加給年金とは?受給するための配偶者の条件や手続き方法をわかりやすく解説!
「加給年金」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
加給年金は、厚生年金保険の被保険者に配偶者や子どもがいる場合、加入期間や年齢などの条件を満たせば年金に対して扶養手当のように加算されます。
加給年金額を加算するには、届出が必要です。今回は、加給年金を受け取る条件や、受け取れないケースを紹介し、わかりやすく解説します。
加給年金とはどんな制度?
加給年金とは、厚生年金保険に一定期間以上加入していて、かつ扶養している家族がいる被保険者が対象となる「家族手当」のようなものです。
厚生年金の加算制度なので、国民年金の第2号被保険者(会社員や公務員)が対象となります。
配偶者や子どもがいれば必ず受け取れるものではなく、その扶養の実態に応じて、加算されます。したがって、加算対象になるには、条件を満たしているか確認する必要があります。
加給年金を受け取るための条件
ここでは、加給年金を受給するために必要な条件について、「本人」と「配偶者・子ども」に分けて解説します。
本人の受給条件
加給年金を受給するためには、主に2つの条件を満たす必要があります。
・厚生年金保険の加入期間が20年以上あること(※)
・65歳到達時点で、被保険者に生計を維持されている配偶者または子どもがいること
上記の条件を満たすほかに、下記のようなケースも加給年金の対象となります。
・特別支給の老齢厚生年金(定額部分)を受け取れる年齢に達した時点で、被保険者に生計を維持されている配偶者または子どもがいる場合
・1級または2級の障害厚生年金を受け取る被保険者に、生計を維持されている配偶者または子どもがいる場合
なお、離婚や死亡などによって生計を維持されなくなった際は、加算が終了します。
(※)出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」
配偶者と子どもの受給条件
加給年金を受給するための配偶者の条件は下記2つです(※1)。
・65歳未満であること
・被保険者本人に生計を維持されていること
ただし、大正15年4月1日以前に生まれた配偶者の場合、年齢制限はありません。
加給年金を受給するための子どもの条件は下記2つです(※1)。
・18歳到達年度の末日までの間の子(または、1級・2級の障害状態にある20歳未満の子)
・被保険者本人に生計を維持されている
子どもが対象者のとき、1人目・2人目の子と、3人目以降で加給年金額が異なります。
また、配偶者・子どもの共通条件である「生計を維持されている」状態とは、下記の実態が確認できる場合をいいます(※2)。
・同居している(別居の場合、仕送りしている状況であること)
・前年の収入が850万円未満であること(または所得が655万5千円未満であること)
(※1)出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」
(※2)出典:日本年金機構「さ行 生計維持」
加給年金を受給するための手続き
加給年金を受給するためには、申請の手続きを行う必要があります。
届出に必要な書類は、主に下記3点です(※)。
・受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本
・世帯全員の住民票写し
・加給年金額の対象者の所得証明書または非課税証明書
戸籍謄本(抄本)で、受給権者と加給年金の対象者(配偶者や子ども)の続柄を確認します。住民票は、受給権者と加給年金の対象者(配偶者や子ども)の生計が同一であるかを確認するため、続柄・筆頭者が記載されているものが必要です。
戸籍謄本(抄本)および住民票は、加算開始日後に発行されたもので、かつ提出日の6ヶ月以内のものが有効です。
また、配偶者や子どもの所得証明書・非課税証明書は、受給権者によって生計維持されていることを確認します。加算開始日からみて直近のものを用意しましょう。
そのほか、加給年金額対象者の子に障害がある場合、「診断書」の提出に関しては年金事務所に問い合わせましょう。
必要書類の提出場所は、「年金事務所」または「街角の年金相談センター」です。
年金事務所は全国312か所あり、平日(月曜〜金曜)の午前8時30分から午後5時15分まで受け付け可能です。また、街角の年金相談センターとは、全国社会保険労務士会連合会が委託運営しており、平日(月曜〜金曜)の午前8時30分から午後5時15分まで開いています。
不明点があるときには、電話での窓口(ねんきんダイヤル)や相談チャット(24時間自動対応)などで問い合わせることもできます。
(※)出典:日本年金機構「加給年金額を受けられるようになったとき」
配偶者や子どもが受け取れる加給年金額はいくら?
ここでは、配偶者や子どもが受給できる加給年金額を解説します。
配偶者が受給できる加給年金額
65歳未満の配偶者への加給年金額は223,800円です。
さらに、昭和9年4月2日以降生まれの人には、特別加算があります。令和4年4月から、下表のように、生年月日に応じて加算額が異なります。
受給権者の生年月日 | 特別加算額 | 加給年金の合計額 |
昭和9年4月2日〜昭和15年4月1日 | 33,100円 | 256,900円 |
昭和15年4月2日〜昭和16年4月1日 | 66,000円 | 289,800円 |
昭和16年4月2日〜昭和17年4月1日 | 99,100円 | 322,900円 |
昭和17年4月2日〜昭和18年4月1日 | 132,100円 | 355,900円 |
昭和18年4月2日以後 | 165,100円 | 388,900円 |
(※)出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算(配偶者加給年金額の特別加算額)」を元に筆者作成
子どもが受給できる年金額
加給年金の対象者が、被保険者の1人目または2人目の子どもの場合、加給年金額は各223,800円(月額18,650円)です(※)。
また、3人目以降の子どもの場合は、加給年金額は各74,600円(月額6,216円)を受け取れます。
(※)出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」
加給年金と振替加算の関係
配偶者が加給年金の対象である場合、配偶者が65歳に到達すると加給年金は終了します。ここでは、加給年金終了後に加算される「振替加算」について、解説します。
振替加算とは?
加給年金額の対象である配偶者が65歳に到達すると、加給年金は打ち切られます。
加給年金が終了する時点で配偶者が老齢基礎年金を受けられる場合、一定の基準により配偶者の老齢基礎年金の額に「振替加算」が行われます。振替加算とは、加給年金と同様の上乗せ年金です。
また、配偶者が65歳より後に老齢基礎年金の受給権が発生した場合、夫の厚生年金保険の加給年金額の対象者でなくても、一定要件を満たしていれば配偶者の老齢基礎年金に加算して受給できます。
振替対象者の要件
振替加算を受け取れるのは、通常、対象者が65歳到達時(老齢基礎年金の受給権を得たとき)、配偶者が受けている年金の加給年金額の対象であることが前提です。加給年金額の対象者のうち、下記の条件を満たせば、振替加算も対象になります(※)。
・大正15年4月2日から昭和41年4月1日までの間に生まれている
・配偶者が老齢基礎年金のほかに老齢厚生年金や退職共済年金を受けている場合、厚生年金保険および共済組合などの加入期間が合計240月未満であること
・配偶者の共済組合などの加入期間を除いた厚生年金保険の35歳以降(夫の場合は40歳以降)の加入期間が下の表未満であること
生年月日 | 加入期間 |
昭和22年4月1日以前 | 180月(15年) |
昭和22年4月2日〜昭和23年4月1日 | 192月(16年) |
昭和23年4月2日〜昭和24年4月1日 | 204月(17年) |
昭和24年4月2日〜昭和25年4月1日 | 216月(18年) |
昭和25年4月2日〜昭和26年4月1日 | 228月(19年) |
(※)出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算(振替加算の対象者)」を元に筆者作成
振替加算額
大正15年4月2日から昭和2年4月1日生まれの人には、年額223,800円が加算されます(※)。
昭和2年4月2日以降に生まれた人は、年齢が若くなるにつれて減額していきます。そして最終的に、昭和41年4月2日以後生まれの人には、加算額がゼロになるように定められています。
(※)出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算(振替加算の対象者)」
加給年金が支給停止されるケース
加給年金が停止になるのは、どのようなケースでしょうか。ここでは、配偶者が受け取る権利が発生した場合に支給停止になる年金と、実際に受けられるようになったら支給停止になる年金に分けて解説します。
公的年金を受け取る権利が発生した場合、支給停止になる年金
配偶者に、下記の公的年金を受け取る権利が発生した場合、加給年金は停止されます(※1)。
・厚生年金保険法の老齢厚生年金
・旧厚生年金保険法・旧船員保険法の老齢年金
・各種共済組合等の退職共済年金・退職年金
年金制度の改正により令和4年4月以降は、上記の公的年金を受け取る権利がある場合は、実際に受け取っていなくても、配偶者の加給年金額は支給されません。
ただし、下記の2つの要件を満たせば、令和4年4月以降も継続して支給される経過措置が実施されています(※2)。
・令和4年3月時点で、本人の老齢厚生年金または障害厚生年金に加給年金が支給されている
・令和4年3月時点で、加給年金額の対象者である配偶者が、厚生年金保険の被保険者期間が240月(20年)以上ある老齢厚生年金の受給権をもっており、全額が支給停止されている
(※1)出典:日本年金機構「障害厚生年金を受けている方の配偶者が公的年金等を受けることになったとき」
(※2)出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」
公的年金を受け取れるようになった場合、支給停止になる年金
配偶者が、下記の公的年金を受け取れるようになった場合、加給年金は停止されます(※)。
・厚生年金保険法の障害厚生年金
・旧厚生年金保険法・旧船員保険法の障害年金
・国民年金法による障害基礎年金および旧国民年金法による障害年金
・各種共済組合等の障害共済年金・障害年金等
厚生年金保険法の障害厚生年金の場合は、共済組合などから支払われるものを除いて、加給年金に関する届出は不要です。
(※)出典:日本年金機構「障害厚生年金を受けている方の配偶者が公的年金等を受けることになったとき」
加給年金のほかに年金額を増やす方法
加給年金のほかに、年金額や資産を増やすにはどのような方法があるのでしょうか。
例えば、iDeCo(イデコ)と呼ばれる個人型確定拠出年金は、加入者が自分で手続き・拠出・運用を行う私的年金です。国民年金の加入区分などによって、拠出限度額は異なりますが、国民年金や厚生年金に上乗せできます。
税制上の優遇も受けられるため、長期的な資産形成に向いています。
また、iDeCoと同じく、NISA(ニーサ)も税制上の優遇措置がある制度です。一般的に、金融商品の運用益は課税対象となりますが、NISAの枠で運用して得た利益には税金がかかりません。
加給年金や老後資金に関する相談はauフィナンシャルパートナーがおすすめ
「老後の暮らしに備えたいが、何からはじめればよいかわからない」という人には、auフィナンシャルパートナーがおすすめです。年金・家計・資産形成など、お金に関する悩みを一緒に解決してくれます。
お金のプロであるファイナンシャルプランナーが、一人ひとりに合わせたキャッシュフローを作成します。何回でも、何時間でも無料で相談できるため、お金の問題にしっかり向きあうことができます。
どんなことが相談できる?
auフィナンシャルパートナーに寄せられているマネープラン相談は、例えば以下のようなものです。
-
- 家計管理
- 貯蓄が増えないのは家計管理が問題?
- 今の家計で将来の資金は大丈夫?
-
- 老後資金
- 老後はいくらあれば安心?
- 効率的な老後資金の貯め方を知りたい
-
- リスク管理
- 保険ってよくわからない、そもそも必要?
- 私に合った保険か調べて欲しい
-
- 住宅資金
- 住宅ローン返済計画など、最適な選択肢を知りたい
- 購入すべきベストなタイミングはいつ?
-
- 教育資金
- 希望の進路に進ませるにはいくら必要?
- 効率的な資金準備の方法を知りたい
-
- 資産形成
- 老後資産を形成したい
- 早期退職のため資産形成したい
お金のプロであるファイナンシャルプランナーが一人ひとりに合わせたキャッシュフロー表を作成し、お金に関するお悩み解決をサポートいたします。
auフィナンシャルパートナーなら
安心の品質!
-
お客さま満足度93.9%
私たちのサービスを実際に受けたお客さまの満足度は93.9%の評価を頂いています。
身近な節約から資産形成まで、お金の悩みは人それぞれ。さらにライフステージによって悩みも変化します。
お金のプロの視点から一人一人が安心し、豊かに過ごすために何度でも無料でアドバイスいたします。 -
累計相談件数12万件
当社は開業から4年で累計相談件数が12万件以上のサービスを提供してきました。
あなたが初めてではありません。
お金のプロとしての知見、そして12万件以上のご相談実績から安心してお金の悩みをご相談いただけると思います。 -
全国対応
お客さまがご都合の良い場所まで、私たちがお伺いします。
お金の相談をするために時間をかけて移動したり、慣れない場所で相談する必要はありません。
安心できる場所で、落ち着いて、お金に関するお悩みをお話いただけます。
気兼ねなくご要望をお聞かせください。
auフィナンシャルパートナーへの
ご相談の流れ
-
Step.1 相談予約
「予約ボタン」より必要事項とお電話希望時間帯、相談内容をお申込ください。
-
Step.2 予約のご確認
ご相談の日時、場所、相談内容などをオペレーターがお電話で確認させていただき、予約は完了となります。
-
Step.3 ご相談
お客さまのお悩みを解決するため、お金のプロに何度でも無料でご相談いただけます。
まとめ
加給年金とは、厚生年金保険の被保険者が一定の条件を満たす場合に受給できる上乗せ年金です。加給年金を受け取るためには、手続きを行う必要があります。対象になるかをしっかり確認して、忘れずに届出を提出しましょう。
加給年金だけでなく、iDeCoのような私的年金で上乗せすることも可能です。老後の生活に備えて、できる準備をはじめましょう。
老後に向けた資産形成について悩んだときは、auフィナンシャルパートナーの「家計の見直し相談」をぜひご活用ください。
カテゴリ
カテゴリ別人気ランキング
- 家計見直し・教育資金
- 住宅ローン
- 保険見直し
- 資産形成・老後資金