子供に保険は必要か?加入するメリットや保険の選び方を解説!

子どもの誕生は、人生のなかでも大きなライフイベントのひとつです。成長が楽しみな反面、ケガや病気をしないかという心配も生まれるため、子どもを医療保険に加入させた方がいいのかを考えるタイミングとなります。
ただ、公的医療保険には高額療養制度があるうえに、子どもは各種施策により医療費の負担が抑えられているため、民間の医療保険は不要と考える人もいます。
しかし、公的な医療保険制度ではカバーできない部分を民間の医療保険で補うことができる点や、成人してからも継続できる医療保険がある点などのメリットも存在するため、一概に子どもに保険は必要ないとはいい切れません。
本記事では、子どもが保険に加入する必要性や不要といわれる理由、加入するメリットや加入の際に検討したい保険の種類を解説します。
- 子供の民間保険の加入状況
- 保険加入率
- 加入件数
- 年間保険料
- 加入目的
- 子供に保険は必要か?
- 【検討したい保険1】学資保険
- 【検討したい保険2】個人賠償責任保険
- 【検討したい保険3】医療保険
- 子供は医療保険への加入が不要といわれる理由
- 子供は負担する医療費が抑えられている
- 子供の医療費を助成している自治体もある
- 教育機関の共済制度や団体保険を利用できる
- 子供が入院するケースは少ない
- 子供は入院しても短期間で済むケースが多い
- 子供が医療保険に加入するメリット
- 公的医療保険でカバーできない部分を補える
- 助成制度対象外の世帯も経済的負担を軽減できる
- 将来加入できなくなるリスクを防げる
- 子供に保険が必要か迷ったらauマネープラン相談(家計見直し相談)へ
- 子供の保険は状況にあわせて検討しよう
子供の民間保険の加入状況
加入義務のある公的保険とは異なり、民間保険の加入は任意です。子どもの加入状況について紹介します。
保険加入率
未婚で就学前・就学中の子どもの生命保険(個人年金保険含む)の加入率は、50%前後で推移しています。子ども2人のうち約1人が何らかの民間保険に加入していると考えられます(※)。
調査年 | 2009年 | 2012年 | 2015年 | 2018年 | 2021年 |
生命保険加入率 | 55.0% | 54.8% | 52.9% | 51.1% | 46.7% |
世帯主の年齢によっても加入率は変わります。2021年度の調査によれば、世帯主が20代以下の子どもの加入率は24.5%でしたが、40代、50代になると4割を超過します(※)。
世帯主年齢 | 29歳以下 | 30~34歳 | 35~39歳 | 40~44歳 | 45~49歳 | 50~54歳 | 55~59歳 |
生命保険加入率 | 24.5% | 37.7% | 35.3% | 49.0% | 56.1% | 54.7% | 43.3% |
(※)出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」を元に筆者作成
加入機関別の保険加入率
未婚で就学前・就学中の子どもの生命保険(個人年金保険含む)について、加入機関別の内訳(2021年)は以下をご覧ください。民間保険や県民共済・生協等の加入が多いことがわかります(※1)。
機関 | 子どもの保険加入率(単位:%) |
全生保(※2) | 46.7 |
民間保険 | 19.3 |
かんぽ生命 | 4.7 |
簡易保険 | 1.8 |
JA | 2.9 |
県民共済・生協等 | 18.1 |
(※1)出典:公益財団法人 生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」を元に筆者作成
(※2)全生保は民保(かんぽ生命を除く)、かんぽ生命、簡保、JA、県民共済・生協等を含む
末子年齢別の保険加入率
末子の年齢別の保険加入率(2021年)については以下をご覧ください。末子の年齢が上がるにつれて、子どもを保険に加入させている世帯の比率が増加していることがわかります(※)。
小学校入学以降は、子どもが一人で外出する機会も多くなり、事故に遭う件数も増えます。学校で運動部に所属していると、部活動でのケガをするリスクもあるでしょう。上述した内容をふまえ、もしもの場合の備えとして、子どもを保険に加入させる世帯が増えていると考えられます。
世帯の種類 | 子どもの保険加入率(単位:%) |
末子乳児世帯 | 25.0 |
末子保育園児・幼稚園児世帯 | 39.5 |
末子小学生・中学生世帯 | 55.3 |
末子高校生・短大生・大学生世帯 | 51.2 |
(※)出典:公益財団法人 生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」を元に筆者作成
加入件数
生命保険に加入している子どもを対象とした調査では、加入件数の平均は1.2件(2021年度)でした。このことから、民間の生命保険に加入している場合でも、1件のみに加入しているケースが多いと考えられます(※)。
(※)出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
年間保険料
子どもを被保険者とする保険の年間保険料の平均は16.0万円でした。12万円未満が過半数を占めます。また、就学前・就学中の子どもの保険料が17.1万円、就学後が14.9万円であることから、学資保険のように就学にかかる費用の準備を目的とした保険の加入も少なくないと予想されます(※)。
年間保険料 | 6万円未満 | 6~12万円未満 | 12~18万円未満 | 18~24万円未満 | 24~30万円未満 | 30~36万円未満 | 36~42万円未満 | 42万円以上 | 平均(万円) |
子ども(計) | 37.1% | 19.5% | 22.0% | 4.4% | 6.3% | 4.4% | 0.6% | 5.0% | 16.0 |
子ども(未婚で就学前・就学中) | 46.6% | 19.2% | 13.7% | 4.1% | 8.2% | 2.7% | 0.0% | 5.5% | 17.1 |
子ども(未婚で就学終了) | 29.6% | 19.8% | 30.9% | 4.9% | 2.5% | 4.9% | 1.2% | 4.9% | 14.9 |
保険料が不明なケースもあるため、合計が100%にならないこともあります。
(※)出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
加入目的
子どもを被保険者とする保険の加入目的としては、次のようなものが見られました(※)。
・医療費や入院費のため
・万一のときの家族の生活保障のため
・子どもの教育・結婚資金のため
特に多かったのは「医療費や入院費のため」で、未婚で就学終了の子どもに対しては、67.0%の加入者が目的としていました。
(※)出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
子供に保険は必要か?
子どもが生きていくうえで、さまざまなリスクにさらされます。保険に加入し、万が一に備えることは大切なことといえるでしょう。
例えば、医療保険に加入していると、自分や家族が病気やケガをした際に経済的な心配をすることなく、治療に専念できます。そのため、子どもが生まれたら、子どもにも医療保険が必要ではないかと考える人はいるでしょう。
死亡保険は不要でも、医療保険の加入は検討する意味があるといえます。また、死亡保険や収入保障保険は、親に万が一のことがあった場合に備えるものであり、幼い子どもは加入する必要がありません。どのような保険が子どもに必要か、例を挙げて紹介します。
【検討したい保険1】学資保険
学資保険は、子どもが中学校や高校、大学に進学するタイミングで、積み立てた満期保険金を受け取れる保険です。
教育資金の準備に活用でき、親にもしものことがあった場合、保険料の支払いが免除されて保険金を受け取れるものもあります。
加入を考えるときは、満期保険金の受け取りはいつになるか、もしものときに払込み免除制度はあるかを比較・検討しましょう。
【検討したい保険2】個人賠償責任保険
子ども本人がケガをする場合だけでなく、子どもが誰かにケガを負わせて賠償責任を負うことも想定できます。突然の事故による出費に備えて、個人賠償責任保険も検討してみましょう。
多くの人に起こりうる事例に、自転車事故があります。子どもが乗っていた自転車が歩行者と接触して、ケガをさせた相手に高額な賠償金の支払いが命じられた事例は、過去に何件も報告されています。ほかにも、友達と遊んでいてケガを負わせたり、ものを壊したりした場合は、相手に医療費や弁償金、慰謝料を支払う必要があります。
これらの事故には、個人賠償責任保険で備えることができます。
多くの自治体が加入を義務づけている自転車保険には、自分がケガをした場合の傷害保険と、相手にケガを負わせてしまった場合の個人賠償責任保険の両方が含まれています。また、自転車保険はひとりずつ個別で加入するのではなく、家族全員でまとめて入れるタイプの保険もあります。
個人賠償責任保険は、火災保険や自動車保険の補償内容やクレジットカードの付帯サービスに含まれている場合があります。子どもを主契約者としなくても「生計を共にする同居家族」が被保険者となるため、重複加入を防ぐためにも、子どもが対象となる個人賠償責任保険があるか一度確認してみてください。
【検討したい保険3】医療保険
自治体によっては子どもに対する医療費の補助が手厚く、民間保険に加入する必要がないケースもあります。まずはお住まいの自治体の医療費補助を詳しく調べてみてください。
医療費補助が十分でないと判断されるときは、民間の医療保険への加入を検討できます。加入する保険を選ぶときは、次のポイントを確認します。
・保障されるケガ・病気の範囲
・給付金を受け取れる日数・金額
・加入できる年齢・期間
・負担する保険料の金額
子どもが入れる医療保険のなかには、10年・15年など一定期間保障するものや、一生涯保障されるものがあります。また、子どもだけを対象にし、保障期間を12歳や15歳までにしている医療保険も存在します。
子供は医療保険への加入が不要といわれる理由
子どもに医療保険の加入が必要ないといわれる理由には、公的補助で医療費の負担が軽減されることや、子どもの入院する確率が低いこと、そして入院しても短期間で済む場合が多いことなどが挙げられます。
子供は負担する医療費が抑えられている
医療機関で支払う医療費は、小学校に入学するまでの子どもなら2割負担、小学校入学以降から69歳までは3割負担です。
子どもが小さいうちは、公的医療制度のおかげで医療費の負担が抑えられているため、民間の医療保険に加入していなくても負担額は少なく済みます。
子供の医療費を助成している自治体もある
自治体のなかには、子どもにかかる医療費を助成する制度を用意し、子育て世帯の負担を軽減しているところもあります。
対象となる子どもの年齢や助成金額、所得制限の有無など、助成内容は自治体ごとに異なりますが、住んでいる地域の助成制度を活用できれば、子どもの医療費をさらに抑えられるでしょう。
教育機関の共済制度や団体保険を利用できる
子どもが通う幼稚園や保育園、小学校などの教育機関では、共済制度や団体保険を用意している場合があります。
これらの保険は比較的安価で加入でき、園や学校で子どもがケガをした場合に給付金を受け取ることができます。給付金をケガの治療費に充てられるため、別途民間の医療保険に入っていなくても負担を軽減できるでしょう。
ただし多くの場合、園や学校と関係ない場所でのケガは保障されず、病気も対象外です。子どものケガや病気のすべてをカバーできるわけではないため、注意しましょう。
子供が入院するケースは少ない
年齢別での患者数を見ると、入院・外来ともに子どもの人数は少なく、人口に対する割合でも高齢者と比較すると少ない結果が出ています。入院・外来患者数の人口に対する割合は下表のとおりです(※1)(※2)。
年齢 | 入院 | 外来 | 人口(単位:千人) |
0~4歳 | 13.9(0.42%) | 295.5(8.91%) | 3,317.0 |
5~9歳 | 3.7(0.10%) | 246.3(6.82%) | 3,612.4 |
10~14歳 | 5.3(0.14%) | 178.1(4.77%) | 3,731.4 |
15~19歳 | 7.0(0.18%) | 124.3(3.13%) | 3,973.1 |
65歳以上 | 904.9(4.07%) | 3,618.8(16.18%) | 22,233.2 |
表からわかるように、65歳以上では入院患者の割合が4%程度ですが、0~19歳までは1%未満です。外来患者に関しても、65歳以上は16%程度ですが、0~19歳までの年齢では10%にも達していません。
これらの結果からも、子どもは高齢者に比べて、病院へ入院・通院する可能性が低いことがわかります。
(※1)出典:厚生労働省「令和2年(2020)患者調査(概数)」
(※2)出典:e-Stat 政府統計の総合窓口「令和2年国勢調査/人口等基本集計の年齢別人口」
上記資料を元に筆者作成
子供は入院しても短期間で済むケースが多い
子どもが入院した場合でも、大人と比較すると入院日数は少ない傾向にあります。2020年の患者調査では、0~14歳の入院日数は平均で8.9日と、ほかの年齢階級よりも短くなっています(※)。
年齢 | 平均在院日数(単位:日) |
0~14歳 | 8.9 |
15~34歳 | 12.2 |
35~64歳 | 24.4 |
65歳以上 | 40.3 |
子どもが入院する場合でも長期化しないケースが多いため、高額な医療保障がなくても困ることは少ないでしょう。これらのデータも、子どもに保険は必要ないといわれる大きな理由です。
(※)出典:厚生労働省「令和2年(2020)患者調査の概況」を元に筆者作成
子供が医療保険に加入するメリット

ここからは、子どもが医療保険に加入しているとどのようなメリットがあるのか解説します。
医療保険の大きなメリットには、公的制度でカバーできない部分を補えることや、将来加入できなくなるリスクを回避できることなどが挙げられます。以下で詳しく説明します。
公的医療保険でカバーできない部分を補える
民間の医療保険に加入していれば、公的医療保険や自治体の助成制度で医療費をカバーしきれない場合にも対応できます。
治療に必要なお金は、通院のための交通費や、入院中の差額ベッド代、入院用品の購入など、医療費だけではありません。これらの出費を医療保険でカバーすることができれば、子どもの看病で仕事を休んだ際や時短勤務で収入が減った際も、経済的な心配をする必要はなくなります。
また、自治体の医療費助成は地域ごとに内容が異なり、転居先では同じ助成が受けられない場合もあります。自治体の財政や方針次第では、助成制度の対象や内容が変更される可能性もあります。
子どもは入院する可能性が低いとはいえ、もしも入院する事態になれば、まとまった金額が必要です。容態によっては平均日数以上の入院になる場合もあるため、医療保険でカバーできると安心でしょう。
助成制度対象外の世帯も経済的負担を軽減できる
自治体によっては、子どもの医療費助成に所得制限を設けているケースもあります。少子化対策や子育て世帯へ支援を拡充するため、所得制限を排している自治体もありますが、すべてではありません。
所得の計算は、前年度の収入を元に計算されます。そのため、子どもの看病で仕事を休んだために一時的に収入が減った場合でも、前年度の収入が所得制限額を上回る場合は、補助の対象外になります。
このように、助成制度が適用されない世帯では、子どもが医療機関を受診した際の負担が重くなるため、医療保険で補うのも選択肢のひとつです。
将来加入できなくなるリスクを防げる
医療保険に加入するときは病歴の確認があり、大人になって病気にかかってからでは加入できないケースもあります。例え加入できたとしても、健康な人より厳しい条件が付き、保険料が割高になったり保障内容を制限されたりする場合があります。
病気にかかっていない子どものうちから加入すれば、医療保険に入れなくなるリスクを防げます。成人するまでは親が契約者として保険料を支払い、子どもが成人した際に契約者を子どもに変更して、引き続き加入できる保険商品もあります。
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子供の保険は状況にあわせて検討しよう
子どものケガや病気になった場合を考えて、医療保険への加入を検討しましょう。
子どもの医療費は自治体の助成で補える部分もありますが、地域ごとで内容に差があり、所得制限で対象から外れるケースもあります。
また、子どもへの保険は医療保険だけでなく、個人賠償責任保険や学資保険でリスクや将来必要な資金へ備えられるものも検討しましょう。
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