとつです。

投資には、必ずリスクがともないます。リスクと付き合いながら資産を効率的に増やしていくために、長期・積立・分散投資を取り入れましょう。

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思い描くライフプランの実現に向けて資産形成をはじめよう

資産形成とは、貯蓄や投資を活用しながら、将来に向けて資金を準備することです。

低金利時代の今、預金だけではなかなかお金が増えません。また、寿命が延び、長い老後生活が予想されるなか、自分の思い描くライフプランを実現するために資産形成の重要性が高まっています。

超高齢社会やインフレに対応するために、早い段階から長期・積立・分散投資を行いましょう。

資産形成の必要性を感じていながらも、何からはじめればよいかわからない方は、お金のプロへの相談をご検討ください。

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