家計見直し・教育資金 2023.3.31

教育ローンとは?奨学金との違いや審査のポイントまで解説!

教育ローンは、高校や専門学校、大学などへの入学や進学等教育にかかる様々な費用に備えるために、親御様が利用できるローンであり、お子様が借りる奨学金制度とともに、教育資金の確保に向けた有力な選択肢のひとつです。

教育ローンには、日本政策金融公庫による国の教育ローンと、銀行や信用金庫など民間の金融機関が提供する教育ローンの2種類があります。いざというときの判断に悩まないように、金利や利用条件、審査の難易度などの違いを把握しておくと安心です。

本記事では、教育ローンの基本的な情報や選び方の参考となるポイントを解説します。

教育ローンとは?

教育ローンとは、高校や大学などへの進学費用など、教育関連の用途を目的としたローンです。

教育ローンは、日本政策金融公庫が行う国の教育ローン「教育一般貸付」と、銀行や信用組合などの金融機関が提供する民間の教育ローンの、大きく2つに分かれます。また、民間の教育ローンは、さらに証書貸付型(教育ローン、マイカーローンなどのいわゆる目的別ローン)とカードローン(いわゆる当座貸越ローン)に分類されます。主な特徴を以下の表にまとめました。

国の教育ローン 民間の教育ローン
(証書貸付型)
民間の教育ローン
(カードローン)
申込者 融資対象となる学校に入学・在学する子どもの保護者 保護者
(まれに子ども)
保護者
申込条件 所得制限あり
世帯の年間収入790万円以内
子どもが1人増えるごとに100万円増
金融機関によって異なる
例)前年度の税込年収が200万円以上の方/年収の指定なし
金融機関によって異なる
例)前年年収が150万円以上の方/年収の指定なし
金利 固定金利
(年1.95%)
変動金利、固定金利 変動金利
借り方 一括借入 一括あるいは
分割借入
都度借入
(期間中無制限)
借りる
タイミング
いつでも可能
(ただし融資2~3ヶ月前が目安)
いつでも可能 いつでも可能
借入期間 最長18年 最長5年~20年
(金融機関によって異なる)
最長10年~20年
(金融機関によって異なる)
借入上限額 最大350万円
(一定の要件を満たすと450万円まで)
金融機関により異なる
例)300万円、500万円など/10万円以上1万円単位が多い
金融機関により異なる
例)300万円、1,000万円など/10万円以上10万円単位が多い
返済方法 元利均等返済 元利均等返済 約定返済
カードからの自由返済
世帯年収
上限
あり
子ども1人の場合790万円
(人数により異なる)
なし なし
担保・
保証人
必要
教育資金融資保証基金による保証、もしくは連帯保証人
(別居・別生計の子どもから4親等以内の親族)のいずれか
原則として不要 原則として不要

(※1)出典:日本政策金融公庫「教育一般貸付(国の教育ローン)」
(※2)出典:北郡信用組合「目的ローン:極度型奨学ローン」
(※3)出典:北海道銀行「道銀個人向けローン:教育ローン(証書貸付型)」
(※4)出典:武蔵野銀行「むさしの教育ローン」
(※5)出典:福岡銀行「教育カードローン」
(※6)出典:北海道労働金庫「教育ローン(カ―ド型)」
上記資料を元に筆者作成

利用を検討する際には、国の教育ローンと民間の教育ローン、それぞれの特徴をよく理解するようにしましょう。

教育ローンと奨学金の違い

用途を教育関連に限定した資金の準備には、教育ローンのほかに奨学金制度があります。

奨学金制度とは、経済的な理由で進学が困難な学生に対し、自治体や企業、各種団体が学費を給付、または貸与する制度です。教育ローンとの違いは、借り入れるのが教育を受ける本人である点です。また、申し込みに際して一定の学力を求められるケースもあります。

例えば、日本学生支援機構(JASSO)による奨学金には返済義務のない給付型と返済の必要な貸与型があり、貸与型はさらに第一種奨学金(無利子)と第二種奨学金(有利子)に分かれます。奨学金の給付額や貸与額は、世帯収入、学校の種別などの基準で細かく分類されます。また、給付型と第一種奨学金は、自宅・自宅外といった通学形態でも金額が変わります。

第二種奨学金は借入金の返済と利息の支払いが必要ですが、在学中は無利子で利率は年3.0%を上限としています。教育ローンよりも低金利ですが、学力や世帯収入が含まれるなど、申込基準は厳しくなっています。貸与型の奨学金は、返済が滞ると子どもの信用情報に延滞情報が登録され、以後の他の借入れに制約ができるかもしれないことに注意が必要です。

また、奨学金は進学の必要書類が提出されてからおおむね1~2ヶ月後に初回の振込みが行われるため、入学前に資金を準備できません。必要なタイミングで資金を用意しやすい教育ローンに比べると、利用に制約があります。

教育ローンのメリット・注意点

教育資金の準備を目的に教育ローンを利用するメリットと注意点をそれぞれ解説します。

教育ローンのメリット

教育ローンのメリットは、利用目的や利用基準、申込時期などの柔軟性の高さです。

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は大学・短大・高等学校・専門学校への進学資金に限定されるのに対し、教育ローンは中学卒業後の進路に幅広く対応します。民間には中学以下の教育資金、塾や予備校への通学費用として使える教育ローンもあります。

また民間の教育ローンは、安定した収入があり、一定の条件を満たす家庭は申し込みやすいという特徴があります。

教育ローンは、必要なタイミングでまとまった資金を用意できるのも魅力です。特に民間の教育ローンの場合、最短で即日融資可能な金融機関もあるため、利用しやすいでしょう。

教育ローンの注意点

教育ローンを利用する時の注意点のひとつは、金利の高さです。特に、民間の教育ローンは国の教育ローンよりも金利が高い傾向にあります。変動金利を採用するところも多く、金利動向によっては返済計画を立てにくくなる可能性があります。

また、国の教育ローンや奨学金に比べると、民間の教育ローンは申込基準が緩いと言われることが多いですが、年収下限は200万円など、一定の基準が設けられています。一定の年収に満たない場合は利用できない可能性があります。

教育ローンの申し込みの流れ

必要なタイミングで融資を受けられるように、あらかじめ教育ローンの申し込みの流れを知っておくと安心です。国と民間とでは手順やかかる期間などの違いがあるので、あわせて確認しておきましょう。

ここでは、教育ローンの申込手順を紹介します。

1.申し込み

民間の教育ローンはインターネットによる申し込みが主流で、24時間365日いつでも申し込めます。郵送や来店による手続きも可能です。国の教育ローンの窓口は日本政策金融公庫の各支店となります。

国の教育ローンは融資実行までに時間がかかるため、資金が必要となる2~3ヶ月前を目安に申し込まなければなりません。また、用途が入学資金の場合、融資できるのは原則として入学月の翌月末までなので、早めの対応が必要です。

2.審査

民間の教育ローンは、仮申込から始まるのが一般的です。仮審査の結果は1週間程度で通知されます。審査結果はおおむね3ヶ月ほど有効ですから、早めに仮審査を終わらせておきましょう。

仮審査に通ると、本申込から本審査へ進みます。本審査にかかる時間は人により異なりますが、早ければ翌日結果がわかる場合もあります。結果通知はEメールや電話により連絡されます。

国の教育ローンの審査は1回のみで、申し込みから10日前後で結果が通知されます。審査に通った場合は、「ご融資のお知らせ兼借用証書」などの必要書類が送られてきます。

3.契約

教育ローンの契約は、民間の場合は金融機関への来店で、国の場合は日本政策金融公庫への郵送もしくは来店によって行われます。まだ数は少ないですが、民間の金融機関ではインターネット上で契約まで完結する教育ローンもあります。

民間の教育ローンでは、本人確認書類、使い道を証明する書類、収入証明などと送金先口座の通帳、届出印が必要です。

それに対して、国の教育ローンでは、審査結果の通知で送られた「ご融資のお知らせ兼借用証書」、印鑑証明書、合格を確認できる書類、使い道を証明する書類、預金口座振替利用届、送金先口座の通帳が必要です。

4.入金

教育ローンの申し込みから融資までにかかる期間は、民間の教育ローンで2週間程度、国の教育ローンで20日前後です。

ただし、国の教育ローンは入学月である4月を基準に、10月から3月にかけて申し込みが集中します。この期間は融資までに通常よりも日数がかかりやすいので注意しましょう。

教育ローンの審査に通りにくい人の特徴

教育ローンは、国、民間を問わず、審査を通過しなければ利用できません。教育資金をスムーズに用意するポイントをつかむために、審査に通りにくい人の特徴を紹介します。

借入希望額が高すぎる

勤務状況や他社借入状況、年収のバランスに対して希望額が大きすぎる場合は、審査に通りにくくなります。国も民間の金融機関も、貸し付けたお金を契約者に完済してもらわなければなりません。そのため、返済能力に懸念があると判断されれば、審査に落ちることが考えられます。

申込条件を満たしていない

教育ローンは申し込みにあたって一定の条件が定められています。民間の教育ローンの場合、安定した収入のある働き世代であればおおむね申し込みが可能です。しかし、国の教育ローンは民間よりも条件が細かく、子どもの人数に応じた世帯年収の上限で審査に引っかかる家庭も多いかもしれません。

申込条件を満たしていなければ審査には通りません。申し込む前に条件を満たすかどうか確認しましょう。

他社での借入状況が影響している

教育ローンにかかわらず、民間のローン審査では返済負担率(年収に占める年間のローン返済額の割合)を重視される傾向があります。返済負担率が一定の数値を超えると審査落ちしてしまう、あるいは借入可能額を減額されてしまう可能性があります。

また 返済負担率を抑えるためにも、他社でローンを利用中であれば完済してからの方が審査に通りやすいでしょう。

教育ローンを選ぶときに注意すべきポイント

教育ローンは、金利や返済期間、返済方法を確認のうえ、自分に適切なものを選ぶことが大切です。ただし、教育資金を目的とするローンであることから、以下の2点には特に気をつけて選びましょう。

申し込みのタイミング

入学資金の準備を目的に教育ローンを利用する場合は、学費の納入期限に間にあうように、教育ローンの契約を終える必要があるため、融資のタイミングを考えて選びましょう。そのためには、申込時期を見誤らないことが重要です。

民間の教育ローンは、申し込む金融機関によって申し込みから融資までの日数が異なるので、事前に相談しておくと安心です。

お金の借り方

高校や専門学校、大学へ子どもを通わせるには多額の教育資金が必要です。家族の病気など不測の事態から教育資金の確保が難しくなったときに備えて、柔軟な借り方ができるかどうかも気をつけるべきポイントといえます。

例えば、カードローン型の教育ローンであれば、必要なときに必要な金額をATMから気軽に借り入れられて、極度額の範囲内で繰り返し利用することも可能です。

教育ローンのご相談はauフィナンシャルパートナーで

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まとめ

教育ローンは、教育資金の準備に不安があるときに活用できる融資制度です。国の教育ローンと民間の教育ローンとでは、申込条件や審査基準、金利などに違いがあります。それぞれの違いを見極め、必要なタイミングで資金を準備できる方を選ぶといいでしょう。

教育ローンは借入金額が多くなりやすいため、家計への影響が大きくなることもあります。選び方や利用方法に悩んだら、お金の専門家に相談するといいでしょう。auフィナンシャルパートナーなら、納得がいくまで何度でも無料で相談できます。

執筆者名:
トダ アキコ
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