保険見直し 2023.3.31

ドル建て保険は円安時に解約すべき?理想的なタイミングを解説

ドル建て保険をはじめとする外貨建ての保険商品は、円安になると円で受け取る保険金や解約返戻金、円で支払う保険料が増加します。解約返戻金が増える円安・外貨高の状況下は、外貨建て保険を解約するかの検討材料になります。

ただし、外貨建て保険の解約を検討する際は、実際に受け取れる解約返戻金や税金、手数料の負担がどれくらいあるかも考慮する必要があり、円安になったかだけで安易に解約を決めるのはおすすめできません。

本記事では、外貨建て保険の中でも代表的なドル建て保険の性質を考えて、理想的な解約のタイミングや解約時の注意点を解説します。家計の状況にあった解約時期を考え、家計の見直しに役立てましょう。

ドル建て保険の仕組み

ドル建て保険は外貨建て保険の一種です。ドル建て保険の場合は、保険料の支払いや運用、保険金や解約返戻金の受け取りがドルで決済されます。

ドルと円の両替が発生するため、為替レートの影響を受け、日本円での支払いや受取金額が変化する保険商品です。

例えば毎月の保険料が100ドルの場合、為替レートが1ドル120円のときは月額保険料12,000円です。しかし、1ドル135円になると保険料は13,500円となり、1ドル120円のときと比較して1,500円多く支払わなければなりません。

また、保険金を受け取るタイミングで円安になっているほど、円で受け取れる金額も多くなり、円高になっていると円での受取金額は減少します。

さらに、保険料の支払時に円からドルへ、受取時にドルから円へと両替が発生するため、為替手数料の負担もあります。ドル建て保険では、円で決済する保険商品にはない負担がある点を覚えておきましょう。

なお、ドル建て保険を含む外貨建ての保険では、受取時に円か外貨かを選択できる商品も存在します。

ドル建て保険を解約するタイミングは円安・円高のどちらがいい?

ドル建て保険を解約する場合、円高時に比べて円安時の方が、解約返戻金で受け取れる日本円が多くなります。

また、今後も円安が続く場合、支払う保険料が当初の予定よりも多くなる可能性があるため、加入を継続すべきか見直す必要があります。

以下では、円安時・円高時の解約返戻金や保険料の変化などを解説します。

円安時に解約すると円で受け取る解約返戻金が増える

ドル建て保険では解約返戻金の支払いもドルで行われるため、1ドルで両替できる円が多い(円安時)の方が、為替差益が発生して受取金額が増えます。

例えば解約返戻金が10万ドルだった場合、1ドル120円なら1,200万円です。もしも解約時に円安が進んで1ドル135円になっていれば、解約返戻金は1,350万円です。

ただし、解約返戻金を受け取るときは、解約控除(解約手数料のようなもの)が差し引かる点も、考慮しなければなりません。解約控除は契約期間が短いほど多くなる傾向があり、短期間で解約すると受け取れる金額も減少します。また、期間が短すぎると、解約返戻金自体を受け取れない場合もあります。

解約を検討するときは、解約返戻率や運用益など、円で受け取れる金額がその時点でいくらになるかも考慮して判断しましょう。

ドル建て保険は円安時に円で支払う保険料が増える

ドル建て保険は、保険料の支払いもドルで設定されるため、円安・ドル高が進むほど円で支払う保険料が高くなります。

ただし、一時払いや前払いで保険料を先に納めている場合、為替レートの変化で支払う保険料が増える状態を回避できます。

予定していた保険料よりも負担が重く感じる場合は、ドル建て保険への加入を継続すべきか見直すタイミングといえます。

ドル建て保険の解約は円安・円高だけで判断しない

ドル建て保険は円安時の方が解約するメリットはあるものの、今後の社会情勢や経済の変化を考えると、円安・円高という情報だけで理想的なタイミングを判断するのは難しいでしょう。

円安時でもアメリカの経済状態が安定していて、高い成長性を見込めるならば、今後の運用益が期待できます。また、加入期間が短く、解約返戻金から差し引かれる控除額が多い、または解約返戻金そのものが受け取れない場合は、円安時に解約するメリットを得られない場合もあります。

単純に円安・円高だけで解約を判断せず、なぜドル建て保険に加入したのかを考え、解約すべきタイミングであるかを判断しましょう。

ドル建て保険を解約するときの注意点

ドル建て保険を解約するときは、次の事柄にも注意しましょう。

・加入期間が短いと解約返戻金が少なくなる
・いつ時点の為替レートが適用されるかは商品ごとに違う
・解約返戻金にも税金がかかる
・解約返戻金の受取時に手数料がかかる
・保障を失う

円安になったことだけで判断せず、解約はこれらの注意点を考慮して検討する必要があります。

加入期間が短いと解約返戻金が少なくなる

解約返戻金を計算するときは、解約控除が差し引かれます。

控除される金額は契約期間が短いほど多くなる傾向があり、短期間で解約すると受け取れる解約返戻金が、支払った保険料を大きく下回ることもあります。

為替差益を期待してドル建て保険を解約しても、受け取れる解約返戻金が少なければ元本割れする可能性があります。また、一定期間未満で解約した場合は、解約返戻金が受け取れない商品がある点にも注意しましょう。

解約返戻金に関する規約は事前に確認し、短期間で解約した場合のリスクも踏まえてドル建て保険を契約するのが大切です。

いつ時点の為替レートが適用されるかは商品ごとに違う

ドル建て保険を解約した場合、解約手続きをした日の為替レートで解約返戻金が両替されるとは限りません。いつ時点の為替レートで手続きされるかは、保険商品によって異なります。

適用される為替レートによっては想定していた金額よりも受け取れる金額が少なくなる場合もあります。

ドル建て保険を解約するときは、いつ時点の為替レートで解約返戻金が計算されるのかを確認したうえで手続きしましょう。

解約返戻金にも税金がかかる

解約返戻金を受け取る場合は税金がかかります。保険料を払う契約者と解約返戻金の受取人が同じ場合は所得税、違う場合は贈与税の対象です。

所得税は支払ってきた保険料の総額より、解約返戻金で受け取った金額が多いと、差額に対して課税されます。

贈与税は基礎控除110万円を差し引いた、残りの金額に対して課せられます。また、同一年内にほかの贈与も受けていれば、合算した受取金額から基礎控除を引いた残りの金額が課税対象です。

解約返戻金の受取時に手数料がかかる

解約返戻金を保険会社から受け取る際、ドルから円に両替する為替手数料や保険会社への手数料が発生します。また、円に両替せずにドルで解約返戻金を受け取る場合、振込先の金融機関によっては手数料を取られる場合があります。

ドル建て保険の契約時や解約時には、円建て保険では発生しない費用負担がある点も、意識する必要があるでしょう。

保障を失う

ドル建て保険に限らず、外貨建て保険は保険商品なので、死亡保障など保障の機能を有しています。保険を解約すると、当然のことながら保障も失います。

解約を検討する際には、資産形成の観点だけではなく保障内容を失うことで生じる影響についても念頭に置きましょう。

ドル建て保険を解約する理想的なタイミングとは?

ドル建て保険の解約は、解約返戻金にかかる税金・手数料を差し引いても元本割れせず、十分な為替差益が得られていて、加入当初の目的を達している場合に、解約を検討するとよいでしょう。

円安だけを判断材料にせず、上述したような注意点や、「今解約すると実際に受け取れる解約返戻金はいくらなのか」「解約返戻金の受け取りで支払う税金や手数料がいくらなのか」なども考慮して、解約のタイミングを見極めましょう。

加入契約を交わす際、「差益がいくら出たら解約するか」「支払う保険料は為替相場でどれくらい変わるか」など、事前にシミュレーションしておくと、解約を判断する基準になります。

また、家計の状況も踏まえて、解約するべきタイミングにあるかを検討しましょう。

保険を解約するタイミングに迷ったらauフィナンシャルパートナーへご相談を

ドル建て保険の解約タイミングを含め、保険料の負担や保障内容を考慮した保険の見直しは必要です。しかし、家計の見直しにはさまざまな要素が絡むため、保険や金融商品などへの知識がない場合は判断が難しい部分もあります。

判断に迷った場合は、お金のプロに相談してみてはいかがでしょうか。

auフィナンシャルパートナーの「家計見直し相談」では、お金のプロであるファイナンシャルプランナーが、無料で個々にあわせたアドバイスをご提供します。

ご相談の場所や時間はお客さまのご都合にあわせて設定いただけます。保険の保障内容や保険料の負担、家計の収支など、家計の見直しで迷ったら、お気軽にauフィナンシャルパートナーにご相談ください。

まとめ

ドル建て保険は円安になると日本円で受け取る保険料・解約返戻金が増え、日本円で支払う保険料が増えます。

商品の性質を考えると、円安になったら解約すべきと感じますが、契約期間が短いと解約返戻金が減少するため、円安だけで判断すべきではありません。

また、為替相場は常に変動していて、いつ時点の為替レートが適用されるかも商品ごとに異なります。さらに、解約返戻金かかる税金や手数料も解約時に考慮すべき事柄です。

ドル建て保険を解約するタイミングは、円安になったかだけでなく、加入していた本来の目的も考えて、総合的に判断しましょう。

執筆者名:
田貫 朔子
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