確定拠出年金とは?メリットや注意点、運用商品の特徴と選び方を解説

「老後2,000万円問題」が提起されてから、年金暮らしに不安を感じている人も少なくないでしょう。
「老後2,000万円問題」とは、65歳以上の夫婦二人世帯、単身世帯が年金収入で暮らす場合、支出に対して毎月約5万円の赤字が出るため、30年で約2,000万円が不足すると金融庁が報告したものです(※)。
このニュースは多くのメディアで取り上げられ、人々が「資産形成の必要性」を意識する契機となりました。
資産形成のためにはさまざまな方法がありますが、そのひとつに「確定拠出年金」があります。確定拠出年金の代表である「iDeCo(イデコ)」は、加入者ごとに拠出された掛金を、加入者自らが運用する年金制度です。
今回は、確定拠出年金の仕組みやメリット・注意点を解説したうえで、運用商品の特徴と選び方を解説します。
(※)出典:金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 高齢社会における資産形成・管理」
確定拠出年金とはどんな制度?
確定拠出年金は、私的年金制度のひとつです。私的年金とは、公的年金の上乗せ給付を保障する制度であり、大きく分けると「確定給付型」と「確定拠出型」の2つがあります。
「確定給付型」の年金制度では、加入した期間などにもとづいて、あらかじめ給付額が決まっています。一方で、「確定拠出型」は運用結果によって給付額が決まります。拠出した掛金額と、その運用によって生じた利益の合計額を受け取れる仕組みです。
確定拠出型には、企業型と個人型の2種類があります。
企業型確定拠出年金は、事業主が掛金を拠出し、加入者(従業員)が運用を行います。一定の条件のもと、加入者が掛金を上乗せするマッチング拠出という制度もあります。
個人型確定拠出年金は、通称「iDeCo(イデコ)」と呼ばれています。個人が、掛金の拠出・運用・手続きなどすべて自分で行う制度です。
確定拠出年金とその他の年金の違い
確定拠出年金は、その他の公的年金と何が異なるのでしょうか。国民年金や厚生年金など、その他の年金の基本的な仕組みを説明したうえで、確定拠出年金との違いをみていきます。
国民年金
国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人に加入義務がある公的年金です。
加入区分は、第1号被保険者・第2号被保険者・第3号被保険者の3種類あります。自営業者や学生などは第1号被保険者、会社員や公務員などは第2号被保険者、第2号被保険者に扶養されている配偶者(年収130万円未満)は第3号被保険者に区分されます(※)。
第2号被保険者・第3号被保険者に該当する人は、基本的に国民年金へ保険料を直接納めることはありません。加入している厚生年金保険や共済組合が、国民年金に必要な額を負担しているためです。
国民年金は、原則65歳から受給されます。受給するには、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した、受給資格期間が10年以上必要です。
受け取れる年金額は、20歳から60歳までの納付月数や厚生年金の加入期間などに応じて算出されます。
(※)出典:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
厚生年金
日本の公的年金制度は2階建ての構造であり、1階に「国民年金」、2階に「厚生年金」があります。
常時従業員がいる企業に勤める70歳未満の一定の人は、必ず厚生年金に加入します。加入に関する手続きなどは事業主側が行い、保険料は事業主と加入者(従業員)が半額ずつ負担する労使折半です。
企業に勤め、資格要件を満たしていれば厚生年金の被保険者になりますので、20歳になっていなくても加入する場合があります。
国民年金と同じく、原則65歳から受給できます。また、65歳になる前、60歳から65歳までの間に繰り上げて減額された年金を受け取る「繰上げ受給」や、65歳で受給せず、66歳から75歳までの間に繰り下げて増額された年金を受け取る「繰下げ受給」を選択することも可能です。
厚生年金基金
厚生年金基金とは、確定給付企業年金制度(DB)・確定拠出年金制度(DC)にならぶ私的年金のひとつです。事業主が単独(または共同)で厚生年金基金という公法人を設立し、国にかわって厚生年金の一部を支給するうえに企業独自の上乗せ給付を行います。
確定給付企業年金制度と同じく将来の給付額が決まっており、運用リスクは事業主側が負うことになります。
また法改正により、2014年4月からは厚生年金基金の新規設立が認められていません。現在、多くの厚生年金基金は、解散または確定給付企業年金に移行しています。
確定拠出年金
確定拠出年金には「企業型」と「個人型」の2種類があります。
個人型確定拠出年金への加入は任意であり、国民年金のような加入義務はありません。企業型確定拠出年金では、事業主が確定拠出年金制度を導入しているかによって加入の可否が決まります。
また、確定拠出年金は原則60歳に到達した場合に受給できます。60歳時点で通算加入者等の期間が10年未満であれば、支給開始年齢は段階的に先延ばしになります。
公的年金(国民年金・厚生年金)の受給額は、保険料の納付月数や加入期間、就業時の給料などで給付額が決まります。一方、確定拠出年金では、掛金額とその運用によって得た利益の合計額で決まるため、運用結果によって給付額が変化します。
加入者が自分で拠出・運用を行う点が特徴であり、運用リスクは加入者が負う点には注意が必要です。しかし、確定拠出年金制度の間での年金資産の持ち運びが可能であり、転職・離職に対応しやすいという強みがあります。
確定拠出年金には2種類ある
確定拠出年金には、「企業型」と「個人型」の2つあります。ここでは、それぞれの特徴を説明します。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、国民年金基金連合会が実施する制度です。申込手続き・掛金の拠出・資産の運用を、すべて加入者本人が自分で行う必要があります。
個人型確定拠出年金では、掛金の拠出時・資産の運用時・給付金の受取時という3つのタイミングで、税制上の優遇が受けられます。
掛金の拠出は65歳まで可能ですが、拠出限度額は、国民年金の加入区分などによって異なります。最も多くの掛金額を拠出できるのは、国民年金の第1号被保険者(自営業者など)であり、月額6.8万円まで拠出可能です。
企業型確定拠出年金(DC)
企業型確定拠出年金(DC)は、事業主が主体となって実施する制度です。掛金は事業主側が拠出し、運用は加入者(従業員)が行います。
企業型確定拠出年金のなかには、「選択制確定拠出年金(DC)」があります。選択制確定拠出年金では、退職金や給与を原資として、従来どおり給与として受け取るか、確定拠出年金に拠出するか選ぶことが可能です。
確定拠出年金へ拠出した掛金は、給与とはみなされないため、所得税などで税制上の優遇を受けられます。また、選択制DCでは、給与などの一部を掛金とするため、所得税だけでなく社会保険料でも軽減効果があります。
また、各企業の規約など一定の条件を満たせば、企業型確定拠出年金とiDeCoの併用も可能です。
確定拠出年金のメリット

確定拠出年金には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
まず、確定拠出年金では、下記のように3つの税制上の優遇が受けられます。
・加入者が拠出した掛金額の全額が所得控除の対象となる
・運用益に税金がかからない
・給付金を受け取る際にも控除を受けられる
確定拠出年金で加入者が拠出した掛金額は、すべて「小規模企業共済等掛金控除」の対象です。そして、一般的な金融商品であれば運用益に対して約20%課税されますが、確定拠出年金の場合は、非課税で再投資できます。
給付金の受け取り方は、「年金」と「一時金」の2つから選べます。年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象です。
また、確定拠出年金制度の間で年金資金の持ち運びができるため、離職・転職の際に対応しやすい点も強みです。
運用が順調であれば資産を増やせる可能性も高いため、長期的な資産形成を行う時間の猶予があり、老後の暮らしに備えたい人に適しています。
確定拠出年金の注意点
確定拠出年金をはじめるにあたって、注意すべき点は2つあります。
まず、「資産運用リスクは加入者本人が負う」ことを覚えておきましょう。確定拠出年金で受け取れるのは、拠出した掛金と、その運用益を合わせた金額です。運用がうまくいかなった場合は、想定していた受給額を下回る可能性があります。
また、確定拠出年金に拠出した掛金は、原則60歳まで引き出せません(※)。預貯金などに比べると、流動性が低い点には注意が必要です。一方、着実に資産を形成するためには「引き出しにくさ」がメリットになる場合もあり、貯蓄が苦手な人には適しているといえます。
所有する資産のバランスを考慮しながら、長期的な資産運用に拠出しても問題のない金額設定を行いましょう。
(※)出典:国民年金基金連合会「iDeCoをはじめよう」
確定拠出年金の運用商品の特徴と選び方
確定拠出年金の運用商品には、主に「元本確保型」と「投資信託」があります。
元本確定型には預貯金や保険、投資信託には株式や債券、バランス型などがあります。イデコ公式サイト「確定拠出年金統計資料(2022年3月末)」によると、2022年3月末時点での運用商品の割合は下記のとおりです(※)。
商品の種類 | 運用商品の割合(※) | |
元本確保型
|
預貯金 | 29.4% |
生命保険 | 12.0% | |
損害保険 | ||
投資信託
|
国内株式型 | 12.5% |
外国株式型 | 16.0% | |
国内債券型 | 4.8% | |
海外債券型 | 3.9% | |
バランス型 | 19.5% |
(注)短資・その他の商品の割合は含んでいません。
(※)出典:国民年金基金連合会「確定拠出年金統計資料(2022年3月末基準)」を元に筆者作成
2022年3月末の運用商品の割合をみると、元本確保型では預貯金(29.4%)、投資信託ではバランス型(19.5%)が大きな割合を占めています(※)。
預貯金や保険などの元本確保型は、満期まで保有すれば元本割れしないため、安全で確実な運用が可能です。
投資信託では、資産の種類や対象地域によって、期待できるリターンや想定すべきリスクが異なります。一般的には、債券よりも株式、国内よりも外国の資産の方が、リターン・リスクが大きくなる傾向があります。
また、運用商品の選ぶときには、下記のような3つの方法があります。
・自分で投資について勉強し、リスク許容度を考慮しながら選ぶ
・各金融機関が提供しているロボアドバイザーを利用する
・資産形成のプロに相談する
確定拠出年金は、加入者本人が運用できる制度であるため、自分で投資について学び、商品を自由に組み合わせることができます。今後の収入の見通しや、資産運用を開始する年齢、投資経験の有無などから、リスク許容度を考慮した商品選びが大切です(※)。
(※)出典:iDeCo公式サイト「確定拠出年金統計資料 (2022年3月末基準)」
確定拠出年金の運用に関するご相談はauフィナンシャルパートナーへ
老後に向けて資産形成をはじめたいが、どのように準備すればよいかわからない人は少なくないでしょう。税制上の優遇などがある確定拠出年金は、長期的な資産形成に適しています。
しかし、確定拠出年金制度では、元本確保型や投資信託などさまざまな商品から、自分で選んで運用しなければなりません。
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-
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Step.3 ご相談
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まとめ
確定拠出年金は、国民年金や厚生年金など公的年金の上乗せ保障として給付される制度です。個人型と企業型があり、通称「iDeCo」と呼ばれる個人型確定拠出年金は、任意加入で拠出から運用まで加入者本人が行います。
拠出時・運用時・受け取り時に税制上の優遇を受けられるというメリットがあります。一方、原則60歳までは引き出せない点は注意が必要ですが、長期的な運用に適した仕組みです。
確定拠出年金では、預貯金や株式、債券など幅広い商品から選べます。確定拠出年金制度に関心がある方は、ぜひauフィナンシャルパートナーに相談してみましょう。
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