資産形成・老後資金 2024.5.10

不動産投資の利回りとは?種類や計算方法、相場も解説

不動産投資には、不労所得を得られるほか、所得税や住民税などの負担軽減につながるケースもあるなどのメリットがあります。日本では長く続いたデフレから脱却し、物価が上昇していくインフレ局面に入りつつあり、今インフレに強い資産として不動産投資が注目を集めています。

利回りは、不動産投資の成否を左右する物件選びで重要な指標です。しかし、資料やサイトに表示されている利回りが高いからといって、すぐに飛びついてはいけません。なぜなら不動産投資の利回りにはさまざまな種類があり、表示されている利回りが実態に即した数字でない可能性があるからです。

本記事では、不動産投資の物件選びの指標となる利回りの意味と種類、計算方法について解説します。利回りの相場や注意点も紹介するので、不動産投資を検討している方はぜひ参考にしてください。

不動産投資の利回りとは?

不動産投資の利回りとは、投資物件の収益力の指標であり、投資する物件を検討する際の重要な要素のひとつです。

利回りは物件価格や投資額に対する1年間の収入や利益(回収できる金額)の割合を示したもので、計算方法によってさまざまな種類があります。

それぞれ値が異なることもあるため、資料やサイトに表示されている利回りがどの種類の利回りなのか、事前によく理解して利用しなければなりません。

不動産投資をする際は事前に利回りを確認しておくことで、物件選びに役立つだけでなく、投資後のキャッシュフロー(お金の流れ)をイメージしやすくなります。不動産投資で失敗してしまうリスクを軽減できるため、利回りに関する知識を身につけましょう。

不動産投資の利回りの種類

不動産投資の利回りには、考え方の違いによってさまざまな種類があり、計算方法も異なります。代表的な利回りは「表面利回り」と「実質利回り」です。そのほか、物件の入居状況を考慮するかどうかの違いにより、「想定利回り」や「現行利回り」という考え方(区分)もあります。

各利回りについて、以下で詳しく解説します。

表面利回り

表面利回りとは、1年間の家賃収入を物件購入価格で割って算出する利回りです。「グロス利回り」とも呼ばれ、単に不動産投資の利回りという場合、一般的には表面利回りをさします。

計算がシンプルでわかりやすく、物件の比較や融資計画書に記載する利回りの目安として利用しやすい点がメリットです。しかし、不動産投資にかかるコストが考慮されていないため、実際よりも高い利回りとなりやすい点に注意が必要です。

実質利回り

実質利回りとは、物件購入価格のほか、不動産投資に必要な経費や空室率も考慮して算出する利回りです。「ネット利回り」や「NOI(Net Operating Income)利回り」と呼ばれることもあります。

不動産投資には少なからず経費がかかるので、より実態に即した利回りを把握できる点がメリットです。経費や空室を考慮すれば利益は減り、物件取得費用は増えるため、実質利回りは表面利回りよりも低い値になります。

なお、将来かかる必要経費はあくまで想定であり、空室の発生状況によって家賃収入自体も変動します。

表面利回りよりは実態に即した利回りですが、あくまで想定値であることを理解して利用しましょう。

想定利回り

想定利回りとは、投資物件が満室であると想定した場合の年間家賃収入で算出した利回りです。現状その物件へ投資して期待できる最大の利回りが確認できます。

不動産投資の広告やサイトには、満室を想定した表面利回りが記載されていることが多いです。そのため、空室が発生すれば利回りが下振れするリスクがあります。

現行利回り

現行利回りとは、入居状況を反映した実際の年間家賃収入額を用いて算出した利回りです。

例えば一棟6戸の物件の場合、想定利回りの計算では6戸すべて入居していると仮定した家賃収入を用いるのに対し、現行利回りの計算では実際に現在得られている家賃収入を用います。

より実態に近いのは現行利回りであり、物件の購入を判断する際には現況(入居状況)と現行利回りの確認も重要です。

不動産投資の利回りを計算する方法

表面利回りと実質利回りは、それぞれ以下のような方法で計算します。

表面利回りの計算方法

表面利回りは、以下のように1年間の家賃収入を物件購入価格で割って計算します。

表面利回り=年間家賃収入÷物件購入価格×100

実質利回りの計算方法

実質利回りは、1年間の家賃収入から税金や火災保険料、管理費などの必要経費を差し引いた年間収入金額を、物件購入価格と購入時にかかった諸費用の合計額で割って計算します。

実質利回り={(年間家賃収入-年間経費)÷(物件価格+購入時諸費用)}×100

実質利回りの計算で考慮する購入時の諸費用や物件の保有にかかる経費は、次のようなものです。

【購入時諸費用の例】
・不動産取得税
・登記費用(登録免許税、司法書士報酬など)
・仲介手数料

【物件の保有にかかる経費の例】
・税金(固定資産税・都市計画税)
・維持・管理費
・保険料(火災保険、地震保険など)
・入居募集費用
・退去時の原状回復費用

減価償却費のような支出をともなわない費用、ローンの支払利息のような金融費用、不動産の価値を高めるための修繕費など資本的支出は含みません。

不動産投資の利回り相場

不動産投資の利回り相場は、地域や物件タイプなどによって異なります。不動産投資の期待利回りの相場と理想的な利回りについて紹介します。

不動産投資の利回り相場(期待利回り)

一般財団法人日本不動産研究所が実施した「第49回不動産投資家調査(2023年10月)」によると、不動産投資家が賃貸住宅一棟への投資で期待する利回りの相場(期待利回り)は、下表のようになっています(※1)。

【賃貸住宅一棟・ワンルームタイプ 期待利回り(2023年10月現在)】(※2)

東京 城南 3.8%
札幌 5.0%
仙台 5.0%
横浜 4.4%
名古屋 4.5%
京都 4.7%
大阪 4.4%
神戸 4.8%
広島 5.2%
福岡 4.6%

 

【賃貸住宅一棟・ファミリータイプ 期待利回り(2023年10月現在)】(※3)

東京 城南 3.8%
札幌 5.0%
仙台 5.1%
横浜 4.4%
名古屋 4.6%
京都 4.8%
大阪 4.4%
神戸 4.9%
広島 5.2%
福岡 4.6%

賃貸住宅一棟の期待利回りは、建築コストの増加や投資資金の流入による物件価格の上昇にともなって全国的に低下傾向にあります。また不動産価格の高いエリアほど利回り相場は低い傾向があります。

2023年10月現在、東京都心部(城南)の期待利回りは、ワンルームタイプ、ファミリータイプともに3.8%です。

オフィスビルの利回り相場は賃貸住宅よりも低く、2023年10月現在、東京都の物件で3.2%〜3.9%程度、全国主要政令指定都市の物件で4.0%〜5.2%程度となっています。

(※1)出典:一般財団法人日本不動産研究所「第49回 「不動産投資家調査」(2023年10月現在)の調査結果」 
(※2)最寄駅徒歩10分以内、築5年未満、平均専用面積25〜30平方メートル、総戸数50戸程度
(※3)最寄駅徒歩10分以内、築5年未満、平均専用面積50〜80平方メートル、総戸数50戸程度

不動産投資の理想的な利回り

不動産投資の利回りは、エリア(立地)、物件タイプ、新築・中古、築年数などの条件次第で大きく変わるため、どのくらいの利回りが理想かは一概にいえません。

新築物件は購入価格が高くなりやすいため利回りは低く、中古物件は築年数が増えるほど購入価格が下がって利回りは高くなる傾向があります。また、地方にいくほど空室リスクや売却のハードルが高くなりやすく、より高い利回りが求められます。

期待利回りや同じエリアで条件の近い物件の利回り、不動産を投資対象とする不動産投資信託(REIT)の分配金利回りなどが参考になるでしょう。

例えば、日本の不動産に投資するREIT(J-REIT)の平均分配金利回りは、2024年3月25日(月)時点で4.36%です。なお、変動があるため、気になる方はJAPAN REIT(不動産投信情報ポータル)を確認しましょう。

現物不動産に投資するリスクを考慮すると、実質利回りで4%を下回る物件は収益目的の投資としては魅力が薄いと判断できるでしょう。

なお、現物不動産への投資には収益以外に税制優遇などのメリットもあり、投資目的や出口戦略(売却)を考慮した総合的な判断が大切です。

 

不動産投資の利回りに関する注意点

不動産投資で利回りを見る際には、次のような点に注意しましょう。

投資判断には実質利回りを用いる

広告やサイトには表面利回りが掲載されていることが一般的ですが、投資判断にはより実態に即した実質利回りを用いましょう。

不動産投資では、税金や保険料、維持・管理費などの経費がかかります。また入居者がなかなか見つからなかったり、退去が発生したりすることもあるでしょう。

経費や空室率が考慮されていない表面利回りでは、実際よりも利回りを高く見積もることになり、期待した結果が得られないリスクが高くなります。

利回りは高ければよいとは限らない

利回りの高い物件にはリスクの高い物件も含まれており、必ずしも高い収益が得られるとは限りません。なぜ利回りが高くなっているのか、理由を確認したうえでの判断が大切です。

例えば立地の悪い物件や事故物件などは物件価格が安く、結果的に高利回りとなっているケースがあります。このような物件は入居者が集まりにくく、空室になったり、家賃を下げざるを得なくなったりして、期待した収益が得られないリスクが高くなります。

築古物件の場合は、修繕やリフォームが必要になる可能性が高くなるため、その費用も考慮して判断すべきです。

資産価値の高い物件は融資や出口戦略(売却)に有利な傾向があり、利回りが低くても、売却まで含めたトータルでみれば高い収益を得られるケースもあります。

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不動産投資は手持ち資金に余裕のある状態で行うのが原則であり、家計全体の収支や資産状況、長期的なお金の流れ(キャッシュフロー)を把握し、計画的に行うべきです。

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まとめ

不動産投資の利回りには、計算方法によって表面利回りや実質利回りなどの種類があります。不動産の資料やサイトに掲載されている利回りは、一般的に経費や空室率などが考慮されていない表面利回りであり、実態と乖離している可能性もあるため注意が必要です。

利回りの相場や理想的な利回りは、立地や物件のタイプ、築年数などによって異なるため一概にはいえません。近隣の物件情報も参考に、投資目的や出口戦略(売却)を考慮して総合的に判断しましょう。

不動産投資は、家計全体の収支や資産状況などを考慮して計画的に行うべきものです。家計の収支や長期的なキャッシュフローを把握したうえで、不動産投資の可否や必要性を検討しましょう。

また、無料でお金に関するプロのサポートが受けられるauフィナンシャルパートナーのauマネープラン相談の利用も検討してみてください。

執筆者名:
RAPPORT.CO
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