資産形成・老後資金 2023.10.16

iDeCo(イデコ)とNISA(ニーサ)の違いは?どちらを選ぶか迷っている人へわかりやすく解説

将来のために資産を形成したいと考えたとき、どのような方法が思い浮かぶでしょうか。
近年、「iDeCo(イデコ)」と「NISA(ニーサ)」といった税制上の優遇を受けられる資産形成方法が推奨されています。しかし、iDeCoとNISAのどちらを選べばよいのか悩む人は少なくないでしょう。
iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、老後に向けた資産形成に適しています。一方、NISAは現金化しやすく、子どもの教育費など10〜20年後に使う目的での資産形成として有効な手段です。
今回は、それぞれの特徴を挙げたうえで、iDeCoとNISAに向いている人を解説します。

iDeCoとNISAは何が違う?

iDeCoとNISAは、具体的にどのような点が異なるのでしょうか。ここでは、iDeCoとNISAの基本的な仕組みと相違点を比べてみます。

iDeCoとは

iDeCoの正式名称は、「個人型確定拠出年金」といいます。任意で加入できる私的年金制度であり、申し込みから運用まですべて自分で行う点が特徴です。

下記のとおり、3つの税制優遇を受けられるという強みがあります。

・掛金が全額所得控除の対象
・運用益が非課税
・受取金額の一部が非課税

拠出した掛金は、原則60歳まで引き出せません。また、国民年金の加入区分や企業年金への加入有無によって、拠出限度額が異なります。

NISAとは

NISAとは少額投資非課税制度であり、少額からの投資で得た利益に対して税金がかからない制度です。

NISAには、下記の3種類があります。

・つみたてNISA
・ジュニアNISA

ジュニアNISAの新規口座開設は2023年までで、2024年以降は新規購入ができません。また、2023年の税制改正大綱により、2024年以降は抜本的拡充および恒久化を目指す「新しいNISA」が導入されます。

iDeCoとNISAの違い

iDeCoとNISA制度(一般NISA・つみたてNISA)の違いは下表のとおりです。

iDeCo 一般NISA つみたてNISA
加入対象者 20歳〜60歳 20歳以上
(2023年1月以降は18歳以上)
20歳以上
(2023年1月以降は18歳以上)
投資枠上限
(拠出限度額)
14.4万円〜81.6万円(年額) 120万円(年額) 40万円(年額)
非課税保有期間 65歳まで拠出可能 5年 20年
出金 原則60歳 いつでも可能 いつでも可能
税制上の優遇 ・拠出時、掛金が所得控除の対象
・運用益が非課税
・給付時、公的年金等控除または退職所得控除の対象    
運用益が非課税 運用益が非課税
運用商品 元本確保型
投資信託
上場株式
ETF
公募株式投信
REITなど
長期積立に適した一定の投資信託

(※1)出典:金融庁「NISAとは?」
(※2)出典:iDeCo公式サイト「iDeCoの仕組み」

上記資料を基に筆者作成

iDeCoとNISAの共通点は、「運用益が非課税であること」です。税制上の優遇を享受できる機会が多いことが、iDeCoの特徴のひとつといえます。

また、iDeCoは原則60歳まで現金化できませんが、一般NISAやつみたてNISAは、いつでも引き出すことができます。

iDeCoの種類

ここでは、iDeCoで運用できる商品の種類を解説します。iDeCoの商品は、主に「元本確保型」と「投資信託」の2つに分けられます。

元本確保型

元本確保型の商品には預貯金や保険などがあります。

満期まで保有すれば元本が保証されているため、確実性が高く、運用期間が短い場合や安全性を重視する場合に適しています。定期預金の場合、あらかじめ決められた金利で運用され、満期時に元本と利息を受け取れます。

保険商品には、生命保険や損害保険などがあり、貯蓄機能を重視した商品もあります。中途解約した場合に解約控除が適用されたり、受取方法によって元本を下回る可能性がある商品もありますので、加入前に内容を確認しておく必要があります。

投資信託

投資信託には、大きく分けて7種類あります。

・国内株式型
・外国株式型
・国内債券型
・外国債券型
・バランス型ファンド
・ターゲット・イヤー型ファンド
・REIT(国内・国外)

iDeCoに加入している人で、投資信託を選ぶ人は少なくありません。

投資対象や運用方針によって、リスクやリターンの大きさはさまざまですが、リスク許容度を考慮しながら、バランス良く分散投資すると損失リスクを軽減できます。

NISAの種類

NISAには、一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAがあります。現行のジュニアNISAは2023年度末で新規口座の開設が終了し、2024年には「新しいNISA」がスタートします。

一般NISA

一般NISAは、2014年1月に始まった制度です。

非課税保有期間は5年、年間非課税枠は120万円、2014年から2023年まで投資できます。非課税保有期間を終了したときは、翌年の非課税投資枠に移すロールオーバーが可能です。払出し制限はありません(※)。

つみたてNISAに比べると、非課税保有期間は短いですが、年間投資枠はつみたてNISAの3倍です。また、投資可能な商品は上場株式・ETF・公募株式投信・REITなど、つみたてNISAよりも種類豊富であるため、自分で選んで運用したい人に向いています。

(※)出典:金融庁「一般NISAの概要」

つみたてNISA

2018年1月にスタートしたつみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資をメインとした制度です。

非課税保有期間は20年、年間非課税枠は40万円、2018年から2042年まで投資可能です(※)。一般NISAのように、非課税期間終了後、翌年の非課税投資枠に移すことはできません。

投資可能商品は、一定の条件(手数料が低水準、分配金の回数)を満たす長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託、上場株式投資信託(ETF)に限定されています。そのため、商品が選びやすく、投資経験がない初心者の人に適した制度です。

(※)出典:金融庁「つみたてNISAの概要」

ジュニアNISA

ジュニアNISAは、2016年にスタートした、未成年のための非課税制度です。

非課税保有期間は5年、年間非課税枠は80万円、2016年から2023年まで投資できます。新規口座開設は2023年まで、2024年以降は新規購入ができません(※)。

18歳まで払出し制限がありますが、2024年以降は年齢にかかわらず非課税での払出しが可能になります。

(※)出典:金融庁「ジュニアNISAの概要」

新しいNISAは一般NISAとつみたてNISAの2階建て

新しいNISAは、2023年の税制改正大綱により、2024年以降に導入されます。

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2階建て構造で、ともに非課税保有期間は無期限、口座開設期間は恒久化となります。

つみたて投資枠の年間投資枠は120万円で、投資可能商品は現行のつみたてNISAと同様です。また、成長投資枠の年間投資枠は240万円、投資可能商品は上場株式など現行の一般NISAと類似していますが一部商品は対象外となっています(※)。

2023年末までに現行の一般NISA・つみたてNISAで投資した商品は、新しい制度の外枠で、現行制度に置ける非課税措置が適用されます。

(※)出典:金融庁「令和5(2023)年度税制改正について-税制改正大綱における金融庁関係の主要項目-」

iDeCoとNISAのメリットと注意点

ここで、iDeCoとNISAのそれぞれのメリットと注意点をみていきます。

iDeCoのメリット

iDeCoの最大の魅力は、3つ(拠出・運用・給付時)の税制上の優遇制度です。

・掛金全額が所得控除の対象となる
・運用益が非課税で再投資できる
・受取時に控除がある

また、iDeCoは月額5,000円から積み立てることができるうえ、掛金額を1,000円単位で調整できます。少ない金額からはじめられるため、無理なく続けることが可能です(※)。

(※)出典:iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)の仕組み」

iDeCo利用時の注意点

iDeCoを利用するときに、気をつけておきたいことは下記の3点です。

・原則60歳まで引き出せないため、現金化しにくい
・給付額は運用成績により変動する
・加入時、移管時など手数料が発生する

拠出した金額は、60歳まで引き出せないため、流動性が高いとはいえません。また、給付額が運用成績によるため、給付額は決まっていないことを覚えておきましょう。

金融機関によっては、手数料が発生する場合もあるため注意が必要です。

NISAのメリット

NISAのメリットは下記の3点です。

・運用益に対して税金がかからない
・(一般NISA・つみたてNISA)払出し制限がなく、現金化しやすい
・(つみたてNISA)長期・分散・積立投資に適した商品が多く投資初心者に向いている

一般的な金融商品であれば、運用益に約20%の税金がかかりますが、NISA制度では非課税で運用できます。

つみたてNISAや一般NISAには払出し制限がないため、10年や20年で引き出して使うことも可能です。また、つみたてNISAは初心者向けの商品が厳選されているため、投資経験がなくても資産形成にチャレンジしやすい点が魅力です。

NISA利用時の注意点

NISAをはじめるにあたって、注意しておきたいのは下記の3点です。

・元本保証ではない、自分で調整が必要な場合がある
・ほかの口座(一般口座や特定口座)との損益通算ができない
・(つみたてNISA)一般NISAと比べると投資可能な商品が少なく、非課税投資枠が小さい

NISA制度には、預貯金のような元本保証はありません。運用がうまくいけばリターンを期待できますが、運用状況によっては元本を下回る可能性もあります。

また、価格の変動に応じて、自分で株式や投資信託の割合の調整が必要なケースもあります。

iDeCoがおすすめな人

下記のような人には、iDeCoの利用がおすすめです。

・長期目線で積み立て分散投資をしたい人
・しばらく使う予定がないお金を投資にまわしたい人
・老後の資産形成を目的に投資がしたい人

iDeCoの「引き出しにくさ」は利用時の注意点でもありますが、貯蓄が苦手な人にとっては、簡単に引き出せない方が資産を形成しやすいといえます。

また、拠出時や運用中だけでなく、引き出し時にも税制優遇を受けられるので、老後の資産形成に適しています。

NISAがおすすめな人

NISAが適しているのは、下記の内容に当てはまる人です。

・積極的な運用がしたい人
・5年から20年後に資産を使う予定がある人

一般NISAでは、株式や投資信託だけでなくETFやREITなども対象であり、積極的な運用をしながら、税制上の優遇も受けられる点が魅力です。

子どもの教育費や、車の購入など5年から20年の間にライフイベントが控えている人は、現金化しやすいNISA制度が向いています。

iDeCoとNISAは併用できるのか

iDeCoとNISAは併用できます。

老後の資産形成に適したiDeCoと、幅広い目的に利用できるNISAを活用すれば、長期的な資産形成が可能になります。

iDeCoもNISAも、拠出額はある程度自由に設定できるので、目的の優先順位にあわせて調整していくと有効に利用できます。

また、どちらで運用する場合も、資産が必要な時期が近づいてきたら、収益性より安全性を重視した商品を選ぶことが大切です。

資産形成に迷ったらプロに相談するのがおすすめ!

老後の生活や子どもの教育資金を準備するために、税制上の優遇も受けられるiDeCoやNISAは有効な手段です。

しかし、運用商品は種類豊富なため、自分で選ぶのは難しいと感じる人もいるのではないでしょうか。資産形成について相談したい人に、auフィナンシャルパートナーのauマネープラン相談がおすすめです。

お金のプロであるファイナンシャルプランナーに、お金に関する悩みを相談できます。資産形成だけでなく、老後資金や住宅購入に関する相談も可能です。

まとめ

iDeCoとNISAは、長期的な資産形成を目標とした制度です。

どちらも運用益が非課税である点は共通ですが、NISAは現金化しやすく、iDeCoは掛金がすべて所得控除の対象になるなど、それぞれ特徴があります。併用すれば、より有効に資産形成できるでしょう。

iDeCoとNISAのどちらを利用するか迷ったときには、auフィナンシャルパートナーをご活用ください。ファイナンシャルプランナーに相談することで、資産形成や老後資金など、お金の悩みを解決できます。

執筆者名:
粟井 はる
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