資産形成・老後資金 2023.3.31

国民年金と厚生年金の保険料はいつまで払う必要がある?公的年金の仕組みを解説!

公的年金の保険料はいつまで払うのか、年金はいつから受け取れるのか、保険料の払込期間や年金の受給開始年齢は法律で決まっています。

保険料を払う間、負担に感じる人もいるかもしれませんが、公的年金制度は老後の生活資金を準備するための大切な制度です。制度の意義や仕組みを正しく理解しましょう。

本記事では公的年金制度の仕組みについてわかりやすく解説します。年金をいつまで払うのか気になる方はご一読ください。

日本の公的年金は2階建て構造

日本は、20歳以上のすべての人が何らかの年金制度に加入する「国民皆年金制度」。日本の公的年金は、20歳以上60歳未満の人が加入する国民年金と、会社員・公務員などが加入する厚生年金からなる2階建て構造です。また3階部分として、企業が任意で設立する企業年金や国民年金の第1号被保険者が任意で加入する国民年金基金などがあります。

なお、公的年金制度は、現在働いている世代が保険料を払って高齢者等の年金給付に充てる「世代間の支え合い」にもとづいています。

自営業者やフリーランスなど国民年金の加入者は、毎月一定額の保険料を払い、会社員や公務員で厚生年金や共済年金に加入している人は、給与額に一定の率をかけた保険料が給料から天引きされます。

年金保険料はいつまで払う?

年金保険料の払込期間は法律で定められています。国民年金保険料の免除制度や納付猶予制度を使う場合などを除き、基本的には法定の期間にわたって年金保険料を払わなければいけません。

以下では国民年金・厚生年金の保険料の払込期間と納付方法を解説します。

国民年金保険料の払込期間と納付方法

自営業者やフリーランスが加入する国民年金の保険料の払込期間は、原則として20歳~60歳までの40年間です。保険料は月額16,590円(令和4年度)で、40年間保険料を払うと年金を満額(約78万円/年)受け取れます。

国民年金保険料の代表的な納付方法は、納付書・口座振替・クレジットカードの3つです。口座振替やクレジットカードで払う場合は、口座振替依頼書やクレジットカード納付申出書を提出する必要があります。

また2023年2月20日(月)からは、納付書のバーコードをスマートフォンアプリで読み取る電子決済ができるようになりました。

厚生年金保険料の払込期間と納付方法

会社員や公務員が厚生年金に加入すると、働いている間は保険料を払います。保険料の払込期間の上限は原則として70歳です。厚生年金の保険料は、給与額をもとに決まる標準報酬月額に、保険料率18.3%をかけて計算します。

保険料は毎月の給料から天引きされて会社が納付するため、従業員本人が納付手続きをする必要はありません。標準報酬月額に保険料率18.3%をかけて求めた金額のうち、従業員本人が負担する半額が給料から天引きされます。

払込期間後も保険料を払える場合がある

前述のとおり、年金保険料の払込期間は、国民年金は原則として60歳まで、厚生年金は原則として長くても70歳までです。しかし、一定の条件に該当する場合は、その後も保険料を払える場合があります。

保険料を払う期間が延長されるケースではいつまで払うことができるのか、以下では国民年金と厚生年金それぞれについて解説します。

国民年金保険料を60歳以降も払えるケース

60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合、年金額の増額を希望するときは60歳以降でも国民年金に任意加入できます。

国民年金の任意加入制度を利用して60歳以降も保険料を払えるのは、以下の条件を満たす人です。

・日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人
・老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けていない人
・20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の人
・厚生年金保険、共済組合等に加入していない人
・日本国籍を有しない人で、在留資格が「特定活動(医療滞在または医療滞在者の付添人)」や「特定活動(観光・保養等を目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者)」で滞在する人ではない人

また、年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の人や、外国に居住する日本人で20歳以上65歳未満の人も加入できます。

厚生年金保険料を70歳以降も払えるケース

年金を受け取れる加入期間を満たしておらず、70歳を過ぎても会社に勤める場合、年金を受け取れる加入期間を満たすまで、任意で厚生年金保険に加入できます。

また、厚生年金保険の適用事業所以外の事業所で働く70歳以上の人の場合は、以下の条件を満たすと任意で厚生年金保険に加入できます。 

・厚生年金保険の被保険者となることについて事業主の同意を得ている
・厚生年金保険の加入について厚生労働大臣が認可する

老後に受け取れる年金額はいくら?

「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均受給月額は国民年金(老齢年金)で56,479円、厚生年金で145,665円です(※)。

国民年金(老齢年金)の受給額は満額だと66,250円(令和5年度)ですが、保険料の免除期間や未納期間があると満額より減り、厚生年金の受給額は働いている期間に納めた保険料によって変わります。

夫婦2人世帯において、夫が厚生年金を平均的な金額(145,665円)で受け取り、妻が国民年金を満額(66,250円)で受け取る場合、年金月額は2人合計で21,1915円になる計算です。

なお、将来の年金額の見込額はねんきん定期便やねんきんネットで確認できます。毎年誕生月に届くねんきん定期便には、50歳未満であれば加入実績に応じた年金額が、50歳以上であれば年金見込額が記載されるため、老後に受け取れる年金額を確認しましょう。

また、ねんきんネットでは今後の職業や収入など条件を設定・入力して年金額を試算できるので、ご自分が老後に受け取れる年金額を試算して確認してみてください。

(※)出典:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

働きながら年金をもらう「在職老齢年金」とは

在職老齢年金とは、60歳以降に厚生年金に加入しながら(=働きながら)受け取る老齢厚生年金のことです。年金額と月給・賞与に応じて年金額が減額され、全額支給停止になる場合もあります。

年金が減額されるかどうか、基準となるのは「基本月額と総報酬月額相当額」の合計が47万円を超えるかどうかです。

基本月額:加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額

総報酬月額相当額:(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12

基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円を超える場合は、「基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2」で計算した額だけ年金月額が減ります。


(※)日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」より在職老齢年金の計算方法のフローチャートを引用

公的年金の受給開始時期は繰り上げ・繰り下げができる

公的年金は原則として65歳から受け取りますが、受給開始時期を65歳から繰り上げるまたは繰り下げることができます。ただし、繰り上げ・繰り下げをすると年金額が変わり、老後に生活資金として使える金額が変わるため注意が必要です。

以下では、公的年金の繰上げ受給・繰下げ受給について解説します。

繰り上げると年間の受給額が減る

老齢年金は、本人が希望する場合には60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取れます。繰り上げて受け取る場合、繰上げ受給の請求をした時点に応じて年金が減額され、減額される年金額は以下の減額率を乗じて計算します。

・減額率(最大24%)= 0.4%×繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数

繰上げ受給をすると、減額された年金が生涯にわたって支給されます。

繰り下げると年間の受給額が増える

老齢年金は、65歳で受け取らずに66歳以降75歳までの間で繰り下げて受け取れます。繰り下げて受け取る場合、年金を受け取り始める時期に応じて年金が増額され、増額される年金額は以下の増額率を乗じて計算します。

・増額率(最大84%)=0.7%×65歳に達した月から繰り下げ申出月の前月までの月数

繰下げ受給をすると、増額された年金が生涯にわたって支給されます。 

年金や老後の資産形成に関する相談はauフィナンシャルパートナーへ

いつまで働いて年金保険料を納め、いつ年金を受け取り始めるのか、老後の生活設計や老後への備えとして資産形成を考える場合、公的年金に関する知識をはじめとしてさまざまな知識が必要になります。

auフィナンシャルパートナーでは、老後資金の相談や資産形成に関するシミュレーションなど、家計の見直しに関する相談が可能です。お金の専門家であるFPが一人ひとりにあわせたキャッシュフロー表を作成し、お金に関する悩み解決をサポートしています。

老後に困らないためには、必要に応じて家計の見直しや資産形成を早めに行うことが重要です。年金や老後の資産形成に関してお悩みの方は、専門家への相談を検討してみてください。

まとめ

国民年金に加入している場合は、原則として60歳まで保険料を払います。厚生年金に加入している場合は、保険料の払込期間の上限は原則として70歳です。

ただし国民年金・厚生年金いずれの場合も、一定の条件に該当すると60歳や70歳以降でも保険料を払えるケースがあります。

また、将来受け取れる年金額は、加入している年金制度や払った保険料額によって変わりますが、働きながら年金を受け取る場合は在職老齢年金の仕組みによって年金額が減額される可能性があります。

ご自分の年金額が気になる場合は、ねんきん定期便やねんきんネットを活用して年金見込額を確認しましょう。

auフィナンシャルパートナーでは老後資金の相談や資産形成に関するシミュレーションを無料で行っています。ぜひお気軽にご相談ください。

執筆者名:
大木 ゆうすけ
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