家計見直し・教育資金 2023.3.31

年金制度まとめ|公的年金の種類や問題点、私的年金についても解説

老後の生活設計を立てるためにも、将来、年金をどの程度受け取れるのか理解しておくことが必要です。そのためには、年金制度についての把握が欠かせません。

しかし、年金制度はわかりにくく、実際にどの程度の金額を受け取れるのか、いつから受け取れるのかもわかりにくいのが実際のところです。また、年金制度のわかりにくさが、老後の不安をさらに高めることにもなっています。

この記事では、公的年金の種類や受給条件をシンプルに紹介します。年齢以外の理由で年金を受給する障害年金や遺族年金、私的年金についても説明するので、ぜひ参考にしてください。

年金制度とは

年金制度には、公的年金制度と私的年金制度の2つがあります。公的年金制度とは世代間の支えあいの制度です。日本は「国民皆保険」のため、条件に該当する方はすべて公的年金制度に加入しなくてはいけません。

なお、公的年金制度では、加入する年金の種類や保険料の支払い義務によって、第1号被保険者~第3号被保険者に分けられています。第1号被保険者とは国民年金のみに加入する方、第2号被保険者とは国民年金に加えて厚生年金に加入する方、第3号被保険者とは第2号被保険者の配偶者で、なおかつ本人は厚生年金に加入していない方です。

20歳以上になると、すべての国民は国民年金に加入します。そのため、国民年金は公的年金制度の基礎と考えることができ、建物でいえば1階部分に相当します。

一方、特定の勤務条件を満たしているときには厚生年金にも加入しなくてはいけません。国民年金に加入した状態で厚生年金にも加入するため、厚生年金は2階部分に相当すると考えられます。

このように公的年金制度は2階建て構造になっていますが、年金額を上乗せしたいときは任意の年金制度である私的年金制度を組み合わせることが可能です。そのため、私的年金制度も含めると、年金制度は3階建て構造になっていると考えられます。

公的年金の種類

公的年金は次の2つの種類からなり立ちます。

・国民年金
・厚生年金

それぞれの年金制度の加入条件や特徴を紹介します。

国民年金(老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金)

国民年金は、満20歳以上60歳未満は原則として全員加入する年金制度です。保険料は年度によって変わりますが、一律のため、加入者によって変わることはありません。

国民年金に加入していると、老齢基礎年金や障害基礎年金、遺族基礎年金の受給資格を得られることがあります。受給額は加入していた期間などによって異なります。

厚生年金(老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金)

厚生年金は、会社員や公務員などが加入対象となる年金制度です。給与から天引きされるため、年金加入者が納付することはありません。保険料は所得によって異なり、所得が高くなると保険料も高くなります。

ただし、保険料全額が自己負担となる国民年金とは異なり、厚生年金では保険料の半分は勤務先が負担するため、年金加入者の自己負担額は実際の保険料の半分です。また、厚生年金加入者の国民年金の保険料は、厚生年金保険が負担するため、年金加入者が国民年金の保険料を負担する必要はありません。

厚生年金に加入していると、老齢厚生年金や障害厚生年金、遺族厚生年金の受給資格を得られることがあります。受給額は納めた保険料によっても異なります。

年金の受給条件

年金を受給するための条件は、状況や加入履歴によっても異なります。一般的な条件は以下をご覧ください。

年金制度 受給年金の種類 受給条件
国民年金 老齢基礎年金 ・受給資格期間が10年以上あること
・原則として65歳以上であること(60歳まで繰り下げることが可能)
障害基礎年金 ・障害の原因の初診日が国民年金加入期間、もしくは20歳前、年金制度に加入していない60歳以上65歳未満であること
・障害等級表に定める1級もしくは2級に該当していること
・20歳以上の場合は、原則として初診日の前々月までに納付期間の2/3以上において納付していること
遺族基礎年金 ・国民年金加入中もしくは国民年金に以前加入していた60歳以上65歳未満あるいは25年以上受給資格期間がある場合のいずれかの条件を満たす方の遺族であること(※1)
・死亡した方の子、あるいは子がある配偶者(※2)
厚生年金 老齢厚生年金 ・厚生年金の加入期間があること
・原則として65歳以上であること
障害厚生年金 ・障害の原因の初診日が厚生年金加入期間にあること
・障害等級表に定める1級~3級に該当していること
・原則として初診日の前々月までに納付期間の2/3以上において納付していること
遺族厚生年金 ・厚生年金保険の被保険者期間中、もしくは被保険者期間中に初診日がある病気などが原因で初診日から5年以内、老齢厚生年金の受給権者や受給資格を満たした方などの条件を満たした方が死亡し、その遺族であること
・死亡した方に生計を維持されていた配偶者や子などであること(※2)

(※)出典:日本年金機構「年金の受給」を元に筆者作成
(※1) 遺族基礎年金は、亡くなった方が65歳未満の場合、国民年金加入中に1/3以上の滞納がないことなども条件として課せられます。
(※2) 子とは、18歳の誕生日が属する年度末までをさします。また、20歳未満で1級か2級の障害を持つ婚姻していない子も含みます。

年金制度の問題点とは?

年金制度が始まった当初と比べると、現在は少子高齢化が進み、年金の財源が不足するようになってきました。そのため、相互扶助の原則でなり立っている年金制度が、成立しにくくなってきています。

また、1985年の改正では女性の年金受給開始年齢が55歳から60歳に引き上げられ、1994年の改正では60歳から段階的に65歳に引き上げられました。相次ぐ受給開始年齢の引き上げから、年金制度に対して不信感を持つ方や、将来的にさらに受給開始年齢が引き上げられるのではという不安を感じる方もいます。

厚生年金に加入していない方は、将来、老齢基礎年金のみ受給します。老齢基礎年金の平均受給額は月に約5万円と低く、公的年金以外の備えが必要です。受給条件を満たさない無年金者も約118万人いると推定され、将来に不安を感じる方も少なくありません。

公的年金制度を補完する私的年金を導入しよう!

公的年金制度で受け取れる年金額が少ないと予想される場合は、年金の額を少しでも増やすためにも私的年金を検討しておきましょう。私的年金制度とは任意に加入できる年金制度で、次のものが挙げられます。

・厚生年金基金
・確定給付企業年金
・国民年金基金
・個人型確定拠出年金(iDeCo)

それぞれの特徴を紹介します。

厚生年金基金

厚生年金基金とは、厚生年金に加入し、なおかつ各年金基金団体が定める条件を満たしている場合に利用できる私的年金制度です。加入して掛金を納めると、年金に上乗せして給付金を受け取れます。

また、障害給付金や遺族給付金もあるため、万が一に備えることもできます。

確定給付企業年金

確定給付企業年金は、厚生年金に加入し、一定の条件を満たすときに利用できる私的年金制度です。仕組みによって、給付型と規約型、総合型に分けられます。

一般的には大手企業だけで利用されがちな制度ですが、総合型ならば中小企業の従業員も加入しやすくなっています。

国民年金基金

第1号被保険者は本来、公的年金が1階建て構造のため、第2号被保険者と比べると年金額が少ない傾向にあります。

国民年金基金は第1号被保険者の年金受給額を増やすための私的年金制度で、国民年金に上乗せできる年金です。国民年金基金に加入することで公的年金制度が2階建て構造になり、受給額も増やせます。

個人型確定拠出年金(iDeCo)

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、加入している公的年金の種類などによって保険料の上限が決まる私的年金制度です。第1号被保険者だけでなく第2号被保険者や第3号被保険者も利用でき、将来に備えることができます。

iDeCoは運用成果によって将来受給できる年金額が変わるため、定期的に運用成果を確認し、運用先を変えることなども必要になることがあります。また、拠出時、運用時、受取時の3つのタイミングで税制上の優遇措置を受けることができます。

年金制度に不安を感じたらauフィナンシャルパートナーへの相談がおすすめ!

将来受け取れる年金額がよくわからずに困っている方には、お金のプロであるファイナンシャルプランナー(FP)に相談してみましょう。どのファイナンシャルプランナーに依頼するか迷ったときは、auフィナンシャルパートナーにご相談ください。

2020(令和2)年版の厚生労働白書では、男性の平均寿命と健康寿命の差は8.84年、女性は12.35年と報告されています。医療や介護の費用がかさむ時期が長期間にわたる可能性があることからも、老後資金について考えておくことは必要です(※)。

auフィナンシャルパートナーは、お客さまの状況にあわせた老後資金計画や私的年金制度もご紹介いたします。ご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

(※)出典:厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書|図表1-2-6 平均寿命と健康寿命の推移」

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まとめ

老後の資金計画を立てるためにも、年金制度について知っておくことは必要です。年金受給額が不安な場合は、私的年金制度も視野に入れて検討してみましょう。

ご自分の状況にあった老後資金計画や私的年金制度については、ぜひauフィナンシャルパートナーにご相談ください。お金のプロであるファイナンシャルプランナーが、お客さまのお悩みにお答えいたします。

執筆者名:
林 泉
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