資産形成・老後資金 2023.3.31

老後2,000万円問題は本当?備える方法を理解して資金不足の不安を解消しよう

テレビや新聞などで、一時期「老後2,000万円問題」という言葉が大きく取り上げられたことがありました。このショッキングな言葉を目にし、老後の生活に対して不安をおぼえた方も多くいるのではないでしょうか。

世間に衝撃を与えた「老後2,000万円問題」、果たしてこの言葉は本当なのでしょうか。本記事では、「老後に2,000万円必要である」といわれた背景や理由について解説します。

物価の上昇や円安が続くなか、経済的な不安をどのように解消すればよいかお悩みの方向けに、老後資金を準備するための具体的な方法も紹介しますので、ぜひご一読ください。

「老後2,000万円問題」とは

老後2,000万円問題を紐解くには、その背景や理由を正しく理解することが大切です。

この言葉が叫ばれる発端となった出来事や、根拠となるデータを解説します。

老後2,000万円問題という言葉の発端

「老後2,000万円」という言葉の発端は、2019年に金融審議会が発表した「市場ワーキング・グループ報告書(※)」です。

夫婦2人の高齢無職世帯では月々平均約5万円が不足するという内容のデータが根拠となり、「老後2,000万円問題」という言葉が生まれました。その結果、世間で大きな議論を巻き起こすこととなりました。

しかし、老後に2,000万円必要だという数字は誰にでも当てはまるものではありません。報告書に記載されたのは、あくまでモデルケースにおける金額の例です。

それでは、どのような世帯がモデルケースとして取り上げられたのでしょうか。次の項では、具体的な金額を用いて詳細を解説します。

(※)出典:金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」

老後2,000万円問題におけるモデル夫婦

老後2,000万円問題のもととなったデータで取り上げられたのは、高齢で無職の夫婦2人世帯です。

モデルとして、年金を含む収入が209,198円、支出は263,718円で想定されています。この収支のバランスからして、月々約5万円不足するという計算です。

そして1年で約60万円、仮に30年健在の場合は1800万円の不足となり、このことから老後には2,000万円が必要といわれるようになりました。

しかし、これはあくまで1モデルとしての想定です。すべての人の生活がこのとおりではないことを把握しなければ、具体的なライフプランを描くことはできないでしょう。

老後資金の準備をはじめるにあたっては、想定内容を自分に置き換え、あらためて将来設計を考える必要があります。

老後に備える重要性が高いといえる理由

老後のために資金を準備する必要性として、いくつかの理由が挙げられます。次の項で詳しくみていきましょう。

老後の生活費には自助努力も求められる

令和4年度の年金額は、国民年金(老齢基礎年金)のみの場合で月額64,816円です。

厚生年金(老齢厚生年金)は納めた保険料により異なりますが、平均標準報酬の43.9万円(賞与含む月額換算)で40年間就業した場合、夫婦2人の老齢基礎年金とあわせて219,593円となります。

公的年金で足りない生活費は貯蓄、もしくはほかの収入で補う必要があります。

日本の公的年金制度は2階建ての構造といわれており、老齢基礎年金が1階部分、老齢厚生年金が2階部分にあたります。

自営業者などの場合、受け取れる年金が1階部分の老齢基礎年金のみとなるため、給与所得者として厚生年金保険料を納めた人よりも年金の受取額は少なくなります。

このような公的年金制度の仕組みを正しく理解したうえで、不足があると感じる場合はその部分を補うための準備を自分ではじめるとよいでしょう。

寿命が延びている

厚生労働省の「簡易生命表(※)」によると、2021年の男性の平均寿命は81.47歳、女性は87.57歳です。2001年のデータでは、男性が78.07歳、女性は84.93歳でした。

調査の年により対前年比で下回ることはありますが、長期的にみると男女ともに寿命が延びてきていることがわかります。

人生100年時代といわれる現代、60歳~65歳で定年を迎えたあとも、長く生活費が必要となります。老後資金の準備をはじめるにあたっては、健康寿命も意識した老後設計を検討する必要があります。

(※)出典:厚生労働省「簡易生命表」

退職金をもらえない企業もある

東京都労働相談情報センターの2022年の調査(※)では、都内中小企業の28.3%が「退職金制度なし」と回答しています。「退職金制度あり」と回答した企業においても72.5%は一時金のみで、退職年金との併用は22.7%に留まります。

退職金の有無は老後の生活に大きな影響を与えます。退職金の有無、もらえる場合は額についても、事前に把握しておくことが重要です。

(※)出典:東京都労働相談情報センター「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」

本当に老後に2,000万円必要?

「老後2,000万円問題」の発端や老後に備える重要性を理解したうえで、本当に老後に向けて2,000万円が必要かどうか気になることかと思います。

(公財)生命保険文化センターの調査(※)によると、「老後を夫婦2人で暮らしていくうえで、日常生活費として月々最低いくらぐらい必要だと考えるか」という質問への回答は、平均で22.1万円という結果でした。

この調査は夫婦2人の想定ですが、月々22万円程度は必要だと考える人が多いことがわかります。

これを自分の場合に置き換えてみた場合、ライフプランはどのように変化するか、将来の年金受取額、退職金、支出などをシミュレーションし、単純に「2,000万円必要」と考えるのではなく、自分に必要な老後資金の目安を計算することが重要です。

(※)出典:(公財)生命保険文化センター「生活保障に関する調査(2018)」

今から老後資金を準備する方法

ここまでの説明で、自分のケースにおける老後資金の目安を把握する重要性が理解できたと思います。

ここからは、老後に備える方法として、今から老後資金を準備する具体的な案を2つ紹介します。

NISA(少額投資非課税制度)

NISAは、株式や投資信託に投資し、一定の限度まで利益が非課税になる制度です。

現行制度では一般NISAとつみたてNISAに分かれていますが、2024年からは一体化され制度が新しくなります。新NISAでは、生涯で1,800万円までの投資が非課税で運用できます。

基本的には長期の運用でリターンを得ることが前提ですが、運用商品を売却することにより、いつでも引き出すことが可能です。

また、売却した分の投資枠は復活するため、空いた非課税枠を利用して再度投資を行うこともできます。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、公的年金とは別に受け取ることができる私的年金の一種です。

運用商品には、定期預金、保険商品、投資信託などがあります。自分で選んだ方法で掛金を積み立て、運用益と掛金の合計を60歳以降に年金として受け取ることができる制度です。

運用益、受取利息は非課税であり、掛金も所得控除の対象となるため、所得税・住民税が軽減されます。

ただし、原則60歳まで引き出すことができないので、使う予定のない余裕資金から掛金を拠出することを推奨します。

老後資金に関するお悩みはauフィナンシャルパートナーへご相談を

老後資金として、「2,000万円」という数字が必ずしも正解ではないことがおわかりいただけたでしょうか。

「それでは実際に自分の場合はいくら必要なのか?」という疑問が出てくると思いますが、このようなお悩みは、無料相談のサービスを活用してプロに相談することをおすすめします。

auフィナンシャルパートナーのauマネープラン相談では、お金のプロであるファイナンシャルプランナーが、お客さまの資産や収支などの状況をていねいにヒアリングし、将来のお金の流れをまとめたキャッシュフロー表を無料で作成します。

また、老後資金だけでなく、保険の見直しや住宅ローンの相談など、家計全般についてのお悩みを解決に導くためのアドバイスも提供します。

相談の場所や時間はお客さまのご都合にあわせて設定いただけますので、時間にあまり余裕がない方もぜひ活用をご検討ください。

まとめ

「老後2,000万円問題」と聞くと将来が不安になりがちですが、本当に2,000万円が必要かどうかは、その人の年金加入状況や退職金・ライフスタイルなどにより異なるため、一概には論じることができません。

老後資金について心配のある方は、auフィナンシャルパートナーのauマネープラン相談でファイナンシャルプランナーに無料相談することも検討してみてください。

執筆者名:
垣田 京子
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