資産形成・老後資金 2023.3.31

iDeCo(イデコ)のデメリットは?メリットも理解して賢く資産形成しよう

個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」は、老後資金に備える方法のひとつです。

将来のためにiDeCoでの資産形成を考えてインターネットで情報収集をしていると、「デメリット」や「危険」などのネガティブな言葉も登場するため、やらない方がいいのでは、と不安を感じる方もいるのではないでしょうか。

iDeCoには制限される事柄や運用リスクも存在するため、よく知らないままはじめるのはおすすめできません。

本記事ではiDeCoのメリット・注意点や運用例を挙げて、将来の資産目安を解説します。iDeCoの特徴を理解し、将来の資産形成に向けて良い選択ができるようにしましょう。

iDeCo(イデコ)とは個人が任意で加入する私的年金制度

iDeCoは公的年金制度と異なり、個人が任意に加入し、将来給付を受けられるようにする私的年金制度のひとつです。日本の公的年金制度には、国民年金と厚生年金があり、20歳以上60歳未満のすべての人が加入するとされています。

iDeCoは公的年金と違い、自分で加入を申し込み、掛金の拠出・運用を行います。そして、掛金と運用益の合計額をもとに、将来給付が受け取れる仕組みです。また、iDeCoに加入していると公的年金にプラスしてお金が受け取れるだけではなく、掛金や運用益、給付を受けるときに税制上の優遇措置を受けられるメリットもあります。

このように、iDeCoは老後の生活を豊かにしてくれる手段のひとつといえます。

ただし、運用結果次第で受け取れる金額は変化します。定期的に運用状況を確認する必要があり、運用商品によっては、積み立てた掛金よりも受け取れる金額が下回るリスクがある点には注意が必要です。

iDeCoは、現在の生活が安定しており、運用商品の性質を理解して選択・運用できる人に向いている制度です。一方、好きなときに掛金を引き出せないため、今すぐお金が必要な人や60歳になる前にまとまったお金を用意したい場合には向いていないでしょう。

iDeCo(イデコ)の注意点は?

iDeCoには以下のような注意点があります。

・60歳までお金を引き出せない
・運用にはリスクがある
・掛金には上限・下限がある
・掛金が追納できない
・手数料がかかる

しかし、注意点に挙げられる内容を見ると、制度設計上の条件であることが理解できます。注意点の項目数だけで判断せず、内容を理解してiDeCoに加入するかしないかを決めることが大切です。一見デメリットのように思える項目も、事前に情報を知っておくことで、iDeCoを上手に活用することができるでしょう。

60歳までお金を引き出せない

iDeCoの掛金や運用益は、原則60歳になるまで引き出せません。一部例外で、iDeCoを解約できるケースもありますが、加入者が死亡・高度障害状態になるなど、やむを得ない事情に限定されています。

途中解約してお金を引き出せないため、急にまとまったお金が必要になった場合の備えには向いていません。iDeCoは、60歳以降の生活を支える資金作りが目的の私的年金制度と理解しましょう。

運用にはリスクがある

iDeCoは、掛金で運用する商品を自分で選ぶ必要があります。運用商品のなかには、リスクのある商品も存在し、将来受け取れるお金が掛金を下回る可能性もあります。

基本的に、リターンが大きい運用商品ほどリスクは高い傾向です。大きな運用益を狙った結果、大幅な損失が出る可能性もあるため、運用商品は内容を理解して選ぶ必要があります。

掛金に上限と下限がある

iDeCoの掛金には上限・下限が設定されており、ひと月あたり最低5,000円から、1,000円単位で掛金を決めます。

上限は、公的年金の種別や勤め先の企業年金制度への加入状況で変化します。将来のために、もっと多く掛金に回したいと考えても、上限を超えた金額は積み立てられません。

掛金を追納できない

iDeCoは引落口座の残高不足で掛金を納められなかった場合、その月は納付しなかったものと扱われます。

未納のペナルティはありませんが、お金を用意できたタイミングでの追納もできません。納付できなかった分、予定していた積立金額が減り、将来の受取金額にも影響します。

毎月、無理なく納められる金額を設定しましょう。

手数料がかかる

iDeCoには加入時や掛金納付時、受取時に手数料の負担があります。

新しく加入するときに、国民年金基金連合会へ2,829円の手数料を支払います。勤め先で企業型確定拠出年金や厚生年金基金、確定給付企業年金に加入していた人が、脱退してiDeCoへ資産を移す場合も、同じく手数料が必要です。

ほかにも掛金を納付するたびに手数料105円、掛金の還付が発生した場合の還付手数料1,048円が発生します。

さらに、iDeCoのサービスを提供している運営管理機関からも、サービスの対価に手数料を別途徴収されます。

iDeCoでは毎月積み立てる掛金以外にも、費用がかかる点に注意しましょう。

注意点から考えるiDeCo(イデコ)をやらない方がいいケースとは?

iDeCoは原則60歳になるまで引き出せないため、短期的に積み立てたい場合には向きません。結婚資金や子どもの教育資金など、60歳到達以前に必要な資金を貯めるなら、iDeCo以外の方法で準備しましょう。

また、何かあったときすぐに使える蓄えがない場合は、iDeCoで将来に向けた資産形成するよりも、預貯金を増やすのが先決です。まずは収支を把握し、家計の見直しからはじめましょう。

そしてiDeCoは自分で掛金を運用するため、運用判断できない・判断する自信がない人も、やらない方が安心です。

iDeCo(イデコ)の注意点とあわせて理解したい3つのメリット

60歳までお金を引き出せないことや運用リスク、掛金の制限など、iDeCoのデメリットとして認識されることが多い注意点には、制度設計上の条件が影響しています。しかし、iDeCoには以下のようなメリットもあります。

・掛金を全額所得控除にできる 
・運用益が非課税で再投資される
・受給時は退職所得控除または公的年金等控除の対象になる

iDeCoは預貯金とは異なり、積み立てる掛金は所得控除に、受取時も退職所得控除または公的年金等控除の対象になるため、支払う税金を抑えられます。また、運用益を非課税で再投資でき、効率よく資産が増やせる仕組みである点もメリットです。

掛金は全額所得控除にできる

iDeCoの掛金は、確定申告または年末調整で手続きすれば所得控除の対象にできます。

所得税や住民税は、所得金額から各種控除を差し引いた金額から算出され、所得控除にできる金額が増えると、課税される所得は減少します。結果、iDeCoの掛金を所得控除にすれば、税金で収める金額は少なくなる点がメリットです。

運用益が非課税で再投資される

金融商品の多くは、運用益に対して課税されるのが一般的です。運用益に課税されると、税金分を差し引かれるため、再投資に回せる金額が減少します。

しかし、iDeCoなら非課税で再投資できるため、効率よく運用できるメリットがあります。

受給時は退職所得控除または公的年金等控除の対象になる

iDeCoは60歳以降に受給する際も控除対象になるため、受給時の税負担も抑えられます。

iDeCoで積み立てた掛金と運用益を一時金で一括受け取りなら、退職所得控除の対象です。年金で分割受け取りなら、公的年金等控除の対象です。

一括受け取りと分割受け取りでは、税金の計算方法が異なりますが、それぞれで定められている一定額までは、税金がかからずに受け取れます。

iDeCo(イデコ)の運用例:毎月1万円を運用するとどうなる?

iDeCo公式サイトでは、年収・開始年齢・掛金を設定して65歳まで積み立てた場合のシミュレーションができます。年収500万円の人が毎月1万円ずつ積み立てると仮定し、35歳からはじめた場合と45歳からはじめた場合のシミュレーション結果を表にまとめました(※)。

積立総額 税額軽減額
35歳から開始
(30年間積立・運用)
3,600,000円 720,000円
所得税360,000円・住民税360,000円)
45歳から開始
(20年間積立・運用)
2,400,000円 480,000円
(所得税240,000円・住民税240,000円)

(※)出典:国民年金基金連合会「かんたん税制優遇シミュレーション」を元に筆者作成

毎月1万円積み立てた掛金に運用益も加わり、60歳以降に使えるお金が増えている様子が伺えます。また、所得税・住民税の軽減で得られる効果は30年間で72万円、20年間で48万円と、無視できない金額です。

ただし、今回表にまとめた軽減される税額や運用結果は、簡易的なシミュレーションに過ぎません。

年収の増減や税制度が変化すれば、同じ金額を積み立てていても軽減される税額は異なります。毎年、想定どおりの運用益が出るとも限らないため、シミュレーション結果は、あくまでも参考資料ととらえましょう。

iDeCo(イデコ)の運用商品を選ぶポイント

iDeCoは、加入者本人が掛金で運用する商品を選ばなければなりません。運用商品を選ぶときは、商品の種類や特徴を知る必要があります。

iDeCoの運用商品は、元本確保型商品と元本確保型以外の2つに分類されます。

元本確保型商品は、定期預金と保険です。原則、積み立てた掛金分のお金は保障され、安定した資産形成ができますが、運用で得られる利益は限られます。

元本確保型以外は主に投資信託で、運用結果が良ければ元本保証型よりも大きな運用益を期待できますが、リスクもともないます。結果次第では、積み立てた掛金を下回る可能性もあり、商品選択と定期的な運用状況の確認が大切です。

また、元本確保型以外の運用商品は投資先が「国内」「外国」「株式」「債券」あるいは複数を組み合わせた「バランス型」など種類も多く、何を選べばよいか迷いやすい商品でもあります。

iDeCoでの運用に用意されている各種商品の内容やリスク・リターンを知り、許容できるリスク範囲内で投資対象を分散させながら選びましょう。

iDeCoの加入や資産形成の相談はauマネープラン相談がおすすめ

iDeCoを含む資産形成や資産運用は、各種金融商品の内容を理解し、無理なくできる方法を選択する必要があります。しかし、金融商品は内容が複雑なものもあり、毎月いくら運用に回すのが適切かは簡単に判断できません。

家計の見直しをすることで、老後に向けた資金準備を整えることができます。まずはauマネープラン相談をしてみてはいかがでしょうか。

auフィナンシャルパートナーでは、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーが、一人ひとりの家計やライフプランにあわせてアドバイスいたします。iDeCoはもちろん、お金のことや将来設計を専門家にご相談いただけます。

ぜひ、auフィナンシャルパートナーのauマネープラン相談をご活用ください。

iDeCo(イデコ)には注意点もあるが、それ以上にメリットも多い!

iDeCoは60歳以降に受け取れる私的年金制度のひとつで、老後資金の準備に適した制度内容です。

仕組み上制限が多く、注意すべき点もありますが、税制優遇や運用益を非課税で再投資できるメリットもあります。iDeCoへの加入を検討する際は、注意点の数だけでなく、メリットで得られる効果も考えて検討しましょう。

また、資産形成・運用は難しい点もあり、自分だけで判断に迷う場合は専門家へ相談するのもおすすめです。auフィナンシャルパートナーでは、iDeCoはもちろん、お金の専門家に将来設計をご相談いただけます。

執筆者名:
田貫 朔子
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