住宅ローン 2023.10.16

住宅ローンの繰り上げ返済 とは?注意点やそのほかの選択肢について解説

住宅ローンの繰り上げ返済は、決められた約定返済とは別に借入残高の一部または全額を前倒しで返済することです。繰り上げ返済をすれば利息額が減り、総返済額を下げることができます。

本記事では、住宅ローンの繰り上げ返済の種類や注意点を解説します。繰り上げ返済をするおすすめのタイミングも紹介するので、繰り上げ返済を検討している方はぜひ参考にしてください。

なお、本記事では繰り上げ返済のうち、借入残高の一部を返済する一部繰り上げ返済について説明しています。

住宅ローンの繰り上げ返済の種類

住宅ローンの繰り上げ返済には、「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つがあります。

まずは、それぞれの概要について解説します。

返済期間短縮型

「返済期間短縮型」は、毎月の返済額は変えずに借入期間を短くする返済方式です。前倒しで返済するだけ借入期間が短くなるため、支払う利息の額を軽減できます。

同じ金額を繰り上げ返済する場合、後述する返済額軽減型と比べて全期間で支払う利息額が少なくなります。毎月の返済が苦しくない人や少しでも利息を抑えたい場合に適した繰り上げ返済方法です。

返済額軽減型

「返済額軽減型」は、借入期間は変えずに毎月の返済額を減らす返済方式です。毎月の返済額が少なくなるため、家計の負担を抑えられます。

ただし、繰り上げ返済後も借入期間は短縮されません。そのため、同じ金額を繰り上げ返済する場合、返済期間短縮型と比べて全期間で支払う利息額が多くなります。返済額軽減型は、毎月の返済に負担を感じている場合などに適した繰り上げ返済方法です。

住宅ローン繰り上げ返済の注意点

住宅ローンの繰り上げ返済は総返済額や返済の負担を減らすのに有効な方法ですが、注意点もあります。以下の点を踏まえて、繰り上げ返済するかどうかを検討しましょう。

・住宅ローン控除が減額になる可能性がある
・手数料がかかる場合がある
・手元の資金が不足する場合がある

住宅ローン控除が減額になる可能性がある

繰り上げ返済をすると、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)額が減る可能性があります。

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームの新築等をした際、一定の要件を満たす場合に所得税の控除が受けられる制度です。控除額は、「年末時点の住宅ローン残高等×0.7%」で計算します。

繰り上げ返済をすると住宅ローン残高が減り、住宅ローン控除の控除額が下がる点に注意してください。

また、住宅ローン控除を受けるには、10年以上にわたり分割して返済する方法であることが必要です。返済期間短縮型で繰り上げ返済を行い、返済期間が10年未満になった場合、住宅ローン控除が受けられない場合があります。

一般的に、住宅ローンの金利が低い場合は、住宅ローン控除が適用される期間が終わってから繰り上げ返済をした方が賢明だといえます。

手数料がかかる場合がある

金融機関によっては、繰り上げ返済をする際に手数料がかかります。手数料がかかる場合、繰り上げ返済をする回数が増えるほど負担が大きくなるため注意が必要です。なるべくまとまった金額で返済し、繰り上げ返済の回数を減らしましょう。

また、繰り上げ返済の方法によって手数料が異なる場合があるため、事前に確認が必要です。一般的に、多くの金融機関では、インターネットバンキングでの返済を選ぶと手数料無料で繰り上げ返済できます。

なお、auじぶん銀行住宅ローンの場合、一部繰り上げ返済の手数料は無料です。

手元の資金が不足する可能性がある

繰り上げ返済をすると手元のお金が少なくなるため、家計の状況によっては生活が苦しくなる可能性があります。

特に、返済期間短縮型で繰り上げ返済をすると、借入期間を短縮でき本来支払うはずだった利息を減らせますが、繰り上げ返済後も毎月の返済額は変わりません。

短期的に資金が減ることを踏まえ、これまでと同じ返済額を返済し続けられるかをシミュレーションしたうえで繰り上げ返済するかどうかを決めることが大切です。

繰り上げ返済におすすめのタイミング

住宅ローンの繰り上げ返済をすべきかどうかは、ライフステージや手元のお金など家庭の状況により異なります。

一般的に、住宅ローン残高が多く残っている時期ほど繰り上げ返済による利息軽減効果は高いです。

ただし、住宅ローン控除を受けている期間に繰り上げ返済をすると、住宅ローンの借入残高が減るため、本来受けられるはずだった控除額が減ってしまいます。そのため、住宅ローン控除の期間が終わったタイミングで繰り上げ返済するのも手段のひとつです。

また、教育費などの大きな出費を控えているときや手元のお金に余裕がないときは、無理して繰り上げ返済するべきだとはいえません。

繰り上げ返済をしたときの返済期間・返済額に関するシミュレーションを行い、繰り上げ返済するかどうかを慎重に検討しましょう。

繰り上げ返済以外の選択肢

将来のお金のことを考えて、住宅ローンの繰り上げ返済を検討している方も多いでしょう。しかし、手元資金に余裕がない状態で繰り上げ返済すると、生活が苦しくなる可能性があります。

繰り上げ返済以外の選択肢も踏まえ、繰り上げ返済するかどうかを決めましょう。

住宅ローンの借り換え

住宅ローンの借り換えとは、新たな金融機関で住宅ローンを組み、契約中の住宅ローンを一括返済することです。

現在より金利の低い住宅ローンに借り換えすれば、利息が減り総返済額を減額できる可能性があります。借り換えによって毎月の返済額が下がれば、返済の負担を抑えることも可能です。

ただし、毎月の返済額が下がり借入期間が長くなれば、利息額が高くなることもあります。また、借り換えの際には、契約中の住宅ローンの全額繰り上げ返済手数料、新たな住宅ローンの事務手数料や保証料などがかかるため、費用も踏まえた検討が必要です。

さらに、健康状態によっては、団体信用生命保険に加入できないことがあります。金融機関の多くは、団体信用生命保険への加入を住宅ローン契約の必須条件としているので、注意が必要です。

資産運用(つみたてNISA・iDeCoなど)

資金に余裕がある場合は、繰り上げ返済に充てるのではなく資産運用に回すのも手段のひとつです。住宅ローンの繰り上げ返済で軽減できる利息額よりも、資産運用で得る利益の方が大きくなる可能性もあります。

つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用すれば、少額から積み立てでき、運用益が非課税になるなど税制上の優遇も受けられます。ただし、預金とは違い元本を下回る可能性がある点は理解しておきましょう。

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まとめ

住宅ローンの繰り上げ返済は、決められた約定返済とは別に借入残高の一部または全額を前倒しで返済することです。

繰り上げ返済には総返済額や返済負担を抑える効果がありますが、繰り上げ返済をすべきかどうかはライフステージや家計の状況などで異なります。

将来のお金のために繰り上げ返済を考えるなら、住宅ローンの借り換えや資産運用なども検討しましょう。自分にあった方法がわからない方は、auフィナンシャルパートナーにご相談ください。

執筆者名:
松崎 みづき
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