老後破産を回避するには?将来のための資金準備方法を解説
高齢者の貧困は、現代が抱える大きな問題です。年金が少ない、退職金が出ない、インフレ・円安と、老後に対する不安要素はいくつも考えられます。
物価の上昇が頻繁にメディアで取り上げられています。定年で収入が減った後、年金と預貯金だけで生活費が足りるかどうか、心配な方も多いでしょう。
高齢者は、一体どのような原因によって老後破産するのでしょうか。老後破産を防ぐには早めの対策が有効です。
本記事では、老後破産に陥らないために資金を準備する方法を解説します。
老後破産とは
老後破産とは、公的年金や預貯金で支えられる老後資金が枯渇し、破産状態になることです。
日本の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳とされています(※1)。日本弁護士会が2020年に行った調査結果によると、破産者のうち60歳代は16.37%、70歳代以上は9.35%のデータが出ており、破産者の4分の1以上が高齢者ということになります(※2)。
経済的な面では、長生きをリスクと捉える観点があります。老後破産に陥らないためには少しでも早いうちからの資金準備をはじめることが大切です。
(※1)出典:厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」
(※2)出典:日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」
老後破産の主な原因
内閣府の公表する「令和4年版高齢社会白書」では、65歳以上の7.5%が「家計が苦しく、非常に心配である」と回答しており、このなかに老後破産に陥りやすい人が含まれると考えられます。
人はどのような原因によって破産するのでしょうか。
参考として、日本弁護士会による全年代を通じた調査結果を紹介します。同調査によると、下記の項目が破産理由の上位に挙がっています(※)。
・生活苦・低所得
・病気・医療費
・負債の返済(保証以外)
・失業・転職
次項で詳しくみていきましょう。
(※)出典:日本弁護士連合会 消費者問題対策委員会「2020年破産事件及び個人再生事件記録調査」
生活苦・低所得
破産理由のトップは「生活苦・低所得」で、61.69%を占めます。厚生労働省の公表する「毎月勤労統計調査 令和5年1月分結果速報」によると、事業所規模5人以上の実質賃金が前年同月比で4.1%減となっています。
昨今は物価上昇が著しく、給与の額面は変わっていないようにみえても実質的な賃金としては下がっていることになります。
特に高齢者の場合は定年後に再雇用されても収入減となる人も多く、生活苦での破産は今後も高い水準で続くと考えられます。
病気・医療費
「生活苦・低所得」に次いで多かった破産理由が「病気・医療費」で、23.31%です。一般的に年齢が上がるにつれ健康リスクも高まっていきます。
大きな病気やケガで医療費がかさむ場合、日常生活資金以外の備えがなければ費用を捻出できなくなり生活費が枯渇してしまいます。
負債の返済(保証以外)
破産理由として3番目に多いのが「負債の返済」で、20.48%という結果でした。
保証としての返済とは区別して集計されており、本項目は保証以外の負債内容となっています。
大きな負債としては、住宅ローンや教育ローンなどが挙げられます。
失業・転職
4番目に多い破産理由は「失業・転職」で、17.58%です。
特に高齢者の場合、定年退職後の職探しが思いどおりにいかない場合もあるでしょう。
給与収入が途絶え、年金では生活費を賄えない場合、途端に生活が破綻してしまいます。
そのほかの破産理由
上記で解説した以外の理由についても一部を紹介します。調査結果では、事業費、生活用品の購入、浪費・遊興費、クレジットカードによる購入、保証債務などの破産理由も挙がっていました。
破産者によって、破産の理由は多岐にわたることがわかります。
老後破産を防止するにはどんな方法がある?
老後破産を防ぐためには、どのような対策を講じればよいのでしょうか。
この章では、次の方法について解説します。
・高齢者になっても働いて収入を得る
・資産運用して資金を増やす
・フリーランスや自営業者なら小規模企業共済も検討
・住宅ローンの完済を早める
高齢者になっても働いて収入を得る
内閣府「令和4年版高齢社会白書」によれば、60~64歳の71.5%、65~69歳の50.3%が就業しているというデータが出ています。
正規雇用にこだわらずとも、何らかの形で仕事を見つけ収入を得ることは、家計にとっても大きな助けとなります。
資産運用して資金を増やす
余裕資金があれば資産運用を検討してみましょう。投資にはリスクがともないます。必ず資金を増やせる保証はありませんが、金利や利回りをはじめとした経済的な知識を身につけ、商品内容をよく理解して自分にあった投資方法を選択するようにしましょう。
「NISA(少額投資非課税制度)」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は少額から投資でき、投資初心者でもはじめやすい制度となっています。
また、民間の個人年金保険を活用するのもよいでしょう。
フリーランスや自営業者なら小規模企業共済も検討
フリーランスや自営業者は厚生年金保険への加入がない分、会社員より将来の年金額が少なくなる傾向にあります。
また、退職金がないことも不安要素のひとつとして挙げられます。フリーランスや自営業者は、国による小規模企業共済制度も検討してみましょう。この制度では、掛金を積み立てて将来受け取る退職金代わりの資金を準備できます。
住宅ローンの完済を早める
定年退職後も住宅ローンが残っていると、家計の大きな負担となります。安定した収入があるうちに、無理のない範囲で繰上返済を検討しましょう。
元金返済の効率を高めると返済総額を減らすことができ、老後資金を準備する余裕も生まれます。繰上返済の取り扱いは金融機関により異なるので、手続きの際は確認するようにしましょう。
リバースモーゲージを利用する
リバースモーゲージは自宅を担保にお金を借りる方法で、民間の金融機関のほか、国や自治体も取り扱っています。基本的に毎月の支払いは利息分のみとなり、契約者が死亡した後に自宅を売却し元金を返済します。
利用するには年齢や物件をはじめ、所定の条件があり、利用限度額は物件価値により変動します。公的なリバースモーゲージは使途や年収をはじめ制限項目が多く注意が必要です。
リバースモーゲージには、場合により相続人に債務が残るリスクのほか、金利変動リスク、契約内容によっては契約期間終了後に一括返済が必要になる長生きリスクがあることを知っておきましょう。
ファイナンシャルプランナーに相談する
老後破産を防ぐためには、日頃から家計に対する意識を高めておくことが必要不可欠です。
年金額を調べたり、家計簿をつけたりして収支を把握し、積極的に情報を収集しましょう。自分の経済状況にあわせた生活レベルで暮らすことも大切です。
また、お金のプロであるファイナンシャルプランナーに、家計についてのアドバイスを求めることもおすすめです。無料で相談を受け付けている場合もあるので、ぜひ活用しましょう。
老後資金に関するお悩みにはauマネープラン相談がおすすめ
家計に意識を向け老後に向けての資金を準備しておかなければ、老後破産に陥ってしまう可能性があります。本記事で紹介した方法も参考にしながら、資金準備をスタートさせましょう。
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老後破産を防ぐには早期からの準備を
老後資金の準備は少しでも早いうちにスタートさせましょう。家計に意識を配ることが、将来の安定した生活にもつながります。
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