住宅ローン契約の流れは?必要な手続きや書類もわかりやすく解説
人生における大きな買い物の代表格といえば「マイホーム」です。
マイホームを購入する際は、住宅ローンを利用する人が大半です。住宅ローンは多くの人にとって初めての経験なので、不安なことやわからないことも多数あることと思います。
本記事では、住宅ローンの利用を検討している人に向け、住宅ローン契約の全体の流れを解説します。住宅ローンを利用する際の手続き・書類・各種費用のほか、審査に通過するためのポイントや、融資実行後に行う「住宅ローン控除」の手続きについても紹介します。
契約をスムーズに進められるよう、事前に全体像を把握しておきましょう。
住宅ローン契約の全体の流れ
まずは住宅ローン契約の全体の流れをみていきましょう。詳しい手順は金融機関により異なりますが、ここでは一般的な手続きの流れを解説します。
1.【事前審査(仮審査)申し込み】
必要書類(本人確認書類・収入証明書類・購入物件の資料など)を提出し、事前審査を受けます。
2.【物件の売買契約締結】
仮審査に通過後、物件の売買契約を締結します。
3.【本審査申し込み】
あらためて必要書類(本人確認書類・収入証明書類・売買契約書など)を提出し、本審査を受けます。事前審査より多くの書類を揃える必要があります。
4.【住宅ローンの契約手続き】
本審査通過後、金融機関や司法書士といった関連各所と連携し、住宅ローンの契約締結を行います。
5.【融資実行】
手続きに不備がなければ、金融機関から契約者に資金が振込まれます。
住宅ローン契約前のポイント
住宅ローンの契約前に押さえておくべきポイントとして、事前にやっておくといいことや、審査に通過するために把握しておきたい注意点を紹介します。
現実的な返済計画を立てる
返済能力があると判断してもらえるよう、無理のない借入額と返済期間を設定しましょう。
返済期間を長く設定すると、月々の支払い額を低く設定できますが、総返済金額が高くなる場合があります。完済時の年齢が定年退職後になる場合は、月々の収入が減った場合にも無理なく返済できる金額に設定しましょう。借入時の年齢と完済時の年齢、家族構成やライフプランを総合的に考えて返済計画を立てることが大切です。
また、住宅の維持に必要な費用も念頭に置く必要があります。集合住宅の場合は修繕積立金、戸建住宅の場合はメンテナンスやリフォーム費用、設備交換費用なども積み立てておく必要があるため、これらの費用も含めて月々どのくらいローンの返済ができるか計算しましょう。
自己資金(頭金)を多く準備する
自己資金を多く準備することで、借入総額を減らすことができます。 借入総額が少ない方が金融機関も融資を決定しやすいため、余裕があれば自己資金を多めに出すことをおすすめします。
ただし、上述のとおり住宅購入後はローン返済のほかにも出費が発生します。その後の生活に影響が出るほどの額を使わないよう、注意が必要です。住宅購入後の出費にも備え、自己資金には日々の生活に影響のない貯蓄を充て、まとまった生活費は残しておくようにしましょう。
ほかの負債は完済しておく
審査時点で何らかの債務が残っている場合、信用情報に影響する可能性があります。ローンなどの残債は、可能な限り返済を終わらせておくとよいでしょう。
もし、負債の返済と自己資金(頭金)の支払いのどちらを優先すべきか悩んでいる場合は、一度お金のプロに相談することをおすすめします。
住宅ローンの選び方については、下記ページも参考にしてください。
「自分にあった住宅ローンの選び方を知ろう!初心者にもわかりやすく解説」
住宅ローン仮審査の流れと必要書類
ここからは、仮審査の流れと用意すべき書類を紹介します。審査の全体像を把握しておくとスムーズに手続きを進めることができるので、しっかり確認しましょう。
仮審査の流れ
必要書類を添えて仮審査に申し込むと、申込者の年収、現在の負債、物件の担保価値、返済計画など、さまざまな角度から融資しても問題ないかどうかを仮審査されます。審査にかかる日数は金融機関により異なりますが、概ね即日~1週間程度で結果が出ます。仮審査に通過すると、本審査に進むことができます。
なお、審査に通過したからといって必ずローンを契約する必要はないため、複数の金融機関に仮審査を申し込むことが可能です。
仮審査の必要書類
仮審査時に必要な書類は、本審査と比較すると少なく簡易的です。
必要書類の詳細は金融機関により異なりますが、代表的なものとして「申込書」「本人確認書類」「収入証明書類」「購入物件の資料」などがあります。
申込書は、申込先の金融機関によって書式が異なりますが、借入希望額や借入希望期間、金利タイプ、他社からの借入状況などを記入します。
仮審査についての詳細は、下記の記事も参考にしてください。
「住宅ローンの事前審査では何をチェックされる?項目内容や通過するためのポイントを解説」
住宅ローン本審査の概要と必要書類
仮審査に通過してはじめて、本審査に申し込むことができます。本審査では物件の売買契約書の提出を求められるため、事前審査(仮審査)に通過後、物件の売買契約を締結してから本審査の申し込みをします。
本審査の審査日数は、一般的に1~2週間程度かかります。
審査項目や必要書類は次の項で詳しく解説します。
住宅ローンの審査項目
住宅ローンの審査はさまざまな観点から返済能力を判断されます。
国土交通省「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」によると、審査の際に考慮される項目のなかでも下記の9点は、9割以上の金融機関が検討材料として挙げており、重点的にチェックされるポイントであると考えられます(※1)。
・完済時年齢
・健康状態
・借入時年齢
・担保評価
・勤続年数
・連帯保証
・返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)
・年収
・金融機関の営業エリア
上記以外では、「国籍」「融資可能額」「雇用形態」「カードローン等の他の債務の状況や返済履歴」といった項目が上位に挙がっています。
(※1)出典:国土交通省「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」
本審査の必要書類
本審査では、仮審査より詳細な審査が行われるため、提出する書類も多くなります。
本人確認書類や収入証明書類、不動産売買契約書、重要事項説明書、健康診断の結果をはじめ、戸建の場合は建築確認済証や設計図書といった物件資料、マンションの場合は間取り図、現在お借り入れがある場合は返済予定表など、さまざまな書類が必要です。
その他に必要な書類は各金融機関がそれぞれ設定しているため、確認しておきましょう。
なかには入手に時間がかかる書類もあるので、いつまでに何の書類が必要か事前に調べておくことで、審査をスムーズに進めることができます。
融資実行後の手続き「住宅ローン控除」とは?
融資を受けた後、条件を満たしている場合は住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の制度を利用できます。
住宅ローン控除は、住宅ローンを組むと自動的に適用されるわけではなく、所定の手続きを行うことにより所得税額が控除される制度です。手続きを行わなければ税制の優遇を受けることができないため、注意が必要です。
住宅ローン控除を受けるための条件
住宅ローン控除制度を利用するための条件は次のとおりです。
・住宅ローンの返済期間が10年以上である(※2)
・物件を新築あるいは取得してから6ヶ月以内に自ら居住する(※3)
・控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下である(※4)
・床面積が50㎡以上であり、そのうち1/2以上が居住用である(※5)
・複数の住宅を所有する場合は、控除を受ける住宅が主として居住用であると認められること
・居住した年を含む前3年と翌年からの3年に譲渡所得の課税の特例を受けていない
・対象の住宅が生計を一にする親族などからの取得や贈与によるものではない
控除を受けるには、上記の要件をすべて満たす必要があります。これらは2023年7月時点で公開されている情報なので、最新の条件の詳細は国税庁のホームページを確認しましょう。
(※2)出典:国税庁「No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」
(※3)令和7(2025)年12 月31日までに入居すること
(※4)適用を受ける年の12月31日まで継続して住んでいること
(※5)マンションの場合は登記簿上の専有部分の床面積が対象
住宅ローン控除の手続き
住宅ローン控除を受けるためには、まず入居の翌年に確定申告を行う必要があります。勤務先が年末調整を行う会社員の場合、2年目以降は会社に必要書類を提出します。
必要書類は、金融機関などが発行する「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」、税務署が発行する「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」です。
年末調整がない個人事業主などは2年目以降も確定申告にて住宅ローン控除を受けます。
住宅購入・住宅ローンに関連するその他の費用の出費に注意
住宅購入・住宅ローンの利用に関連して、次のような各種費用がかかります。
・手付金、中間金
・仲介手数料
・火災保険料
・登記にかかる司法書士への報酬
・各種税金(印紙税、不動産取得税、登録免許税、固定資産税、市街化区域内の場合は都市計画税など)
なかでも手付金や中間金は数百万、場合によっては数千万単位の大きな金額を現金で用意しなくてはなりません。そのため、住宅ローン融資前に発生するこれらの費用をどうやって工面するか、事前に考えておく必要があります。
住宅ローンに関する相談はauマネープラン相談がおすすめ
今回は住宅ローンの基本的な流れを解説しましたが、実際には新築・中古、戸建て・マンションなど条件によって用意すべき書類や細かい手続きが異なります。
また、上述のとおり住宅ローンの融資が実行されるタイミングと手付金や中間金などの大きな支払いが発生するタイミングには時差があるため、支払いのスケジュールや貯蓄の状況によってはつなぎ融資を検討する必要があり、慎重に計画を立てなくてはなりません。
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住宅ローンは流れと手続きを理解して慎重に検討しよう
住宅ローンの契約は、事前審査(仮審査)、物件の売買契約締結、本審査、住宅ローンの契約、という流れで進みます。
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