資産形成・老後資金 2023.3.31

おひとりさまの老後はどうなる?生活費や介護費用にいくら必要か解説

日本は超高齢化社会であり、2021年時点で総人口に占める65歳以上の割合は28.9%です。2065年には、男性の平均寿命は84.95年、女性は91.35年まで延びると予想されています(※)。

また、50歳時点で結婚したことがない人の割合を示した「50歳時の未婚割合」は、男女ともに年々上昇しています。配偶者がいても病気や事故などで先立たれる場合もあり、誰もが「おひとりさま」高齢者になる可能性があります。

実際に、65歳以上の一人暮らし世帯の人はどの程度の貯蓄を準備し、年金はいくら受け取れるのでしょうか。

今回は、老後の一人暮らしに不安を感じる人へ、必要な生活費や受け取れる年金額、介護費用の相場など「おひとりさま」高齢者の実態について解説します。
(※)出典:内閣府「第1章 高齢化の状況(第1節 1)」

老後を心配するおひとりさま世帯は多い

金融広報中央委員会が行った「家計の金融行動に関する世論調査」によると、20歳代から70歳代までの世帯のうち、老後の生活を「それほど心配していない」世帯は20.8%、「心配である」と回答した世帯は79.2%を占めます。

どの年齢層においても、老後を心配していない世帯よりも、老後の生活に不安を感じている世帯の方が圧倒的に多いという結果です。

また、60歳代および70歳代の、老後を心配する理由は下図のとおりです。

(※)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯調査)令和4年」Excelシート47を元に筆者作成

「十分な金融資産がない」、「年金や保険が十分ではない」という理由で不安を感じている人が多いことがわかります。

一方で、老後の生活に対して「心配していない」世帯の回答で最も多かったのは、60歳代・70歳代ともに「年金や保険があるから」という理由でした。

老後の暮らしの不安を解消するためには、自分が受け取れる年金額を把握し、年金以外にどのくらい準備が必要かを知ることが大切です。

おひとりさまの老後の現状

内閣府によると、2015年時点で、65歳以上の高齢者がいる世帯は全世帯数の47.1%を占めています。1980年には24.0%でしたが、35年で約2倍に増えました。

世帯構造も変化しており、1980年では65歳以上の高齢者の約70%が子どもと同居していましたが、2015年の同居世帯数は39.0%まで減少しています。同居世帯の減少にともない、65歳以上の「夫婦のみ世帯」や「単身世帯」の数は年々増加傾向にあります。

特に、一人暮らしをする高齢者の増加は顕著です。1980年、単身世帯の男性は約19万人、女性は約69万人でしたが、2015年には男性は約192万人、女性は約400万人まで増えています。

男女共同参画白書によると、2030年には男女ともに高齢者の約20%が単身世帯となると予測されています。

65歳以上の高齢者が増えるなか、厳しい生活に置かれやすいのは単身の高齢女性です。これは、結婚・出産などのライフイベントによって就業年数が短くなり、非正規雇用で働く女性が多いことによる影響が考えられます。

さらに、配偶者と離別した単身女性の場合、夫の収入や遺族年金などに頼れないため、より経済的に厳しい状況になる傾向があります。

一方、一人暮らしの高齢男性の「孤立」も深刻な問題です。内閣府の調査では、55歳〜74歳の単身男性のうち、4人に1人が「話し相手や相談する相手がいない」と回答しており、地域での孤立が進んでいます。

おひとりさまが受け取れる年金はいくら?

65歳以上の一人暮らし世帯の人が、実際に受け取っている年金はいくらなのでしょうか。

2021年度末の厚生年金保険(第1号)の受給権者の平均年金月額は143,965円、国民年金の受給権者の平均年金月額56,368円です(※1)。厚生年金保険の第1号には、民間の事業所に勤める人が該当します。

2017年の「老齢年金受給者実態調査」によると、65歳以上の単身男性の平均年金月額は139,000円、65歳以上の単身女性は平均年金月額116,000円を受け取っています。第1号厚生年金保険の受給権者の平均と比べると、男女ともにやや下回る結果です。

また、配偶者のいない女性で、未婚の場合の平均年金月額は119,000円、死別であれば121,000円であり、どちらも平均年金額が100,000円を超えています。一方、離婚をした場合の平均年金月額は、83,000円と低くなります(※2)。

(※1)厚生労働省年金局「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
(※2)厚生労働省年金局数理課「公的年金受給者に関する分析」

おひとりさまの老後に必要な生活費

総務省統計局が2021年に行った「家計調査」によると、一人暮らしをする65歳以上の男性の消費支出は月額136,210円(年間1,634,522円)です。女性の場合、月額137,653円(年間1,651,834円)であり、支出において男女差は大きくありません。

一方、金融広報中央委員会が発表した「家計の金融行動に関する世論調査」では、老後のひと月に必要な最低予想生活費の全体平均は330,000円です。また、60歳代の1ヶ月の最低生活費が270,000円、70歳代は280,000円であり、「家計調査」の結果の約2倍となっています。

住居費や食費、娯楽費など、どの費目にどの程度お金をかけるかは個人差が大きいため、必ずしも平均額が自分の支出する金額に当てはまるとは限りません。

必要最低限の慎ましい生活を送るのか、趣味や娯楽を楽しみたいと考えるか、老後の生活に関してしっかりと計画をしたうえで、準備すべき金額を考える必要があります。

おひとりさま世帯の老後に向けた貯金額

「家計の金融行動に関する世論調査」によると、60歳代および70歳代の貯蓄額(平均値・中央値)は下表のとおりです。

単身世帯(60歳代) 単身世帯(70歳代)
金融資産保有世帯のみ 資産なし世帯を含む 金融資産保有世帯のみ 資産なし世帯を含む
平均値 1,960万円 1,388万円 2,008万円 1,433万円
中央値 950万円 300万円 1,000万円 485万円

(※)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」シート3・4を元に筆者作成

平均値と中央値では、貯蓄額に約2倍〜4倍の差があります。

これは、貯蓄額のように上限がない指標の場合、一部の資産を多く保有する世帯が平均値を押し上げてしまうケースがあるためです。したがって、実態に近い数値を把握するには、中央値を確認しましょう。

また、金融資産を保有している世帯のみを対象とした場合でも、60歳代は11.1%、70歳代は7.3%の割合で「保有額100万円未満」の世帯がいます。

一方、「年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」に対して、60歳代は1,560万円、70歳代は1,423万円という結果が出ています。この結果から、理想の貯蓄額まで貯められていない世帯の方が多いことがわかります。

おひとりさまの老後にかかる介護費用

内閣府が発表した2021年度の高齢者への調査によると、将来の日常生活に不安を感じるのは、「自分や配偶者の健康や病気のこと」が70.3%、「自分や配偶者が寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること」が60.3%と、健康面に関する項目が大きな割合を占めています。

自立した生活が難しくなると、介護施設やサービスの利用を検討するでしょう。では、実際に介護に関する費用はどの程度かかるのでしょうか。

例えば、大阪府高槻市の場合、有料老人ホームの利用費用は100,000円〜250,000円ほどです。有料老人ホームは、介護認定がなくても入居可能で、入浴や排泄のほか食事の提供があります。施設によっては、一時金として数十万から数千万円かかるケースもあります。

有料老人ホームだけでなく、介護施設は、ケアハウス・養護老人ホーム・サービス付き高齢者住宅などさまざまな種類があります。このうち、特定の施設に入居している要介護者(要介護1以上)を対象として提供される介護サービスを「特定施設入居者生活介護」といいます。

サービスには、食事・入浴・排泄などの日常生活の介護のほか、機能訓練や療養上の世話も含まれます。特定施設入居者生活介護は介護保険の対象となるため、利用者の負担は原則1割です(※1)。

1日あたりの自己負担分(1割)は下表のとおりです。

要介護区分 1日あたりの自己負担分
要介護1 536円
要介護2 602円
要介護3 671円
要介護4 735円
要介護5 804円

(※)出典:公益財団法人長寿科学振興団体「特定施設入居者生活介護とは」を元に筆者作成

上記の費用のほか、初期費用や生活費(食費、おむつ代)は別途必要となります。

また、施設に入居する以外にも、自宅で介護を続けるという選択肢もあります。

例えば、要介護3と認定され、週3回のデイケアと週2回の訪問看護、ショートステイなどを組みあわせて利用する場合、自己負担額の目安は59,598円(1割負担)〜76,950円(3割負担)です(※2)。

(※1)一定以上の収入がある場合、2割〜3割負担になる
(※2)初期費用は別途必要となる

老後の資産形成ならプロに相談しよう!

人生100年時代となり、老後生活を豊かに過ごすためには、国民年金や厚生年金以外でも準備が求められます。また、将来介護が必要になると、予想以上に費用がかかるケースもあるため、老後に向けた資産形成は計画的に行いましょう。

税制優遇を受けながら資産を形成できるNISAやiDeCoなど、老後への資産準備として有効な手段もあります。

「自分ではよくわからない」や「誰かに相談したい」という人は、プロへの相談がおすすめです。auフィナンシャルパートナーの「家計見直し相談」では、老後資金の相談やシミュレーションができます。

老後に対して漠然と不安を感じている人、資産形成に悩んでいる人は、ぜひauフィナンシャルパートナーをご活用ください。

まとめ

高齢者の増加、子どもとの同居世帯の減少などさまざまな要因によって、一人暮らしの高齢者が増えています。配偶者との離別や死別など、高齢になると誰もが「おひとりさま」になる可能性があります。

老後、自立した「おひとりさま」になるには、計画的な資産形成が欠かせません。

まず、老後に必要な生活費・介護費用、自分が受け取れる年金額を把握することで、準備が必要な金額を把握しましょう。老後の資産形成に悩んだときは、auフィナンシャルパートナーの「家計見直し相談」を活用するのもおすすめです。

執筆者名:
粟井 はる
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