保険見直し 2023.3.31

子供に保険は必要?不要?加入するメリットや保険の選び方を解説!

子どもの誕生は、人生のなかでも大きなライフイベントのひとつです。成長が楽しみな反面、ケガや病気をしないかという心配も生まれるため、子どもを医療保険に加入させた方がいいのかを考えるタイミングとなります。

ただ、公的医療保険には高額療養制度があるうえに、子どもは各種施策により医療費の負担が抑えられているため、民間の医療保険は不要と考える人もいます。

しかし、公的な医療保険制度ではカバーできない部分を民間の医療保険で補うことができる点や、成人してからも継続できる医療保険がある点などのメリットも存在するため、一概に子どもに保険は必要ないとはいい切れません。

本記事では、子どもが保険に加入する必要性や不要といわれる理由、加入するメリットや加入の際に検討したい保険の種類を解説します。

子供に保険は必要か?

医療保険に加入していると、自分や家族が病気やケガをした際に経済的な心配をすることなく、治療に専念できます。そのため、子どもが生まれたら、子どもにも医療保険が必要ではないかと考える人はいるでしょう。

一方で、子どもは大きな病気になる可能性が低く、公的補助で医療費も抑えられるため、医療保険は不要だと考える人もいます。

しかし、子どもにもケガや病気の可能性はあり、場合によっては高額な治療費が発生するケースもあります。死亡保険は不要でも、医療保険の加入は検討する意味があるでしょう。

また、死亡保険や収入保障保険は、親に万が一のことがあった場合に備えるものであり、幼い子どもは加入する必要がありません。

子どもが加入できる保険には、医療保険のほか、教育資金を準備するための学資保険や、個人賠償責任保険などがあります。

個人賠償責任保険は、子どもがうっかり事故を起こしてしまった場合に、相手に与えたケガや損害を補償する際に役立ちます。事故の加害者になることも想定できるため、自転車に乗り始めるタイミングなどに検討する人も多くいます。

子供は医療保険への加入が不要といわれる理由

子どもに医療保険の加入が必要ないといわれる理由には、公的補助で医療費の負担が軽減されることや、子どもの入院する確率が低いこと、そして入院しても短期間で済む場合が多いことなどが挙げられます。

子供は負担する医療費が抑えられている

医療機関で支払う医療費は、小学校に入学するまでの子どもなら2割負担、小学校入学以降から69歳までは3割負担です。

子どもが小さいうちは、公的医療制度のおかげで医療費の負担が抑えられているため、民間の医療保険に加入していなくても負担額は少なく済みます。

子供の医療費を助成している自治体もある

自治体のなかには、子どもにかかる医療費を助成する制度を用意し、子育て世帯の負担を軽減しているところもあります。

対象となる子どもの年齢や助成金額、所得制限の有無など、助成内容は自治体ごとに異なりますが、住んでいる地域の助成制度を活用できれば、子どもの医療費をさらに抑えられるでしょう。

教育機関の共済制度や団体保険を利用できる

子どもが通う幼稚園や保育園、小学校などの教育機関では、共済制度や団体保険を用意している場合があります。

これらの保険は比較的安価で加入でき、園や学校で子どもがケガをした場合に給付金を受け取ることができます。給付金をケガの治療費に充てられるため、別途民間の医療保険に入っていなくても負担を軽減できるでしょう。

ただし多くの場合、園や学校と関係ない場所でのケガは保障されず、病気も対象外です。子どものケガや病気のすべてをカバーできるわけではないため、注意しましょう。

子供が入院するケースは少ない

年齢別での患者数を見ると、入院・外来ともに子どもの人数は少なく、人口に対する割合でも高齢者と比較すると少ない結果が出ています。入院・外来患者数の人口に対する割合は下表のとおりです(※1)(※2)。

年齢 入院 外来 人口(単位:千人)
0~4歳 13.9(0.42%) 295.5(8.91%) 3,317.0
5~9歳 3.7(0.10%) 246.3(6.82%) 3,612.4
10~14歳 5.3(0.14%) 178.1(4.77%) 3,731.4
15~19歳 7.0(0.18%) 124.3(3.13%) 3,973.1
65歳以上 904.9(4.07%) 3,618.8(16.18%) 22,233.2

表から分かるように、65歳以上では入院患者の割合が4%程度ですが、0~19歳までは1%未満です。外来患者に関しても、65歳以上は16%程度ですが、0~19歳までの年齢では10%にも達していません。

これらの結果からも、子どもは高齢者に比べて、病院へ入院・通院する可能性が低いことがわかります。

(※1)出典:厚生労働省「令和2年(2020)患者調査(概数)」 
(※2)出典:e-Stat 政府統計の総合窓口「令和2年国勢調査/人口等基本集計の年齢別人口」
上記資料を元に筆者作成

子供は入院しても短期間で済むケースが多い

子どもが入院した場合でも、大人と比較すると入院日数は少ない傾向にあります。2020年の患者調査では、0~14歳の入院日数は平均で8.9日と、ほかの年齢階級よりも短くなっています(※)。

年齢 平均在院日数(単位:日)
0~14歳 8.9
15~34歳 12.2
35~64歳 24.4
65歳以上 40.3

子どもが入院する場合でも長期化しないケースが多いため、高額な医療保障がなくても困ることは少ないでしょう。これらのデータも、子どもに保険は必要ないといわれる大きな理由です。

(※)出典:厚生労働省「令和2年(2020)患者調査の概況」をもとに筆者作成

子供が医療保険に加入するメリット

ここからは、子どもが医療保険に加入しているとどのようなメリットがあるのか解説します。

医療保険の大きなメリットには、公的制度でカバーできない部分を補えることや、将来加入できなくなるリスクを回避できることなどが挙げられます。以下で詳しく説明します。

公的医療保険でカバーできない部分を補える

民間の医療保険に加入していれば、公的医療保険や自治体の助成制度で医療費をカバーしきれない場合にも対応できます。

治療に必要なお金は、通院のための交通費や、入院中の差額ベッド代、入院用品の購入など、医療費だけではありません。これらの出費を医療保険でカバーすることができれば、子どもの看病で仕事を休んだ際や時短勤務で収入が減った際も、経済的な心配する必要はなくなります。

また、自治体の医療費助成は地域ごとに内容が異なり、転居先では同じ助成が受けられない場合もあります。自治体の財政や方針次第では、助成制度の対象や内容が変更される可能性もあります。

子どもは入院する可能性が低いとはいえ、もしも入院する事態になれば、まとまった金額が必要です。容態によっては平均日数以上の入院になる場合もあるため、医療保険でカバーできると安心できるでしょう。

助成制度対象外の世帯も経済的負担を軽減できる

自治体によっては、子どもの医療費助成に所得制限を設けているケースもあります。少子化対策や子育て世帯へ支援を拡充するため、所得制限を排している自治体もありますが、すべてではありません。

所得の計算は、前年度の収入をもとに計算されます。そのため、子どもの看病で仕事を休んだために一時的に収入が減った場合でも、前年度の収入が所得制限額を上回る場合は、補助の対象外になります。

このように、助成制度が適用されない世帯では、子どもが医療機関を受診した際の負担が重くなるため、医療保険で補うのも選択肢の一つです。

将来加入できなくなるリスクを防げる

医療保険に加入するときは病歴の確認があり、大人になって病気にかかってからでは加入できないケースもあります。たとえ加入できたとしても、健康な人より厳しい条件が付き、保険料が割高になったり保障内容を制限されたりする場合があります。

病気にかかっていない子どものうちから加入すれば、医療保険に入れなくなるリスクを防げます。成人するまでは親が契約者として保険料を支払い、子どもが成人した際に契約者を子どもに変更して、引き続き加入できる保険商品もあります。

子供の保険加入率はどれくらい?

ここまで医療保険を取り巻く現状について紹介してきましたが、実際にどのくらいの割合の人が子どもを保険に加入させているのでしょうか。

生命保険文化センターの調査では、子ども(未婚で就学前または就学中)の保険加入率は全体で46.7%でした(※1)。

機関 子どもの保険加入率(単位:%)
全生保(※2) 46.7
民間保険 19.3
かんぽ生命 4.7
簡易保険 1.8
JA 2.9
県民共済・生協等 18.1

上表より、子どもに保険は必要ないとする意見もあるなか、半数近くの子どもが保険に加入していることが分かります。また、加入している機関は、民間保険や都道府県民共済・生協が多くなっています。

世帯の種類 子どもの保険加入率(単位:%)
末子乳児世帯 25.0
末子保育園児・幼稚園児世帯 39.5
末子小学生・中学生世帯 55.3
末子高校生・短大生・大学生世帯 51.2

末子の年齢で世帯を種類分けした保険加入率を見ると、末子の年齢が上がるにつれて、子どもを保険に加入させている世帯の比率が増加しています。

小学校入学以降は、子どもが一人で外出する機会も多くなり、事故に遭う件数も増えます。学校で運動部に所属していると、部活動でのケガをするリスクもあるでしょう。

上述した内容をふまえ、もしもの場合の備えとして、子どもを保険に加入させる世帯が増えていると考えられます。

(※1)出典:公益財団法人 生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」を元に筆者作成
(※2)全生保は民保(かんぽ生命を除く)、かんぽ生命、簡保、JA、県民共済・生協等を含む

子供ができたら加入を考えたい保険と選び方のポイント

子どもができたら、もしもの備えに医療保険や個人賠償責任保険、将来必要な教育資金の準備に学資保険への加入を検討しましょう。それぞれの内容と選び方のポイントを解説します。

医療保険

子どもでも、ケガや病気で高額な医療費が発生する可能性はあるため、思わぬ高額な出費にも対応できるように医療保険への加入を検討しましょう。加入する保険を選ぶときは、次のポイントを確認します。

・保障されるケガ・病気の範囲
・給付金を受け取れる日数・金額
・加入できる年齢・期間
・負担する保険料の金額

子どもが入れる医療保険のなかには、10年・15年など一定期間保障するものや、一生涯保障されるものがあります。また、子どもだけを対象にし、保障期間を12歳や15歳までにしている医療保険も存在します。

個人賠償責任保険

子ども本人がケガをする場合だけでなく、子どもが誰かにケガを負わせて賠償責任を負うことも想定できます。突然の事故による出費に備えて、個人賠償責任保険も検討してみましょう。

多くの人に起こりうる事例に、自転車事故があります。子どもが乗っていた自転車が歩行者と接触して、ケガをさせた相手に高額な賠償金の支払いが命じられた事例は、過去に何件も報告されています。ほかにも、友達と遊んでいてケガを負わせたり、ものを壊したりした場合は、相手に医療費や弁償金、慰謝料を支払う必要があります。

これらの事故には、個人賠償責任保険で備えることができます。

多くの自治体が加入を義務づけている自転車保険には、自分がケガをした場合の傷害保険と、相手にケガを負わせてしまった場合の個人賠償責任保険の両方が含まれています。また、自転車保険はひとりずつ個別で加入するのではなく、家族全員でまとめて入れるタイプの保険もあります。

個人賠償責任保険は、火災保険や自動車保険の補償内容やクレジットカードの付帯サービスに含まれている場合があります。個人賠償責任保険が重複していても、補償されるのは実際の損失額分のみです。

例えば500万円の賠償金を負い、保険A・保険Bでそれぞれ個人賠償責任保険に入っていても、両方から500万円が補償されるわけではありません。

個人賠償責任保険へ加入するときは、既存の保険の補償内容を確認し、重複に注意しつつ、補償が漏れないよう加入しましょう。

学資保険

学資保険は、子どもが中学校や高校、大学に進学するタイミングで、積み立てた満期保険金を受け取れる保険です。

教育資金の準備に活用でき、親にもしものことがあった場合、保険料の支払いが免除されて保険金を受け取れるものもあります。

加入を考えるときは、満期保険金の受け取りはいつになるか、もしものときに払込み免除制度はあるかを比較・検討しましょう。

子供に保険が必要か迷ったらauフィナンシャルパートナーへご相談を

子どもに保険が必要か迷ったら、auフィナンシャルパートナーへのご相談がおすすめです。

auフィナンシャルパートナーでは、お金のプロであるファイナンシャルプランナーが、一人ひとりのライフプランニングにあわせて、保険選びや資産形成に関するアドバイスをご提供します。

子どもに保険が必要か、何の保険を選べばいいか、保険で迷うことがあればご相談ください。

子供の保険は状況にあわせて検討しよう

子どものケガや病気になった場合を考えて、医療保険への加入を検討しましょう。

子どもの医療費は自治体の助成で補える部分もありますが、地域ごとで内容に差があり、所得制限で対象から外れるケースもあります。

また、子どもへの保険は医療保険だけでなく、個人賠償責任保険や学資保険でリスクや将来必要な資金への備えられるものも検討しましょう。

執筆者名:
田貫 朔子
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