保険見直し 2025.12.25

60代に医療保険は必要?選び方やおすすめの保険を紹介

60代は家計の転換期です。定年退職を迎えて働き方だけでなく収入も大幅に変わったり、お子さまの独立により支出の項目や額が変わったりすることもあるでしょう。暮らし方に合った家計を組み立てるためにも、定期的に支出の見直しが必要になります。

見直す支出の一つとして、保険料が挙げられます。60代に合った保障を得られる保険に加入しているか、保険適用時に得られる給付金や保険金は適正な金額か確認することが必要です。

本記事では、60代に医療保険は必要なのか、さまざまな側面から解説します。また、医療保険以外の保険の必要性や見直しのポイントについても紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

60代に医療保険は必要?

日本は国民皆保険制度のため、公的医療保険に加入している人であれば、年齢や所得に応じて医療費の自己負担は原則1~3割です。しかし、医療費が高額になるケースも珍しくありません。

公的保険の対象外となる先進医療の技術料をともなう治療を受けたり、入院が長引いたり、高額な手術を受けたりした場合には、医療費の負担が大きいと感じることがあるでしょう。

医療費の負担が不安な場合に検討したいのが「医療保険」です。ケガや病気への不安、医療保険への加入率などから、60代以降の医療保険の必要性について考えていきましょう。

60代が抱えるケガ・病気への不安

生命保険文化センターが実施した「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によれば、60代の方のうち40%以上が、公的医療保険だけでは不十分だと感じていることがわかりました。また、半数弱の方が、長期入院の医療費について不安を感じています。

60代男性 60代女性
1位 長期の入院で医療費がかさむ(47.1%) 家族に肉体的・精神的負担をかける(57.4%)
2位 家族に肉体的・精神的負担をかける(44.3%) 後遺症や障害が残る(50.0%)
3位 後遺症や障害が残る(43.5%) 長期の入院で医療費がかさむ(49.8%)
4位 三大疾病にかかる(42.4%) 公的医療保険だけでは不十分(46.9%)
5位 公的医療保険だけでは不十分(42.1%) 三大疾病にかかる(44.1%)

※複数回答

参考:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査 第Ⅱ章 医療保障」

60代の医療保険加入率

「公的医療保険だけでは不十分」「長期入院などで医療費が高額になるのが不安」と感じている方は、医療費について個人的に備えておくことが必要です。例えば、定期預金や財形貯蓄などを利用して預貯金を増やしたり、民間保険会社の医療保険に加入する方法が考えられます。

医療費について何らかの準備をしている方は多く、「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によれば、60代男性の86.7%、60代女性の89.5%が民間の保険や預貯金、有価証券などのさまざまな方法で備えをしています。特に多いのが、医療保険やがん保険などの生命保険でした。60代全体の4人に3人以上は、生命保険に加入し、医療費の備えとしています。

医療費への準備 60代男性 60代女性
生命保険(医療保険、がん保険など) 75.4% 77.2%
損害保険 27.3% 20.6%
預貯金 51.9% 49.1%
有価証券 13.7% 6.9%
その他 0.2% 0.2%

※複数回答

医療費の中でも、特にがんの治療費が気になる方も多いのではないでしょうか。がんは治療が長期化することがあるだけでなく、先進医療の技術料や放射線治療、抗がん剤治療など、内容によっては費用面の負担が大きくなる治療法もあります。また、再発の可能性もあるため、何らかの備えをしておくほうが望ましいでしょう。

民間の医療保険でがんに備える方も多くいます。「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」では、がんに対する備えについての調査も実施されています。調査によると、60代では約4割の方が医療保険のがん特約かがん保険に加入し、がんに罹患した場合の備えを手厚くしていると報告されています。

60代男性 60代女性
医療保険のがん特約、がん保険 45.0% 38.2%

参考:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査 第Ⅱ章 医療保障」

60代の平均保険料(民間保険)

医療保険やがん保険などで医療費に対する備えを手厚くすることは可能ですが、保障を手厚くすればするほど保険料が高くなる点には注意が必要です。万が一に備えつつ、現在の生活を圧迫しないためにも、適切な保険料かどうかチェックするようにしましょう。

保険料の適切な金額は、ライフスタイルや収入などによっても異なります。「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によれば、医療保険を含む民間保険の平均保険料は、60代男性は年21.2万円、60代女性は年15.9万円でした。個人差はあるものの、月に1~2万円程度は民間保険の保険料を支払っていると考えられます。

年間払込保険料 男性 女性
20代 11.9万円 9.6万円
30代 19.9万円 14.0万円
40代 22.4万円 18.6万円
50代 25.5万円 19.0万円
60代 21.2万円 15.9万円
70代 16.4万円 13.0万円

参考:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査 第Ⅵ章 生命保険の加入状況」

60代の受療率

年齢を重ねるほど、病気にかかる可能性が高くなる傾向にあります。20代・30代の頃と比べると、周囲でも「健康診断で指摘された」「病気で手術・入院した」といった声が多くなってきているのではないでしょうか。

実際に、20歳以降、年齢が高くなるごとに受療率(入院・外来で病院を受診する割合)が高くなります。厚生労働省が実施した「令和5年(2023)患者調査の概況」によれば、20~24歳で外来に通った方は10万人中2,367人ですが、60代前半では3倍弱、60代後半では3倍超に増加します。病気やケガで治療費が必要になった場合に備えるためにも、医療保険などの準備が必要です。

年齢階級 入院(人口10万対) 外来(人口10万対)
20~24歳 137 2,367
25~29歳 182 2,837
30~34歳 239 3,201
35~39歳 242 3,353
40~44歳 258 3,501
45~49歳 318 3,912
50~54歳 441 4,395
55~59歳 613 5,171
60~64歳 838 6,320
65~69歳 1,117 8,108
70歳以上 2,787 10,742

※2023年10月時点
参考:厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況 2.受療率」

医療費に対する備えは、それぞれの考え方やライフプラン、収入などによっても異なります。どのような備えをすべきか決めかねる場合は、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーに相談してみてはいかがでしょうか。

「auマネープラン相談」は、ファイナンシャルプランナーに無料で相談できるサービスです。各ご家庭の状況に応じた備えの種類や備え方について、第三者目線で客観的にご提案いたします。医療費に対する不安を感じている方は、ぜひお気軽にご利用ください。

60代におすすめの医療保険以外の保険

60代に増えるリスクは「医療費の増大」だけではありません。死亡や介護、認知症なども若い世代に比べると身近な問題になってきます。

60代に必要性が高いと考えられる主な保険をご紹介します。新たに加入する必要があるか、また、すでに加入している保険の場合は継続する必要があるか、検討してみてください。

死亡保険

家族がいる方なら、死亡保険も検討してみましょう。死亡保険とは、被保険者が死亡した場合や高度障害状態になった場合などに、所定の保険金を受け取れる保険です。配偶者の収入が少なく、自分自身が世帯の主な稼ぎ手である場合や、お子さまが幼く、養育費や教育費に今後もお金がかかる場合は、万が一に備えて死亡保険を検討してもよいでしょう。

また、一人暮らしの方も死亡に備えておくことは必要です。葬儀や遺品整理、相続などに費用がかかり、一緒に暮らしていない家族や親族に経済的な負担をかけてしまう可能性があります。高額の保険金をかける必要はありませんが、滞りなく死亡時の手続きを行える程度には準備しておくほうがよいでしょう。

がん保険

医療保険に加入している方は、「放射線治療特約」や「抗がん剤治療特約」などがん関連の保障を付加しているか確認してみましょう。まだがんに対する備えをしていない場合は、特約を付加するか、がん保険に加入するか検討してみることができるかもしれません。

年齢が高くなると、がんに罹患する可能性が高まります。がん研究振興財団の「がんの統計2025」によれば、39歳までに1回以上がんに罹患する方は、男性は1.2%、女性は2.2%ですが、69歳まででは約2割に達します。

生涯のうち1回以上がんにかかる方は、男性は62.1%、女性は48.9%と約半数です。がんは決して珍しい病気ではありません。がんにかかったときの費用面の不安を軽減するためにも、また、治療の選択肢を増やすためにも、がんの治療費についての備えをしておきましょう。

部位 性別 ~39歳 ~49歳 ~59歳 ~69歳 ~79歳 生涯
全がん 男性 1.2% 2.7% 7.2% 19.8% 40.5% 62.1%
女性 2.2% 6.0% 11.8% 20.1% 31.5% 48.9%
男性 0.0% 0.2% 0.7% 2.4% 5.6% 8.9%
女性 0.1% 0.2% 0.4% 1.0% 2.1% 4.2%
大腸 男性 0.1% 0.5% 1.4% 3.7% 6.8% 9.7%
女性 0.1% 0.4% 1.1% 2.4% 4.4% 7.8%
男性 0.0% 0.2% 0.7% 2.6% 6.1% 9.6%
女性 0.0% 0.1% 0.4% 1.2% 2.7% 4.7%
前立腺 男性 0.0% 0.0% 0.4% 2.5% 6.7% 10.2%
乳房 女性 0.5% 2.4% 4.4% 6.7% 8.8% 10.6%
子宮 女性 0.3% 0.9% 1.8% 2.5% 3.0% 3.4%
卵巣 女性 0.2% 0.4% 0.8% 1.1% 1.3% 1.5%

参考:公益財団法人 がん研究振興財団「がんの統計2025」

介護保険

介護の必要性についても考えておくことが必要です。生命保険文化センターが実施した「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によれば、介護経験のある方の平均介護期間(介護中の方も含む)は4年7ヶ月でした。

もちろん個人差は大きいと考えられますが、家族や親族に介護が必要になった場合、平均的なケースではおおむね5年弱の期間、家族をサポートしたり介護のために仕事をセーブしたりすることで、支出の増加や収入の減少が生じる可能性があります。

さらに介護が必要になった場合に、住宅のリフォームや介護ベッドの購入などにより、一時的な費用として平均47.2万円の支出が発生していると報告されました。それに加え、月々の介護費用としては平均9.0万円(公的介護保険適用後)かかっています。

ただし、月々の介護費用は、介護を実施する場所により異なる点に注意が必要です。主に自宅で介護する場合は、月平均5.2万円(公的介護保険適用後)と全体平均よりも安くなる傾向にありますが、主に施設で介護をする場合は月平均13.8万円(公的介護保険適用後)と高額になります。

公的介護保険が適用されることで実際に支払う介護費用は大きく抑えることが可能ですが、介護期間が長引くと総額では大きな負担になるかもしれません。介護費用に備えるためにも、民間の介護保険への加入も検討してみましょう。

参考:生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」

認知症保険

認知症により介護が必要になることがあります。厚生労働省の調査によれば、65~69歳の認知症有病率は1.1%ですが、認知症の前段階といわれるMCI(軽度認知障害)は6.9%、男性に限れば10.0%と将来認知症を発症する可能性が高い方が多いことが報告されました。

また、高齢化が進むにつれて、高齢者の認知症有病率(65歳以上の方のうち認知症患者の割合)がさらに高くなる可能性も示唆されています。2022年の時点では12.3%ですが、2030年には14.2%、2040年には14.9%に上昇すると予想されています。

認知症の有病率は年齢とともに高くなるため、介護の必要性も高まるでしょう。必要なときに必要な介護サービスを受けるためにも、経済的な備えをしておくことが求められます。どのような備えが必要なのか決めかねるときは、ファイナンシャルプランナーに相談してみてはいかがでしょうか。

ファイナンシャルプランナーはお金の専門家です。将来に必要なお金がいくらか、どのように備えればよいのかといった疑問に対して、客観的な情報や依頼主の状況などから詳細に答えてくれます。ぜひ「auマネープラン相談」でファイナンシャルプランナーに無料で相談してみましょう。

参考:厚生労働省「認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計」

60代の保険見直しのポイント

年齢やライフステージが変わると、必要な保障も変わります。その時期に応じた適切な保障を備えるためにも、定期的に加入している保険を見直してみましょう。

次のポイントに注目すると、現在の自分にとって必要な保障の種類や内容を見極めやすくなります。

  • 公的保険でカバーできない金額はどの程度か
  • 持病があっても加入できるか
  • 保険金・給付金は適切か
  • 無理なく支払える保険料か

それぞれのポイントを解説します。

公的保険でカバーできない金額はどの程度か

公的保険だけでも、さまざまな保障を得られます。例えば、医療や介護を受けた場合に費用の一部が補てんされたり、働けなくなった場合に雇用保険や労災保険などから給付金を受け取れたりすることがあります。

しかし、医療や介護、生活にかかる費用のすべてが保障されるわけではありません。例えば、先進医療を受けた場合、その「技術料」部分は原則として全額自己負担になります。また、入院時に個室や少人数部屋を希望すると差額ベッド代が必要です。

厚生労働省の「主な選定療養に係る報告状況」によれば、1人部屋の差額ベッド代は1日あたり平均8,625円(令和6年8月1日現在)でした。10日間入院する場合なら約9万円の自己負担が発生します。個室や少人数部屋を希望する場合は、民間の医療保険で備えておくと安心でしょう。

また、雇用保険や労災保険も、誰もが適用されるわけではありません。一般的にフリーランスや個人事業主は、雇用保険の失業給付や通常の労災保険の給付を受けられないケースが多く、働けなくなった場合でも公的な給付だけではカバーしきれないことがあります。

近年では、60代でも働き続ける方が少なくありません。失職や病気、ケガなどで働けなくなった場合に備えておくことは大切といえるでしょう。

参考:厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」

持病があっても加入できるか

年齢を重ねるごとに、身体に不調が起こりやすくなります。現在治療中の方や過去に手術や入院したことがある方も多いのではないでしょうか。

持病がある場合は、加入できる保険や保障内容が制限されることがあります。健康状態や年齢によっては、一度解約すると同条件での再加入が難しくなるケースもあるため、すでに加入している保険がある場合は安易に解約せず、まずは保障内容の見直しを検討することが大切です。

持病がある方が新たに保険に加入する場合には、引受基準緩和型や無選択型を検討できます。引受基準緩和型保険は告知項目が少なく、直近の入院・手術歴や特定の重篤な疾病に一定期間以内に該当していない場合などは加入できる可能性があります。

一方、無選択型保険は、基本的に健康状態に関する告知を求められない商品が多いのが特徴です。いずれも通常の医療保険と比べると保険料は割高で、加入から一定期間は給付対象外となる「免責期間」などの保障制限が設けられる場合もありますが、将来の医療費が気になる場合は選択肢の一つとして検討してみてください。

保険金・給付金は適切か

保障内容だけでなく保険金や給付金の金額にも注目してみましょう。保険金・給付金を高く設定すれば保障は充実しますが、その分、保険料が高くなります。保険はあくまでも「万が一のリスクに備えるための手段」です。保険料の支払いが日常生活を圧迫するといった本末転倒の状態にならないためにも、保険金・給付金は適切な金額に設定しましょう。

例えば、お子さまが独立し、単身または夫婦のみの生活をしている場合なら、遺族の生活費や教育費といった多額の保障が不要になるため、死亡保障の保険金の金額を下げることも検討できます。

また、入院時に個室や少人数部屋を希望しない場合なら、差額ベッド代などの自己負担が発生しないケースも多いため、入院保障の給付金の金額を下げられるかもしれません。現在のライフスタイルや家族構成に合わせて、保険金・給付金を見直してみてください。

無理なく支払える保険料か

60代を迎えると、現役を引退したり、再雇用や年金生活に移行したりする方も多く、50代までと比べて収入が下がるケースが一般的です。保険にかけられる予算も変わってくるため、今後も無理なく支払っていける保険料なのか計算してみましょう。

保険料を抑えたい場合には、掛け捨て型の保険を検討するのも一つの方法です。掛け捨て型は保険料が比較的低く、負担を軽減できます。ただし、満期返戻金や解約返戻金がない、もしくはごくわずかな商品が多いため、貯蓄や資産形成の目的には適していません。

また、特約を増やすと保険料が上がるため、本当に必要か検討することも大切なポイントです。不要な特約を保険期間中の条件に従って解約・減額することでも、保険料を抑えられます。

保険の見直しは、ファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。「auマネープラン相談」では、保険に関する疑問をファイナンシャルプランナーに無料で相談できます。ぜひお気軽にご利用ください。

定期的に保険を見直そう

適切な保険は、年齢やライフスタイル、ライフステージなどによって変わります。60代になったタイミングや、60代になる前に一度保険を見直してみてはいかがでしょうか。保障内容だけでなく保険金・給付金の金額が適正かどうかにも注目すると、より適切な保険を組み立てやすくなります。

保険に対する疑問や医療費の準備方法について、ファイナンシャルプランナーに相談してみるのもおすすめの方法です。第三者として中立的な立場から客観的な提案を受けることができます。

「auマネープラン相談」では、ファイナンシャルプランナーとの無料相談を提供しています。保険の見直しや医療費に不安を感じている方は、お気軽にご利用ください。

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