住宅ローン 2024.11.22

住宅ローン審査の基本|流れや必要書類、落ちる理由をわかりやすく解説

住宅の購入は、人生のなかでも大きな買い物です。一括で支払うのは難しいため、多くの方が住宅ローンを組んで購入します。しかし、住宅ローンを利用する際には審査が実施されるため、誰でも利用できるわけではありません。

審査基準は公開されておらず、金融機関によって異なるため、「審査でどんなことを見られる?」「必要な金額を借りられる?」と不安に感じる方もいるでしょう。

本記事では、住宅ローンの審査の流れや必要書類、審査基準、落ちる理由を解説します。住宅ローンの審査に通るためのポイントも解説するので、審査に不安を感じている方はぜひ参考にしてください。

住宅ローンを利用するには審査が必要

住宅ローンを利用するには、金融機関による審査に通過する必要があります。

審査とは、金融機関が申込者に融資しても問題がないかを判断する手続きです。

詳しい審査基準は公開されていませんが、各金融機関は貸したお金をきちんと返済してくれるかどうかを見極める必要があるため、「審査が甘い」住宅ローンはないと理解しておきましょう。

また、金融機関が定める申込条件を満たさない場合は住宅ローンを利用できません。申込条件は、ホームページなどに記載されているため、申込前に確認しましょう。

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住宅ローン審査の一般的な流れ・審査期間

住宅ローンに申し込んでから融資を受けるまでの一般的な流れは、以下のとおりです。

①申し込み
②仮審査(事前審査)
③本審査
④契約手続き
⑤融資実行

住宅ローンの審査は、仮審査(事前審査)と本審査の2段階で実施されます。仮審査と本審査では審査項目などが異なるため、仮審査に通過しても融資が受けられるとは限りません。

申し込みから融資までの流れについて、以下で詳しく解説します。

なお、住宅ローンの審査に必要な書類や審査基準・落ちる理由、通過のコツについては後述しています。詳しく知りたい方はこちらからご覧ください。

①申し込み

希望する物件が決まったら、インターネットなどで事前審査の申し込みを行います。

お申し込みの際は、事前に金融機関などが提供している返済シミュレーションを利用し、借入可能額の目安や返済額などを試算したうえで手続きしましょう。

②仮審査(事前審査)

申込後、申告内容をもとに仮審査(正式な審査の前に行う事前審査)が実施されます。仮審査にかかる時間は比較的短く、当日~5営業日程度です。

下記記事では、仮審査(事前審査)のポイントについて詳しく解説しています。

住宅ローンの事前審査では何をチェックされる?項目内容や通過するためのポイントを解説
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③本審査

仮審査の通過後、正式な申し込み・必要書類の提出を行い、本審査へと進みます。本審査を受ける際には物件の重要事項説明書や売買契約書などが必要となるため、物件を契約する際に「ローン特約(※)」が付帯されているか確認しましょう。

審査にかかる時間は仮審査と比べて長い傾向があり、3日~2週間程度です。

なお、仮審査通過後や正式申し込みの際には、一般的に団体信用生命保険の申し込みも行います。事前審査の段階でも団体信用生命保険の加入可否確認は可能ですが、健康面が心配な方は先に確認するのもよいでしょう。

(※)ローン特約とは、住宅ローンを借りられなかった際に違約金などを負担することなく、手付金が返還され、無条件で契約を解除できる特約です。

④契約手続き

本審査通過後、来店や郵送、インターネットなどで契約を締結します。

また、不動産会社との借入日(引渡日)の調整や自己資金の入金、登記手続きのための司法書士との面談などを行います。

⑤融資実行

登記手続きの準備が整ったことが確認されると、融資が実行されます。事務手数料などが差し引かれた金額が振り込まれたことを確認しましょう。

立会決済がある場合は、借入日当日に契約者(買主)、売主、不動産業者、司法書士などが決済場所に集まります。売買成立後、司法書士が法務局に登記申請を行います。

住宅ローンの本審査で必要な書類

住宅ローンの本審査で必要となる書類は、大きく「本人確認書類」「収入関連書類」「物件に関する書類」の3つです。

必要書類 提出できる書類の例
本人確認書類 ・運転免許証
・マイナンバーカード
・パスポート
・住民票の写し
・健康保険証など
収入関連書類 ・源泉徴収票
・住民税決定通知書
・住民税課税証明書
・確定申告書
・納税証明書(その1・その2)など
物件に関する書類 ・売買契約書
・重要事項説明書
・締結証明書
・請負契約書
・工事見積書
・資金計画書
・間取図・立面図・配置図
・建築確認済証
・建築確認申請書
・検査済証
・物件広告(パンフレット・チラシなど)
・住宅地図
・不動産登記簿謄本(土地・建物)など

運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類は、必ず有効期限内のものを提出します。市区町村役場で発行する書類を提出する場合は発行後一定期間内のものが必要となるため、金融機関に確認しましょう。

また、住宅ローンの本審査では、申込者の収入を証明する書類の提出を求められます。

例えば、会社員などの給与所得者は、12月ごろに勤務先から交付される「源泉徴収票」を提出するのが一般的です。ただし、転職して間もない場合など、申し込みの状況や時期によっては直近の給与明細書を追加で求められる場合もあります。

本人確認書類や収入関連書類のほか、借り入れがある方は返済予定表が必要になるなど、申込者や申込内容によっても必要書類が異なるため、金融機関に確認して漏れがないように準備しましょう。

住宅ローンの審査基準と落ちる理由

住宅ローンの審査では、申込者の返済能力や担保価値が評価され、融資可否や融資金額が総合的に判断されます。

国土交通省によると、金融機関が融資を行う際の審査項目として多く挙げられたのは以下の項目でした(上位10項目)。

審査項目 回答割合(複数回答)
完済時年齢 98.5%
健康状態 96.6%
借入時年齢 96.0%
年収 94.0%
勤続年数 93.6%
返済負担率 92.0%
担保評価 91.8%
金融機関の営業エリア 90.4%
連帯保証 87.1%
国籍 75.6%

(※)出典:国土交通省「令和5年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」を元に筆者作成

この章では、住宅ローンの審査で見られる主な項目を詳しく解説します。

年齢(借入時・完済時)

多くの金融機関は、借入時・完済時の年齢に制限を設けています。

一般的に、完済時の年齢は75~80歳程度が上限として設定されています。高齢になっても返済が続くと返済が滞るリスクが高くなるからです。

住宅ローンは30~35年程度の長期にわたって返済していくものです。借入時の年齢が高いと、完済までの期間が短くなるため、審査に通りにくくなる傾向があります。

下記記事では、住宅ローンを組む際の年齢について詳しく解説しています。

住宅ローンは何歳まで組める?年齢制限や申込時のチェックポイントを解説
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健康状態

多くの住宅ローンでは、団体信用生命保険の加入を利用条件としています。

団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済中に死亡または所定の高度障害状態になった場合に、保険金によって住宅ローンが弁済される制度です。万が一のことがあると、保険会社から金融機関に保険金が支払われることで住宅ローンが清算され、住宅ローン残高が0となります。

団体信用生命保険に加入するには、健康状態に関する告知を行い、保険会社の診査に通過しなければなりません。そのため、健康状態によっては住宅ローンを利用できない場合があります。

年収・返済負担率

年収は、住宅ローンの審査において重要な項目のひとつです。金融機関によっては、「前年度の年収200万円以上」というように最低年収を設けている場合もあります。

ただし、単なる年収の多さではなく、年収と借入額(返済額)のバランスが重要視されます。その基準となるのが、「返済負担率」(年収に占める年間返済額の割合)です。

返済負担率が大きいと返済の負担が重くなり、返済ができなくなるリスクが高まるため、審査に通りにくくなる、または希望額で融資を受けられない可能性があります。

返済負担率の基準は金融機関によって異なりますが、一般的に無理なく返済できるとされている返済負担率の目安は、20~25%程度です。また、フラット35では返済負担率の基準を35%以下(年収400万円未満の場合は30%以下)としています。

年収別の借入目安額について下記記事もあわせてご確認ください。

年収に対する住宅ローン借入額の目安は?ローンを組む際のポイントも解説
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勤続年数

住宅ローンの返済は長期にわたるため、安定した収入を継続的に得ているかどうかが見られます。

勤続年数は、安定した収入を継続的に得ているかどうかを判断する項目のひとつです。勤続年数が極端に短いと返済能力が不安視され、審査結果に影響する可能性があります。

金融機関によっては、「勤続年数1年以上」などと具体的な基準を設けている場合もあるため、事前に申込条件をよく確認しましょう。

担保評価額

住宅ローンの審査では、担保となる物件の価値が融資額に見合っているかどうかを判断するために、担保評価が行われます。

金融機関は、住宅ローンで融資する際、土地や建物に担保として抵当権を設定します。借り手が住宅ローンを返済できなくなると、金融機関が抵当権を実行して担保不動産を売却し、融資金を回収する仕組みです。

担保価値が低いと、住宅ローンの返済が滞ったときに貸したお金を回収できないため、審査に落ちてしまったり、融資額が低くなったりする可能性があります。

なお、担保評価額は金融機関が算定した時価に一定の掛目をかけて求められるため、金融機関によって異なります。

ただし、金融機関によっては売買金額を融資金額の上限にしたり、物件を取り扱う不動産会社によって担保評価にメリハリをつけたりするケースも一般的になっています。土地の地目などで取扱ができない金融機関もありますので早めに相談しましょう。

信用情報

住宅ローンの審査では、申込者の同意を得たうえで信用情報の確認が行われます。

信用情報とは、クレジットカードやローンの利用状況を登録した個人情報です。各金融機関が「信用情報機関」に登録されている信用情報を照会し、申込者の信用力を評価する材料として利用します。

過去に滞納などの金融事故を起こし、信用情報機関にその情報が登録されている場合は、住宅ローンの審査に通過するのが難しくなります。

審査に影響する可能性がある金融事故の例

・長期にわたる滞納
・強制解約
・保証履行
・債務整理など

住宅ローンの審査に通るコツ

住宅ローンの審査では、各金融機関が独自の基準で融資しても問題がないかどうかを総合的に判断するため、審査に通る方法を明確に把握することはできません。少しでも審査に通過する可能性を高めるために、以下のポイントを押さえましょう。

・自己資金をなるべく多く用意する
・収入合算やペアローンを検討する
・ローンの返済を進める

自己資金をなるべく多く用意する

自己資金を多く入れるほど借入金額を減らせるため、融資を受けられる可能性が高まります。また、自己資金が多いほど返済負担率が下がり、返済の負担を抑えることも可能です。

ただし、手元資金の多くを自己資金に充ててしまうと、融資を受けたあとの生活に影響が生じる可能性があります。事前に資金計画を立て、無理のない範囲で自己資金を増やすことが重要です。

収入合算やペアローンを検討する

借入希望額が大きい場合は、収入合算やペアローンで住宅ローンを組むことも検討しましょう。

収入合算とは、配偶者や親の収入を合算して審査を受ける方法です。2人分の合算収入で審査を受けるため、1人の収入で申し込むよりも審査に通りやすくなる可能性があります。

一方、ペアローンは、夫婦や親子が同一物件に対してそれぞれ自分の収入を基準に住宅ローンを組む方法です。2人がそれぞれ契約者となるため、借り入れ可能な金額が大きくなり、審査に通りやすくなる可能性があります。

なお、収入合算では収入合算者が連帯保証人となり、ペアローンではお互いが連帯保証人となって契約します。

ローンの返済を進める

借り入れが多いと返済負担率が上がり、返済が滞るリスクが高くなるため、審査に通りにくくなります。

一般的に、返済負担率は住宅ローンだけでなく、カードローンや目的ローン(自動車ローンや教育ローンなど)、クレジットカードのキャッシング、リボ払いなども含めたすべての借り入れで判断されます。住宅ローン以外に借り入れがある方は、なるべく返済を進めておきましょう。

特にキャッシング系は印象が良くないため、借入先や件数、金額に気を付けましょう。逆に、クレジットやローンの利用実績がまったくなく、信用情報がない方もスムーズにいかないケースがあります。

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住宅ローンの審査はシミュレーションで計画を立ててから申し込もう

住宅ローンの審査は仮審査(事前審査)と本審査の2段階で行われ、両方に通過すると融資が受けられます。

審査基準は公開されていませんが、完済時年齢や返済負担率、信用情報などの審査で重要となる項目を押さえておけば、審査に通る可能性を高めることが可能です。

住宅ローンの審査を受ける際は事前にシミュレーションを行い、無理のない計画を立ててから申し込みましょう。各金融機関は、毎月の返済額や借入可能額などを試算できるシミュレーションを提供しています。

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