住宅ローン 2023.10.11

住宅ローン控除とは?受けられる条件や手続きの仕方を解説

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを購入する方が利用できる減税措置です。ローンの返済期間中、一定期間にわたって決まった割合の税金が控除されます。

住宅ローン控除を受けるには、いくつかの条件を満たしたうえで確定申告が必要です。また2022年から制度内容に変更が加えられているため、最新情報を確認しておきましょう。

本記事では、住宅ローン控除の概要や適用条件、手続きの方法を詳しく解説します。

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを購入する方が利用できる減税措置です。ローンの返済期間中、一定期間にわたって決まった割合の税金が控除されます。

住宅ローン控除を受けるには、いくつかの条件を満たしたうえで確定申告が必要です。また2022年から制度内容に変更が加えられているため、最新情報を確認しておきましょう。

本記事では、住宅ローン控除の概要や適用条件、手続きの方法を詳しく解説します。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除は、正確には「住宅借入金等特別控除」といいます。新築・中古にかかわらず、マイホームの取得などで住宅ローンを契約する人を対象とした制度です。

そもそも「控除」とは、本来納める税金から一定額を差し引くことを意味しており、実質的には減税措置となります。

住宅ローン控除で定められた控除期間は、年末時点の住宅ローン残高の0.7%にあたる金額を所得税額から控除できます。また、所得税で控除しきれなかった場合には、住民税からも一部控除されます。

令和4(2022)年税制改正によって、控除期間が令和7(2025)年12月31日(水)まで延長されたため、最長13年にわたって適用可能です(中古住宅は最長10年)。

住宅ローン控除を受けられる条件

住宅ローン控除を利用するにはいくつかの条件を満たす必要があり、控除される金額は対象となる住宅の性能や入居年度によって変わります。

住宅ローン控除を受けるための条件は、次のとおりです(※1)。

・住宅ローンの返済期間が10年以上である
・物件を新築あるいは取得してから6ヶ月以内に自ら居住する(※2)
・控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下である(※3)
・床面積が50㎡以上であり、そのうち1/2以上が居住用である(※4)
・複数の住宅を所有する場合には主として居住用だと認められる
・居住した年を含む前3年と翌年からの3年に譲渡所得の課税の特例を受けていない
・対象の住宅が生計を一にする親族などからの取得や贈与によるものではない

住宅ローンの借入先は金融機関などであることが条件となり、身内からの借り入れは対象外です。勤務先から住宅購入を目的とした借り入れを行った場合には、利率0.2%以上であれば適用となります。

また、繰上返済によって最終返済までの期間が10年未満になると、その時点で適用を除外されるため気をつけましょう。

加えて、住宅ローン控除はマイホーム取得にかかる負担軽減を目的としているため、対象の物件で自分が暮らすことも条件です。親や子どもなどの親族が暮らしても対象外となります。

そして、間違えやすい点が、年収と所得の違いです。条件となっている「所得」とは、年収から必要経費を差し引いた金額のことで、会社員であれば給与所得控除を差し引いた金額が該当します。

源泉徴収なしの口座で株式投資を行っている場合など、申告の必要がある収入や経費があるかによって所得額は変わる点にも注意してください。

(※1)出典:国税庁「No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」
(※2)令和7(2025)年までに入居すること
(※3)適用を受ける年の12月31日まで継続して住んでいること
(※4)マンションの場合は登記簿上の専有部分の床面積が対象

「住宅の種類」や「入居時期」によって最大控除額などが異なる

住宅ローン控除は、住宅の種類や入居時期によって、控除率や住宅ローンの年末時の残高限度額、最大控除額などが異なります。それでは、令和4(2022)年から令和7(2025)年にかけてどのように設定されているのか、具体的にみていきましょう。

新築住宅に「令和4(2022)年~令和5(2023)年末までに」入居した場合

マイホームを新築で取得し、令和4(2022)年から令和5(2023)年末までに入居した場合、住宅ローン控除の控除率は0.7%、控除期間は13年となります。ただし、年末時点の住宅ローンの残高の限度額と最大控除額は、住宅の環境性能によって異なります。

住宅の種類 控除率 住宅ローンの
年末時の残高限度額
年あたり
最大控除額
控除期間
長期優良住宅・低炭素住宅 0.7% 5,000万円 35万円 13年間
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 31.5万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 28万円
一般の住宅 3,000万円 21万円

例えば、長期優良住宅・低炭素住宅のマイホームを購入して令和5(2023)年中に入居すると、最大控除額は5,000万円の0.7%で35万円となり、13年間の控除期間を通じた最大控除額は455万円となります。

新築住宅に「令和6(2024)年~令和7(2025)年末までに」入居した場合

新築のマイホームに令和6(2024)年から令和7(2025)年末までに入居した場合も、控除率は同じ0.7%です。しかし、住宅の性能ごとの年末時の残高限度額や最大控除額、控除期間が先ほどとは異なります。

住宅の種類 控除率 住宅ローンの
年末時の残高限度額
年あたり
最大控除額
控除期間
長期優良住宅・低炭素住宅 0.7% 4,500万円 31.5万円 13年間
ZEH水準省エネ住宅 4,000万円 28万円
省エネ基準適合住宅 3,000万円 21万円
一般の住宅(※) 2,000万円 14万円 10年間

長期優良住宅・低炭素住宅で13年にわたって最大控除額を受けると409.5万円です。同じ新築住宅でも、入居年度が変わるだけで最大控除額が45.5万円少なくなります。

(※)一般の住宅は令和5(2023)年12月31日(日)までの建築確認を受けたもの、または令和6(2024)年6月30日までに建築されたもの(特例居住用家屋の場合は令和5(2023)年12月31日(日)までに建築確認を受けたもの)が対象

買取再販住宅の場合

買取再販住宅とは、不動産会社や住宅メーカーが住宅を買い取り、リフォームや増改築などを行ったうえで販売する中古住宅の一種です。

買取再販住宅の取得についての住宅ローン控除の設定は、新築住宅と同じとなります。

ただし、令和6(2024)年から令和7(2025)年末に入居した場合、買取再販住宅では、令和5(2023)年12月31日(日)までの建築確認など、一般の新築住宅には求められるような限定条件がありません。

中古住宅の場合

中古住宅の場合は、新築住宅や買取再販住宅とは違い、タイミングによらず令和7(2025)年末までの入居に対して控除率0.7%、控除期間10年となっています。

ただし、一定の環境性能を持つ住宅と一般の中古住宅とでは、年末時の残高限度額が変わるため最大控除額も異なります。

住宅の種類 控除率 住宅ローンの
年末時の残高限度額
年あたり
最大控除額
控除期間
長期優良住宅・低炭素住宅 0.7% 3,000万円 21万円 10年間
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
一般の住宅 2,000万円 14万円

リフォーム、増築の場合

マイホームの購入だけでなく、住宅ローンを使ってリフォームや増築などの工事をした場合にも住宅ローン控除の対象となります。住宅の種類にかかわらず控除率や年末時の残高限度額などは一律で、10年間の最大控除額は140万円です。

住宅の種類 控除率 住宅ローンの
年末時の残高限度額
年あたり
最大控除額
控除期間
長期優良住宅・低炭素住宅 0.7% 2,000万円 14万円 10年間
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
一般の住宅

また、一定の耐震、省エネ、バリアフリーなどを実現する改修工事であること、補助金などを差し引いた工事費用が100万円を超えることなどが、適用条件として追加されます。

住宅ローン控除の手続き

住宅ローン控除を受けるには、住宅に入居した翌年の確定申告が必要となります。

確定申告とは、前年1年間の所得を明らかにし、所得税を納めるための手続きです。会社員は毎月の給与から所得税が源泉徴収されていますが、会社が行う年末調整によって発生した過不足は解消されるため、確定申告は原則として不要です。

しかし、住宅ローン控除を受ける場合、年末調整で所得税を精算できる会社員にも確定申告が求められます。

それでは、会社員を想定した住宅ローン控除の手続きについて詳しく説明します。

1年目の手続きの仕方

住宅ローン控除を受けるための手続きは、1年目と2年目以降で方法が異なります。1年目、つまり対象の住宅に入居した翌年は確定申告の手続きが必要です。

確定申告を行う期間は通常、毎年2月16日から3月15日までとなっています。確定申告書に必要事項を記入し、次の書類とともに勤務先もしくは所轄の税務署へ提出しましょう。

・勤務先の交付する「源泉徴収票」
・本人確認書類(マイナンバーカードなど)
・「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」(※1)
・金融機関をはじめ借入先からの「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
・家屋の「登記事項証明書」またはその写し(※2)
・家屋の取得価額がわかる書類(家屋の「工事請負契約書」や家屋の「売買契約書」の写しなど)

なお、上記は住宅の購入に対して住宅ローン控除を受けるときに必要な書類であり、土地を購入するときや国・自治体から何らかの補助金を受けているときなど、状況に応じて求められる書類は異なります。

(※1)税務署で入手でき、連帯債務があるときは「連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」も必要
(※2)計算明細書への「不動産番号」の記載での代替が可能

2年目以降の手続きの仕方

住宅ローン控除に関する手続きを1年目に確定申告で行うと、基本的に2年目以降は会社の年末調整で申告が行えます。年末調整に間にあうように、以下の書類を会社に提出しましょう。

・金融機関など借入先からの「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
・税務署から交付される「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」

「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」は10月下旬頃に届くため、保管しておきましょう。

なお、会社員ではなく個人事業主などの場合は、2年目以降も確定申告によって住宅ローン控除の申請が必要です。必要書類は「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」となります。

住宅資金についてのご相談はauフィナンシャルパートナーで

住宅ローンはマイホームの購入資金を準備するのに役立ちますが、毎月の返済が家計に占める割合は約21%と大きくなっています(※)。住宅ローン控除を活用すれば負担を減税によって軽減できるため、適用条件を正しく理解して忘れずに確定申告で申請を行いましょう。

また、住宅ローン控除だけではなく、住宅ローンの選び方によっても家計の負担を抑えることが可能です。

住宅ローンの金利は、30年前と比較すると約6%も下がっているうえ、バブル期にはほとんど存在しなかった金利優遇制度もあります。

より詳しい情報が知りたい方は、ぜひ以下の公式サイトもご覧ください。

住宅ローンのご案内はこちら

(※)出典:2021年 家計調査「住宅ローン返済世帯 世帯主の年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出」

まとめ

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを手に入れたとき、所得税や住民税の減税によって金銭的な負担を軽減できる制度です。

控除を受ける要件を満たしているなら、忘れないように手続きを行いましょう。特に1年目は会社員であっても確定申告が必要となるためご注意ください。

とはいえ、住宅ローンは家計に占める割合が大きいため、住宅ローン控除を受けていても、返済計画に不安を感じることもあるでしょう。少しでも不安を感じているなら、お金のプロに相談するのもおすすめです。

auフィナンシャルパートナーの提供するauマネープラン相談では、何度でも無料でお金の不安解消のお手伝いを行っています。ぜひこの機会に活用をご検討ください。

執筆者名:
トダ アキコ
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