ゆとりある年金暮らしを送るには?必要な貯蓄額や資産形成方法を解説

2019年に「老後2,000万円問題」が提起され、老後の暮らしに対して漠然とした不安を感じている人もいるのではないでしょうか。生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によると、老後生活に対して不安を感じている人は、全体の80%を占めています(※)。
また、公的年金や企業保障以外で経済的な準備を行なっている人が65.9%いる一方で、「準備していない」と回答した人は30%を超えています(※)。
老後の暮らしへの不安を解消するには、どのくらいの費用が必要なのか、また受給できる年金額などを具体的に把握する必要があります。
今回は、老後生活に必要な生活費の相場や、受け取れる年金額について解説します。そのうえで、今からできる老後に向けた資産形成方法を紹介します。
(※)出典:公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度「生活保障に関する調査」第Ⅲ章 老後保障」
年金暮らし世代の平均生活費はいくら?
高齢者の実態を調査したデータは多くあります。ここでは、総務省による「家計調査」を参考に、65歳以上の世帯で1ヶ月に必要な生活費をまとめました。
単身世帯の生活費の平均内訳
総務省統計局の「家計調査」によると、65歳以上の単身世帯では、1ヶ月あたりの支出額は約149,208円です。男性の場合は148,918円、女性の場合は148,971円と男女間においては大きな差はありません(※)。
食料費や住居費などの詳しい内訳は、下表のとおりです。
単身世帯(65歳以上)1ヶ月の支出額 | 149,208円 |
食料 | 38,729円 |
住居 | 13,530円 |
光熱・水道 | 15,014円 |
家事・家具用品 | 6,284円 |
被服類(履物を含む) | 3,632円 |
医療 | 8,358円 |
交通・通信 | 15,511円 |
教養・娯楽 | 15,501円 |
その他の支出 | 32,648円 |
(※)出典:総務省統計局「家計調査(2022年度)家計収支編・単身世帯・第2表(男女・年齢階級別)」を元に筆者作成
二人世帯の生活費の平均内訳
総務省統計局「家計調査」によると、65歳以上の2人以上世帯の支出額は約249,501円です(※)。支出額の内訳は、下表のとおりです。
2人以上世帯(世帯主65歳以上) 1ヶ月の支出額 |
249,501円 |
食料 | 72,805円 |
住居 | 16,687円 |
光熱・水道 | 24,531円 |
家事・家具用品 | 11,070円 |
被服類(履物を含む) | 5,798円 |
医療 | 16,280円 |
交通・通信 | 30,031円 |
教育 | 388円 |
教養・娯楽 | 22,184円 |
その他の支出 | 49,728円 |
(※)出典:総務省統計局「家計調査(2022年度)家計収支編・二人以上の世帯・第3-2表(世帯主の年齢階級別(再掲)65歳〜)」を元に筆者作成
単身世帯と比較すると、食料費・家事家具用品費・交通通信費は約2倍かかっており、支出全体のなかでも大きな割合を占めています。
年金暮らしを送るにはいくら必要なのか?
老後、ゆとりある生活を送るためには、どのくらい必要なのでしょうか。単身世帯と二人世帯に分けて解説します。
単身世帯の場合
総務省統計局の家計調査によると、65歳以上の単身世帯の1ヶ月の平均支出は149,208円でした(※1)。一方、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」では、ひと月あたりの最低生活費として、60歳代では270,000円、70歳代では280,000円という結果がでています(※2)。
2つの調査結果から考えると、老後の生活費として150,000円から280,000円が必要であることがわかります。
厚生労働省の「公的年金受給者に関する分析(平成29年)」によると、配偶者がいない世帯の平均年金月額は、男性約139,000円、女性約116,000円です(※3)。受け取れる年金額と必要な生活費を比べると、下表のとおりです。
65歳以上の単身世帯 | 男性 | 女性 | ||
1ヶ月あたり必要な生活費 | (下限)150,000円 | (上限)280,000円 | (下限)150,000円 | (上限)280,000円 |
平均年金月額 | 139,000円(※3) | 116,000円(※3) | ||
差額 | −11,000円 | −141,000円 | −34,000円 | −164,000円 |
(※1)出典:総務省統計局「家計調査(2022年度)家計収支編・単身世帯・第2表(男女・年齢階級別)単身世帯65歳以上の消費支出」
(※2)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
(※3)出典:厚生労働省「公的年金受給者に関する分析(平成29年)」
上記資料を元に筆者作成
また、女性の場合、結婚や出産によって働く期間が短くなるなどの影響から、男性よりも受け取れる年金額が少なくなる傾向があります。
二人世帯の場合
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によると、夫婦2人が必要だと考える最低日常生活費は平均221,000円です。さらに、趣味やレジャーなど老後を豊かに過ごすためには月々およそ361,000円かかると予想する結果があります(※1)。
夫婦ともに65歳以上の世帯の平均年金月額は、約238,000円です(※2)。支出額と比較すると、下表のとおりです。
夫婦二人世帯 | ||
1ヶ月あたり必要な生活費 | (下限)221,000円(※1) | (上限)361,000円(※1) |
平均年金月額 | 238,000円(※2) | |
差額 | +17,000円 | −123,000円 |
(※1)出典:公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度「生活保障に関する調査」第Ⅲ章 老後保障」
(※2)出典:厚生労働省「公的年金受給者に関する分析(平成29年)」
上記資料を元に筆者作成
単身世帯と比べると、受け取れる年金額は多くなります。しかし、ゆとりある生活を希望する場合は、年金以外にも老後に向けた資金形成が必要となるでしょう。
ゆとりある年金暮らしを望むなら上乗せ額を考慮しよう
高齢者の生活実態にもとづいた複数の調査結果から、単身世帯の場合は約150,000円から280,000円、二人世帯の場合は約220,000円から360,000円の生活費がかかると予想できます(※1)(※2)(※3)。
食料費や住居費など生活するために最低限必要な費用のみ考慮するのか、または趣味や娯楽など豊かに暮らすために生じる費用を含めるかによって、準備すべき金額は大きく異なります。
余裕のある生活を希望するならば、上乗せ額が必要であることを考慮し、公的年金以外の資産を備えましょう。
また、老後は必要最低限の費用で慎ましく暮らしたいと考えている人も、自分が受け取れる年金額を把握することは大切です。受給できる額によっては、公的年金以外に資産の準備が必要になる可能性があるためです。
(※1)出典:総務省統計局「家計調査(2022年度)家計収支編・単身世帯・第2表(男女・年齢階級別)単身世帯65歳以上の消費支出」
(※2)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
(※3)出典:公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度「生活保障に関する調査」第Ⅲ章 老後保障
年金はいくらもらえる?

実際に、年金はどのくらい受け取れるのでしょうか。日本の公的年金制度の仕組みを解説したうえで、受給できる年金の平均額や確認方法を説明します。
日本の年金制度の仕組みを知ろう
日本の公的年金制度は、2階建て構造です。
1階部分は「国民年金」、2階部分は「厚生年金」となっています。国民年金には、20歳から60歳未満のすべての国民が加入する義務があり、第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者の3つの加入区分に分かれています(※1)。
また、国民年金の第2号被保険者に該当する会社員や公務員は、「厚生年金」にも加入しています。
受け取れる年金額は、国民年金の納付月数や厚生年金の加入期間などによって算出されます。
(※1)出典:日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」
年金受給者の平均年金月額はいくら?
厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、受給者(厚生年金保険第1号)の平均年金月額は145,665円、国民年金受給者の平均年金月額は56,479円です(※1)。
配偶者のいない65歳以上の単身世帯の平均年金月額は、男性は139,000円、女性は116,000円であり、厚生年金第1号の受給者平均よりは下回っています(※2)。
夫婦ともに65歳以上の世帯の平均年金月額は、238,000円です(※2)。ただし、現役時代の経歴類型によって、下表のように受給額に差があります。
経歴類型 | 夫の年金月額 | 妻の年金月額 | 合計 |
夫婦ともに正社員中心 | 174,000円 | 113,000円 | 287,000円 |
夫は正社員中心、 妻はパート・アルバイト中心 |
176,000円 | 73,000円 | 249,000円 |
夫は正社員中心、 妻は収入を伴う仕事をしていない期間中心 |
201,000円 | 62,000円 | 263,000円 |
夫婦ともに自営業中心 | 89,000円 | 69,000円 | 158,000円 |
(※3)出典:厚生労働省尾「公的年金受給者に関する分析(平成29年)」を元に筆者作成
上記のとおり、現役時代の雇用形態などによって、受け取れる金額は大きく変わります。自分が受け取れる年金額を知りたい場合、下記の方法で確認できます。
・ねんきん定期便
・ねんきんネット
・公的年金シミュレーター
ねんきん定期便は、国民年金・厚生年金の加入者に毎年送達されます。これまでの保険料納付額や加入期間、年金見込み額などが記載されています。
ねんきんネットでは、オンラインでいつでも年金の加入記録や見込み額を調べられます。ねんきんネットは、ユーザーIDの取得またはマイナポータルからの連携を行えば利用可能です。
厚生労働省の公的年金シミュレーターは、2022年4月以降に発行されたねんきん定期便の二次元バーコードを読み取るだけで、手軽に試算できるシステムです。
(※1)出典:厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
(※2)出典:厚生労働省年金局数理課「公的年金受給者に関する分析-配偶者の状況と現役時代の経歴(就労状況)からみた年金受給状況」
年金には税金がかかる?
基本的に、年金収入は「雑所得」として扱われます。
原則として、雑所得は収入金額から必要経費を差し引いて算出しますが、公的年金の場合は、公的年金等控除額を差し引くことが可能です。65歳以上の場合、公的年金等の最低控除額は多くなります(※1)。
また、年金収入が一定額を超えると、所得税・復興特別所得税が源泉徴収されます。65歳未満の場合は108万円、65歳以上の場合は158万円が基準です(※1)。年金収入は年末調整が行われないため、確定申告によって税金の過不足を精算しなければなりません。
しかし、確定申告不要制度により、下記の2つの条件を満たせば確定申告を行う必要はありません(※2)。
・公的年金等の収入合計額が400万円以下であり、その全額が源泉徴収の対象である(※2)
・公的年金等にかかる雑所得以外の所得金額が20万円以下である(※2)
また、住宅ローンでマイホームを取得したり、一定額の医療費を支払ったりした場合、所得税の還付を受けられる可能性があります。そのような場合は、不要制度の対象であっても、確定申告を忘れずに行いましょう。
(※1)出典:国税庁「高齢者と税(年金と税)」
(※2)出典:政府広報オンライン「ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度」
年金暮らし世帯の平均貯蓄額はいくら?
60歳代の単身世帯および2人以上世帯の金融資産保有額は、下表のとおりです(※1,2)。
単身世帯(60歳代) | 二人世帯(60歳代) | |||
金融資産保有世帯のみ | 資産無し世帯を含む | 金融資産保有世帯のみ | 資産無し世帯を含む | |
平均値 | 1,960万円 | 1,388万円 | 2,317万円 | 1,819万円 |
中央値 | 950万円 | 300万円 | 1,270万円 | 700万円 |
(※1)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
(※2)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
上記資料を元に筆者作成
調査結果をみると、平均値と中央値に大きな差があります。貯蓄額に関しては、一部の世帯が平均値に大きな影響を与えている場合があるため、実態は中央値も考慮する必要があります。
60歳代の金融資産を保有している世帯を対象とした調査で、保有資産額が「100万円未満」と答えた世帯は、単身の場合は11.1%、2人世帯の場合は7.7%です(※1,2)。一部分の世帯を除くと、老後の生活に向けて十分な貯蓄ができている世帯は少ないことがわかります。
年金暮らしに向けて今からできる資産形成方法とは?
老後の生活に備えて、資産を形成するにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、年金以外の資産形成方法を紹介します。
節約をする
まず、老後の資金準備の第一歩として「節約」を意識しましょう。
保険や住居、車など支出のなかでも大きな割合を占める固定費を減らしたり、家計簿をつけて無駄な支出を抑えたり、家計を見直すことで貯蓄にまわせる資産を把握できます。
生活費には、住居費や通信費などの「固定費」と、食費などの「変動費」があります。節約をはじめるにあたって、まず見直したいのは「固定費」です。細かな支出が多い変動費よりも、一度で大きく支出が減る可能性が高いためです。
副業をはじめる
近年、働き方改革により、「副業・兼業」の普及が進められています(※1)。
例えば、会社員の給与だけでは貯蓄にまわす余裕がないという人は、副業によって収入を増やすのも手段のひとつです。
クラウドソーシングサービスを利用した副業や、専門分野のインストラクターやセミナー講師など、これまで培ってきた経験を活かす副業があります。
(※)出典:厚生労働省「副業・兼業」
資格を取る
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」では、老後における生活資金源として「就業による収入」を挙げていた60歳代の割合は34.6%です(※)。
再就職に有利な資格を取っておくことで、定年退職後も働きやすくなり、安定した収入を得られる可能性も高くなります。
宅地建物取引士やマンション管理士など、シニア世代に人気があり、かつ再就職に有利な資格は多くあります。
(※)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
資産運用を行う
老後まで時間がある場合は、NISA制度やiDeCoを利用して資産運用を行うのも有効な手段です。
NISAやiDeCoは、運用益が非課税であるなど、税制上の優遇措置を受けられます。また、長い期間積み立てることで、複利の効果も期待できます。
複利とは、運用による利益を元本に組み込んで再び投資することで、雪だるまを作るように、どんどん利益が増えていくことをいいます。
年金暮らしが不安な人はプロに相談しよう!
より豊かな年金暮らしに向けて、公的年金以外にも資産を準備しておくと安心です。
しかし、自分が受け取れる年金額を調べ、どのくらい準備が必要なのか計画するのは大変だと感じる人もいるでしょう。「自分ではよくわからない」「誰かに相談したい」という人には、プロへの相談がおすすめです。
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まとめ
老後にゆとりある暮らしを送るためには、最低限必要な生活費に上乗せ額を考慮しなければなりません。国民年金の納付月額や現役時代の雇用形態によって、受給できる年金額は異なるため、ねんきん定期便やねんきんネットを利用して見込み額を把握しておきましょう。
老後生活にかかる費用と受け取れる年金見込み額に差がある場合は、公的年金以外にも経済的な準備を行う必要があります。
年金暮らしへ不安を感じる人や、準備方法を相談したい人は、プロに相談するのも手段のひとつです。ぜひ、auフィナンシャルパートナーをご活用ください。
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