自分にあった住宅ローンの選び方を知ろう!初心者にもわかりやすく解説
住まい購入のために住宅ローンを利用する頻度は、多くの方にとって人生で一度きりです。
それだけにほとんどの場合は住宅ローンに対する知識が少なく、契約をするにあたって不安を感じるのが一般的でしょう。
住宅ローンにはさまざまな種類があり、どのローンがあうかは家計の状況はもちろん、人生プランによっても異なります。
そこで本記事では、ローン初心者でも自分にあった住宅ローン選びができるようになるための知識をわかりやすくまとめました。
住宅ローンの選び方がわからないと悩んでいる方は、ぜひご一読ください。
住宅ローンの選び方【金利の種類】
住宅ローンを選ぶときには、まずはどのタイプの金利で借りるかを決めましょう。
住宅ローンの支払い負担は金利のタイプによって大きく異なることから、家計や人生プランにあわせて特に慎重に選ぶ必要があるからです。
住宅ローンの金利には、主に「変動金利」「固定期間選択型金利」「全期間固定金利」の3種類があります。(※なかにはいくつかの特徴を組み合わせた複合型もあります)
ここでそれぞれの特徴を押さえ、自分にあう金利タイプの目星をつけてみましょう。
変動金利
変動金利とは、国の経済情勢にあわせて一定期間ごとに金利が変動するタイプです。期間は借り入れ先の金融機関が設定していますが、一般的には半年ごとに見直されるケースが多いです(※1)。
ただし多くの変動金利商品には通称「5年ルール」と呼ばれる規約があり、半年スパンで金利が変動したとしても、毎月返済額が実際に変更されるのは5年ごとです。
さらには「125%ルール」と呼ばれる規約も設けられていることが多く、1回の返済額増額には125%までの上限が定められています(※2)。返済負担が急激に大きくなることはありません。
とはいえ、変動金利では返済額が安定することはないため、「毎月〇円の貯金をしていれば大丈夫」というように人生プランをきっちりと立てることはできないのが難点です。
その代わりほかの金利タイプと比較すると低金利な傾向にあることから、住宅ローン利用者の半数以上が変動金利タイプを選んでいます(※3)。
日本では長く低金利政策が続いているため、変動金利型の住宅ローンのメリットが際立ちやすく、金融機関からもよく勧められる傾向にあるのも利用者割合に影響しているのでしょう。
しかし今後も低金利政策が続くとはいい切れないため、目先の負担の少なさにだけ引かれて変動金利を選んでしまうのは少々危険です。
変動金利が向いているのは、金利上昇時にすぐに対応できる方、つまり貯金や資産などがあり、家計に比較的余裕がある方です。
(※1)出典:一般社団法人全国銀行協会「変動で返す?固定で返す?住宅ローンの金利タイプ」
(※2)出典:一般社団法人全国銀行協会「変動金利住宅ローンの未払利息とは?」
(※3)出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」
固定期間選択型金利
固定期間選択型金利とは、2年、5年、10年など契約時に定めた期間の間は金利が変動しないタイプです。
期間終了後には、また固定期間を選択するか、変動金利に移行するかを選べます(※1)。
一定期間は安定性を見込める分、変動金利タイプよりも金利が高くなる傾向にあるほか、5年ルールや125%ルールは原則ありません。
住宅ローン利用者の20%ほどが選択しており、そのうち半数ほどが10年超の長期間な固定期間を選択しています(※2)。
契約時に定めた期間内は返済が一定であるため、変動金利よりは人生プランを立てやすいのがメリットです。
現時点ではそこまで家計に余裕がない方であっても、年収アップが確実な職種であるケースをはじめ、固定期間が終了するまでには十分な貯蓄や資産を整えられる方向きだといえます。
(※1)出典:一般社団法人全国銀行協会「変動で返す?固定で返す?住宅ローンの金利タイプ」
(※2)出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」
全期間固定金利
全期間固定金利とは、借り入れから完済まで金利がずっと変動しないタイプです。借入期間中は金利が変わらないため、完済までの返済計画を立てやすいのが特徴です。しかし、変動金利と比べると金利が高い傾向にあります(※)。
低金利政策が続く日本では、全期間固定金利型のメリットをアピールするのが難しく、金融機関としても売りづらい商品だといわれていることもあり、利用者の割合はそこまで多くありません。
しかし人生プランを立てるうえでは、全期間固定金利はとても優秀です。返済金額が決まっているため、小さなお子さまがいるご家庭をはじめ、これから多くの資金を必要とする(=計画的な貯蓄が大切)ご家庭には向いているでしょう。
(※)出典:一般社団法人全国銀行協会「変動で返す?固定で返す?住宅ローンの金利タイプ」
住宅ローンの選び方【借り入れ先】
住宅ローンの選び方の手順2つ目は、借り入れ先の選択です。
住宅ローンの借り入れ先としては、主に「メガバンク」「地方銀行」「ネット銀行」「信用金庫」「信用組合」の5つが挙げられます。
借り入れ先によって審査の仕組みやサービス内容の傾向が変わるため、それぞれの特徴を押さえて借り入れ先を絞りましょう。
メガバンク
メガバンクは、全国に展開しており、有人窓口数が多い点が魅力です。
住宅ローンは大きな金額を借り入れるため、対面で行員に相談したい方や、対面での契約でないと不安な方におすすめです。
住宅ローンの種類は、「変動金利型」「一定期間固定金利型」「全期間固定金利型」の主に3種類を取り扱っています。
比較的高額な融資にも対応してもらいやすいといった点もメリットです。
審査の難易度は、申込内容や申込者の状況により変わるため、一概には判断できません。
地方銀行
地方銀行は、地域に密着したサービスを提供しており、地域の有人窓口数が多い点に加え、柔軟な対応を受けられる点も魅力です。
住宅ローンの種類は、メガバンク同様「変動金利型」「一定期間固定金利型」「全期間固定金利型」の主に3種類を取り扱っていますが、一部の地方銀行では「全期間固定金利型」の商品を扱っていないケースもあります。
審査の難易度は、前述のとおり申込者の状況や条件により変わるため、地方銀行とメガバンクで比較はできません。
ネット銀行
ネット銀行は実店舗を多く持たないことから、人件費を削減できる分、低金利な傾向にあります。コストをなるべくかけたくないのであれば、ネット銀行はおすすめです。
仮審査や本審査、契約をすべてオンラインで手続きできるため、曜日や時間帯を気にせず好きなタイミングで利用できます。オンライン完結では不安を感じる場合は、対面で相談できるネット銀行もあるため、探してみることをおすすめします(※)。
(※)auじぶん銀行株式会社「住宅ローン」
信用金庫・信用組合
信用金庫や信用組合は、地域の住民や企業に対して、相互扶助を目的とした金融サービスを提供しています。地域密着型の金融機関である点は地方銀行と似ていますが、非営利の組織である点が地方銀行との大きな違いです。
住宅ローンの種類は、「変動金利型」「一定期間固定金利型」「全期間固定金利型」がありますが、3種類すべて取り扱う信金は少なく、必ずしも地域の信用金庫や信用組合に希望する金利型があるとは限りません。
住宅ローンの選び方【諸費用】
住宅ローンの選び方手順3つ目は、諸費用を確認し、借り入れ先をさらに絞ることです。
住宅ローンを利用して住居を購入する場合には、ローン事務手数料(※金融機関によって名称はさまざま)、保証料、登記費用、印紙税などさまざまな費用がかかります。
なかでもローン事務手数料と保証料は、金融機関による差が大きいため、借り入れ先を選ぶときには要チェックを推奨します。
住宅ローンの選び方【返済方法】
住宅ローンの選び方の手順4つ目は、返済方法の選択です。
住宅ローンの返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」がありますが、それぞれ異なるメリットと注意点があります。
金利タイプを選択したときと同じように、特徴を押さえたうえで家計や人生プランにあった返済方法を選びましょう。
元利均等返済
元利均等返済では、毎月5万円なら5万円というように、返済開始から完了まで月々の返済額が固定されます。
返済額が一定であることから、人生プランを立てやすいのがメリットです。
その代わり、元金均等返済よりも返済期間が長期化しやすく、結果として返済総額が大きくなるといった特徴があります。
なぜなら月々の返済額は「元金+利息」で構成されていますが、このうち利息は借入残高に応じて変動するためです。
元利均等返済では借入残高が多い返済当初は、返済額の構成要素の大部分を利息が占めることになり、元金の返済に時間がかかってしまうのです。
元金均等返済
元金均等返済では、月々の返済額のうち、「元金」のみが返済開始から完了まで固定されます。
結果、元金を積極的に返済し続けられるため、元利均等返済よりも返済期間が短縮でき、総返済額を抑えやすいでしょう。
ただし利息額にかかわらず元金が一定であるため、借入残高が多い返済当初は月々の返済額が高く、家計を圧迫しやすい点を把握しておきましょう。
住宅ローンの選び方【団体信用生命保険】
どの住宅ローンにするか、どのような借り方にするかを決めたなら、最後は「団体信用生命保険(団信)」を選びましょう。
団体信用生命保険とは、住宅ローンの債務者に万が一のことがあり、返済不能となったときに備えるための保険です。
ほとんどの住宅ローンでは、ローンの利用条件として団体信用生命保険への加入を必須としています。
団体信用生命保険は、「3大疾病保障付団体信用生命保険」「ワイド団信」の2つに大きく分けられます。
それぞれ保障内容が異なるため、家計や人生プランにあわせて選択しましょう。
3大疾病保障付団体信用生命保険
死亡と後遺障害以外の疾病やけがにも保険内容を追加したい場合には、3大疾病保障付団体信用生命保険があります(※)。
ほかにも「がん保障タイプ」や「8大疾病保障タイプ」、「すべての病気やけがを対象としたタイプ」などもあるため、年齢や職種などを踏まえて検討しましょう。
(※)出典:一般財団法人住宅金融普及協会「団体信用生命保険とは」
ワイド団信
ワイド団信とは、ほかに比べると審査内容がやさしい団体信用生命保険です。
持病や病歴によってほかの団体信用生命保険に加入できないときに利用できます。加入条件を緩和する、分保険料は割増となります(※)。
(※)出典:公益財団法人生命保険文化センター「団体信用生命保険について知りたい」
住宅ローンを選ぶ前にシミュレーションしてみよう!
住宅ローンを実際に選ぶ前に、いくつかのシミュレーションをチェックしてみましょう。
ここでは「金利タイプのみを変更した場合」と「返済方法のみを変更した場合」の2パターンを比較。それぞれどのような返済イメージとなるかをシミュレーションしました。
なお当シミュレーションは、auじぶん銀行での新規借り入れを想定した場合のシミュレーションです。
金利タイプ別シミュレーション結果
【住宅ローンの借り入れ例】
・借入金額:4,000万円
・ボーナス支払い:なし
・返済期間:35年
・返済方法:元利均等返済
①変動金利(0.389%)の場合
・総返済額:42,791,044円
・月々の返済額:101,883円
※金利変動がなかったものとして計算
②固定期間10年選択型金利(1.185%)の場合
・総返済額:48,886,017円
・月々の返済額:116,395円
※金利変動がなかったものとして計算
③全期間固定金利(2.960%)の場合
・総返済額:64,280,102円
・月々の返済額:153,048円
まとまった借入金額および長期間の返済になりやすい住宅ローンは、少しの金利差でも総返済額に大きな差が出ます。
しかし変動金利や固定期間選択型金利は、あくまで現段階での返済額しかわからないのが難点。実際にはより多くの返済額になる恐れがあるため、「何年後までにいくら貯めておけば安心」ということがありません。
とはいえ、全期間固定金利はほかの金利に比べて大幅に返済額が増えやすいため、家計に余裕がなければ現実的な選択肢にはなりにくいでしょう。
まずは変動金利や固定期間選択型金利で住宅ローンを借り、時期を見て繰上返済や借り換えすることも検討してみてください。
返済方法別シミュレーション結果
【住宅ローンの借り入れ例】
・借入金額:4,000万円
・ボーナス支払い:なし
・返済期間:35年
・金利タイプ:固定期間10年選択型金利(1.185%)
①元利均等返済
・総返済額:48,886,017円
・月々の返済額:116,395円
※金利変動がなかったものとして計算
②元金均等返済
・総返済額:48,314,550円
・1回目の返済額:134,738円
・196回目の返済額:116,398円(約16年目)
・最後の返済額:95,372円
※金利変動がなかったものとして計算
元利均等返済に比べると、元金均等返済は総返済額が57万円ほど安く済みます。
ただしその分、返済当初は元利均等返済よりも月々の返済額が高く、2つの返済方法の返済額がほぼ並ぶのは196回目の返済時です。
総返済額だけで見れば元金均等返済が断然お得ですが、月々の支払い負担が家計を圧迫しないかを考えて選ぶようにしましょう。
住宅ローン選びで悩んだらプロに相談しよう!
住宅ローンは、低金利であればあるほどよいとはいいきれません。
低金利な住宅ローンとは基本的に、将来的にも低金利である保証がないためです。
物価上昇の影響を受け、大幅利上げを実施する先進国が多い昨今。物価上昇が留まらない日本も、いずれ利上げに踏み切る可能性は十分あるでしょう。
これまでよりも慎重に住宅ローンを選ばなくてはいけない時代がやってきたといえます。
しかしあまりに多くの金融機関と住宅ローンがあることから、比較すればするほど「住宅ローンの選び方がわからない」と頭を抱えてしまう方も少なくありません。
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まとめ
住宅ローンの選び方は、金利タイプに見当をつけたうえで、借り入れ先の特徴や諸費用を比較することからはじめましょう。
しかし実際のところは、借り入れ先の特徴や諸費用を比較する段階で面倒に感じ、金融機関からおすすめされた住宅ローンになんとなく加入する方も少なくありません。
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