資産形成・老後資金 2023.10.10

年金はいくらもらえる?計算方法や平均受給額について解説

年金は、ますます長くなっている老後生活を送るうえで、大きな収入源となります。老後が近づき、「年金はいくらもらえるの?」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。

本記事では、年金がいくらもらえるのか知りたい方に向けて、年金の仕組みや計算方法、平均受給額などを解説します。

この記事を読めば、もらえる年金額の目安がわかり、老後の資金計画を立てる手助けになるでしょう。年金に関する疑問がある方は、ぜひご一読ください。

年金はいくらもらえる?平均受給額を解説

もらえる年金の額は、職業や年金の加入期間によってさまざまです。ここでは、年齢別・ケース別の平均受給額について、厚生労働省の調査をもとに説明します(※)。

(※)出典:厚生労働省年金局「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

年齢別の平均受給額

厚生労働省年金局の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年代別の国民年金・厚生年金の受給額は、それぞれ以下のとおりでした。

年代 国民年金(月額) 厚生年金(月額)
60~64歳 42,512円 77,274円
65~69歳 57,739円 143,613円
70~74歳 57,127円 144,357円
75~79歳 56,100円 148,293円
80~84歳 56,607円 157,500円
85~89歳 55,921円 161,541円
90歳以上 51,382円 160,460円

(※)65歳未満の国民年金の受給権者は、繰上げ支給をしている者であり、65歳未満の厚生年金は、主に定額部分のない報酬比例部分のみの者であるため、年金額が低くなっています。

表を見ると、年齢が若いほど厚生年金の額が低くなっていることがわかります。

少子高齢化が続いている日本では、今後、上記の年金水準より受給額が低くなる可能性もあるといえます。

ケース別の受給額目安

次に、具体的な例を3つ挙げながら年金受給額の目安を紹介します。まずひとつ目の例は、夫婦が共働きをしており、ともに会社員であるケースの受給額です。

職業分類など 国民年金(月額) 厚生年金(月額)
夫:会社員(年収600万円) 約6.5万円(※1) 約10.4万円(※2)
妻:会社員(年収250万円) 約6.5万円(※1) 約4.2万円(※2)
合計 約27.6万円

(※1)老齢基礎年金は満額(2022年度は年額777,800円)受給できるとしています。
(※2)会社員は、22歳~60歳までの38年間(平成15年4月以降に加入)厚生年金に加入していたとし、平均標準報酬額×5.481/1,000×加入期間の月数÷12ヶ月で計算しています。

続いて、夫が会社員として働き、妻は専業主婦(厚生年金加入期間なし)であるケースを紹介します。

職業分類など 国民年金(月額) 厚生年金(月額)
夫:会社員(年収600万円) 約6.5万円(※3) 約10.4万円(※4)
妻:専業主婦 約6.5万円(※3)
合計 約23.4万円

(※3)老齢基礎年金は満額(2022年度は年額777,800円)受給できるとしています。
(※4)会社員は、22歳~60歳までの38年間(平成15年4月以降に加入)厚生年金に加入していたとし、平均標準報酬額×5.481/1,000×加入期間の月数÷12ヶ月で計算しています。

最後に、フリーランスで働く独身の方のケースは以下のとおりです。

職業分類など 国民年金(月額) 厚生年金(月額)
フリーランス・独身 約6.5万円(※5)

(※5)老齢基礎年金は満額(2022年度は年額777,800円)受給できるとしています。

上記はあくまでも目安であるため、実際の年金額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご確認ください。

年金の仕組み

日本の年金制度は、国民年金・厚生年金・私的年金の3階建ての構造でなり立っています。

1階部分は、日本に住む20歳~60歳未満のすべての人が加入する「国民年金」、2階部分は会社員や公務員等が加入する「厚生年金」です。1階・2階部分の公的年金に加えて、3階部分の私的年金には、企業が運営する「企業年金」などが含まれます。

原則65歳になると、国民年金の加入期間等に応じて老齢基礎年金が受け取れます。また、会社員や公務員等は厚生年金に加入するため、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金の受給が可能です。

このように、年金の加入期間等や職業に応じて、受給できる年金や金額は異なります。

年金の受給資格

老齢基礎年金を受け取るには、以下2つの条件を満たす必要があります。

・保険料を納めた期間や保険料免除期間などを合算した期間が10年以上である
・原則として65歳の方である

また、老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給資格を持っており厚生年金に加入していた場合、老齢基礎年金に上乗せして65歳から受給が可能です。

もらえる年金の計算方法

国民年金は、保険料を納付した期間等に応じて年金額が決まるのに対し、厚生年金は、加入していたときの収入金額によっても受給額が変わってきます。

それぞれの計算方法について、詳細を以下で解説します。

国民年金

国民年金に加入していた方は、原則65歳から老齢基礎年金を受給できます。老齢基礎年金の額は、収入額にかかわらず保険料納付期間等で決まる仕組みです。

・年金受給額(年間)=777,800円(※)×保険料納付済み月数÷480月(40年)
(※)2022年4月分からの年金額

例えば、保険料納付済み月が30年(360月)の場合、受け取れる老齢基礎年金は583,350(年間)です。20歳~60歳までの40年間の保険料をすべて納めると、満額の777,800円を受給できます。

なお、保険料を免除された期間がある場合は、以下のとおり免除に応じた割合で年金額に反映されます。

免除の種類 割合
全額免除 免除月数×4/8
4分の3免除 免除月数×5/8
半額免除 免除月数×6/8
4分の1免除 免除月数×7/8

なお、老齢基礎年金を受け取るには、20歳〜60歳までの間の「保険料納付済期間+保険料免除期間+合算対象期間(年金額には反映されない期間)」が、合計で10年以上必要です。

厚生年金

厚生年金に加入する会社員や公務員の方は、老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金も受給できます。老齢厚生年金場合は、納付月数だけでなく収入金額によっても受給金額が異なります。

・年金受給額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額

報酬比例部分の年金額は、厚生年金の加入期間や収入に応じて算出したAとBを合計した金額です。

加入期間 算出方法
A.平成15年3月以前の加入期間 平均標準報酬月額×7.125/1,000×平成15年3月までの加入期間月数
B. 平成15年4月以降の加入期間 平均標準報酬月額×5.481/1,000×平成15年4月以降の加入期間月数

ただし、老齢厚生年金額の計算には年収なども関係しており非常に複雑です。そのため、基本的に年金額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用して確認しましょう。

なお、50歳以上の方は「ねんきん定期便」でおおよその年金額(年金見込額)を確認できますが、50歳未満の方に届く「ねんきん定期便」では、将来の年金額を確認できません。

50歳未満の方は、日本年金機構の「ねんきんネット」を利用すれば、詳細な条件を設定した試算が行えるため、必要に応じて活用すると良いでしょう。

老後は年金だけで過ごせる?必要になる資金と備え方

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によると、夫婦2人が老後生活を送るうえで最低限必要とされる金額は、平均月額23.2万円です。また、ゆとりのある生活を送るには、平均37.9万円が必要とされています(※)。

安心して老後を迎えるためにも、自らで取り組める老後への備えも検討しましょう。

(※)出典:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度

繰上げ・繰下げ受給

公的年金は原則65歳から受給できますが、繰上げ受給・繰下げ受給も選択できます。

・繰上げ受給:年金を60~64歳に繰り上げて受給すること
・繰下げ受給:年金を66~75歳の間に繰り下げて受給すること

年金を65歳で受け取らず、66歳~75歳の間に繰り下げて受給を開始した場合、繰り下げた分だけ受け取れる年金額が増えます。

増額率は1ヶ月あたり0.7%に設定されており、年金受給を遅らせることで年金額が最大84%増額します。老齢基礎年金と老齢厚生年金は、別々に繰り下げることも可能です。

なお、65歳よりも早く繰上げ受給する場合は、年金額が1ヶ月ごとに0.4%(最大24%)減額されます(※)。原則として老齢基礎年金と老齢厚生年金の一方のみを繰上げ受給することはできません。

(※)昭和37年4月1日以前生まれの方の減額率は、0.5%です。

公的保険制度

公的保険制度とは国が運営する保険のことで、公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)や老後の介護リスクに備えられる「公的介護保険」もそのひとつです。

公的介護保険は、40歳になると加入して保険料を納め、必要になったときに介護サービスが受けられる制度です。原則として現金での給付ではなく、要介護認定を受けた利用者が所得に応じて1~3割の利用料を支払い、現物給付を受ける仕組みです。

また、公的保険制度には、年金受給者や被保険者が亡くなったときに生計を維持されていた方が受け取れる「遺族年金」や、病気やけがで障害状態になった場合に受け取れる「障害年金」などがあります。

民間保険

民間保険は、公的保険制度では不足する部分をカバーする目的などで、自分で保険会社に申し込みし、私的に加入する保険です。

病気・けがに備える医療保険やがん保険、万が一に備える死亡保険、介護に備える介護保険などさまざまな保険があります。

老後に備えられる民間の保険のひとつに、個人年金保険があります。個人年金保険は、保険料を払い込み、契約時に決めた一定の年齢から年金を受け取れる保険です。

年金を受け取る年齢や受け取り方などは保険やプランによって異なるため、公的年金を繰下げ受給し、受給開始までの空白期間に必要なお金を個人年金保険で備えるのも手段のひとつです。

何からはじめたら良いかわからない方はauフィナンシャルパートナーにご相談を

老後への備えをはじめたいと考えている方のなかには、毎月の支出が大きく現在の家計に負担を感じている方もいるのではないでしょうか。

老後への備えとして、個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用する方法もあります。

個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、掛金を拠出して自分が選んだ方法で運用し、掛金と運用益を給付として受け取れる制度です。拠出した掛金が全額所得控除の対象になる、運用益が非課税になるなど税制上の優遇が受けられます。

将来のために備えたいけれど自分にあった方法がわからない、何からはじめれば良いかわからないときは、auフィナンシャルパートナーをご活用ください。

auフィナンシャルパートナーのauマネープラン相談なら、老後資金や資産形成などについて、お金のプロであるFPに何度でも無料で相談できます。

まとめ

将来受け取れる年金の額は、職業や年金の加入期間などにより異なります。ねんきん定期便やねんきんネットを利用し、具体的な年金額を知ることが大切です。

また、老後に備えるために、今のうちから自分で取り組める方法も多数あります。

「老後いくらあれば安心?」「いつから老後の準備をすればよい?」「効率的な老後資金の貯め方を知りたい」など、老後に関する不安を抱える方は多いでしょう。老後資金について相談したいことがある場合は、ぜひauフィナンシャルパートナーをご活用ください。

執筆者名:
松崎 みづき
Twitter Facebook はてなブックマーク
Twitter Facebook はてなブックマーク

カテゴリ別人気ランキング

  • 家計見直し・教育資金
  • 住宅ローン
  • 保険見直し
  • 資産形成・老後資金

家計見直し・教育資金

住宅ローン

保険見直し

資産形成・老後資金

プロへの無料相談