保険見直し 2025.12.22

入ってよかった生命保険とは?選び方やおすすめの保障も紹介

病気やケガ、介護、老後など、生きている限り、さまざまな不安がつきまといます。生命保険は、万が一のときに経済的なサポートを準備する方法の一つです。例えば、医療保険に加入しておくと入院や手術の際に給付金を受け取れ、経済的な負担を軽減できるでしょう。

本記事では、数ある生命保険の中から、「入ってよかった」という声の多い保険を紹介します。選び方や加入時の注目ポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。

入ってよかった5つの生命保険

生命保険とは、病気やケガ、介護などに経済的に備える仕組みのことです。多くの人が保険料を出し合い、万が一に大きな費用が必要になる事態に備えます。

また、お子さまの教育費や老後資金など、将来ほぼ確実に必要になるお金も生命保険で備えることがあります。「入ってよかった」という声の多い生命保険を見ていきましょう。

1.医療保険・がん保険

医療保険は、病気やケガで入院したときや、所定の手術・治療を受けたときに給付金を受け取れる保険です。

日本は国民皆保険制度のため、医療費の13割のみ自己負担となります。しかし、入院が長引いたり、入院が必要な手術を受けたりするときは、医療費が高額になることがあります。病気やケガにいつなるかは予測できません。万が一に備えるためにも、医療保険を検討しましょう。

医療保険の保障内容例

  • 入院給付金(入院日数や回数に応じた給付金)
  • 手術給付金(手術の種類ごとに決められた給付金)
  • 放射線治療給付金(放射線治療の回数や実費に応じた給付金)

保険商品によって保障内容が異なるため、加入前に確認しておきましょう。

がん保険は、がんと診断されたときや、がんにより入院・手術・放射線治療が必要になったときなどに、さまざまな形で保険金・給付金を受け取ることができる保険です。代表的な保障内容としては、次のようなものがあります。

がん保険の保障内容例

  • がん診断給付金・がん診断一時金(がんと診断された際に受け取れる給付金)
  • がん入院給付金(がんによる入院の際に受け取れる給付金)
  • がん手術給付金(がん治療のための手術を受けた際に受け取れる給付金)
  • がん放射線治療給付金(がん治療を目的とした放射線治療を受けた際に受け取れる給付金)
  • がん死亡保険金・死亡給付金(がんによって死亡した際に受け取れる保険金)

保険商品によって保障内容が異なるため、加入前に確認しておきましょう。

なお、契約後一定期間(待機期間)が経過してから保障が開始されることが一般的です。そのため、待機期間中にがんと診断されたり治療を受けたりしたときは、給付金を受け取れません。

2.収入保障保険

収入保障保険とは、保険期間内に死亡もしくは高度障害状態になったときに所定の年金支払期間の範囲で定期的な年金を受け取る保険です。最低保証が定められている場合は、満期直前に死亡あるいは高度障害状態になったときでも最低保証分の年金を受け取れます。

年金には「遺族年金(遺族が年金を受け取る)」と「高度障害年金(被保険者が年金を受け取る)」がありますが、原則として満期保険金はありません。

収入保障保険の保障内容例

  • 遺族年金
  • 高度障害年金

保険商品によって保障内容が異なるため、加入前に確認しておきましょう。

3.終身保険・定期保険

終身保険と定期保険は、いわゆる「死亡保険」と呼ばれる生命保険です。いずれも被保険者が死亡したとき、あるいは高度障害になったときに保険金を受け取れます。

終身保険は死亡保障が一生涯続く保険です。保険料の払込期間には「有期払い」と「終身払い」があり、有期払いの場合は、払込期間満了後も死亡保障を維持しつつ、商品や特約によっては解約返戻金を原資に老後の年金として受け取れるタイプもあります。

終身保険の保障内容例

  • 死亡保険金
  • 高度障害保険金

保険商品によって保障内容が異なるため、加入前に確認しておきましょう。

一方、定期保険とは保険期間内に死亡したときのみ保険金を受け取れる保険です。死は避けられないため、死亡保障が一生涯続く終身保険では原則として必ず保険金を受け取れますが、期間内のみの死亡を対象とする定期保険では保険金を受け取れない可能性があります。

しかし、掛け捨てのため、保険料が低い点は定期保険のメリットといえます。「お子さまが幼いときだけ」「配偶者が働けないときだけ」のように、お金が必要になる期間がわかっているときには定期保険を検討してみましょう。

定期保険の保障内容例

  • 死亡保険金
  • 高度障害保険金

保険商品によって保障内容が異なるため、加入前に確認しておきましょう。

4.就業不能保険

就業不能保険とは、病気やケガで働けなくなったときに一定の給付金を受け取れる保険です。会社員なら病気やケガで休業したときは、健康保険の傷病手当金で給与の一部に相当する金額を受け取れることがあります。しかし、傷病手当金は通算16ヶ月までしか支給されないため、療養が長引くと生活費にまで響くことがあるでしょう。

就業不能保険に加入しておくと、一時金や年金の形で給付金を受け取れます。精神疾患のように療養が長引くケースも少なくないため、就業不能保険で備えておくことも検討してみましょう。なお、精神疾患を給付対象外・制限付きとする商品もあります。

また、個人事業主やフリーランスは、会社員のように健康保険から一律に傷病手当金が支給されるわけではなく、多くの場合は公的な所得補償が手薄です。一般的な国民健康保険には傷病手当金の制度がなく、労災保険も原則として雇用されて働く人が対象のため、個人事業主やフリーランスは特別加入などをしていない限り給付対象外となります。

休業によって収入が大きく減る可能性があるため、就業不能保険で万が一に備えておくことは、生活上の不安を軽減する一助となるでしょう。

就業不能保険の保障内容例

  • 就業不能給付金

保険商品によって保障内容が異なるため、加入前に確認しておきましょう。

5.個人年金保険

個人年金保険とは、契約時に定めた年齢になったときに年金を受け取れる保険です。公的年金と対比して「私的年金」と呼ばれることがあります。

個人年金保険には、一時金として受け取るタイプや年金(毎月・隔月など)で受け取るタイプがあります。定年退職と年金受給開始までの間や引退して収入減が見込まれるときなどに受給期間を設定すると、生活費の不安軽減に役立つでしょう。

個人年金保険は老後資金として活用されることが一般的ですが、厚生年金に加入しない個人事業主やフリーランスは、公的年金が国民年金(基礎年金)のみとなり、会社員等と比べて将来の年金額が少なくなりやすいとされています。

その不足分を補う手段の一つとして、個人年金保険を活用するケースもあります。死亡保険金が受け取れるタイプなどもあるため、ご自身のライフプランに合わせて選びましょう。

個人年金保険の保障内容例

  • 年金、一時金
  • 死亡保険金
  • 高度障害状態時の払込免除

保険商品によって保障内容が異なるため、加入前に確認しておきましょう。

どの保険に加入するか迷ったときには、専門家に相談するのもおすすめです。ぜひ「auマネープラン相談」でファイナンシャルプランナーにご相談ください。

生命保険に加入したきっかけ

生命保険文化センターの調査によれば、約9割の世帯が何らかの形で生命保険に加入しているという結果が出ています。加入した覚えがない方でも、住宅ローンを組む際の団体信用生命保険や、一部のクレジットカードに付帯する死亡・入院保障などを通じて、結果的に死亡保障や医療保障に加入しているかもしれません。

生命保険文化センターの「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」では、主な加入のきっかけが紹介されています。

直近加入契約の加入のきっかけ

割合(%)※

家族や友人などにすすめられて

24.9

営業職員や窓口ですすめられて

18.3

元々生命保険に加入する必要性を感じていたので

13.6

結婚をしたので

13.3

加入していた生命保険が満期になった、あるいは解約したので

11.6

就職をしたので

11.5

勤め先や労働組合など職場ですすめられて

10.8

子どもが誕生したので

8.6

複数回答のため、合計は100%を超えます。

それぞれのきっかけについて詳しく見ていきましょう。

参考:生命保険文化センター「生命保険とは」

参考:生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査《速報版》」

職場や自宅で保険会社の営業担当者に勧められた

職場や自宅に保険会社の営業担当者が来たことがきっかけで、生命保険に加入する方も少なくありません。「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」によれば、半数弱の方が保険会社の営業職員を通して生命保険に加入しています。

直近加入契約の加入チャネル

割合(%)

営業職員

45.2%(家庭に来る営業職員:29.0%、職場に来る営業職員:16.2%)

保険代理店の窓口や営業職員

13.1%(保険代理店の窓口:5.9%、保険代理店の営業職員:7.3%)

民間保険会社・JAなどの窓口

10.3

勤め先や労働組合等を通して

6.0

郵便局の窓口や郵便局員

5.8

銀行・証券会社を通して

2.4

保険代理店の窓口や営業担当者を経由して加入する方もいますが、保険会社の営業担当者経由で加入した方のほうが3倍以上多いことが報告されています。

保険会社の営業担当者に直接保険商品の特徴や魅力を聞くことで、加入へのモチベーションが上がるのかもしれません。また、家庭や職場など、いつもの環境で営業を受けることも加入のしやすさにつながっていると推測されます。

参考:生命保険文化センター「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査《速報版》」

家族や友人に勧められた

生命保険文化センターの「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」によれば、約4人に1人の方が、家族や友人に勧められたことがきっかけで生命保険に加入しています。テレビや雑誌のコマーシャルでは他人事のように感じても、親しい人に「入っておくほうがよい」と勧められたら、自分事として前向きに検討することもあるでしょう。

また、生命保険が役立った具体的な話を聞いて、加入を決意するケースもあります。「〇〇さんが急に亡くなったけれど、保険をかけておいたから葬儀や遺品整理の費用を十分に賄えたらしい」「入院が予想以上に長引いたけれど、保険で入院費が全額支払えた」といった話を実際に聞くことで、保険加入を自分事として考えるようになるかもしれません。

ライフステージが変わった

ライフステージが変わることで、生命保険による備えが必要になるケースもあります。例えば、社会人になったときや結婚をしたとき、お子さまが生まれたときなどには、新たな責任が芽生え、生命保険や貯蓄などの必要性を実感するかもしれません。

また、ライフステージが変わる際に、親や親戚、上司、先輩といった目上の人から生命保険を勧められることもあります。「社会人になったんだから、医療費ぐらいは医療保険に入って自分で備えなきゃ」「将来の教育費に備えて、学資保険に加入しておくほうがよい」などの経験に基づくアドバイスを受け、生命保険の加入を決意するケースもあるでしょう。

生命保険についてより詳しく知りたい方は、ファイナンシャルプランナーに相談してみてはいかがでしょうか。「auマネープラン相談」では無料でご相談いただけます。

生命保険加入の決め手となったポイント

「生命保険に加入しよう」と思い立ち、どの保険に加入しようかとやみくもに情報を集める方は多くないでしょう。多くの方は生命保険の必要性や魅力を感じ、加入を決意するのではないでしょうか。

生命保険加入の決め手としては、次のポイントが挙げられます。

  • 必要な保障が得られる・保障内容が充実している
  • 保障内容に見合った保険料に設定されている
  • 営業担当者の対応が信頼できる

それぞれのポイントについて見ていきましょう。

必要な保障が得られる・保障内容が充実している

生命保険に加入する大きな決め手となるのが「保障内容」です。どんなに評判がよい保険でも、自分に合わなくては意味がありません。必要としている保障を得られることは、保険商品を選ぶ際に重視されるポイントです。

例えば、次のような保障が必要だと感じたことはないでしょうか。

  • 入院が長期化する場合に備え、日数に応じた給付金を受け取りたい
  • がんの放射線治療や抗がん剤治療は高額だと聞く。治療費の実費を受け取れるような保険に加入したい
  • 子どもの教育費が不安。大学入学時や毎年の授業料の支払いに合わせて受け取れる学資保険に加入したい

必要な保障を得られる保険商品は一つではありません。さまざまな保険会社で同じような保障内容を持つ保険商品を提供しています。

どの保険商品にするか迷ったときの決め手となるのが「保障内容が充実していること」です。例えば、「入院と手術にだけ備える医療保険」よりは「入院と手術、通院に備える医療保険」のほうが、幅広いケースで給付金を受け取れます。

特約が充実している保険にも注目しましょう。基本保障では不足すると思われる部分を補う特約があれば、さらに保障内容を充実させることができます。

例えば、医療保険に「がん診断一時金」の特約があるなら、がん保険に加入しなくてもがんに備えられるかもしれません。また、「保険料払込免除」の特約があれば、所定の状態になったときには保険料の支払いなしに保障を継続できます。なお、所定の状態は保険商品ごとに異なるため、加入前に確認しておきましょう。

保障内容に見合った保険料に設定されている

保障内容が似通った保険商品なら、少しでも保険料が低く設定されているほうがよいでしょう。保険料は毎月発生するため、1ヶ月あたりの違いは数百円程度でも、長く継続すれば大きな差が生じます。

ただし、安ければ安いほどよいというものではありません。次のポイントもチェックし、妥当な保険料に設定されている保険商品を選びましょう。

  • インターネット割引やまとめ払いなど、1ヶ月あたりの保険料が安くなる制度がある
  • 給付金請求事由が発生してから実際の受取までの期間が短い
  • 給付金支給の上限日数が長く設定されている
  • 保険料の値上がりペースが緩やか、もしくは一生涯そのまま

他の保険商品と比べて高めの保険料でも、保障内容が充実しており、ご自身が納得できる金額であれば問題ありません。

営業担当者の対応が信頼できる

営業担当者は、単に保険商品を販売する人ではありません。保険についてわからないことがあるときに相談したり、給付金を請求するときにサポートを受けたりすることもあるため、契約後も長く付き合うことが想定されます。

営業担当者を通して保険に加入する場合は、営業担当者が信頼できる人物か、また、話しやすく気軽に頼れるかもチェックしておきましょう。加入後の担当者と最初の営業担当者が異なる場合なら、しっかりと引き継ぎをしてくれるのか、また、加入後の担当者も信頼できる人物なのかチェックしましょう。

オンラインで加入する場合は、次のポイントも注目してみてください。

  • 公式ホームページのFAQが充実している
  • 電話・チャットがつながりやすい

生命保険は、病気やケガ、死亡などといった緊急事態に利用するツールです。給付金を請求する際に気持ちが動転して冷静に問い合わせができない可能性も想定されるため、請求や受取の仕組みがわかりやすく、なおかつ利用しやすいとよいでしょう。

また、営業担当者や窓口を経由して生命保険に加入する場合も、給付金請求時や疑問発生時に担当者と連絡をとれず、オンラインで問い合わせることがあるかもしれません。電話やチャットの利用しやすさ、対応時間の長さ(営業時間が長い、土日祝日も連絡できるなど)も確認しておくと安心です。

生命保険の選び方

生命保険で万が一に備えておきたいけれども、実際にどのような保険に加入すればよいか、保障内容をどのように組み立てればよいかわからないという方も多いのではないでしょうか。

一般的に人気のある保険であっても、ご自身やご家族にとって必要性の高い保障内容でなければ適切な備えを得られません。以下のポイントに注目し、自分に合った保障内容を組み立てていきましょう。

  • 備えたい内容を明らかにする
  • 必要とする人が給付金を受け取れる保険か確認する
  • 保障期間を決める
  • 保険料・保険金が適切か吟味する

それぞれのポイントについて順に解説します。

備えたい内容を明らかにする

生命保険でどのような事柄に備えたいのか、リストアップしてみましょう。

  • 子どもが小さく、配偶者がフルタイムで働けない。私が死亡した後の生活費が気になる。
  • 親族に女性特有のがんにかかった人が多い。私もかかるかもしれないので備えておきたい。
  • フリーランスなので働けなくなったときに収入がなくなってしまう。病気やケガで長期的に働けないときの収入源が欲しい。

例えば、自分が死亡したときの家族の生活が不安なら、収入保障保険や定期保険、終身保険などを検討できます。いずれも被保険者が死亡したときや高度障害状態になったときに保険金が給付される保険です。特徴や違いは以下をご覧ください。

収入保障保険

  • 保障期間内のみ保険金を受け取れる
  • 保障期間の満了が近づくと保険金の金額が減る
  • 多くの商品は掛け捨て型で解約返戻金はない

定期保険

  • 保障期間内のみ保険金を受け取れる
  • 保障期間内はいつでも保険金が定額
  • 一般的には掛け捨て型が中心で解約返戻金はない

終身保険

  • 保障が一生涯続く
  • 保障期間内はいつでも保険金が定額
  • 多くの商品は貯蓄型で加入期間や保険料に応じた解約返戻金がある

お子さまが小さいときだけ保障を手厚くしたい場合は、「必要な期間に重点的に生活費相当の年金が受け取れる」という点から、収入保障保険がよいかもしれません。保障期間内はいつでも定額の保険金を受け取りたい場合は、保険料が低めに設定されている定期保険が選択肢になります。

一方で、「万が一の備えとあわせて長期的な資産形成も意識したい」「一生涯の死亡保障を確保したい」といったニーズがある場合は、貯蓄性のある終身保険を検討できます。

また、病気やケガをしたときの医療費が不安なら、医療保険で備えられるでしょう。がんへの備えが気になるときは、がん保険に加入するか、医療保険にがん特約を付加するか検討できます。備えたい内容に応じた保険の種類がわからないときは、保険会社の営業担当者や保険代理店の窓口で相談するのも一つの方法です。

必要とする人が給付金を受け取れる保険か確認する

生命保険には3つの名義があります。それぞれしっかりと吟味して決定することが大切です。

保険契約者

生命保険会社と契約する人。通常は保険契約者が保険料を支払う。契約内容や名義変更、請求権などの保険に関するさまざまな権利を持つ。

被保険者

保険金支払事由となる人。保険対象者。

保険金受取人

保険金や給付金、年金などを受け取る人。

3つの名義はすべて同じにすることもできますが、死亡保障を得るときは「被保険者」と「保険金受取人」を別の人物で設定しておくのが一般的です。また、「保険金受取人」を誰にするかによって、税金の種類や税額が変わることもあるため注意が必要です。

例えば、ご自身が亡くなったときのために定期保険を契約する場合について考えてみましょう。「保険契約者」と「被保険者」は本人になります。また、加入したときに独身だったため、「保険金受取人」を母親に設定したとします。

その後、結婚してお子さまも生まれ、ますます頑張って働こうと思った矢先に本人が亡くなったとしましょう。「保険金受取人」の名義を変更していなかったら、保険金は母親が受け取ることになり、配偶者やお子さまの元には渡りません。

また、母親が遺された配偶者(母親から見た子どもの配偶者)やお子さま(母親から見た孫)に保険金を譲渡したいと考えたとしても、金額によっては贈与税が発生し、保険金が目減りすることにもなってしまいます。生命保険に加入するときは、保険金や給付金などを必要とする人を「保険金受取人」に設定し、ライフステージや家族構成が変わったときは随時「保険契約者」が適宜見直すようにしましょう。

保障期間を決める

保障内容と名義を決めた後に、保障期間を決定します。保障期間とは「保険契約が有効で、保障が適用される期間」のことです。一般的には、同じ保険金額・同じ条件であれば、保障期間が長ければ長いほど保険料が高額になるため注意が必要です。

例えば、死亡保障を受けたいときに検討する保険として、定期保険と終身保険があります。定期保険の保障期間は一定期間ですが、終身保険の保障期間は一生涯です。「末子が学校を卒業するまで」「自分が公的年金を受給するまで」のように一定期間のみ保障を得たいときは、定期保険がよいでしょう。終身保険よりも保険料が抑えられていることが多く、継続しやすい点もメリットです。

一方、期間を区切らずに一生涯の保障を得たいときは終身保険が適しています。終身保険は、死亡保障が一生涯続くことに加え、途中解約した場合でも解約返戻金を受け取れることがあるため、貯蓄としても活用できます(※)。その分、同じ保険金額の定期保険と比べると保険料が高額になる傾向がある点には注意が必要です。

保障期間を決めた後は、保険料払込期間も決めましょう。保険料払込期間とは「保険料を支払う期間」のことです。なかには、保険料を支払っている間だけ保障が続くタイプ(払込期間=保障期間)もありますが、多くの商品では、払込期間を定めてその後も保障だけは続くタイプ(有期払込)が選べます。

保険料払込期間が有期の場合、保険料の支払期間を調整できるため資金計画を立てやすいというメリットがあります。例えば、定年退職後は収入が下がることがわかっているなら、保険料払込期間が定年退職時までに終わるように設定しておけるかもしれません。

解約時期によっては返戻金を受け取れないことがあります。

保険料・保険金が適切か吟味する

最後に保険料と保険金について決定します。保険金や給付金が高額であればあるほど将来の不安を軽減できますが、受け取れる金額を増やすと、その分、保険料も高額になる点に注意が必要です。

保険料が高額すぎると、現在の生活を圧迫する可能性があります。また、早期に保険を解約することになり、保障が必要なときに保険金を受け取れないといったことになりかねません。保険料を支払い続けるためにも、無理なく支払える金額であることが前提となります。

しかし、保険料を抑えるために、保障内容や保険金の金額を切り詰めすぎるのも問題です。必要性が高い保障内容を網羅し、なおかつ必要な金額を受け取れるように保険金を設定したうえで、家計や貯蓄と照らし合わせて無理なく支払える保険料か吟味するようにしてください。

適切な保険料・保険金がどの程度か判断しかねるときは、ファイナンシャルプランナーに相談してみてはいかがでしょうか。「auマネープラン相談」にお問い合わせください。

生命保険に加入するときに注目したいポイント

生命保険は一つひとつご自身やご家族に合った形にデザインしていく保険です。例えば、どの保障内容を選ぶか、保険金受取人を誰にするか、保障期間や保険料払込期間はいつにするかなどによって、同じ生命保険であってもまったく異なるものに仕上がります。

生命保険に加入するときに注目したいポイントを主な保険の種類別に紹介します。ぜひ参考にして、ご自身とご家族に合う生命保険をデザインしてみてください。

医療保険・がん保険

医療保険とがん保険に加入するときは、次のポイントに注目しましょう。

  • 入院一時金
  • 診断一時金
  • 先進医療特約

なお、保険商品によっては上記の保障や特約を選択できないことがあります。必要な保障・特約を得られないときは、他の保険商品とも比較したうえで適切なものを選ぶようにしてください。

入院一時金

ほとんどの医療保険やがん保険では、入院時の保障が提供されています。しかし、医療保険・がん保険に加入すれば、必ず入院時に給付金を受け取れるというわけではありません。

保険商品によっては「最低入院日数」が設定されていることがあります。最低入院日数とは、給付金支給開始の条件となる日数です。例えば、最低入院日数が5日に設定されている保険商品では、入院日数が4日以下のときは給付金を受け取れないことがあります。

医療技術の進歩により、入院日数も短期化の傾向が見られます。確実に給付金を受け取るためにも「入院一時金」のある医療保険やがん保険に注目してみましょう。入院一時金とは、入院時に支給される給付金です。入院日数にかかわらず受け取れるため、短期入院の場合も安心です。

診断一時金

「診断一時金」とは、特定疾病の診断を受けたときに支給される給付金です。入院治療や手術の有無にかかわらず支給されるため、他の給付金と比べて早期に請求・受給できるという特徴があります。

例えば、がんと診断された場合について考えてみましょう。治療や入院にもお金がかかりますが、通院や体調悪化のために働くことが難しくなり、収入が減る可能性があります。会社員や公務員なら被用者保険により「傷病手当金」を受け取れるケースもありますが、申請から受給までに時間がかかるため、すぐに利用できるとは限りません。

診断一時金が給付されるタイプの医療保険・がん保険なら、がんと診断されてからあまり日を置かずにまとまった給付金の受給が可能です。通院費や当座の生活費としても利用でき、治療に専念しやすくなるでしょう。

なお、診断一時金はがん以外の診断でも受け取れることがあります。例えば、糖尿病や脳血管疾患のように治療が長引きがちな生活習慣病の診断が対象となる保険商品もあります。

先進医療特約

「先進医療特約」とは、先進医療を受けたときに給付金が支給される特約です。先進医療とは厚生労働大臣が認めた高度な医療技術を用いた療養のことで、先進医療にかかる技術料の部分は公的医療保険の対象外となり自己負担になります。

一方で、同時に行われる入院や検査など保険適用部分の費用は、通常どおり公的医療保険で13割負担となります。そのため、先進医療を選択すると、技術料の自己負担額が高額になりやすい点に注意が必要です。

先進医療特約を付加しておくと、先進医療も一般的な治療のように選択肢として検討しやすくなります。費用面の負担を抑え、なおかつ治療の選択肢を増やすためにも、先進医療特約を検討してみましょう。

収入保障保険

死亡したときや高度障害状態になったときに備えて加入できるのが、収入保障保険です。収入保障保険に加入するときは、次のポイントに注目しましょう。

  • 健康体割引の有無
  • 最低保証期間

それぞれのポイントを解説します。

健康体割引の有無

収入保障保険は死亡保険の一種のため、死亡リスクが低い場合には保険料が割安になることがあります。保険商品によっては「健康体割引」を実施していることもあるため、チェックしてみてはいかがでしょうか。

健康体割引とは、喫煙状況や体格指数(BMI)、血圧などの条件を満たすと保険料が割引される制度です。喫煙習慣がなく、体格指数が正常範囲のときは割引が適用されることがあります(※)。また、血圧値が割引の条件となることもあります。

通常BMI18.525.0を正常としますが、保険商品によっては独自基準を定めていることがあります。

最低保証期間

「最低保証期間」とは、保険金支払事由が発生した場合に年金給付が保障される最低限の期間のことです。収入保障保険は保険金支払事由が発生してから保険期間が満了するまで年金形式で保険金を受け取れる保険です。そのため、保険期間が終了する間際に保険金を受け取る状況になると、ごく短期間しか受け取れなくなる可能性があります。

しかし、最低保証期間が長く設定されている場合は、保険期間の終了間際に受給を開始しても一定金額以上の年金を受け取ることが可能です。例えば、最低保証期間が5年間に設定されている収入保障保険なら、年金を受け取れる期間が本来なら2ヶ月しかない場合でも、5年間分に相当する年金を受け取れます。

終身保険・定期保険

終身保険や定期保険に加入するときは、次のポイントに注目しましょう。

  • 解約返戻金の金額
  • 外貨建て・円貨建て
  • 健康体割引の有無

それぞれのポイントを解説します。

解約返戻金の金額

終身保険は一般に貯蓄性があるため、資産形成にも役立てられる保険です。また、解約返戻金もあり、途中で解約したときには「解約返戻金」として、それまでの払込状況に応じた金額を受け取れる商品も多くあります。

しかし、解約返戻金の設定によっては、元本割れすることがあるため注意が必要です。契約前に元本割れをする時期をあらかじめ確認しておくと、万が一解約する場合に備えておけるでしょう。

外貨建て・円貨建て

定期保険・終身保険の中には、外貨建てで運用するタイプの保険商品もあります。一般に外貨の金利水準が円より高い局面では、円貨建てよりも高い利回りが見込める場合もありますが、為替相場の変動や手数料等の影響により、円換算の受取額が円貨建てを下回るリスクもあります。

また、保険契約時よりも円安が進むと受け取れる保険金は増えますが、円高が進むと円貨建てよりも目減りすることが一般的です。外貨建ての保険はインフレ対策としても活用できる一方で、リスクも大きいため慎重に利用しましょう。

健康体割引の有無

定期保険も医療保険と同様、健康体割引や非喫煙者割引が利用できる保険商品があります。喫煙習慣がなく、BMIや血圧値などが正常の範囲の方なら、健康体割引のある保険商品に加入することで保険料を抑えられることがあります。

就業不能保険

働けなくなったときに備えて、就業不能保険への加入も検討してみましょう。就業不能保険に加入するときは、次のポイントをチェックしてください。

  • 免責期間の長さ
  • 給付金受取の条件
  • 年金受給中の死亡の取り扱い

それぞれのポイントについて見ていきましょう。

免責期間の長さ

免責期間とは、就業不能状態になってから給付金の受取が可能になるまでの待機期間のことです。例えば、免責期間が180日に設定されている就業不能保険では、就業不能状態に陥ったとしても180日後までは給付金を受け取れません。免責期間中に復職できた場合には、結局は給付金を受け取れない可能性があります。

免責期間があまりにも長く設定されている場合は、就業不能保険の利用が難しくなることもあります。しかし、免責期間を短くすると保険料が高くなることもあるため、バランスを考慮して設定しましょう。

給付金受取の条件

給付金の受取条件も、保険商品ごとに異なります。例えば、がんで通院治療が必要になり、働けなくなったときでも、就業不能保険の受取条件に「がんによる就業不能状態」が記載されていない場合は給付金を受け取れません。どのような状態なら給付金を受け取れるのか、要介護や身体障害といった認定が必要なのか、詳しく受給条件を確認しておきましょう。

また、復職後の給付金受給が可能かもチェックしておきましょう。保険商品によっては給付金受給条件を満たしているなら、働くことが可能でも給付金が支給されることがあります。

年金受給中の死亡の取り扱い

就業不能保険では、給付金が一時金ではなく年金(毎月や隔月などに定期的に給付金が支給されるスタイル)で支払われることがあります。保険商品によっては、年金受給中に被保険者が死亡した場合、遺族向け給付(保険独自の給付)へと切り替わるタイプがあります。

遺族年金へと切り替わる就業不能保険なら、死亡保険の代わりとしても活用可能です。契約時には、年金受給中の死亡の取り扱いについても確認しておきましょう。

個人年金保険

定年退職から公的年金を受給する間の生活費が不安なとき、また、公的年金の金額が少ないときなどは、個人年金保険への加入も検討してみましょう。個人年金保険に加入するときは、次のポイントに注目してください。

  • 保険金受取期間
  • 返戻率

それぞれのポイントを解説します。

保険金受取期間

個人年金保険には、終身タイプ(保険金を終身受け取れる)と有期タイプ(一定期間のみ受け取れる)があります。例えば、個人事業主やフリーランスとして働いてきた方なら公的年金の受給額が少ないかもしれません。終身タイプを選ぶことで、一生涯にわたり年金を確保しやすくなります。

一方で、終身タイプは有期タイプに比べて保険料が高額になる傾向があります。有期タイプを選ぶことで、保険料を抑えるほうがよい可能性もあるでしょう。また、いずれのタイプを選ぶ場合も、保険料が無理なく支払える金額なのかチェックしておきましょう。

返戻率

返戻率とは、保険料の総支払額に対する保険金の総受取額の割合を表す指標です。以下のように計算します。

返戻率の計算方法

返戻率(%)=保険金の総受取額÷保険料の総支払額×100

例:毎月1万円の保険料を20年間支払い、60歳~65歳の5年間で250万円の保険金を受給する

保険金の総受取額=250万円

保険料の総支払額=1万円×12ヶ月×20年=240万円

返戻率=250万円÷240万円×100=約104

返戻率は高ければ高いほどよいと考えられますが、終身タイプの場合は受取期間が寿命に左右されるため、返戻率を正確に算出することはできません。健康状態から考えられる寿命も参考に、試算してみてはいかがでしょうか。また、保険商品の運用実績やインフレ対策もチェックしておくようにしてください。

ご自身やご家族に合った形の保険を見つけたい方は、「auマネープラン相談」もご活用ください。ご自宅や近所のカフェなどお好きな場所で保険選びについてプロに相談できます。

必要な保障を保険で備えよう

生命保険は、将来のさまざまな不安に備えるための保険です。どのような保障が必要か吟味し、不安視される部分を補うように保険を設定しましょう。

また、生命保険は種類が多く、チェックポイントも異なります。紹介した情報も参考に、ご自身やご家族に合わせたプランをデザインしてください。

生命保険の活用方法については、ぜひ「auマネープラン相談」にご相談ください。ファイナンシャルプランナーが無料でご説明いたします。

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