老後の一人暮らしに必要な生活費は?平均消費支出の内訳や備えたいことを解説
核家族化や熟年離婚の増加により、老後に一人暮らしをする方が増加傾向にあります。そのうえ平均寿命が延び、人生100年時代といわれる現代では、一人暮らし期間が長期化する可能性も高いでしょう。
65歳以降もリタイアせずに働き続けたとしても、現役世代に比べると収入は減るのが一般的です。
老後の一人暮らしに向けて、金銭面や健康面で不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、老後の一人暮らしに必要な生活費を明らかにしたうえで、具体的な備え方を解説します。ゆとりのある老後生活を送りたい方は、ぜひご一読ください。
老後に一人暮らしをする人の割合
2021年に厚生労働省が行った「国民生活基礎調査」によると、65歳以上がいる世帯のうち約3割が一人暮らしをしていることが明らかになりました。
男女比としては男性が35.7%なのに対し、女性は64.3%です。また年齢比では、男性は70~74歳が29.8%、女性は85歳以上が24.3%で最も多い結果となっています。
このような内訳から、老後に一人暮らしをする女性が男性の倍近く多いのは、平均寿命の差による影響が大きいと考えられます。
ひと昔前までであれば老後は子どもと同居するケースが一般的でした。しかし、近年は同居を好まない方が親子ともに増加。未婚率も年々上がっており、今後は一人暮らしをする方の割合がさらに増えると想定されます。
誰もが老後の一人暮らしを想定し、生活費とその準備についてしっかり考えておかないといけない時代だといえるでしょう。
老後の一人暮らしにおける主な家計収支
ここでは、総務省の「家計調査年報(家計収支編)」より、2021年時点のデータを基に解説します。
65歳以上、単身・無職世帯の平均を知ったうえで、どれほどの備えが必要であるかをシミュレーションしてみましょう。
平均実収入と所得
・平均実収入:135,345円
・平均可処分所得:123,074円
実収入の内訳は公的年金(社会保障給付)が120,470円と大半を占めますが、そのほかの収入が1割だけあり、トータル135,345円となっています。
ここから税金や社会保険料などを除いた123,074円が、実際に使える収入です。
平均消費支出
・平均消費支出:132,476円
・平均非消費支出:12,271円
・総支出:144,747円
消費支出の内訳は下表をご覧ください。なお非消費支出とは、下表に含まれない税金や社会保険料といった世帯で自由にできない支出や借金の利子などが該当します。
消費支出の項目 | 内訳比率(約) |
食費 | 30% |
住居費 | 10% |
水道・光熱費 | 9% |
教養娯楽費 | 9% |
交通・通信費 | 9% |
保険医療費 | 6% |
家具・家事用品費 | 4% |
被服および履物費 | 2% |
教育費 | 0% |
そのほか | 20%(うち交際費は11%) |
(※)出典:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」を元に筆者作成
家賃や地代が含まれる住居費の内訳比率が低めですが、同調査における65歳以上の持ち家率が80.2%と高いためでしょう。
今後マイホームを持たない、もしくは手放す予定があるようであれば、賃貸の家賃分を住居費に上乗せて見積もっておくと安心です。
毎月9,402円の不足が発生する
実収入(135,345円)から、総支出(144,747円)を差し引くと、9,402円の赤字が発生します。
65歳から85歳までの20年間だったとしても、赤字総額は約225万円です。
また今回のシミュレーションでは、介護サービスの利用による支出を含めていません。
病気やけがによる入院や手術を含む保険医療費についても、個人差が大きいため平均値はあまり参考にできないでしょう。
ゆとりのある老後を送りたいのであれば、より多くの備えが必要になります。
老後の一人暮らしを豊かにするために備えたいこと
老後の収入がほぼ公的年金のみであった場合、毎月赤字が発生するとわかりました。
さらに老後は病気とは関係なくフレイル(身体の衰え、精神の衰え、社会とのつながりの減少)による不安要素も少なくありません。備えが多いに越したことはないでしょう。
それでは老後の一人暮らしを豊かにするためには、何をどれくらい備えるべきなのか。ここでは具体的な備え方を3つ解説します。
投資
毎月発生する恐れがある赤字に備えるためには、投資による資産運用が現実的です。
基本の考え方として、投資はギャンブルではありません。本格的に仕事として投資をはじめるのでない限りはリスクの軽減を重視し、「長期」「積立」「分散」の3つを主軸とした資産運用を心がけましょう。
・長期:長期間にわたってじっくりと資産を増やす
・積立:無理のない金額で継続的に投資する
・分散:さまざまな資産や地域などに投資する
これらのポイントを満たしたおすすめの制度に、「つみたてNISA」と「iDeCo」があります。
つみたてNISA
つみたてNISAは年間40万円を掛金上限として、最長20年間は運用益が非課税になる制度です。
iDeCoとよく比較されますが、つみたてNISAならではの大きなメリットは、いつでも引き出し(資産を現金化)できることでしょう。
また、つみたてNISAの対象商品は「長期・積立・分散」に適した商品のみに絞られているため、投資運用の知識がない方でもはじめやすいといったメリットもあります。
iDeCo
iDeCoは、個人型確定拠出年金と呼ばれる私的年金制度のひとつです。
掛金の上限は国民年金の被保険者区分と、企業型DCをはじめとしたほかの確定拠出年金制度に加入しているかどうかで異なります。
被保険者区分 | 掛金上限 |
第1号被保険者 (第2号、第3号被保険者に当てはまらない者) |
年間81.6万円 |
第2号被保険者(会社員) | 年間27.6万円 (※企業年金に加入していない場合) |
第2号被保険者(公務員) | 年間14.4万円 |
第3号被保険者 (第2号被保険者の扶養配偶者) |
年間27.6万円 |
(※)出典:国民年金基金連合会「iDeCo(イデコ)の仕組み」を元に筆者作成
iDeCoならではのメリットとしては、掛金のすべてが所得控除になることが挙げられます。
運用益に関しても、非課税期間の制限を設けておらず、つみたて期間が長ければ長いほどつみたてNISAよりも税金の面では有利になるでしょう。
ただし年金制度であることから、60歳までは引き出しが原則できません。
また対象商品が自由であるため、投資運用の知識がないとリスクの高い商品を多く選んでしまう恐れもあるでしょう。
保険の見直し・活用
保険は年齢や家族構成に応じて適切な保障が変わるため、定期的に見直すことで保険料の過剰な払い込みを防ぎましょう。
また貯蓄型の保険や投資型の保険を選べば、老後の蓄えとしても活用できます。以下は貯蓄型もしくは投資型保険の一例です。
・個人年金保険…貯蓄型のひとつであり、保険金を公的年金に上乗せする形で受け取れる
・終身保険…貯蓄型のひとつであり、解約返戻金を老後資金に充てられる
・変額保険…投資型のひとつであり、運用実績により死亡時の保険金や解約返戻金などが変動する
同じ種類の保険であっても、保障内容は商品によってさまざまです。自分の現状にあったものを慎重に選びましょう。
節約を習慣づける
現時点で生活費をかけすぎていると実感しているのであれば、日頃からできる節約術を習慣づけることも大切です。
今のうちから節約を習慣づけておけば、いざ老後を迎えたときに「急に生活が圧迫された」と感じづらく、精神的な負担を減らすことにもつながるでしょう。
いくつか簡単な節約方法をご紹介します。
家計簿をつける
月の支出を見える化することは、節約の第一歩です。まずは何ヶ月分か家計簿をつけてみて、自分の支出傾向を探りましょう。
傾向から問題点を把握すれば、「衣服は毎月〇万円まで」「友人との飲みは月〇回に押さえよう」など、具体的な節約方法を考えやすくなります。
また毎月の支出が安定し、預貯金や投資にまわす適切な金額を見極めやすくもなるでしょう。
自炊を習慣づける
自炊に比べると外食は高くつく傾向にあります。外食はなるべく控え、自炊を習慣づけるようにしましょう。
ただし無計画に自炊をしていると、そこまで節約にはなりません。冷蔵や冷凍保存ができるメニューを積極的に選び、作り置きすることをおすすめします。
娯楽は平日に楽しむ
映画やレジャー施設、温泉などといった娯楽は、できるだけ平日に楽しみましょう。
土日祝日は割高になる傾向にあるほか、割引が利くサービスデーは多くが平日に設定されているためです。
仕事が暦どおりの休日だとなかなか難しいところではありますが、映画館のレイトショーをはじめ平日夜にお得になるサービスが身近にないか、ぜひチェックしてみてください。
老後の資金に関するご相談はauフィナンシャルパートナーがおすすめ
今回のシミュレーションに利用したのは、あくまで2021年のデータです。
これまでの物価上昇傾向および年金額の変動から考えると、実際に老後を迎えたときには収入と支出の差がより開く可能性があります。
超低金利政策が続く現代では、ただ預金をするだけではお金は大して増えません。だからこそ昨今は、堅実な投資による資産運用の大切さが叫ばれるようになりました。
しかし資産運用に関する教育が行き届いていない日本では、投資をはじめるハードルが高く感じられるのも事実です。
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まとめ
老後の一人暮らしにおける生活費は、平均132,476円です。公的年金による収入が主であれば、多くの場合は赤字が想定されます。
老後の貧困を防ぎ、ゆとりのある老後生活を送るためには、赤字を補てんできるだけの備えが必要です。
備え方はさまざまありますが、手元にあまりお金がないのであればなおのこと、「長期・積立・分散」によるリスクを軽減した投資が適しています。
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