医療保険に複数加入することはできる?メリットと注意点を知って将来に備えよう
日本は国民皆保険制度を敷く国であり、国民全員が高度な医療を安価に受けることができます。
しかし、厚生労働省が承認していない治療を受けたり薬を使用したりすると公的医療保険が適用されず、全額自己負担になります。また、長引く通院や入院により、交通費や差額ベッド代など医療費以外の費用がかさんだり、働けなくなることで収入が大幅に減ったりする可能性も考えられます。
万が一のときに備えるためにも、民間の医療保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。複数加入するなら、さらに充実した保障を受けられるようになるでしょう。
本記事では、医療保険に複数加入するメリットと注意点を解説します。医療保険に複数加入するのが向いている人についても紹介するので、ぜひ参考にして保険を見直してみてください。
医療保険に複数加入することはできるのか
医療保険の加入件数には、上限がありません。たとえ保障内容が同じ保険であっても、複数加入することができます。医療保険の種類もさまざまで、保険会社や商品ごとに保障内容や支払事由が変わるため、複数の医療保険に加入することでより広くリスクに備えられるようになります。
2021(令和3)年に発表された生命保険文化センターの調査によると、民間の生命保険に加入している方の平均加入会社数は2.1社でした。1社のみに加入している方が37.8%と最も多いものの、2社以上に加入している方も60%以上と多いことから、各保険会社の特徴を把握して、いいとこ取りをしていることが予測できます。
【民保の加入会社数】(※1)(※2)
加入会社数 | 1社 | 2社 | 3社 | 4社 | 5社以上 | 不明 | 平均 |
2021年 | 37.8% | 29.9% | 17.9% | 7.6% | 5.0% | 1.8% | 2.1社 |
2018年 | 34.0% | 30.1% | 17.5% | 8.4% | 5.5% | 4.5% | 2.2社 |
2015年 | 37.7% | 30.9% | 18.2% | 7.6% | 3.7% | 1.8% | 2.1社 |
(※1)かんぽ生命も含む
(※2)出典:公益財団法人生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉」を元に筆者作成
生命保険の中でも、医療保険は特約が多く、各社の保険特徴が出やすい傾向にあります。そのため、複数の保険に加入している方の中には一般的な入院や通院、手術の保障がついた医療保険に加えて、特定の疾病に備える保険に加入していることが想定できます。
別々の保険会社で異なる医療保険に加入していると、病気やケガなどで保障対象となった場合は、それぞれの保険会社から給付金を受け取ることができます。複数加入には、ほかにもさまざまなメリットがあります。具体的に見ていきましょう。
医療保険に複数加入するメリット
医療保険に複数加入すると、次のメリットがあります。
・それぞれの保険のいいとこ取りができる
・保障が受けられないリスクを回避できる
・保険の見直しがしやすくなる
それぞれのメリットを具体的に解説します。
それぞれの保険のいいとこ取りができる
医療保険には保障の形が決まっているタイプと、入院・手術を主契約としてオプションを自由に選択できるタイプなどがあります。希望する保障内容を提供している保険を組み合わせることで、それぞれの保険のいいとこ取りができるようになるでしょう。
例えば、入院や手術の保障が手厚いタイプもあれば、通院保障が手厚いタイプ、特定の疾病や損傷の保障が手厚いタイプなどがあります。
入院時の差額ベッド代が気になる方なら入院保障が手厚いタイプ、がんへの不安が強い方ならがんになったときの保障が手厚いタイプを選ぶとよいでしょう。
また、保険商品によって付帯可能な特約もさまざまです。それぞれの保険商品の特徴を理解し、自分に必要な保障内容を選択することで、保険のいいとこ取りを実現できます。
保障が受けられないリスクを回避できる
医療保険に加入していても、必ずしも保障を受けられるわけではありません。次の場合には、予定していた保障を受けられないことがあります。
・保険会社自体が破綻した場合
・保障を受ける要件に満たない場合
保険会社が破綻する可能性は皆無ではありません。その場合、国により救済措置はあるものの、契約時に決められた額の給付金や積立金を満額受け取れないことがあります。
また、請求内容が支払事由に該当せず、予定していた保障を受けられないことも少なくありません。複数の医療保険に加入することで、それぞれの保障内容を補完できるようにしておきましょう。
保険の見直しがしやすくなる
医療保険に加入した後で、保険料を増やして給付金を増やしたり、特約をつけたりといった調整が可能なケースもあります。結婚や出産をきっかけに保険の見直しを検討する人は多くいますが、見直しの際は保障期間が途切れないように注意が必要です。
多くのがん保険は、免責期間を定めています。たとえ保険に加入して保険料を支払っていたとしても、免責期間中にがんが発覚した場合は保障を受けることができません。見直しの際は、保障内容だけでなく免責期間を把握することも大切です。
複数の医療保険に加入しておくなら、免責期間も別の医療保険で一定の保障はあるため、対象の保険の保障の削減や追加を検討しやすくなり、保険の見直しのハードルが下がります。
医療保険に複数加入する際の注意点
複数の医療保険に加入することには、いくつか注意すべき点もあります。特に次の点には注意が必要です。
・請求手続きや診断書の手数料負担が多くなる
・保険の管理が大変になる
・保障が重複することがある
・年末調整や確定申告時の書類管理や保険料計算が複雑になる
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
請求手続きや診断書の手数料負担が多くなる
複数の保険会社に加入している場合、給付金や保険金を請求するための手続きが増えます。病気やケガで体調が優れないなか、保険会社ごとに書類を用意したり、複数の担当者とやりとりをしたりするのは負担になるでしょう。
また、給付金・保険金の請求の際には、医師の診断書が必要となります。診断書は1枚ごとに費用がかかるため、発行手数料の負担も増えます。なお、保険会社に提出する診断書は、傷病手当申請書と異なり保険が適用されないため、実費で請求されます。
保険会社のなかには、他社の診断書でも所定の条件を満たしていればコピーでもよい場合もありますが、基本的には別途準備することが必要です。特に支払要件に必要な情報が記載されていない場合は、保険会社ごとに定められた書式で診断書を作成してもらわなくてはいけません。
保険の管理が大変になる
複数の保険会社の医療保険に加入している場合、保険料の引落しのタイミングや支払口座、クレジットカードなどの管理もそれぞれ行わなくてはいけません。例えば引越した場合や結婚した場合などは、住所変更や名義変更などの手続きを複数社それぞれにおいて必要です。
また、すべての保険の内容を正確に把握していない場合は、請求漏れが生じる可能性もあります。保険料を支払ってきたことが無駄になることもあるため、給付金・保険金の請求事由は正確に把握しておきましょう。ちなみに、保険金請求の時効は原則3年です。間に合うものは請求してみましょう。
保障が重複することがある
複数の医療保険に加入すると、保障内容が重複することがあります。複数社への月々の支払いや保険の管理の負担が増えるだけで、保障内容が充実しない可能性もあるため注意が必要です。
また、同じ保障内容の保険に極端に重複して加入している場合は、不正利用防止の観点から契約解除になる場合もあります。契約前には、保障内容が極端に重複していないことを確認し、必要な分だけ保障を受けられるよう調整しましょう。
年末調整や確定申告時の書類管理や保険料計算が煩雑になる
生命保険料については、一定の範囲で所得控除を受けられます。
毎年秋ごろに、保険会社から「生命保険料控除証明書」が郵送あるいは電子的に送付されるので、年末調整や確定申告のときまで保管しなければいけません。ハガキを紛失したり、Eメールを削除したりすると、再発行の手続きが必要になり、さらに手間がかかります。
複数の医療保険に加入している場合は、加入している保険の数だけ生命保険料控除証明書が届きます。管理の手間が増えるだけでなく、生命保険料控除の計算も煩雑になる点にも注意しましょう。
医療保険に複数加入するのが向いている人とは?
ここまで、医療保険に複数加入することのメリットや注意点を紹介してきました。複数加入するかどうか迷ったときは、以下に該当しているかチェックしてみてください。
・保障を手厚くしたい人
・万が一のとき、家族に経済的負担をかけたくない人
・保険の管理が得意な人
いずれかに該当する方は、複数加入に向いていると考えられます。それぞれどのような方が該当するのか、詳しく見ていきましょう。
保障を手厚くしたい人
特定の病気やケガに対する不安があり、保障内容を手厚くしておきたい方なら、複数加入も検討できます。
例えば、入院や通院だけでなく、女性疾病や三大疾病、骨折、介護など様々な保障分野に備えたい場合には、各社の強みを組み合わせてそれぞれの保障に備えられるようにしておくと、万が一の事態に備えることができます。
ひとつの医療保険では保障が不足すると感じる場合は、複数の保険に加入して受給できる金額を増やしておきましょう。加入した時期によって商品性が大きく変わります。先進医療をつける、がんの保障を診断給付金重視にする、など考えて加入しましょう。
また、同じ保障でも保険のプランや会社によって条件が異なります。例えば、1回の入院あたりの支払限度日数が60日型と120日型の保険商品がある場合、入院が長引いた場合には120日型のほうが保障は手厚く助かります。ただし、月々の保険料は60日型と比較すると高くなるため、月々の負担のバランスを考えながらどこまで保障を手厚くするべきか検討するとよいでしょう。
万が一のとき、家族に経済的負担をかけたくない人
小さい子どもがいる場合や配偶者の収入だけでは生活がなり立たない場合は、たとえ一時的であってもケガや病気のために収入が減ると家計が苦しくなります。
家族に経済的な負担をなるべくかけたくないと考えている方にも、医療保険への複数加入により経済的な保障を手厚くしておくことがおすすめです。また、特に自営業の方は休業補填の面からも医療保険を充実させておくことは有効です。
家賃や住宅ローン、子どもの学費などの固定費を払い続けながら治療や療養をすることを念頭に置き、どのくらい保障があれば経済的不安に備えることができるか、一度計算してみましょう。
保険の管理が得意な人
保険に複数加入することで、給付金・保険金の申請や年末調整、確定申告などの手続きが増えます。手続きなどが得意で、苦にならない方なら、医療保険の複数加入も向いているといえるでしょう。
医療保険の複数加入に関するご相談はauフィナンシャルパートナーへ
医療保険の選び方に迷ったときは、お金のプロであるファイナンシャルプランナーに相談してみてはいかがでしょうか。とりわけ複数の保険に加入するときは、保障内容の重複や給付金・保険金の請求事由の違いなど、チェックするべき点が多くなります。
ファイナンシャルプランナーに相談すると、保険商品の違いをわかりやすく説明してもらえるだけでなく、組み合わせなどについてプロの視点からアドバイスをもらえます。
どのファイナンシャルプランナーに相談しようか迷ったときは、ぜひauフィナンシャルパートナーにご相談ください。auフィナンシャルパートナーでは、ファイナンシャルプランナーによる無料相談をご提供しています。医療保険の問題から、家計の問題まで、お客さまのお悩みに対してアドバイスをいたします。
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まとめ
誰もが、病気やケガになる可能性があります。その際の経済的な不安を軽減して、安心して治療や療養をするためにも、医療保険への加入を検討しておきましょう。複数に加入すれば、より充実した保障を受けられるようになります。
保障の重複や不足などが気になるときは、ファイナンシャルプランナーなどお金のプロに相談しましょう。必要な保障を受けるための組み合わせなども、具体的にアドバイスしてもらえます。
auフィナンシャルパートナーでは、ファイナンシャルプランナーによる無料相談をご提供しています。医療保険だけでなく、家計の問題などお金全般の疑問にお答えします。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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