【iDeCoと退職金】受取方法や退職所得控除、受け取るタイミングで変わることについて解説
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、公的年金以外の「私的年金」の一種であり、老後の資産作りに有効な制度です。
年齢や公的年金の加入状況などの加入条件を満たす人が任意で加入でき、掛金は所得控除の対象となり税制の優遇も受けられます。拠出した掛金は、運用益と合算され60歳以降に受け取ることができます。
iDeCoの給付金の受け取りにあたっては、受取方法やタイミングにより税金の計算方法が異なります。また、退職金がある場合はあわせて考慮する必要があります。
本記事では、iDeCoと退職金の受取方法や、所得の計算方法、受け取りのタイミングで変わる税金を解説します。
- 基本的なiDeCoの受取方法
- 【年金】定期的に受け取る場合
- 【一時金】一括で受け取る場合
- 【その他】定期的と一括の両方で受け取る場合
- iDeCoを年金として受け取る場合の税金
- 雑所得の計算方法
- 年金での受け取りがおすすめの人
- iDeCoを一時金として受け取る場合の税金
- 退職所得控除の計算方法
- 一時金での受け取りがおすすめの人
- iDeCoと退職金を受け取るタイミングで何が変わる?
- 【iDeCoと退職金を同時に受け取る場合】退職所得控除も一本化
- 【退職金を先に受け取る場合】退職所得控除の調整が入る
- 【退職金を後に受け取る場合】税制優遇を受けられる
- iDeCoに関するご相談はauフィナンシャルパートナーへ
- かんたん3ステップで相談可能
- 3つのポイントで安心
- auマネープランなら相談無料
- 税制のメリットを活用し老後資金を準備しよう
基本的なiDeCoの受取方法
iDeCoの給付金が受け取り可能になるのは、原則60歳になってからです。
受取方法は大きく3つに分けられます。
・【年金】定期的に受け取る場合
・【一時金】一括で受け取る場合
・【その他】定期的と一括の両方で受け取る場合
次項でそれぞれ詳しく解説します。
【年金】定期的に受け取る場合
まずは、年金形式で定期的に受け取る方法があります。60歳以降、5~20年の間で期間を設定し、年金として定期的に受け取ることができます。
期間の取り扱いは金融機関により異なりますが、終身の受け取りが可能な場合もあります。受取開始時期は、75歳までの間で契約者が自分で決められます。
【一時金】一括で受け取る場合
次に、一時金として一括での受取方法があります。
60歳以降、75歳になるまでに一時金として受け取ることができます。
【その他】定期的と一括の両方で受け取る場合
上記以外に、60歳で一部を受け取り、残りを年金で受け取る方法もあります。ただし、この方法を扱っている金融機関は限られているため、希望する場合は加入前に確認しておきましょう。
iDeCoを年金として受け取る場合の税金
iDeCoの給付金を年金形式で定期的に受け取る場合、「雑所得」として課税対象となります。
ただし、給付金は公的年金等控除の対象になるため、税金の負担は軽減されます。公的年金等による収入が400万円以下で一定の要件を満たす場合には、確定申告は不要です。
公的年金等の雑所得以外での所得金額が20万円を超える場合には、確定申告を行う必要があります。所得の計算では公的年金や企業年金なども合算されるため、注意しましょう。
雑所得の計算方法
公的年金等の雑所得は、以下の方法で計算します。
収入金額 (×金額に応じた割合)- 公的年金等控除額 = 公的年金等の雑所得
金額に応じた割合・公的年金等控除額は、国税庁のWEBサイトで確認が可能です。例えば65歳以上で公的年金等の収入金額が350万円の場合、割合は0.75(75%)、公的年金等控除額は275,000円です。具体的に計算すると下記の結果となります。
【3,500,000×0.75-275,000=2,350,000(公的年金等の雑所得)】
年金での受け取りがおすすめの人
会社の退職金やiDeCoの一時金が退職所得控除額を大幅に上回る人は、年金形式での受け取りがおすすめです。控除額を超える部分に税金が課され、iDeCoや退職金の受取額が大幅に減る可能性があります。
iDeCoを一時金として受け取る場合の税金
iDeCoの給付金を一時金として一括で受け取る場合は、「退職所得」として課税対象となりますが、退職所得控除によって税金の負担は軽減されます。
退職所得は分離課税となるうえ、所得の1/2で計算するため負担が軽くなりますが、退職所得の計算は勤続年数にも影響されます。退職所得が退職所得控除額を大幅に上回る場合はその分税金の負担も大きくなるため注意が必要です。
退職所得控除の計算方法
退職所得は、【(収入金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除額)×1/2】で計算されます。
退職所得控除の金額計算は、勤続年数(=iDeCoの加入年数)によって異なります。
勤続20年以下の場合は【40万円×(勤続年数)】で計算されます。
勤続20年を超える場合は下記のとおりです。
【800万円+70万円×(勤続年数-20年)(※)】
(※)例:勤続25年なら5を、30年なら10を掛ける
一時金での受け取りがおすすめの人
退職金が少ない会社員や、退職金のない自営業者・専業主婦などは一時金での受け取りがおすすめです。
退職金が少ない場合、退職所得控除で大きく収入額を減らせるため、税金の負担を軽くできる可能性が高くなります。
iDeCoと退職金を受け取るタイミングで何が変わる?
iDeCoの老齢給付金(一時金)と退職金の受け取り時期には、どちらかを先に受け取る、または同時に受け取るタイミングが考えられます。一時金で受け取る場合、受け取る順番によって退職所得控除の課税ルールが異なります。
受取方法を考えるにあたり、「退職所得控除の5年ルール」を知っておくと良いでしょう。
退職所得控除の5年ルールでは、退職金を受け取る前年以前の4年以内にiDeCoの老齢給付金を受け取っていた場合、勤続年数の重複期間を除外して退職所得控除を計算しなければなりません。
この章では、受け取るタイミングごとに何が変わるか、どのタイミングで受け取ると税制優遇の効果がより高いのかを解説します。
【iDeCoと退職金を同時に受け取る場合】退職所得控除も一本化
iDeCoの給付金と退職金を同時に一時金として受け取る場合、退職所得控除の金額を計算する際には、iDeCoの加入年数と勤続年数のいずれか長い方が採用されます。
そして同時に受け取る場合はiDeCoと退職金の退職所得が合算されるため、退職所得控除を大幅に上回り税金の負担が上がる可能性が高くなります。
【退職金を先に受け取る場合】退職所得控除の調整が入る
退職金を先に、iDeCoの給付金を後に受け取る場合はどうなるのでしょうか。退職金とiDeCoの退職所得の一本化を避けて退職金を先に受け取り、iDeCoの受取時期を遅らせた場合でも、その期間が19年以内の場合は税金の計算に調整が入ってしまいます。
そのため、タイミングをずらしても税金の負担に大差はない結果となります。
【退職金を後に受け取る場合】税制優遇を受けられる
iDeCoの給付金を先に受け取り、5年以上経ってから退職金を受け取る方法であれば、5年ルール適用の対象外となり、税制の優遇を受けることができます。
iDeCoの給付金の受け取りから5年後以降は、退職所得控除を新たに利用できます。
例えば60歳でiDeCoの給付金を受け取った場合、退職金の受け取りを65歳以降にすると税制の優遇が最も有効になります。
iDeCoに関するご相談はauフィナンシャルパートナーへ
iDeCoの給付金を受け取る際は方法やタイミングを検討する必要があり、退職金がある場合には、より慎重に考慮しなければなりません。
個人で老後資金の準備ができ、正しく活用すれば税制の優遇もある心強い制度であるiDeCoですが、「仕組みが複雑で難しい」と感じられる方も多いかと思います。
iDeCoや退職金の受け取りに不安のある方は、auフィナンシャルパートナーので悩みを解消してみてはいかがでしょうか。
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