住宅ローン控除の年末調整で必要な手続きは?書類の記入方法や還付金について解説
住宅ローンを組んでマイホームを購入、または増改築を行った場合、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用を受けることができます。
住宅ローンの返済は家計を占める割合が大きいため、税制の優遇を受けることができる住宅ローン控除は、家計の負担を軽くするためにも利用しておきたい制度です。
本記事では、住宅ローン控除を受けるためにどのような手続きが必要かを詳しく解説します。
制度を知っていても、正しい手続きを行わなければ税制の優遇を受けることはできません。制度の仕組みや手続きを理解して正しく活用しましょう。
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除とは、マイホームの購入または増改築で住宅ローンを組んだ方が一定の条件を満たす場合、所得税額の控除を受けることができる制度で、正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。
控除となる対象は、敷地と建物の借入金合計のローン残高のうち、5,000万円までの部分をもとに計算されます。夫婦および連帯債務によって住宅を取得した場合は、債務者それぞれが個別に手続きを行う必要があります。
しかし、住宅ローンを利用した全員がこの住宅ローン控除を受けられるわけではありません。どのような場合に控除を受けることができるのか、住宅ローン控除が適用される条件について解説します。
住宅ローン控除が適用される条件
住宅ローン控除の適用を受けるには、次の条件を満たす必要があります。
・取得または増改築から6ヶ月以内に住み、引き続き居住している
・床面積の2分の1以上が居住用
・中古住宅は、耐火建築の場合で築後25年以内、耐火建築物以外は20年以内
・借入金は割賦償還で償還期間が10年以上
・配偶者や特定の親族・特殊な関係の法人から取得した住宅ではない
・「居住用財産を譲渡した場合の特例」を前年・前々年に受けていない
・控除を受ける年の所得が2,000万円以下
・家屋の床面積(登記面積)が50㎡以上である ※40㎡以上50㎡未満であっても控除を受けることができるが、所得の要件が1,000万円となる
控除を受けるかどうかで、家計への影響も大きく異なります。住宅ローン控除を受けたい場合は、住宅ローンを組む前に条件を確認しておきましょう。
住宅ローン控除に必要な手続きは1年目と2年目で異なる
実際に住宅ローン控除を受ける際は、どのような手続きが必要なのでしょうか。
まず1年目は、全員確定申告をすることで控除を受けることがきます。そして給与所得者の場合、2年目以降は勤務先が年末調整を行うため、手続きが変わります。
1年目と2年目の手続きの違いについて、次の項で詳しくみていきましょう。
住宅ローン控除1年目は確定申告で
控除を受ける最初の年分は納税地の所轄税務署へ確定申告を行う必要があります。
自営業者やフリーランスなどの方が通常の確定申告をされる場合、例年2月16日頃から3月15日頃までに前年の分を申告しますが、還付申告の場合は1月から申告可能です。
必ず期限内に申告しましょう。
住宅ローン控除2年目以降は年末調整で
自営業者など確定申告を行う方は、継続して1年目と同じ方法で住宅ローン控除を受けます。
一方で給与所得者の場合、2年目以降は必要書類を勤務先に提出することで、年末調整により住宅ローン控除を受けることができます。勤務先での手続きが漏れてしまった場合は、2年目以降も自分で確定申告を行わなければ住宅ローン控除を受けられないため、必要書類は必ず勤務先に提出するようにしましょう。
住宅ローン控除の確定申告と年末調整に必要な書類
住宅ローン控除を受けるためには、どのような添付書類が必要なのでしょうか。
まず確定申告を行う場合、通常の確定申告書類やマイナンバーカード(またはマイナンバー通知カードorマイナンバー記載の住民票+運転免許証やパスポートを含む本人確認書類)以外に、次のような書類をそろえる必要があります。
・住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
・家屋の登記事項証明書
・住宅の工事請負契約書、または売買契約書の写し
住民票の異動が遅れている場合は、電気やガスの支払証明書などでも代用可能です。
給与所得者は、2年目から住宅借入金等特別控除申告書と借入金の年末残高等証明書を勤務先に提出します。
借入金の年末残高等証明書は、住宅ローンを組んだ金融機関が発行します。紛失に注意し、勤務先の担当者に確実に提出してください。
【記入例あり】住宅ローン控除の確定申告と年末調整に必要な書類の書き方は?
この章では、実際に住宅ローン控除を受けるための書類の記入例を紹介します。
手続きに不備があるとスムーズに控除が受けられなくなるので、慎重に確認しましょう。
・国税庁による記入例(給与所得者の住宅借入金等特別控除用)
住宅ローン控除を受けられる年数分の書類が税務署からまとめて送られてきます。
記入する前に、書類に記載されている「令和〇年分」の部分が申告に該当する年のものであるか必ず確認しましょう。
自分の氏名・フリガナ・住所のほか、「給与の支払者の名称」には会社名、「給与の支払者の所在地」には会社の住所を記載します。法人番号は会社が記載するため空白にします。
用紙の上半分にあたる「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」に、各証明書をもとに控除額を計算し記載します。
用紙の下半分「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」は、すでに印字がしてあるため、記載不要です。
各証明書の発行時期により、記載の仕方が異なるため、詳細については国税庁のホームページを参考にしてください。
出典:国税局ホームページ「確定申告書等の様式・手引き等(令和4年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)」給与所得者の住宅借入金等特別控除の記載例
・国税庁による記入例(令和3年分につき住宅借入金等特別控除を確定申告で受けた人が令和4年分について年末調整でこの控除を受ける場合)
出典:国税局ホームページ「各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)」住宅借入金等特別控除申告書
住宅ローン控除の還付金の金額や振込時期
住宅ローン控除の還付金が、毎月の給与から源泉徴収された所得税の合計金額よりも多い場合、控除額全額が還付金として戻ってきます。
控除金額は、令和4年入居の場合「住宅ローンの年末借入残高×0.7%」で計算されます。
控除額の上限は住宅の区分や居住年により異なりますが、例として令和4年居住の新築一般住宅では3,000万円となっています。
令和6年以降の居住では、下記区分以外の新築一般住宅は控除が受けられなくなりますので、注意しましょう。令和5年12月31日までに建築確認を受けた一般新築住宅、または令和6年6月30日までに建築された一般新築住宅は控除の対象ですが、特例居住用家屋に該当する住宅は令和5年12月31日までに建築確認を受けた場合のみ控除対象となります。
・認定長期優良住宅
・低炭素建築物
・低炭素建築物とみなされる特定建築物
・特定エネルギー消費性能向上住宅
・エネルギー消費性能向上住宅
確定申告によって還付金が発生した場合、申告時に指定した口座に後日入金されます。
還付金が振込まれるまでの期間は、国税庁のサイトによると、通常で1ヶ月から1ヶ月半程度、自宅や税理士事務所から電子申告(e-tax)にて確定申告を行った場合は3週間程度となっています。
ただし申告内容に誤りがあった場合はこの限りではありませんので、間違いのないように注意して申告を行いましょう。
住宅ローン控除はいつまで使える?
住宅ローン控除の控除期間は、原則10年間と定められています。
例外として、消費税率10%の住宅を取得し2019年10月1日(火)から2020年12月31日(木)までの間に居住の用に供した方の場合は13年間となっています。
住宅ローン控除の必要書類を年末調整までに提出できなかった場合
給与所得者が、紛失など何らかの理由で年末調整までに年末残高等証明書や申告書を勤務先に提出できない場合、2年目以降でも確定申告を行うことで控除を受けることができます。申告を行わない限り、税金の負担が自動的に軽減されることはありませんので、年末調整か確定申告のいずれかの方法で必ず控除の適用を受けるようにしましょう。
翌年の1月末までに必要書類の交付を受けて勤務先に提出できる場合は、会社が年末調整の再計算を行うことができます。
住宅ローン控除やその手続きに関するお悩みはauフィナンシャルパートナーへ
住宅ローン控除は、自動的に税金の負担が軽減されるわけではなく所定の手続きが必要になります。しかし税制優遇のメリットを最大限に活用することは、家計の大きな助けにもなります。住宅ローン控除を受けられるかどうかで将来のお金の流れも変わるため、制度の仕組みは正しく把握しておきましょう。
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