不動産投資ローンの審査基準は?メリットや注意点とともにコツを解説!
不動産投資とは、家賃収入や売却益の収益を得る目的で、マンションなどの不動産を購入して行う投資です。
土地や建物など不動産の購入費用が高額になるため、多くの方が不動産投資ローンを利用して資金を準備しています。しかし、不動産投資ローンとはどのような仕組みで、住宅ローンとはどう違うのか、あまり知らない方も多いでしょう。
本記事では、不動産投資ローンの基礎知識や住宅ローンとの違い、利用するメリットと注意点、審査基準や審査の流れなどを詳しく解説します。
不動産投資ローンとは
不動産投資ローンとは、家賃収入や売却益を得る目的の収益物件、例えばマンションやテナントビルなどを購入するためのローンです。賃貸アパートのイメージから「アパートローン」とも呼ばれ、不動産投資を目的とした物件の購入や建築などの費用の融資を受けられます。
自己資金だけでは購入がむずかしい不動産も、不動産投資ローンを活用すれば購入できる可能性が高まります。
住宅ローンとの違い
不動産投資ローンと住宅ローンには、不動産を購入するためのローンである共通点があります。一見すると違いのわかりにくい二つのローンですが、借入金の使途や利用限度額などに違いがあります。
不動産投資ローン | 住宅ローン | |
借入金の使途 | 不動産投資を目的とした収益物件の購入や建築など | 契約者が居住する住宅の購入や建築など |
利用限度額 | 上限1億~10億円(※1)
|
上限8,000万~1億円(※2) |
金利の目安 | 2.0~7.0%
住宅ローンよりやや高め |
0.3~2.5%
不動産投資 ローンよりやや低め |
返済期間の目安 | 1~35年 |
大きな違いは借入金の使途です。不動産投資ローンで購入できるのは収益物件、住宅ローンで購入できるのは自分のマイホームとなります。金利を少しでも低く抑えたくても、住宅ローンを利用して収益物件の購入はできません。
(※1)担保となる不動産の評価額をもとに算出
(※2)契約者の年収や完済時の年齢などをもとに算出
変動金利と固定金利の違い
不動産投資ローンの金利タイプは、借入期間中の利率が変わらない固定金利型、一定期間のみ金利が変わらない固定金利期間選択型、定期的に金利が見直される変動金利型の3種類に分かれます。
それぞれの特徴を押さえて、契約時や今後の市場動向を考慮して納得できる金利タイプを選びましょう。
- 固定金利型
固定金利型は、契約時に決まった金利が、借入金の完済までずっと変わりません。毎月同じ返済額のため返済計画を立てやすく、低金利のうちに契約しておくと総返済額を抑えられます。ただし、金利設定は変動金利型よりやや高めです。
- 固定金利期間選択型
固定金利期間選択型は、3年・5年・10年のように一定期間を固定金利とし、期間を終えた時点で固定金利か変動金利を選び直します。固定金利型より金利は低めですが、数年のうちに金利動向が変わると良くも悪くも総返済額に影響を与えます。
- 変動金利型
変動金利型は定期的に適用金利が見直されます。多くの金融機関で毎年4月と10月の半年ごとに金利が見直されますが、返済額に反映されるのは5年ごとです。
金利上昇にともなって返済額が増える場合でも、返済額は元の金額の1.25倍を超えないように調整されます。ただし、あまりに金利が上昇すれば利息が返済額を上回り、未払利息が発生する恐れもあります。
取り扱い先の種類
不動産投資ローンは、メガバンク、ネット銀行、地方銀行、信用金庫や信用組合、ノンバンクなど、金融機関を中心に幅広く取り扱われています。
ただし、同じ不動産投資ローンでも、取り扱い先によって商品の内容や利用条件に違いがあるため注意してください。
メガバンクには住宅ローン並みの低い金利を設定できる商品もありますが、審査は厳しく時間がかかる傾向です。
また、地方銀行や信用金庫、信用組合のほとんどは営業地域内に勤務または居住する方しか利用できません。ノンバンクの不動産投資ローンは利用のハードルが低い一方、金利は高めです。
また、取り扱い先の種類にかかわらず、担保となる不動産の立地を都市部に限定する商品も珍しくありません。
最初からひとつに絞らず、複数の取り扱い先へ相談し、自分の希望にあう不動産投資ローンを探しましょう。
不動産投資ローンのメリット
不動産投資ローンを利用するメリットには、主に次のようなものがあります。
- 資金が少なくても不動産投資をはじめられる
不動産投資ローンを利用すれば、手持ちの資金が少なくても不動産投資をはじめられます。ローンを使って自己資金だけでは手にできない収益物件を購入し、大きなリターンを得ることをレバレッジ効果(テコの原理)と呼びます。
借金に抵抗を感じる方も将来的に期待される大きなリターンを考えれば、不動産投資ローンの利用はメリットとわかるでしょう。
- 家賃収入でローンを返済できる
住宅ローンは、通常、毎月の収入から返済します。そのため、家計の状況やライフプランの変化によっては、返済が困難になる可能性もあるでしょう。
しかし、不動産投資ローンの返済には毎月の家賃収入を充てられます。不動産投資の収支でローンの返済も完結できるため、本業の収入や家計への影響は少ないでしょう。
- 生命保険の代わりになる
自分の身に万が一のことがあったとき、不動産投資が軌道に乗っていれば家賃収入を生む収益物件を家族に残せます。売却するにしてもまとまった現金に換えられるでしょう。
また、団体信用生命保険(団信)の取り扱いがある場合は、加入を条件とする不動産投資ローンが多く、ローンが残っていても残された家族には返済の負担がかかりません。
不動産投資ローンの注意点
不動産投資をはじめるのに便利な不動産投資ローンですが、利用する際の注意点もあります。
- 返済には利息がかかる
不動産投資ローンは、住宅ローンと同じように、借入金に利息を上乗せして返済しなければなりません。不動産投資ローンの金利は住宅ローンより高めで、わずか数%の違いでも返済の負担は大きくなります。無理なく返済できる範囲での利用が大切です。
- ローン返済中に物件を手放さざるを得ない場合がある
不動産投資には、居住者が見つからない空室リスク、家賃を支払ってもらえない滞納リスク、建物が被害を受ける災害リスクなど、さまざまなリスクがともないます。状況によっては、家賃収入の見通しが立てられず、ローン返済中でも物件を手放すことになる場合も考えられます。
- 物件によっては収益化に時間がかかる
不動産投資は主に家賃収入で利益を得ます。しかし、不動産投資ローンでお金を借り入れている以上、いくら家賃収入が順調でも、収益化には時間がかかります。
ローンの借入金額や返済期間によっては、長期にわたって赤字から脱却できない恐れもあるでしょう。
不動産投資ローンの審査基準
不動産投資ローンでは、担保となる不動産の価値が大きな審査基準のひとつです。そのため、価値が低すぎる、耐用年数を超えているなどの建物は、審査に悪影響を与える可能性があります。
また、多くの不動産投資ローンが、申込条件に一定額以上の年収を求める、住宅ローンよりも完済時の年齢を低く設定する商品もあるなどの申込条件を定めています。投資リスクをはらむ融資であることから、審査はやや厳しいでしょう。
不動産投資ローンの審査の流れ
不動産投資ローンを申し込むにあたって、ほとんどの取り扱い先がまず相談や面談を受け付けています。年収や完済時の年齢、担保物件の立地などの条件を満たすか、希望額を借りられるか、複数の取り扱い先にあたりましょう。
相談や面談のないネット銀行やノンバンクでは、仮審査(事前審査)を申し込みます。仮審査はインターネット上で申し込み可能で、結果が出るまでおおむね1週間ほどです。
相談や面談、仮審査(事前審査)を通れば、正式に申し込みます。本人確認書類や使途がわかる資料、収入証明書類など、必要書類を早めに用意しておきましょう。
約1~2週間で結果が出て本審査を通過すると契約となり、融資が実行されます。
不動産投資ローンの審査に通るコツ
不動産投資ローンの審査では、担保となる不動産の価値が重視されます。立地や利便性、築年数、耐震性能など、さまざまな角度から見極めて、できるだけ収益性の高い不動産を投資先に選択することが大切です。
また、ローンは返済能力がないと判断されると、融資を受けられません。他社からの借入金は返済を進めておくなどして信用情報をクリアにする、自己資金(頭金)を準備してローン全体の返済比率を下げると、審査に好影響となる可能性が高まります。
信用情報は信用情報機関に対して本人からの開示請求も可能です。現在の借り入れ状況のほか、過去の延滞歴などが残っているか気になる場合には利用するとよいでしょう。
不動産投資ローンの審査に通らない原因
不動産投資ローンの審査に通らない場合、商品ごとに決められた利用条件によりますが、主に次のような原因が考えられます。
- 担保となる物件の価値が低い
- 担保となる物件のエリアが商品の対象外である
- 申込時や完済時の年齢が高い
- 収入が少ない・安定していない
- 他社からの借り入れが多い
- 自己資金(頭金)が少ない
物件の価値など自分では判断がむずかしい原因もあるため、申し込み前の相談や面談で金融機関などへ詳しく問い合わせておくと安心です。また、一部ノンバンク以外の不動産投資ローンは、永住権のない外国人の方は申し込めないため注意しましょう。
不動産投資ローンの返済シミュレーションを活用しよう
不動産投資ローンで融資を受けると、同時に借入金の返済が始まります。無理なく完済するには、借入可能額や毎月の返済額などを、申し込み前に具体的にシミュレーションしておくのがおすすめです。
ただし、利息も含めた返済額を自分で計算するのは大変です。そのため、金融機関などが提供する返済シミュレーションのサービスを活用しましょう。
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まとめ
不動産投資ローンを利用すると、手持ち資金がなくても不動産投資をはじめられます。
返済が必要になる、年収や完済時の年齢などに制限があるなど考慮すべき点もありますが、上手に活用すれば安定した家賃収入などから長期にわたる資産形成につながるでしょう。
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