理想の定年後の過ごし方とは?60歳以降も働く人はどのくらいいる?
皆さんは、定年後の生活にどのようなイメージをお持ちでしょうか。具体的なライフイベントを想定し、収支を踏まえた将来像をしっかりと描けている方は少ないかもしれません。
定年後に働くかどうかは、老後の生活を考えるうえで大きなポイントとなります。
世間では、定年後も働き続ける人はどのくらいいるのでしょうか。
本記事では、高齢者の暮らしについて、生きがいや就業状況、リスクなどの観点から解説します。
定年後の充実した生活のために今から準備できることも紹介しますので、参考にしてみてください。
定年後の過ごし方
高齢者の日常生活の平均的な実態に関する内閣府の調査では、高齢者の生きがいの感じ方や、外出頻度をはじめ、興味深い内容が提示されています。
以下では、この調査結果を基に、定年後の過ごし方についてみていきましょう。
高齢者の生きがいの感じ方
65歳以上で生きがい(喜びや楽しみ)を感じる割合は、「十分感じている」との回答が22.9%、「多少感じている」が49.4%という結果でした(※1)。
「あまり感じていない」「まったく感じていない」と回答した人は、合計で全体の20.5%を占めます。この数字を見て、自分の定年後は、「生きがいを十分感じている」と自信を持って回答できるでしょうか。
そのための条件は何かを明確にしておくと、今後の目標もたてやすくなります。
まずは自分の将来像を具体的にイメージしてみましょう。
高齢者の外出の頻度は?高い人ほど生きがいを感じている
同調査では、65歳以上で「よく外出する」と回答した人は55.6%、「たまに外出する」という人は29.9%でした(※1)。そのほかは「あまり外出しない」「ほとんど外出しない」「不明・無回答」となっています。
外出頻度が高いほど生きがいを感じる人の割合も高く、外出の頻度は生きがいと深くかかわっていることがわかります。社会とのつながりは、多面的な健康を意味するウェルビーイングの観点からも重要であるといえるでしょう。
高齢者のおしゃれ・食生活について
高齢者のおしゃれや食生活については、「おしゃれに関心がある」「食生活に満足している」と回答した人は健康状態が良い割合が高くなっています(※2)。
生きがいの要素は、必ずしもおしゃれや食事である必要はありません。趣味や娯楽、自分が興味を持てる何かを持っておきましょう。
生きがいのある生活は、経済的な備えがあってこそ成立します。
そして、老後資金に備えるには、早期のうちから家計を意識することが大切です。
定年後も働き続ける人はどのくらいいるのか
定年後の就業率については、60~64歳の71.5%、65~69歳の50.3%が働き続けています(※1)。60歳を過ぎると非正規雇用の割合が増えますが、現代では多くの高齢者が就業していることがわかります。
働いて収入を得ることは家計の大きな助けとなります。また、人手不足が深刻化している社会への貢献にもつながります。60歳を過ぎても、体力・気力に問題がなければ、継続的に働くことも選択肢の1つです。
(※1)出典:内閣府「令和4年版高齢社会白書(全体版)」
(※2)出典:内閣府「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果(全体版)」
定年後に想定されるリスク
さて、定年退職後に想定されるリスクには、どのようなものがあるのでしょうか。
内容を事前に把握しておくことで、いざというときにも落ち着いて対処することが可能になります。
この章では、高齢者に起こり得るリスクについて解説します。
経済的リスク
定年後に収入が減る高齢者にとって、経済的リスクは大きなものであるといえるでしょう。年金や退職金と貯蓄だけで老後を暮らしていけるか、不安がある人も多いと思います。
昨今は物価上昇も話題となっています。継続して物価の上昇が続くインフレが起こると、お金の価値は目減りします。
この経済的リスクは、老後資金の準備を考える際のポイントとなります。インフレに強い資産運用を検討するなど、常に意識を持って家計をコントロールしましょう。
健康リスク
一概にはいえませんが、一般的には高齢者になると病気やケガが増え、医療費や介護費も若い人と比較するとかさみがちです。
医療費のうち、先進医療や入院時の差額ベッド代・食事代と、公的医療保険だけではカバーできない部分もあります。
死亡した際、遺族の生活費をカバーする必要がある世帯もあります。遺族年金を含め公的保障だけで十分なのか不安に思う人もいるでしょう。
各種保険への加入でリスクに備えている人は多いと思いますが、定期的に見直しを行い、自分に必要な保障内容どうか、必要のない保障に保険料を払ってしまっていないか、日頃から確認するようにしましょう。
住宅リスク
高齢者になると、借り手の経済状況に関係なく、高齢であることを理由に家主から賃貸借契約を拒否されるケースがあります。
家主からすればリスク回避となりますが、借り手には迷惑な話です。子育てが終わり、少ない部屋数の物件に引っ越そうとした場合に、選択肢が狭まることになります。
最近では、高齢者向け賃貸住宅や家賃の保証サービス・身元保証サービスなどもあります。費用はかかりますが、こうしたサービスの利用を検討するのもよいでしょう。
孤独リスク
孤独リスクは、年齢が上がるにつれ高まっていくといえます。
特に高齢者の場合は、親や家族が死亡し、頼れる人が一人もいない事態に陥る可能性があります。単身世帯の場合はさらに不安も大きくなるでしょう。
孤独リスクは健康リスクにつながる場合もあります。日頃から生活範囲や交友関係を広げておくことで、いざというときに安心できる可能性は上がります。
いつ、どのような不測の事態が発生するかは誰にもわかりません。困ったときはどこに相談すればよいか、事前に考えておきましょう。
定年後に充実した日々を過ごすために今から準備できること
定年後に充実した日々を過ごすために、今からどのような準備ができるでしょうか。
まずは、準備の第一歩として具体的なライフプランをたてましょう。
ライフプランを立てるには、予定されているライフイベントを洗い出し、収支をシミュレーションしてみましょう。一般的なライフイベントとしては、結婚や出産、マイホームや車の購入、子の進学、定年退職などが挙げられますが、自分なりの将来設計を考えることが大切です。
定年後も働くか、働かないかで経済状況は大きく異なります。
60歳以降の再雇用・再就職には、高年齢雇用継続給付という雇用保険の制度もあることを知っておきましょう。再雇用や再就職で給与が減少した場合に、減少分の一部を補う給付金を受け取ることができます。
失業して求職する場合には、高年齢求職者給付金の制度もあります。
老後の生活費として公的年金や退職金だけでは不足すると感じたら、保険の見直しや私的年金への加入も検討しましょう。
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