資産形成・老後資金 2023.3.31

50代の預貯金額はいくら?平均や老後資金の目安を解説

50代に入ると子育てがひと段落する家庭も多く、老後の生活に目を向けはじめる方が多い傾向にあります。

特に昨今は「老後2,000万円問題」が話題になったことで、「今ある預貯金だけで大丈夫なのだろうか」と不安になっている方も少なくないでしょう。

実際、金融広報中央委員会による令和4年度の調査によると、二人以上世帯の50代の83.0%が老後の生活に関して「心配である」と回答、単身世帯の50代も84.4%が「心配である」と回答していることが分かっています(※)。

そこで本記事では、「50代の預貯金について」特集。世間一般の50代の預貯金額をまとめているほか、「50代以降にいくらの資金が必要になるのか」についても言及します。

50代におすすめの資金を増やす方法も紹介しているので、お金のことで不安を抱えている方はぜひご一読ください。
(※)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」

50代の平均預貯金額はいくら?

ここでは、50代のリアルな預貯金額を把握しましょう。金融広報中央委員会が発表している「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年度)」を基に、わかりやすく解説します。

50代(単身世帯)の預貯金額と金融資産保有額

こちらは、独身の方の預貯金額と金融資産保有額をまとめた表です。金融資産とは、預貯金のほか保険商品や株式、投資信託など資産すべてのことをさします。

平均預貯金額 478万円(※1)
金融資産保有額の平均値 1,048万円(※2)
金融資産保有額の中央値 53万円(※2)

(※1)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)金融資産の有無、金融資産非保有世帯の預貯金口座または証券会社等の口座の有無および現在の預貯金残高 」
(※2)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)」
上記資料を元に筆者作成

平均預貯金額と金融資産保有額の平均に大きな差があることから、この表を見るだけでは預貯金以外で資産形成をされている方が多いように感じられるのではないでしょうか。

しかし金融資産の保有率をみると、下表のとおり預貯金以外の保有率は全て30%以下と、少ないのが実情です。

金融商品名 50代の保有率
預貯金 94.0%
積立型保険商品(生保・損保) 25.1%
個人年金保険 21.9%
株式 20.5%
投資信託 19.4%
財形貯蓄 5.2%
債券 4.9%
金銭信託 1.9%
そのほか 7.7%
いずれも保有していない 5.5%

(※3)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)預貯金口座または証券会社等の口座の有無、現在保有している金融商品」を元に筆者作成

金融資産の平均保有額と中央値の差が大きいことからも、預貯金以外の金融資産を積極的に活用しているのは一部の層が主であり、預貯金のみという方も多いことが推察されます。

以上のことから、一般的な50代の預貯金額を把握する際には、金融資産保有額の中央値(53万円)を参考にするとよいでしょう。

50代(2人以上世帯)の預貯金額と金融資産保有額

こちらはご夫婦またはお子さまがいる世帯など、2人以上世帯を対象にした預貯金額と金融資産保有額をまとめた表です。

平均預貯金額 269万円(※1)
金融資産保有額の平均値 1,253万円(※2)
金融資産保有額の中央値 350万円(※2)

(※1)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)金融資産の有無、金融資産非保有世帯の預貯金口座または証券会社等の口座の有無および現在の預貯金残高 」
(※2)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)」
上記資料を元に筆者作成

独身の方に比べると預貯金額は少なくなっていますが、金融資産に関しては平均保有額だけでなく中央値も大きく増えています。

金融資産の保有率についても確認してみましょう(※3)。

金融商品名 50代の保有率
預貯金 96.5%
積立型保険商品(生保・損保) 37.5%
株式 31.4%
個人年金保険 31.0%
投資信託 26.3%
財形貯蓄 15.4%
債券 5.5%
金銭信託 5.5%
そのほか 7.0%
いずれも保有していない 3.0%

(※3)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)預貯金口座または証券会社等の口座の有無、現在保有している金融商品」を元に筆者作成

独身の方と比較して、2人以上世帯では金融資産の保有率が全体的に上がっています。

(※4)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)預貯金口座または証券会社等の口座の有無、現在保有している金融商品」
(※5)出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年) 預貯金口座または証券会社等の口座の有無、現在保有している金融商品」
上記資料を元に筆者作成

万が一のときがあったときに備え、配偶者やお子さまに資産を遺すため、預貯金以外の金融資産を持つ方が増えるのでしょう。

しかし、やはり金融資産の平均保有額と中央値には開きがあることから、預貯金以外の資産形成を特に活用しているのは一部の層であることが推測できます。

一般的なご家庭であれば、金融資産の中央値(350万円)を参考にするのがよいでしょう。

思うように老後資金の貯蓄が進んでいない50代は多い

ここまでにご紹介した統計を確認すると、思うように老後資金の貯蓄が進んでいない50代は多いと考えられます。

しかし、これらの結果を見て「貯蓄ができていなくても大丈夫」と安心して終わるのではなく、貯蓄についてはよく考える必要があります。

なぜなら、近年は65歳以降もリタイアせずに働き続ける方が増えているものの、現実問題として60代以降も同じ収入を保つことはまず難しいためです(※)。

ゆとりのある老後を過ごしたいのであれば、老後資金の準備は50代の早いうちから本格的にはじめることをおすすめします。

(※)出典:厚生労働省「(2) 性別にみた賃金」

50代以降に必要な費用はどれくらい?

ここでは、50代以降に起こり得るライフイベントや、それにともなう費用を一例として紹介します。

これから必要になる費用を踏まえたうえで、計画的に貯蓄を進めましょう。

子どもの教育資金

50代前半のうちは、お子さまが独り立ちする前であるご家庭も多いでしょう。

まず大学の進学費用(入学料、授業料)として、以下を把握しておきましょう。国立大学の進学費用は国が定める標準額、私立大学の進学費用は文部科学省の調査による令和3年度における平均額を基にまとめています。

進学費用
国立大学 817,800円(※1)
私立大学 1,357,080円(※2)
私立短期大学 1,127,586円(※2)

(※1)出典:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令 平成十六年三月三十一日 文部科学省令第十六号」
(※2)出典:文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
上記資料を元に筆者作成

実家からの通学でない場合には、このほか仕送り費用も踏まえる必要があります。

子どもの結婚費用

お子さまが結婚する場合、お祝いにいくらか包むのとは別に結婚式の費用を出すご家庭も少なくはありません。そのほか出産費用を出すケースもあります。

結婚費用ばかりは選ぶ式場やプランによっても異なるため、「いくら必要」とは一概にいえませんが、「ゼクシィ結婚トレンド調査 2022」の首都圏のデータによれば親・親族の平均援助額は193.2万円となっています(※)。

お子さまの結婚を祝福する50代親御さんも少なくはないと思いますのでこちらの金額を参考にしてみてはいかがでしょうか。

(※)出典ː「ゼクシィ結婚トレンド調査 2022 結婚費用 首都圏」

医療・介護費用

医療費用や介護費用の準備は、ご両親の分はもちろん、将来の自分の分も念頭に置きましょう。

まず医療費についてですが、厚生労働省の調査によると、国民1人あたりの生涯にかかる推計医療費は約2,700万円でした(※1)。このうち、医療保険給付で賄われる金額は約2,300万円で、約85%が医療保険から賄われます。下記の表は、年齢別の推計医療費とその内訳を示しています。

生涯医療費(令和元年度推計)(※1)

年齢 推計医療費(給付費+患者負担費)
給付費 患者負担費
0~4歳 120万円
100万円 19万円
5~9歳 65万円
51万円 14万円
10~14歳 53万円
40万円 12万円
15~19歳 42万円
33万円 10万円
20~24歳 40万円
31万円 9万円
25~29歳 51万円
39万円 11万円
30~34歳 60万円
47万円 13万円
35~39歳 66万円
52万円 15万円
40~44歳 75万円
59万円 17万円
45~49歳 90万円
70万円 20万円
50~54歳 113万円
89万円 24万円
55~59歳 142万円
112万円 30万円
60~64歳 175万円
139万円 36万円
65~69歳 213万円
174万円 39万円
70~74歳 258万円
226万円 32万円
75~79歳 304万円
277万円 27万円
80~84歳 310万円
284万円 26万円
85~89歳 262万円
241万円 21万円
90~94歳 163万円
150万円 13万円
95~99歳 63万円
59万円 5万円
100歳以上 12万円
11万円 1万円

(※1)出典:厚生労働省保険局「医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化について 」を元に筆者作成

上記の表から、50代以降に必要な医療費(患者負担)は約255万円ということが分かります。

一定以上の所得がある後期高齢者は、2022(令和4)年10月1日から窓口負担割合が1割から2割に変更になったため、75歳以上の負担割合が2割になる方はさらに負担額が増えます。老後の資金計画を立てる際には注意が必要です。

一方、介護費用についてはどのようなサービスを利用するかによってさまざまであるため、どのようなサービスがあるのか、それぞれいくらぐらいかかるのかはあらかじめチェックしておきましょう。

以下は、生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査/2021(令和3)年度」より介護費用の平均額をまとめたものです(※2)。

平均額
在宅介護の費用 月額4.8万円
施設介護の費用 月額12.2万円
そのほか介護にかかった費用 74万円

(※2)出典:公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査/2021(令和3)年度」を元に筆者作成

保険費用

推定医療費の推移からもわかるように、50代以降は病気やけがのリスクも高まるため、保険の見直しが必要な時期です。

保険にかける費用のベストは家族構成やライフプランによって異なりますが、ここでは目安として、「公益財団法人 生命保険文化センター/生命保険(個人年金保険を含む)の加入状況」に掲載されている2021(令和3)年 世帯年間払込保険料(民保)(世帯主年齢別)による払込保険料の平均額をご覧ください(※)。

払込保険料の平均額(年間)
50~54歳 42.2万円
55~59歳 42.2万円
60~64歳 37.0万円
65~69歳 42.3万円
70~74歳 31.9万円
75~79歳 31.0万円
80~84歳 30.2万円
85~89歳 30.1万円
90歳以上 18.1万円

(※)出典:公益財団法人「生命保険文化センター/生命保険(個人年金保険を含む)の加入状況」を元に筆者作成

マイホームのリフォーム費用

マイホームをお持ちの方は早ければ50代、遅くても60代以降にはリフォームを検討する時期がやってくるでしょう。

リフォーム費用はリフォーム規模によって大きく異なり、規模が大きければ何百万や何千万に上ることもあるため、事前にしっかりと準備しておくことが大切です。

ここでは目安として、国土交通省が提供している「リフォームの内容と価格について 資料5」を参考に費用の目安をチェックしてみましょう。

リフォーム内容 価格目安
太陽光発電システム 200万円〜300万円
ストレート屋根の塗り替え 20万円〜80万円
タンクレストイレへの交換 30万円〜50万円
システムバス交換 60万円〜150万円
耐震補強(基礎からの工事) 100万円〜200万円
内窓の設置 6万円〜12万円
壁クロスを珪藻土に 18万円〜30万円
システムキッチンの交換 40万円〜80万円
畳→フローリングへ 15万円〜60万円

(※)出典:国土交通省「リフォームの内容と価格について」を元に筆者作成

リフォームでもローンは利用できますが、利用する方の年齢層もあってか、費用のほとんどを自己資金でまかなっている方が多いようです。

ゆとりのある老後生活を実現するための費用

食費や固定費など最低限の費用のみでは、ゆとりのある老後生活を送ることは難しいでしょう。

「旅行をしたい」「趣味のグッズを集めたい」など、理想の老後生活のために必要な資金も老後資金として貯蓄していきたいところです。

50代から預貯金額を増やす方法

生涯の支出状況をみると、多く位の世帯で40代後半から50代前半にかけて家計支出が最大になる傾向が見られます。

この年代は住宅ローンの支払いや、お子さまの大学進学による教育資金の影響を受けやすいため、家計が赤字になるのは仕方ないといえるでしょう(※)。

だからこそ今をあまり悲観することはせず、これからの貯蓄に目を向けましょう。以下では、50代から預貯金額を増やすための具体的な方法について解説します。

(※)出典:e-Stat「家計調査 家計収支編 第4表 世帯人員・世帯主の年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出」

家計を見直す

うまく貯蓄ができないときには、まずは家計を見直して、問題点を明確にしましょう。

家計を大きく改善しやすいのは、住宅ローンや保険、車、スマートフォンやパソコンの通信費など、支出の中でも大きな割合を占める固定費の見直しです。収入にあったプラン設計となっているかを確認し、削れるところは削りましょう。

「家計を見直しても十分な貯蓄が難しそう」となった場合には、いよいよ次の手段として資産運用や副業などを検討します。

このような流れで動くことで足りない金額が具体的にわかり、どのような方法で貯蓄を増やすのが適切かもわかりやすくなるでしょう。

資産運用を行う

老後資金を蓄えるため、比較的まとまった金額が必要という状況であれば、資産運用を検討しましょう。

資産運用と一口にいってもさまざまな方法がありますが、初心者には安定性を重視した投資商品や保険商品による「積立」がおすすめです。例えば「iDeCo」や「つみたてNISA」などが該当します。

ただしリスクが低い商品ほどリターンも少なくなるのが常であるため、なるべく早めにはじるとよいでしょう。

できることなら大きいリターンがほしいと考えてしまうかもしれませんが、資産運用の知識がゼロの状況で50代からハイリターンの投資をはじめるのはリスクが高いです。

特にお金に余裕がない場合は、大きな初期投資額が必要になる不動産投資や株式投資は避けるのが無難でしょう。

まずは積立でどこまで貯蓄を増やせるか計算したうえで、足りない分をどのように工面すべきか考えることをおすすめします。

副業をはじめる

副業可能な会社に勤めているのであれば、副業を検討しましょう。

近年はクラウドソーシングサービスやリモートワークが広まったことによって、手軽に副業をはじめられる環境が社会的に整っています。

何を副業にするかはご自身の都合や好みにあわせることになりますが、おすすめなのは特技を活かせる仕事です。

副業を機に「本当はやりたかったこと」に挑戦し、生きがいを見つける方も少なくありません。

老後資金のお悩みはauフィナンシャルパートナーへご相談を

50代を迎え、老後資金の準備に不安を抱えたときには、お金のプロに相談することをおすすめします。

ここしばらくの日本は、物価が上がるのに対して給与は上がらないといった状況です。しかし、平均寿命は延びていることから、必要な老後資金額は増えています。

それにともない、「十分な資金ができない」という事態が多くの世帯に起こり、お金の悩みを抱えている方も多いでしょう。

「私に必要な老後資金はいくら?」「どうやって預貯金を増やすのが適切?」など、具体的な回答を得たい場合は、お金のプロ「auフィナンシャルパートナー」までぜひご相談ください。

auフィナンシャルパートナーのauマネープラン相談では、無料で家計の見直しサービスを実施。お客さま一人ひとりの家族構成やライフプランにあわせて、見直しプランを具体的にご提案いたします。

またKDDIグループでは「au iDeCo」の取り扱いもあるため、資産運用の方法としてお客さまにマッチしているようであれば、iDeCoの開始までもスムーズです。

「資産運用をはじめたいが知識がまったくなく、どうしてよいかわからない」といった方も、まずはお気軽にご相談ください。

まとめ

50代の平均貯金額は単身世帯で478万円、2人以上世帯で269万円。さらに金融資産保有額の中央値でみると単身世帯で53万円、2人以上世帯で350万円となっており、あまり充実しているとはいえません。

現代日本を取り巻くお金の事情を考えると、仕方のないことだといえるでしょう。

しかし仕方がないからといってそのままにしておくと、ゆとりのある老後生活を送るのは難しくなってしまいます。

何から手をつけたらよいかわからずに悩んでいる方は、まずはauフィナンシャルパートナーまでご相談のうえ、いち早く老後資金の準備をはじめましょう。

執筆者名:
田貫 朔子
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