保険見直し 2023.3.31

変額保険とは?メリット・注意点から向いている人と向いていない人を解説

近年注目されている「変額保険」とは、保障機能に運用機能を持たせた保険商品です。よく吟味せず、商品内容を十分に理解せずに契約をしてしまうと、場合によっては大きく損してしまう恐れがあります。

変額保険が気になっているのなら、その仕組みを理解するとともに、自分に向いた保険であるのかをよく検討することが大切です。

そこで当記事では、変額保険の仕組みを定額保険と比較しながら、わかりやすく解説します。

メリットや注意点についてもまとめているので、変額保険を契約しようか悩んでいる方は、ぜひご一読ください。

変額保険とは?仕組みをチェック

変額保険とは、簡単にいえばその名前のとおり、受け取れる満期保険金や解約返戻金などが自身の運用実績によって変動する生命保険のことです。

まずは仕組みの特徴を押さえ、定額保険との違いを理解しましょう。

保障機能に運用機能を持たせた生命保険である

定額保険であっても変額保険であっても、保険金の工面は払込保険料を保険会社が運用することによって行われます。それぞれの保険で異なるのは、運用方針です。

定額保険の場合は「一般勘定」といって、保険会社による安全性を重視した金融商品の選択および運用が基本となります。

一方、変額保険は「特別勘定」といって、保険会社の用意する運用タイプの中から契約者が選択することになります。

つまり、定額保険は運用リスクを保険会社が負うのに対し、変額保険は運用リスクを契約者が負わなくてはいけません。

変額保険と定額保険の違いは以下のとおりです。

項目 変額保険 定額保険
運用のあり方 保険会社が用意する中から契約者が決定 安全性重視
死亡保険金 契約時の基本保険金額+運用による変動保険金増額分 一定額
解約返戻金 運用にもとづき変動 契約時の内容により決定
満期保険金or年金額 運用にもとづき変動 契約時の内容により決定

(※)公益社団法人生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会「定額保険 変額保険と定額保険の違い」より加工して作成

運用結果が良くても悪くても定額保険は保険金額が変わらないのに対し、変額保険は運用結果によって保険金額が上下します。

契約時の基本保険金額は確保されますが、受け取れる保険金額の合計は運用により変動し、必ずしも予想通りに増額するとは限りません。

以上のことから、変額保険は定額保険に比べて投資の側面が強い生命保険だといえるでしょう。

死亡保険金や高度障害保険金には原則最低保証がある

一般的な変額保険商品には、死亡保険金や高度障害保険金に最低保証が付帯します。

被保険者の死亡時や高度障害認定時に関しては、契約時の基本保険金額を受け取ることができます。

運用結果が好調だった場合には、解約返戻金や満期保険金などと同じく、より大きな保険金を受け取ることができます。

3種類の変額保険

変額保険は、大きく分けると「終身型」「有期型」「個人年金型」の3種類です。

ここではそれぞれの特徴を解説するので、自分の求める保険内容に近いタイプを見つけるためにお役立てください。

終身型変額保険

「終身型変額保険」は、一生涯にわたり保障が継続される変額保険です。

多くの商品では、死亡・高度障害保険金にのみ最低保証が付帯します。途中解約もできますが解約返戻金には最低保証がないため、運用結果のよいタイミングで解約をしなければ払込保険料総額を下回る受取額になる恐れがあります。

保険の特性上、満期保険金はありません。

変額保険に限りませんが終身型の保険は貯蓄機能を有する保険のため、老後資金の準備として利用されるケースが多くみられます。

また、現金や不動産などの資産は遺産分割協議が必要になるためトラブルに発展するリスクがありますが、終身保険の場合は分割対象にはならずお金の行き先は保険受取人となるため相続対策としても利用されることがあります。

有期型変額保険

「有期型変額保険」は、保障期限をあらかじめ定めた変額保険です。死亡した際には、基本保険金額に加えて変動保険金を受け取れますが、変動保険金額は運用により変動します。

途中解約による解約返戻金のほか、満期時に受け取れる満期保険金がありますが、どちらも運用実績によって保険金額が上下するため、タイミングによっては、受取額が払込保険料総額を下回る恐れがあります。

変額個人年金保険

「変額個人年金保険」は保険金を原則、年金形式で受け取る変額保険です。

解約返戻金や年金額が運用実績により変動する点はほかの変額保険と変わりません。一方、変額個人年金保険は、終身型や有期型よりも商品ごとの特性やオプションが目立つ傾向にあります。

例えば、毎日の運用に応じて積み立てができる基本型、目標達成時に一時金を受け取るターゲット型、一度増えた年金原資を減らしたくないなら最低保証引き上げ型、すぐに年金受給を開始したいなら早期年金開始型など、ほかの変額保険では見かけないさまざまな条件が付帯することもあるでしょう。

年金受給額を上乗せしたい方向けの保険商品ですが、そのなかでも自分にあった受取方法や受取期間、オプションの商品を探す必要があります。

変額保険のメリット

変額保険を契約する主なメリットは、以下の3点です。

・定額保険よりもリターンが大きくなる可能性がある
・生命保険料控除の対象である
・インフレに備えられる

それぞれ詳細を確認しましょう。

定額保険よりもリターンが大きくなる可能性がある

一般勘定を基本とする定額保険に比べると、特別勘定の変額保険は大きなリターンを期待できます。

なおリターンの期待値はリスクの大きさに比例しますが、選ぶ金融商品の組みあわせによって、リスクをいくらか調整することは可能です。

生命保険料控除の対象である

変額保険は投資商品の側面を持っていますが、分類としては保険商品であるため、生命保険料控除の対象です。

有期型と終身型、年金型問わず、一般生命保険料控除として所得税なら最大40,000円、住民税なら最大28,000円までが控除されます(※)。

年金型の場合も、一般生命保険料控除となる点には注意が必要です。

(※)出典:生命保険文化センター「税金の負担が軽くなる『生命保険料控除』」

インフレに備えられる

変額保険であれば、定額保険と違い、インフレ時に保険金1円あたりの実質的な価値が下がりにくくなります(※)。

定額保険は契約時の利率で固定された保険商品であるのに対し、変額保険は経済状況や市場金利などに影響され、運用実績により受取額が変動する可能性があります。

長い目で見ると市場金利は上がるのが一般的であるため、保障期間が長期であればあるほど定額と変額のどちらにメリットがあるかを検討する必要があります。

(※)出典:金融広報中央委員会「4. 保険で貯めるメリットとデメリット」

変額保険の注意点

続いて、変額保険の注意点も見ていきましょう。

・元本割れする可能性がある
・純粋な投資商品に比べるとコストが高い傾向にある

注意点についての詳細は以下をご覧ください。

元本割れする可能性がある

変額保険商品のほとんどは、死亡保険金や高度障害保険金にしか最低保証がありません。

解約返戻金や満期保険金の受取額が払込保険料総額を下回る恐れがあることは注意が必要です(※)。

(※)出典:金融広報中央委員会「4. 保険で貯めるメリットとデメリット」

純粋な投資商品に比べるとコストが高い傾向にある

変額保険は積極的に資産運用をしながら保障も得られるという一石二鳥の商品ですが、その分、純粋な投資商品に比べるとコストがかかります。

そのため、純粋に投資をしたいのであれば変額保険に加入するよりも投資向けの金融商品を購入する方がコストが少なく済みます。

変額保険に向いている人と向いていない人

先にご紹介した変額保険のメリット、注意点を踏まえ、ここでは変額保険に向いている人と向いていない人について解説します。自分と照らしあわせ、ご確認ください。

変額保険が向いている人の特徴

変額保険が向いているのは、主に以下の条件に当てはまる方です。

・資産の運用知識がある人
・金融資産に比較的余裕がある人
・長期的な資産形成をしたい人

変額保険は投資の側面を持っていることから、資産運用の知識がない方では損失を被る確率が高くなるほか、金融商品取引法の「適合性の原則」を満たせない恐れがあります。

「適合性の原則」とは、販売会社は「顧客に商品が適合しないと考えられる場合には販売してはいけない」という趣旨の内容です(※)。

適合性に関してはさまざまな観点から判断されますが、運用知識はもちろんのこと、保有している金融資産に見合った金額の契約内容であるかなども見られます。

そのため金融資産に余裕がない場合は、申し込みを断られるケースがあるでしょう。

まずは運用知識と金融資産の条件を満たしており、それでいて「死亡保障を確保しながら運用したい」または「インフレ対策可能な長期保障の保険がほしい」といった方には、変額保険が向いていると考えられます。

(※)内閣府「1.金融商品取引法における適合性の原則の概要」

変額保険が向いていない人の特徴

変額保険が向いていないと考えられるのは、主に以下の条件に当てはまる方です。

・資産の運用知識がない人
・金融資産に余裕がない人
・元本割れのリスクをとりたくない人
・資産運用メインに使いたい人

先述したとおり、資産の運用知識がない方や金融資産に余裕がない方は「適合性の原則」を満たせない可能性があるため、変額保険は向いていないといえるでしょう。

また、変額保険には元本割れのリスクもあるため、できるだけリスクを負いたくない方にはおすすめできません。

投資の側面を持ってはいるものの、変額保険はあくまで保険商品であり投資商品としてはコストが高くなりやすいため、資産運用メインに使うのであれば、他の運用商品を検討してみてください。

「変額保険は損をするからやめた方がいい」といった話もよく聞かれますが、これはどちらかというと変額保険を投資商品として見た場合の意見でしょう。

変額保険は運用益を期待できますが、だからといってそれに頼りすぎるのではなく、「インフレに備えやすい生命保険であり、結果として運用益が出ることもある」程度に考えておくのが無難です。

変額保険を選ぶならプロに相談しよう!

物価上昇が続く現状において、インフレ対策のできる変額保険は魅力的です。

しかし変額保険は保険商品のなかでも珍しい特色を持った商品であるため、自分や世帯に向いている商品であるかは十分な検討が必要です。

自分や世帯にあった保険を選ぶためには今後のライフプランを踏まえた何十年分という収支の計算が必要になり、手間もかかります。

また変額保険に絞ったとしても、多くの商品が販売されているため、そのなかからベストな商品を見つけ出すのは大変でしょう。

保険選びに悩んだときは、ぜひ「auフィナンシャルパートナー」にお任せください。

auフィナンシャルパートナーなら、お金のプロが無料であなたの家計をチェック。そのうえでぴったりの保険を提案してもらえるので、保険選びに自信が持てます。

これから保険を契約するという方も、保険の見直しを検討している方も、まずはお気軽にご相談ください。

まとめ

変額保険とは、自身の選択する商品の運用結果で最終的な受取額が決まる保険商品です。金融商品の運用知識を持っていない方が、変額保険に安易に手を出すことはおすすめしません。

「変額保険に興味がある」のなら、まずはauフィナンシャルパートナーに相談してみてはいかがでしょうか。

執筆者名:
三浦 仁実
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