家計見直し・教育資金 2023.10.13

平均預貯金額はどれくらい?ライフイベントの費用目安や理想額、増やし方を解説

将来に向けてお金を貯めようと考えたとき、明確な目標がある方が続けやすくなります。目標金額の設定には、一般的な平均額や今後考えられるライフイベントの費用目安が参考になるでしょう。

本記事では、平均的な預貯金額や年代別に想定されるライフイベントと費用目安、理想的な預貯金額の考え方を解説しています。預貯金額を増やすためにできることも取り上げているため、今の預貯金額に不安に感じている方は参考にしてください。

理想的な預貯金額と預貯金を増やす方法を知り、将来に備えましょう。

年代別の平均預貯金額

金融広報中央委員会では、家計の金融行動に関する世論調査を実施しています。年代別の預貯金額に関するデータもあるため、参考資料にしてみましょう。

年代別の平均預貯金額と金融資産保有額

まずは、年代別の預貯金残高平均です。

【預貯金残高平均(単位:万円)】(※1)(※2)

単身世帯 二人以上世帯
20歳代 94 105
30歳代 229 186
40歳代 282 507
50歳代 1,149 478

二人以上世帯の場合、夫婦共働きや子育て世帯である可能性を考えると、預貯金額は少なく感じられます。

しかし、このデータは預貯金のみの平均額であり、保険や証券も含めた金融資産保有額ではありません。二人以上世帯なら、子どもの教育資金に備えた学資保険の積み立てや、もしものときに家族へお金を残せるよう生命保険に入るケースも多いでしょう。

同調査では、金融資産保有額の平均も公開しています。

【金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)の平均(単位:万円)】(※1)(※2)

単身世帯 二人以上世帯
20歳代 176 214
30歳代 494 526
40歳代 657 825
50歳代 1,048 1,253

金融資産保有額で見ると、単身世帯・二人以上世帯ともに、年代が上がるにつれて金額も増えている様子が伺えます。

(※1)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」を元に作成
(※2)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上帯調査](令和4年)」を元に作成

20代・30代以降で想定されるライフイベントと費用目安

預貯金額がいくら必要になるかは、年代別に想定されるライフイベントと費用目安が参考になります。

ただし、本記事で紹介する20代・30代以降に想定されるライフイベントは、個人の考え方次第で変化するものであり、必ずしも20代・30代以降におきるとは断定できません。必要金額も個人の価値観や収入、家庭環境、住む地域によっても大きく変化するため、目安のひとつととらえましょう。

結婚資金(20代・30代)

最近は20代後半~30代前半で結婚している人が多く、20代・30代では結婚を意識して貯蓄をする人が増えます(※1)。

結婚資金に必要な額は価値観や居住地域、結婚する二人の状況次第で大きく変わりますが、結婚する二人で200万円前後がひとつの目安です。

なお、結婚式の費用は親や親族が出してくれるケースもありますが、結婚費用のために夫婦で貯金していた人は8割以上、挙式、披露宴・ウエディングパーティーにおけるカップルの自己負担額の平均は147.3万円でご祝儀総額は180.4万円との結果もあります。結婚を考えるなら、ある程度の蓄えが必要になるでしょう(※2)。

(※1)出典:内閣府 「令和4年版少子化社会対策白書(全体版<HTML形式>)」
(※2)出典:「ゼクシィ 結婚トレンド調査2022」

出産資金(20代・30代)

子どもを持つ場合、20代後半~30代前半で第一子を出産していることが多いため、20代・30代は出産に備えた費用も考える年代になります(※1)。

公的病院での出産費用は平均45.2万円(※2)となっており、妊婦健診やベビー用品の準備、里帰り出産する場合の費用などをあわせると、費用目安は70万円程度です。また、帝王切開や無痛分娩などで出産する場合は、通常の分娩費に加えて手術費用が発生します(※3)。

なお、出産にあたっては出産一時金や出産手当金などの給付もあります。妊婦健診の費用は自治体が費用補助してくれるところもあります(※4)。

また、厚生労働省が正式に発表した「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法案について」によると、2023年4月からこれまで42万円の出産育児一時金の支給額を50万円に引き上げられます。積極的に活用しましょう(※5)。

(※1)出典:厚生労働省「令和3年度「出生に関する統計」の概況」
(※2)出典:厚生労働省「出産費用の実態把握に関する調査研究(令和3年度)の結果等について 」
(※3)出典:国立成育医療研究センター「分娩について」
(※4)出典:横浜市「妊婦健康診査」
(※5)出典:厚生労働省「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法案について」

教育資金(30代・40代)

20代・30代で子どもが生まれた世帯なら、30代後半から40代になる頃は子どもが義務教育を卒業するタイミングになります。子どもの人数や教育方針により必要額は変化しますが、大学進学や私立校の受験を考えると、まとまった金額が必要です。

仮に幼稚園から高校卒業までの15年間、すべて公立校に通った場合でも、子ども一人につき学習費用は550万円以上かかります(※1)。その後の大学進学や、私立学校に通う場合はさらに費用が必要です。

私立ではなく国公立大学に進学した場合でも、幼稚園から四年制大学卒業までの学費を合計すると子ども一人につき800万円以上かかります(※2)。進学のタイミングでいきなり用意するのは難しいため、早い段階から預貯金や積立保険によって準備しておく必要があります。

(※1)出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」
(※2)出典:文部科学省「国立大学法人法施行規則等関係省令について」

住宅購入資金(30代・40代)

住宅は30代後半~40代で購入している人が多く、教育資金とともに大きな金額が必要です(※1)。地域により住宅取得にかかる金額の相場は異なり、親や親族から資金援助を受けられるケースもありますが、住宅購入はライフイベントのなかでも特に大きな出費になるでしょう。

住宅ローンを利用しても、注文住宅の取得には全国平均で1,203万円の頭金を用意しているため、マイホームの購入を考えるならまとまった金額を貯めておく必要があります(※2)。

(※1)出典:国土交通省「令和3年度住宅市場動向調査報告書」
(※2)出典:国土交通省「令和3年度住宅市場動向調査報告書」

理想的な年間の平均預貯金額は

現在の年齢や年収、今後のライフプランによって、理想的な年間の預貯金額は変化します。

2020年の政府統計では1世帯の平均年収が516万円、1ヶ月の消費支出は平均233,568円です(※1)。消費支出とは、日常生活に必要な商品やサービスを購入するための支出をさします。消費支出のほか、税金や社会保険料、借金利子などの非消費支出も差し引いた残りが、預貯金に回せる金額です(※2)。

また、金融広報中央委員会の家計の金融行動に関する世論調査では、平均的な割合として単身世帯で収入の13%、二人以上世帯で収入の11%を貯蓄に回しているという結果が出ています(※3,4)。

自分の収入と毎月の支出を考え、いくらくらいなら預貯金に回せるか、収入に対してどれくらいの割合になるのかを考えてみましょう。

(※1)出典:総務省統計局「家計調査 家計収支編 」
(※2)出典:総務省統計局「家計調査 収支項目分類の基本原則」
(※3)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査 [単身世帯調査 ] 令和4年調査結果」
(※4)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果」

預貯金額は平均だけでなく中央値も参考にする

金融広報中央委員会の調査結果では、年収の1割以上が年間の平均貯蓄額となっています。この結果を見ると、預貯金に回している金額が1割に満たない人は不安を感じるでしょう。

しかし、実際には預貯金額がない人の割合も少なくありません。平均額は極端に金額の多い人や、まったく預貯金額がない人も含めて算出されます。一般的な預貯金額がいくらなのかを考える場合、平均額だけでなく中央値も参考にすると現実的な数字を掴みやすいです。

【単身世帯の年代別・金融資産の保有額の割合(単位:%)】(※1)

非保有 100万円未満 100~300万円未満 300~500万円未満 500~1,000万円未満 1,000~2,000万円未満 2,000万円以上 無回答 平均値
(万円)
中央値
(万円)
20歳代 42.1 22.6 17.9 7.2 6.2 1.5 0.9 1.8 176 20
30歳代 32.4 18.5 14.2 7.7 10.8 8.3 5.3 2.8 494 75
40歳代 35.8 14.8 10.8 9.0 5.9 10.2 9.9 3.7 657 53
50歳代 39.6 11.5 9.9 4.9 8.5 8.7 13.7 3.3 1,048 53
世帯平均 37.5 16.9 13.2 7.2 7.9 7.2 7.5 2.9 594 50

【二人以上世帯の年代別・金融資産の保有額の割合(単位:%)】(※2)

非保有 100万円未満 100~300万円未満 300~500万円未満 500~1,000万円未満 1,000~2,000万円未満 2,000万円以上 無回答 平均値
(万円)
中央値
(万円)
20歳代 35.7 19.9 18.2 8.8 11.1 2.3 1.2 2.9 214 44
30歳代 23.9 13.4 17.2 9.8 16.7 10.1 6.1 2.6 526 200
40歳代 26.1 11.1 12.6 9.7 15.2 11.2 10.1 3.8 825 250
50歳代 24.4 9.3 10.0 8.3 10.7 14.8 18.0 4.6 1,253 350
世帯平均 27.5 13.4 14.5 9.2 13.4 9.6 8.9 3.5 704.5 210.9

上の表は、預貯金を含めた金融資産をまったく保有できていない人や、調査結果の中央値を含めた、年代別の保有額をまとめたものです。

全世帯の平均では単身世帯・594万円、二人以上世帯・704万円の金融資産を持っている結果になりますが、中央値は単身世帯・50万円、二人以上世帯・210万円と、平均から離れています。

また、金融資産非保有の世帯も単身世帯・37.5%、二人以上世帯・27.5%と、預貯金ができていない世帯も一定数存在します。

(※1)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
(※2)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上帯調査](令和4年)」

世帯別の平均預貯金額と借入額からみえる値

なぜ、預貯金額の平均より中央値が大きく下回り、預貯金のできていない世帯も存在するのでしょうか。

それには、お金を使いすぎていて預貯金に回せていないだけでなく、借入金の有無や世帯の状況も影響すると考えられます。奨学金やローンの返済がある状況では、預貯金にお金を回すよりも返済が優先されます。

【各種世帯の平均貯蓄・借入金額(単位:%)】(※)

全世帯 高齢者世帯 高齢者世帯以外の世帯 児童のいる世帯 母子世帯
貯蓄なし 13.4 14.3 13.0 11.6 31.8
貯蓄あり 81.9 80.1 82.7 84.4 65.0
平均貯蓄額(万円) 1,077.4 1,213.2 1,017.6 723.8 389.8
借入金なし 63.9 80.5 56.4 38.9 71.0
借入金あり 28.5 8.1 37.5 55.8 25.8
平均借入金額(万円) 425.1 72.3 574.5 1,119.7 148.7

上の表は厚生労働省の国民生活基礎調査によるもので、貯蓄ありの世帯は81.9%、平均貯蓄額は1077.4万円です。しかし、児童のいる世帯では貯蓄額が723.8万円と少なく、母子世帯では389.8万円と全世帯平均の半分以下しか貯蓄がありません。

また、借入金ありと答えた世帯は全世帯で28.5%あり、平均額は425.1万円です。児童のいる世帯は50%以上が借入金ありの状態で、金額は1119.7万円と全世帯平均の倍以上もお金を借りている状態になっています。

つまり、公的な調査結果が示す平均額より預貯金が少なくても、世帯の状況によってやむを得ないケースもあるため、預貯金額は家計の状況を把握して適切な金額を考える必要があります。

(※)厚生労働省「2019年国民生活基礎調査」を元に作成

預貯金額を増やすために今からできることは?

預貯金額を増やすには、収入を上げて固定費を下げる必要があります。

収入を増やす

現在の職場で昇給・昇格して給料が増えれば、預貯金に回せるお金も増やせます。もし、現在の仕事で収入アップが難しいと判断されるなら、転職や副業も選択肢です。

また、二人以上の世帯なら、配偶者や同居家族の就労状態でも世帯収入は変化します。これから必要になるお金を貯めるため、家族で話しあって考えましょう。

家計を見直す

収入増とあわせて考えたいのは、固定費の見直しです。毎月の支出を見直し、無駄な出費がないかを確認しましょう。

なお、総返済額を減らすため、金利の低いローンへ借り換える場合、手数料も発生するため、注意が必要です。また、保険の見直しは負担額と必要な保障内容を考えるとともに、内容が重複した保険に入っていないかも確認しましょう。

家計の見直しで悩んだらプロに相談を

預貯金額を増やすために家計を見直すにしても、ローンや保険をはじめとする金融商品は、わかりにくい部分が多々あります。収入と支出のバランスが適切かを判断するのも難しく、一般的な平均値だけでは断定できません。

そんな家計のお金の悩みは、プロに相談するのもおすすめです。

auフィナンシャルパートナーでは、お客さま一人ひとりのライフプランにあわせ、家計の見直しを行っています。家計の見直しに悩んだら、ぜひauフィナンシャルパートナーにご相談ください。

まとめ

平均的な預貯金額がいくらくらいかを考えるとき、公的機関の調査結果や、ライフイベントで必要な費用目安が参考になります。しかし、いずれも参考データであり、価値観や家族構成、家庭の事情を考えれば「平均的な預貯金があるから心配ない」「平均に満たないから問題がある」と、簡単に判断できません。

適切な預貯金額は、現在の収支や借入金の有無、希望のライフプランを加味して考える必要があります。

家計についてあらためて考えたい方は、auフィナンシャルパートナーで相談してみてはいかがでしょうか。

執筆者名:
田貫 朔子
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