がん保険はいくら必要?給付金の種類や治療費の目安を解説
がん保険への加入を検討する際に「診断給付金(一時金)はいくら必要?」「がんの治療費はどのくらいかかるの?」と悩む方も多いでしょう。
がん保険では、がんと診断された際やがん治療のために入院や手術などを行った際に給付金を受け取れます。安心できる保障額を考えるには、実際にがん治療でどのくらいの費用がかかるのかを知っておくことが大切です。
本記事では、がん治療で必要な費用の目安と、がん保険で受け取れる主な給付金を解説します。また、治療費の負担を軽減する3つの公的保険制度も紹介します。
がん保険とは?医療保険との違い

がん保険は、がんの治療や入院への保障に特化した保険です。がん保険のほかにも、病気やケガでの治療費や入院費に対する給付金を受けられる保険に、医療保険があります。
がん保険と医療保険の違いは、以下のとおりです。
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項目 |
がん保険 |
医療保険 |
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保障の対象 |
悪性新生物および上皮内新生物 |
病気やケガ |
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主な給付金 |
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免責期間の有無 |
一般的に90日(または3ヶ月) |
一般的になし |
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入院給付金の支払限度日数の有無 |
一般的に無制限 |
一般的にあり |
免責期間とは、保険契約後に給付金の支払事由が発生しても、保障を受けられない期間のことです。一般的に、医療保険は免責期間がないため、契約後はすぐに保障が開始します。一方、がん保険の多くは、90日または3ヶ月の免責期間があります。
がん保険に免責期間が設けられているのは、がんであることに気付かずに保険に加入し、他の契約者に不利益が生じることや、告知義務違反が起きるリスクを軽減するためです。免責期間中は保障を受けられないだけでなく、がんと診断されると以後の保険契約が無効になることも、あわせて理解しておきましょう。
また、医療保険は一般的に入院給付金の支払限度日数が設けられていますが、がん保険の多くは、支払限度日数が設定されていません。がん治療で入院期間が長くなったり、入院回数が増えたりした場合に対応できる保険を希望するのであれば、がん保険が選択肢となるでしょう。
がん治療で必要な費用の目安

がん保険の必要性や、備えるべき給付金額を考えるには、がんの治療でどのくらいのお金がかかるかを知っておく必要があります。
ここでは、がん治療に必要な費用の目安を、以下の3つの項目に分けて解説します。
- 入院で必要な費用
- 通院や検査など入院外の費用
- 差額ベッド代や食事代などその他の費用
それぞれを詳しく見ていきましょう。
入院で必要な費用
厚生労働省が発表する「医療給付実態調査(令和4年度)」によると、加入している公的保険別の入院で必要な1日あたりの費用の目安は以下のとおりです。
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協会 |
組合健保 |
共済組合 |
国民健康 |
後期高齢者 |
|
|
診療費 |
8万3,045円 |
8万9,174円 |
9万419円 |
7万3,540円 |
5万7,139円 |
|
自己負担額 |
2万4,913円 ※3割負担の場合 |
2万6,752円 ※3割負担の場合 |
2万7,125円 ※3割負担の場合 |
2万2,062円 ※3割負担の場合 |
5,713円 ※1割負担の場合 |
協会けんぽに加入している方が、がん(悪性新生物)の治療で入院をしたときに1日で必要な診療費の目安は、2万4,913円です。1回の入院で必要な日数は10日程度とされているため、25万円(2万4,913円×10日)程度の費用が必要と考えられます。
通院や検査など入院外の費用
厚生労働省が発表する「医療給付実態調査(令和4年度)」によると、加入している公的保険別の入院外に必要な1日あたりの費用の目安は以下のとおりです。
|
協会 |
組合健保 |
共済組合 |
国民健康 |
後期高齢者 |
|
|
診療費 |
4万4,285円 |
4万4,392円 |
4万4,832円 |
4万7,970円 |
3万6,800円 |
|
自己負担額 |
1万3,285円 ※3割負担の場合 |
1万3,317円 ※3割負担の場合 |
1万3,449円 ※3割負担の場合 |
1万4,391円 ※3割負担の場合 |
3,680円 ※1割負担の場合 |
入院以外で必要な通院治療や検査、薬代などの費用は、3割負担の場合に1日あたり1万〜1万5,000円程度です。がんの場合、通院による治療が長引くケースも少なくありません。
がんの治療をスタートするにあたっては、余裕をもって資金を準備することが重要です。
差額ベッド代や食事代などその他の費用
がん治療では、治療費や入院費、薬代といった診療費以外の費用も必要です。治療に必要なその他の費用の一例を、以下で確認しましょう。
- 差額ベッド代
- 入院中の食事代の一部
- 入院中の日用品(衣類、タオル、洗面用品など)
- 入院中のテレビ代
- お見舞いに来る家族の交通費
- 通院のための交通費
- 家事代行サービスの費用
治療する病院が遠方の場合、通院や家族がお見舞いに来る際の交通費や宿泊費がかかることもあります。電車やバスのほか、タクシーを利用する場合は、費用がかさむ可能性があることは理解しておきましょう。
また、小さな子どもがいる場合、ベビーシッターや家事代行サービスを利用するケースもあります。治療期間が長くなると、このような治療費以外の費用にも十分な備えが必要です。
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がん保険で受け取れる主な給付金

がん保険への加入を検討する際は、受けられる保障の種類と条件を把握しておくことも重要です。がん保険で受け取れる主な給付金には、以下があります。
- 診断給付金(一時金)
- 手術給付金
- 治療給付金
- 入院給付金
- 通院給付金
それぞれを詳しく解説します。
診断給付金(一時金)
診断給付金(一時金)は、がんと診断されたときに受け取れる給付金です。給付金額は商品や契約内容によって異なりますが、一般的に50万円や100万円、200万円など、まとまった金額を受け取れます。
診断給付金は、使い道が決められていません。そのため、治療費や生活費の補てん、交通費など、自由に使えます。がんの治療中は就労時間が減り、収入が減少することもあるでしょう。減った収入の補てんとしても、診断給付金は有効です。
診断給付金を受け取れる回数は、保険によって異なります。2回以上の受け取りが可能なものを選べば、再発や転移などにも備えられるでしょう。
診断給付金は、非課税です。そのため、確定申告も必要ありません。がんの治療中は、入院や通院により、確定申告などの手続きが難しくなるケースもあります。診断給付金であれば、そのような心配をすることなく、がんの治療に活用できます。
手術給付金
手術給付金は、がんの治療を目的とした所定の手術を受けた際に受け取れる給付金です。多くのがん保険で、主契約として保障されています。
手術給付金は、給付回数が無制限のものがほとんどです。ただし、「給付は60日に1回に限る」など、給付の間隔に制限がある保険もあります。保険を選ぶ際は、給付の制限を事前に確認することが重要です。
手術給付金の金額の多くは、入院給付金日額を基に決められます。具体的には、入院給付金日額の10倍、20倍、40倍のように算出します。例えば、入院給付金日額が1万円で手術給付金が20倍の保障内容の場合、手術給付金額は20万円(1万円×20倍)です。
手術給付金が入院給付金日額の何倍になるかは、保険によって異なります。過不足のない保障を準備することを目指すのであれば、契約時に十分確認し理解しておくことが肝心です。
入院給付金
入院給付金は、がんの治療を目的として入院したときに受け取れる給付金です。入院給付金額は、入院給付金日額に入院日数を乗じて算出します。
入院給付金日額は、保険によって異なります。5,000円や1万円などいくつかの選択肢から選べるものや、所定の範囲内で1,000円単位で設定できるものもあるため、自分に合ったものを選びましょう。
近年、がんの治療は通院で行われることが多く、入院給付金は不要といわれることもあります。しかし、がんの種類や治療内容によっては、入院が必要になったり入院期間が長くなったりすることもあるでしょう。
がん保険を契約する際は、保障内容や保険料などを事前に確認し、過不足のない契約内容にすることが重要です。
通院給付金
通院給付金は、がんの治療を目的とした通院をしたときに受け取れる給付金です。
通院給付金には、入院を条件とするものと、入院の有無にかかわらず給付金を受け取れるものがあります。また、保険によっては給付の回数や支払日数に制限があるものもあります。保障内容を十分に確認せず加入してしまうと、必要な給付金を受け取れなくなるかもしれません。通院給付金をしっかりと受け取りたいのであれば、事前に保障内容を確認することが肝心です。
通院給付金は、通院給付金日額に通院日数を乗じて算出されます。例えば、通院給付金日額が5,000円で10日間通院したときは、5万円の給付金の受け取りが可能です。
先述のとおり、がんの治療は通院で行われることが増えています。通院治療への保障を充実させたいと考えているのであれば、通院給付金の保障内容は重要なポイントとなるでしょう。
治療給付金
治療給付金は、がん治療を目的とした入院や手術、抗がん剤治療、放射線治療を受けた際に受け取れる給付金です。
ここまで解説してきた手術給付金や入院給付金、通院給付金は、手術の回数や入院日数、通院日数を基に、給付金が算出されます。一方、治療給付金は、所定の手術や入院、治療が行われたときに、一時金を受け取れる仕組みです。
入院や通院の日数が短い場合は、治療給付金のほうが受け取れる金額が大きくなるケースがあります。一方、入院や通院が長引いたときには、入院給付金や通院給付金のほうが、給付金額が大きくなるケースもあるでしょう。
なお、保険によっては、治療給付金に入院給付金を上乗せできる場合もあります。保険を選ぶ際は、治療給付金や入院給付金の仕組みを押さえたうえで、納得がいくものを選ぶことが肝心です。
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がん保険の診断給付金はいくら必要か
がん保険の中でも、診断された時点で受け取れる診断給付金(一時金)は、最初に受け取れる給付金のため非常に重要です。しかし、診断給付金をいくら用意するべきかは、一概にはいえません。
給付金額を大きく設定すれば、がんと診断された場合の経済的な不安を和らげられるでしょう。一方で、保障を充実させれば、保険料は高くなります。どのくらいの診断給付金を用意するべきかは、保険料や希望する治療内容、貯蓄額などを考慮したうえで、無理のない範囲で決めることが肝心です。
なお、勤務する会社によっては、病気休暇などの制度が用意されている場合があります。また、健康保険によっては、傷病手当も受け取れるでしょう。がん保険への加入を検討する際は、これらの制度についてもあわせて確認すると安心です。
がん保険への加入を検討したほうがよい人とは?

がん保険を検討していても、そもそもがん保険が必要かを悩む方もいるでしょう。がん保険は、がんへの備えに効果的な方法の1つです。特に、以下に当てはまる方は、がん保険への加入を検討したほうがよいとされます。
- 貯蓄に不安がある人
- 個人事業主として働いている人
- 幅広い治療を受けたい人
それぞれを詳しく解説します。
貯蓄に不安がある人
貯蓄に不安がある方は、がん保険を検討したほうがよいでしょう。貯蓄が少ないと、資金面での不安から、がんへの十分な治療ができない可能性があるからです。
先述のとおり、がん治療を目的とした1回の入院では、25万円程度の費用がかかるケースもあります。また、治療のために仕事を長期で休んだ場合、生活費が足りなくなるかもしれません。必要な治療費と収入の減少を十分に考えたうえで、貯蓄のみで賄うことが難しいと感じるのであれば、がん保険への加入を検討しましょう。
個人事業主として働いている人
個人事業主の方も、がん保険への加入を考えたほうがよいでしょう。
個人事業主は会社員とは異なり、有給休暇がありません。治療のため思うように働けなくなり事業の利益が減ると、収入の減少に直結します。そのため、がん保険の給付金による補てんを考えておくと安心です。
また、個人事業主は健康保険ではなく、国民健康保険に加入します。国民健康保険では、傷病手当を受けられません。その点でも、会社員と比較して働けなくなったときに収入を補てんする制度が少ないため、自分自身で保障を準備しておくことは重要です。
「がんにかかったときに、収入が減ることに対する不安を感じたくない」「収入が減っても、満足がいく治療を受けたい」と考えているのであれば、がん保険の活用を検討しましょう。
幅広い治療を受けたい人
幅広い治療を受けたい方も、がん保険は有効な選択肢となります。
がんの治療には、健康保険の対象となる標準的な治療のほかに、自費で行う治療もあります。自費診療は医療費が全額負担となるため、貯蓄や収入によっては希望する治療を受けられなくなる可能性もあります。
お金の心配をすることなく、幅広い治療を受けたいと考えているのであれば、がん保険は有力な選択肢となるでしょう。
自費診療の一例としては、陽子線治療や重粒子線治療などの先進医療があります。陽子線治療や重粒子線治療は健康保険の適用が進んでいますが、すべてではありません。部位によっては、高額になる可能性もありますので、先進医療特約で備えておきましょう。
先進医療特約とは、先進医療を受けた際に給付金を受けられる保障です。オプション契約のため、特約を付加すると保険料が上がります。
先進医療特約の給付額の上限は、保険会社によって異なります。付加する際は、契約内容を事前に確認することが肝心です。
また、先進医療に該当する治療は、年月の経過とともに変わる可能性があります。先進医療特約を付加する場合は、対象となる治療を把握しておくことが重要です。
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治療費の負担を軽減する3つの公的保険制度も押さえておこう
がんの治療費の負担を軽減するには、民間のがん保険や医療保険のほかに、公的保険制度を活用する方法もあります。がん治療に必要な費用の負担を軽減する主な公的保険制度は、以下の3つです。
- 高額療養費制度
- 限度額適用認定証
- 高額療養費貸付制度
公的保険制度を活用することで、治療費の負担を抑えられるケースもあります。公的保険制度も考慮したうえで、がん保険で必要な給付金額を検討し、過不足のない保障の準備をしましょう。
1.高額療養費制度
高額療養費制度は、公的保険の対象となる治療費が自己負担限度額を超えた場合に、後から払い戻しを受けられる制度です。がんに限らず、ケガや病気全般の医療費が対象です。
自己負担限度額は、年齢や年収、加入する健康保険によって異なります。例えば、年収が500万円程度の方であれば、自己負担限度額は、「8万100円+(医療費-26万7,000円)×1%」で計算できます。
仮に、自己負担の医療費が30万円かかったとしましょう。その場合の自己負担限度額は、8万430円(8万100円+(30万円-26万7,000円)×1%)になります。つまり、21万9,570円(30万円-8万430円)が支給されます。
高額療養費制度は、後日給付を受けられる一方で、一時的に自己負担が生じます。一時的にでも、医療費を支払う資金の用意が難しそうなときには、がん保険での備えを検討してもよいでしょう。
参考:厚生労働省保健局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
2.限度額適用認定証
限度額適用認定証とは、事前に申請をすることで、ひと月の支払額が自己負担の上限額までとなる制度です。
限度額適用認定証を利用すれば、高額療養費制度の給付金が支払われるまでのあいだ、自己資金で医療費を立て替える必要がありません。がん治療で医療費がかさむことがあらかじめ分かっているときには、限度額適用認定証を活用しましょう。
認定証の申請手続きは、加入している健康保険によって異なります。企業の健康保険に加入している方は、担当窓口で相談しましょう。国民健康保険に加入している場合は、市区町村窓口で手続きをしてください。
なお、マイナンバーカードと保険証を一体化している方は、事前申請不要です。医療機関や薬局窓口でマイナンバー保険証を提示することで、限度額を超える支払いが免除になります。
参考:厚生労働省「限度額適用認定証の準備が不要になりました!」
3.高額療養費貸付制度
高額療養費貸付制度は、高額療養費制度が支給されるまでのあいだ、無利子で利用できる貸付制度です。1ヶ月の高額療養費が一定額以上の場合に、制度利用の対象となります。貸付条件や貸付限度額は、加入する健康保険や市区町村によって異なるため、事前に確認しましょう。
高額療養費制度は、一時的に医療費の支払いが必要です。しかし、収入や貯蓄の状況によっては、一時的にでも現金を用意することが難しい方もいるでしょう。高額療養費貸付制度を活用することで、一時的に医療費を負担する必要がなくなります。
利用の申請手続きは、加入している健康保険によって異なります。企業の健康保険に加入している方は、担当窓口に相談しましょう。国民健康保険に加入している方は、市区町村窓口に問い合わせてください。
資産状況や受けたい治療を考慮し、最適ながん保険に加入しよう

がん保険とは、がんに特化した保障を受けられる保険です。医療保険との主な違いには、診断給付金や免責期間がある点や、入院給付金の支払限度日数がない点があります。
がんの治療では、1回の入院治療では一般的に25万円程度、1回の通院では1万〜1万5,000円程度かかるといわれます。ただし、がん保険をどのくらい用意するべきかは、一概にはいえません。
貯蓄に不安がある方や個人事業主の方、先進医療などの幅広いがん治療を受けたい方は、治療費が不足する恐れがあるため、がん保険による備えを検討しましょう。
がん保険の保障を手厚くすれば治療費の負担は抑えられるものの、保険料の負担は増えます。公的保険の手当や制度、貯蓄状況、収入、希望する治療内容などを考慮し、過不足のない保障を準備することを目指しましょう。
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