資産形成・老後資金 2023.3.31

何歳まで働くべき?人生100年時代に今からできることに取り組もう

現在は、定年後も働き続けることが一般的になって来ています。この背景にあるのは、少子高齢化によって人口が減少し、高齢者の力を借りなければ経済や社会を維持するのが難しくなっている実情です。

仕事を生きがいとしてなるべく長く働きたい方がいる一方で、生活のために働かざるを得ない方もいます。このようななかで、「何歳まで働くべきか」「いつまで働けるのか」という悩みや疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、現状として何歳まで働けるのか、長く働くメリットや注意点などを解説します。老後に向けて今からできることも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

何歳まで働ける?高齢者雇用に関する現状とは

長く働ける環境が整ってきているとはいえ、多くの会社は働ける年齢に上限を設けています。実際に何歳まで働けるのか、高齢者雇用に関する法律などをもとに現状を把握しましょう。

会社員は希望すれば65歳まで働ける

会社員は希望すれば原則65歳まで働けることになっています。これは、高齢者雇用安定法という法律により、65歳までの雇用確保が義務づけられているからです(※)。

▼65歳までの雇用確保(義務)
1.定年を65歳以上に設定する
2.定年の定めを廃止する
3.定年後も再雇用や勤務延長により65歳まで雇用を継続する

また、高齢者雇用安定法には70歳までの就業機会を確保する「努力義務」も定められており、65歳以降も働ける環境の整備が進められています。

▼70歳までの就業機会の確保(努力義務)
1.70歳までの定年引き上げ
2.定年制の廃止
3.70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
4.70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
5.70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入(事業主自ら実施する社会貢献事業、事業主が委託、出資等する団体が行う社会貢献事業)

(※)出典:「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」

定年制や雇用確保措置の実施状況について

厚生労働省の調査によると、2022年時点で定年制を定めている会社の割合は94.4%となっています(※1)。2017年調査(95.5%)に比べて減少しているものの、依然として定年制のある会社が大部分を占めているのが状況です(※2)。

▼定年制の有無、定年制の定め方

定年制を定めている会社(※3) 定年制を
定めていない会社
94.4% 5.6%
定年制の定め方(内数)
一律に定めている 職種別に定めている その他の定め方
96.9% 2.1% 0.6%

 

(※3)「定年制を定めている企業」には定年制の定め方が「不明」の企業を含む

▼一律定年制を定める会社(※4)における定年年齢

60歳 61歳 62歳 63歳 64歳 65歳 66歳以上
72.3% 0.3% 0.7% 1.5% 0.1% 21.1% 3.5%

(※4)「一律定年制を定めている企業」には定年年齢階級が「不明」の企業を含む

▼一律定年制を定める会社における勤務延長制度、再雇用制度の有無

制度のある会社 制度のない会社
94.2% 5.8%
導入している制度(内数・両制度併用を含む)
勤務延長制度 再雇用制度
30.3% 83.7%

65歳までの雇用確保措置については、定年後の再雇用または勤務延長によって雇用を継続する会社が約7割を占めています。定年のない会社は全体の5.6%、一律定年制を定める会社において定年が65歳以上の会社は約25%で少数派です。

(※1)出典:厚生労働省「令和4年就労条件総合調査」
(※2)出典:厚生労働省「平成29年就労条件総合調査」

引退年齢の平均は男性68.2歳、女性66.7歳

OECD(経済協力開発機構)が公表している「Pensions at a Glance 2021」によると、2020年の日本の平均実効引退年齢は男性68.2歳、女性66.7歳となっています(※1)(※2)。

平均引退年齢は男女とも年金支給開始年齢の65歳を超えており、年金を受け取れる年齢を過ぎても多くの方が仕事を続けていることがわかります。

この要因としては、健康寿命の長さや高齢者の就業意欲の高さ、公的年金の所得代替率が低く、生活のために働かなければならない方が多いことなどが挙げられます(※3)。

(※1)出典:OECD(経済協力開発機構)「Pensions at a Glance 2021」
(※2)40歳以上の労働者のうち労働市場から退出した人の平均年齢
(※3)退職前の所得額に対する年金給付額の割合

年齢の上限がない働き方もある

個人事業主(自営業者)や会社経営者などは、働ける年齢に上限はありません。いつまで働くかは自分で決められ、生涯現役を貫くのも、引き際を決めて引退するのも自由です。

会社員として培ったスキルや経験などを活かし、定年後に独立するのも選択肢になるでしょう。

長く働くメリットと注意点

人生100年時代を迎え、定年後も働くことがもはや当たり前になって来ています。ここでは、長く働くメリットと注意点を確認しましょう。

長く働く5つのメリット

長く働くことで、次のようなメリットが期待できます。

・収入を得られる(生活水準の低下を抑えられる)
・繰下げ受給で年金額を増やせる
・「生きがい」や「やりがい」を感じられる
・人や社会との交流を保てる
・より自由に無理なく働ける

年金以外に収入が得られると家計は安定しやすくなり、生活水準の低下を抑える効果があります。受け取れる年金が少ない方や保有する資産の少ない方には特に有効です。

また、働いて得られる収入の範囲内で生活できれば、年金の「繰下げ受給」も選択肢になります。繰下げ受給をすれば増額された年金を一生涯受け取れるため、長生きして老後資金が不足するリスクの軽減につながります。

仕事を通じて「生きがい」や「やりがい」を感じられるのも大きなメリットです。生活にメリハリがつき、人生がより充実したものになるでしょう。同僚や取引先、顧客など、人や社会との交流が保たれ、孤立を防ぐ効果もあります。

さらに、現役時代よりもライフスタイルや体力にあわせて仕事内容や労働時間を調整しやすく、より自由で無理のない働き方が選べる点もメリットといえるでしょう。

長く働く4つの注意点

長く働く際に注意が必要なのは、次の点です。

・継続雇用(再雇用)では給料が下がりやすい
・年金が減額されることがある(在職老齢年金)
・自分のために使える時間が少なくなる
・いつまでも元気で働けるとは限らない

継続雇用や再雇用では定年前よりも給料が下がることが多く、想定より稼げない可能性があります。収入の減少を抑えるには、現役時代から経験やスキルを培い、時代にあわせてアップデートして自らの価値を高め、社会に求められる人材であり続けることが大切です。

また、年金を受け取りながら会社で働く場合、「在職老齢年金」という仕組みにより、給料の額に応じて老齢厚生年金の一部または全部が支給停止になることがあります。

これを気にして仕事をセーブする必要はありませんが、年金が減額される可能性があることは知っておきましょう。

仕事に時間を割くと自分のために使える時間が減る点にも注意が必要です。年齢を重ねるにつれ気力、体力は衰え、病気やケガのリスクも高まります。身体の自由が効かなくなると、楽しみにしていた趣味や旅行も思うように楽しめません。

長く働くのであれば、人生に悔いが残らないよう、プライベート(ライフプラン)と仕事のバランスはよく考えるべきでしょう。

長く働きたいと思っていても、病気などで働けなくなる可能性もあります。想定より早く退職せざるを得なくなっても生活に困らないよう、最低限必要な生活費はなるべく年金収入の範囲内に抑え、勤労収入はプラスアルファと考える方が良いでしょう。

「何歳まで働くべきか」は一概にいえない

何歳まで働くべきなのかは、それぞれの状況や希望、考え方によるため一概にいえません。自分が何歳まで働くかを実際に検討する際には、「自分が何歳まで生きられるのか」を考慮したうえで決める必要があるでしょう。

日本人の平均寿命と健康寿命は年々伸びており、2019年時点で男性81.41歳(72.68歳)、女性87.45歳(75.38歳)です(カッコ内が健康寿命)(※1)。60歳、65歳で完全に仕事をやめると、かなり長い老後が待っています。

▼平均寿命と健康寿命の推移

(※)引用:厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」

また、平均寿命と健康寿命には差があり、年齢を重ねるにつれ若い頃と同じようには生活できなくなっていきます。何歳まで働くかは、働きたくても働けなくなることを想定して考えなければなりません。

(※1)健康寿命とは日常生活に制限のない期間

理想のライフプラン実現に必要なお金とのバランスを考える

何歳まで働くかは、自分が思い描くライフプランの実現とそれに必要なお金とのバランスによって大きく左右されます。

ライフプランに優先順位をつけて実現していく

人生をどのように過ごしたいのか、思い描くライフプランを実現するにはお金がかかります。まずは、その実現にいくらかかるのかを試算し、把握することから始めましょう。貯めたお金や年金で不足する金額から逆算すれば、何歳まで働くかの目処がつきます。

とはいえ、いつまでも働けるわけではなく、使えるお金にも限りがあります。すべてのライフプランを実現するのが難しい場合には、優先順位の高いものから実現をめざし、優先順位の低いものはあきらめることも必要です。

勤務先の就業規則や退職金・企業年金制度を確認する

現在の勤務先で何歳まで働けるのか、また退職金や企業年金など退職にともなってもらえるお金についても確認しましょう。

これらは転職や独立などで変わるため、勤務先や働き方が変わったときには再度確認と計画の見直しが必要になります。

老後に発生しうる経済的リスクに備える

ライフプランの実現に必要なお金だけでなく、老後に発生しうる経済的リスクへの備えも必要です。

▼老後に想定される経済的リスク
・病気・ケガ(医療費)
・介護(自分、配偶者、親)
・住居(リフォーム、家賃、介護施設への入居など)
・長生き(長生きによる老後資金の枯渇)
・インフレ(物価上昇による資産価値の目減り)

これらのリスクにどうやって備えるのか、その方法によって準備すべき金額は変わり、何歳まで働くかにも影響します。

将来のために今からできること

心身ともに健康でなければ働きたくても働けません。適度な運動やバランスのとれた食事など、若いうちから健康的な生活を心がけましょう。

長く働くには、社会で必要とされるスキルや経験を身につけることも大切です。資格を取得する、人脈を広げるなど、働きながら個人としての市場価値を高めましょう。

お金は働き方や人生の選択肢を広げます。効率よく資産を増やしていくために、なるべく早いうちから将来に向けた資産形成などにも取り組むことをおすすめします。

将来のお金に関する相談はauフィナンシャルパートナーへ

何歳まで働くかは、思い描くライフプランとお金のバランスの問題であり、何歳まで働きたいのか、何歳まで働く必要があるのか、何歳まで働けるのかを考える必要があります。

とはいえ、具体的にどうすればよいのかわからない方も多いでしょう。そんなときには、auフィナンシャルパートナーの「家計見直し相談」をご活用ください。

auフィナンシャルパートナーでは、将来のお金に関する相談に応じています。お金のプロであるFPが、キャッシュフロー表を作成のうえ家計の見直し方をご提案いたします。

老後に漠然とした不安や悩みを抱えている方は一度相談してはいかがでしょうか。

まとめ

何歳まで働くかは、思い描くライフプランとお金のバランスの問題であり、将来の見通しや希望から逆算して考える必要があります。正解はありませんが、将来の見通しを立て、今からできることを行動に移していくことが大切です。

将来のお金の問題について、具体的にどうすれば良いのか迷ったときはauフィナンシャルパートナーにご相談ください。

執筆者名:
竹国 弘城
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