がん保険の必要性とは?加入して受けられる保障の内容、給付金などを説明
日本では多くの方が医療保険へ加入しています。病気やケガに備える意識の高さが伺える一方で、がん保険の世帯加入率は65%にとどまっています(※)。
医療保険に加えてがん保険も必要なのか、疑問を感じる方が多いのかもしれません。加えて、がん保険は保障内容が「がん」に特化しており、がんにならない限り給付金を受け取ることができない点も、加入を悩む原因となっているのでしょう。
本記事では、がん保険が必要かどうかを判断する基準となる保障内容などについて、詳しく解説します。がん保険に興味がある方は、ぜひご一読ください。
(※)出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
がん保険加入前にがんになる確率を知ろう
がん(悪性腫瘍)とは、遺伝子が傷ついた細胞が増殖して身体の機能を奪う病気です。がんになる原因は、喫煙などの生活習慣、菌・ウイルスの感染、遺伝性などさまざまであり、日頃から予防していても必ず避けられる病気ではありません。
がん保険の概要を理解しつつ、日本人に身近とされるがんの現状についても知っておきましょう。
がん保険とはどんな保険なのか
がん保険は、手術・入院・通院・投薬治療など、がんの治療にかかる金銭的負担を給付金でサポートすることを目的とした保険です。
治療によって治すことも可能といわれるようになったがんですが、ほかの病気に比べると、入院や通院の期間が長くなりやすく、また寛解(症状が一時的に消失している状態)しても転移や再発の可能性があります。いつ終わるともわからない闘病生活に不安を感じることも多いでしょう。
そのためがん保険は、一般的な医療保険に比べて、がんの保障に特化して設計された内容となっています。
日本人ががんになる確率
国立がん研究センターによると、一生のうちにがんと診断される確率は、男性が65.5%、女性が51.2%です(※)。
日本人の2人に1人はがんにかかる実態が明らかとなっており、実際がんは1981年以来ずっと、日本人の死亡原因のトップとなっています。
かつては「死の病」として知られたがんですが、治療法の確立や早期発見の機会増加などにより、年々死亡率は下がっています。
2021年の時点で、がんで死亡する確率は男性が26.2%、女性が17.7%です。もしがんが発見されても、早期発見して治療に努めることで治る可能性が高まっているといえます。
(※)出典:国立研究開発法人国立がん研究センター「1.最新がん統計のまとめ」
「がん」が治療によって治る確率
前述の死亡率からもわかるとおり、現在がんは必ずしも死に至る病気ではなくなってきました。
がん全体の5年生存率は6割ですが、早期発見した場合には9割まで上昇します。これは、手術だけでなく、放射線治療や化学療法などの治療法が増えたことも要因といえるでしょう。
治療の場は「入院」から「通院」へと移行しており、入院期間は数日から2週間程度、あとは通院により治療を続けるのが一般的です。
とはいえ、必要な入院日数は短くなりつつありますが、抗がん剤などの治療を外来で続けるには、高額な通院費がかかります。再入院や通院費用の可能性を考えると、高額療養費制度を利用した場合でも、医療費が負担になってしまうでしょう。
また、保険適応外の先進医療を受ける場合には、100~300万円もの治療費がかかる場合もあります。
がん保険とは?加入前に知っておきたい基本情報
がん保険とは、保障内容をがんに特化した民間の医療保険を指しますが、「がんに特化した保険」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
ここでは、がん保険の特徴をわかりやすく解説します。
保障として給付金が受け取れる
がんは、かかる部位やステージ(病期)によって、手術後の入院日数や治療法、治療にかかる時間がさまざまです。がん保険に加入すると、どのような「がん」治療にも対応できるよう、手厚い給付金を受けられます。
一般的な医療保険にあるような手術給付金や入院給付金、通院給付金だけではなく、診断から投薬治療まで、がん治療でお金が必要となるあらゆる場面に幅広く対応できるところが特徴です。
長期療養の際の費用を確保できる
がん保険は、長期療養の際の費用をカバーできるところも特徴のひとつです。がんの治療は長期にわたることが多く、高額療養費制度を利用しても治療にかかる費用は高額になりやすい傾向があります。
厚生労働省の2020年度のデータによると、がんにかかった人の受療率(人口10万人あたりの受診率)は、入院が89%、外来が144%となっています(※)。この数字からも、がんは入院治療ではなく通院治療にシフトしていることがわかるでしょう。
入院に比べると通院治療は負担が少ない印象を受けるかもしれませんが、数週間ほとんど毎日照射を行う放射線治療、1~2週間の周期ごとに実施する抗がん剤治療などを続けるにあたり、金銭的な負担も増します。
その点、がん保険に加入することで、手術や入院、通院といった長期間にわたる治療費をサポートできます。
(※)出典:厚生労働省「2 受療率」
働けなくなる期間の収入を補える
がん患者のうち約45万人は仕事をしながら通院治療を続けているとされています(※)。ですが、ときには手術のために入院が必要となるケースもあり、がんと診断される前と同じように仕事を続けるのはなかなか難しいのが現状です。
会社員であれば、休業中は加入する健康保険から傷病手当金が支給されます。傷病手当金は3日連続で休業後、4日目以降の休業日に対して最長1年半支給されるのが基本です。
ただし、支給額は給与のおおむね3分の2であり、金銭面の不安を払拭できるとはいい切れないでしょう。さらに国民健康保険の加入者には傷病手当金の支給はありません。
そのため、治療中の収入源も踏まえた保障内容とすることが大切です。
(※)出典:厚生労働省「がんに関する留意事項」
がん保険の保障内容は?
がん保険の保障内容は、保険会社や保険商品によって細かい部分は異なりますが、次のような保障内容が一般的です。
名称 | 主な内容 |
診断給付金 | ・医師よりがんと診断確定されたときに受け取れる ・一時金としてまとまった金額が受け取れる ・なかには給付金を複数回受け取れる商品もある |
手術給付金 | ・がんの治療のために手術を行ったときに受け取れる ・支払回数は商品ごとに異なり、制限が設けてある場合も無制限の場合もある |
入院給付金 | ・設定された金額を入院日数分受け取れる ・長期療養が必要になりやすいがんに対応するため、1入院あたりの支払日数などが無制限のことが多い |
通院給付金 | ・がんの治療のために通院したときに受け取れる ・最近は入院給付金を設定せず、通院給付金を手厚くするがん保険もある |
基本的な保障内容だけでも、医療保険よりも受け取れる給付金額は充実したものとなります。さらに、がん特有の事情に配慮した以下のような特約の付加によって、治療への備えをさらに万全にすることも可能です。
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日本人の2人に1人がかかるがんは、医療保険や健康保険、高額療養費制度を含む公的制度を利用しても、長期療養や仕事の休業により金銭的な負担が大きくなりがちです。
日本企業の平均給与はここ30年上がらない一方で、物価高が進み、家計への不安が強まっています。多くの人が家計への不安を抱える今、がん治療がお金の不安を増す要因になってしまうかもしれません。
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まとめ
がんは、誰もがかかる可能性があり、日本人にとって身近といえる病気です。医療技術の進化によって治る病気へと変わりつつありますが、長期にわたる治療で高額な費用が必要となることも珍しくありません。
がん保険への加入を悩んでいるなら、まずは現在加入している保険の保障内容や家計のバランスを把握し、「今もしがんになったら治療に専念できるお金の用意できるか?」を見極めましょう。そのうえで、がん保険の必要性を判断することをおすすめします。
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