保険見直し 2025.12.23

通院に手厚い保険とは?医療保険加入時のチェックポイントも紹介

医療の進歩により、入院しなくても治療できるケースが増えてきました。その反面、通院が長引くケースもあり、治療費や通院費の負担を感じる方も少なくありません。

本記事では、通院に手厚い保険とはどのような保険なのかを解説します。通院に手厚い医療保険の選び方や、医療保険以外で通院への保障をカバーする方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

通院に備えた医療保険は必要?

医療保険は主に入院費や手術費に備える保険です。しかし、近年は次のような事情から「通院治療費」に備える必要性が高まってきました。

  • 通院治療のケースが増加している
  • 基本保障に通院が含まれない医療保険が多い
  • 傷害保険では基本的に病気による通院はカバーされない

それぞれの事情について見ていきましょう。

通院治療のケースが増加している

厚生労働省が3年に一度実施している「患者調査の概況」によれば、平均入院日数は年々減少しています。

調査年

退院患者の平均在院日数(※1

2011年(平成23年)

32.8日(※2

2014年(平成26年)

31.9

2017年(平成29年)

29.3

2020年(令和2年)

32.3日(※3

2023年(令和5年)

28.4

1 各年91日~30日に退院した者

2 宮城県の石巻医療圏・気仙沼医療圏・福島県を除いた数値

3 入院年月日を「平成元年」や「平成2年」とするデータが多かったことから、実際は「令和元年」や「令和2年」に入院したにもかかわらず誤って記した退院患者も多いと想定され、正確ではない可能性がある

在院日数別の患者割合にも注目してみましょう。平均在院日数は30日前後ですが、14日以内に退院する患者が全体の2/3以上を占めていることからも、入院日数の短期化は進んでいると考えられます。

在院期間(※4

014

1530

13月未満

36月未満

6月以上

病院

68.4

15.5

12.7

2.2

1.3

一般診療所

84.3

7.1

6.8

0.9

0.8

4 令和59月時点。在院日数不詳のデータもあるため、合計が100%にならない可能性がある

入院日数が減少していることからも、通院治療するケースや通院が長引くケースが想定されます。入院に備えることも大切ですが、通院に備えておくことも必要といえるでしょう。

参考:厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況 3 退院患者の平均在院日数等」

基本保障に通院が含まれない医療保険が多い

病気やケガによる医療費に備える「医療保険」ですが、基本保障は主に「入院」と「手術」に対するものです。例えば、入院したときには日数に応じた給付金が支給されたり、手術では種類に応じた給付金が支給されたりします。

手術や入院などに保障対象を絞ることで保険料を安く抑えているという側面もありますが、通院に対する保障を求めるときには十分とはいえません。近年は通院に対する保障を提供する医療保険も増えてはいますが、多くの商品では通院保障は特約として付加する形になっており、通院保障を付加するとその分、保険料が上乗せされます。

傷害保険では基本的に病気による通院はカバーされない

医療費に備える保険は医療保険だけではありません。事故によるケガをしたときに備える「傷害保険」も検討できます。傷害保険では、基本の補償内容にケガによる通院や入院への給付金が含まれていることが多く、万が一のときの経済的負担をカバーできます。

しかし、傷害保険で補償対象となるのは、原則として外部からの急な事故による不慮のケガのみです。病気による通院や入院に対しては保険金が支給されないことが一般的です。傷害保険に加入している方は、ぜひ給付条件をチェックしてみてください。

どの保険がご自身やご家族に必要か決めかねるときは、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。「auマネープラン相談」ではファイナンシャルプランナーに無料で保険について相談できます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

通院に手厚い医療保険とは?

通院に対する保障は入院保障に比べて条件が複雑であり、内容を理解したうえで選ぶことが大切です。医療保険では基本保障に含まれていないことが多く、「通院や入院時に保障する」と謳う傷害保険でも、原則として対象になるのはケガによる通院のみです。

通院治療が長引くと、治療費や通院費の増加に加えて、自炊が難しくなることで食費が増えたり、労働時間が減って収入が下がったりする可能性もあります。通院治療による支出増・収入減に備えるためにも、次のいずれかの条件を備えた医療保険に注目してみましょう。

  • 通院保障のある保険
  • 通院特約を選択できる保険

上記のいずれかに該当する医療保険なら、所定の条件に当てはまる通院時に手厚い保障を受けられる場合があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

通院保障のある保険

多くの医療保険では、基本保障は「入院保障」と「手術保障」のみです。保険会社が定める日数以上の入院をしたときや指定された種類の手術をしたときに、給付金を受け取れる仕組みになっています。

しかし、入院保障と手術保障に加えて「通院保障」も基本保障に含まれている医療保険もあります。そのような医療保険に加入すれば、所定の条件を満たす通院治療を受けるときにも経済的なサポートを得やすくなるでしょう。

ただし、基本保障に通院保障が含まれている場合でも、すべての通院治療において給付金を受け取れるとは限りません。次のような給付条件が設けられている場合もあるため、加入前に確認しておきましょう。

通院保障の給付条件例

  • 不慮の事故による通院のみ保障対象となる
  • 通院日数に下限が設定されている(例:14日以上の通院)

また、給付金の金額も確認しておきましょう。入院や手術に対する給付金と比べて低額に設定されていることも多いため、十分な保障を得られない可能性もあります。

通院特約を選択できる保険

基本保障には通院に対する保障が含まれていない医療保険でも、通院特約を選択することで通院時の保障を手厚くすることは可能です。例えば、次のような特約を付加すると、所定の条件を満たした通院時に給付金を受け取れることがあります。

通院時に給付金を得られる可能性がある特約例

  • 退院後通院特約(退院後の通院をサポート)
  • 通院治療特約(がんなどの治療に伴う通院をサポート)
  • 特定女性疾病通院治療特約(乳がん・子宮疾患など女性特有の疾患での通院をサポート)
  • 在宅療養収入サポート特約(通院や療養で働けない期間の収入をサポート)
  • 抗がん剤・ホルモン剤治療特約(抗がん剤やホルモン剤を使用した治療をサポート)
  • 薬剤治療特約(薬物療法を継続する際の費用をサポート)

通院時の保障を手厚くしたい方は、ファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。ファイナンシャルプランナーは、保険商品で得られる保障内容を中立的に説明する専門家です。ぜひ「auマネープラン相談」でファイナンシャルプランナーにご相談ください。

通院に手厚い医療保険の選び方

通院保障や通院特約のある医療保険なら、約款で定められた条件を満たした通院の場合に、通院治療時も給付金を受けられる可能性があります。次のポイントに注目すると、よりご自身に合った医療保険を選択しやすくなるでしょう。

  • 給付金の支給日数が適切か
  • 給付金の金額は十分か
  • 入院後だけでなく入院前の通院も対象か
  • 入院一時金・治療給付金があるか

それぞれのポイントについて解説します。

給付金の支給日数が適切か

通院治療時に保障を受けられる医療保険でも、通院が続く限り無制限に給付金を受け取れるわけではありません。多くの商品では、通院給付金の支給日数(あるいは支払回数)の上限があらかじめ設定されているため、確認しておきましょう。

例えば、がんの通院治療は長引くケースが多いため、がん通院について支給日数が長めに設定されているタイプや、がん通院のみ日数無制限とするタイプを選べると、より安心感が高まります。ただし、支給日数の上限が長く設定されているほど保険料が高額になることもあるため、保険料と日数のバランスが適切かチェックしてください。

給付金の金額は十分か

通院治療時の給付金の金額も確認しておきましょう。保険商品によっては、通院給付金の日額や一時金の金額を複数のパターンから選択できることがあります。給付金が高額になると保険料も高額になる傾向にあるため、通院にかかる自己負担額の目安や家計の状況を踏まえたうえで、無理のない範囲の金額を設定するようにしてください。

入院後だけでなく入院前の通院も対象か

通院保障や通院特約で保障対象となる「通院」が何か、確認しておきましょう。例えば、「退院後通院特約」では、退院後の通院しか保障対象となりません。入院前検査や入院をともなわない通院に備えるためにも、どの範囲の通院が給付対象になるのかを確認しておくことが大切です。

入院一時金・治療給付金があるか

通院治療に備える保障は「通院保障」や「通院特約」だけではありません。例えば、次のような保障がある医療保険なら、通院時にかかる費用や通院による収入減を補てんできる場合があります。

  • 入院一時金
  • 治療給付金

入院時にまとまった給付金が支給される「入院一時金」があると、入院準備や入院による収入減などに備えられます。基本的に入院日数にかかわらず一律の給付金を受け取れるため、短期入院なら余剰金が生じることもあるでしょう。入院後に通院治療が必要な場合も、余剰金を通院費に充てられる可能性があります。

また、入院や手術などにおいて1回あたり定額の給付金が支給される「治療給付金」がある場合も同様です。入院や手術にかかった費用が給付金の金額よりも少ない場合は、その後の通院費として活用できます。

通院時の保障を手厚くしたいときは、「通院」という言葉が入った保障や特約にこだわらず、他の保障や特約で通院治療にかかる費用を補てんできないか考えてみましょう。

どのような保険なら通院時の保障を手厚くできるのか判断に迷ったときは、ファイナンシャルプランナーに相談するのもおすすめです。「auマネープラン相談」では、ファイナンシャルプランナーへの無料相談を実施しています。お気軽にお問い合わせください。

医療保険以外で通院費をカバーする方法

通院保障や通院特約のある医療保険以外にも、通院治療にかかる費用をカバーする方法があります。主な方法としては、次のものが挙げられます。

  • 傷害保険の通院保険金
  • 高額療養費制度
  • 預貯金

それぞれの方法について見ていきましょう。

傷害保険の通院保険金

傷害保険の中には、通院補償を付加できるタイプもあり、その場合はケガによる通院時に保険金を受け取れることが一般的です。ただし、病気ではなくケガによる通院のみが対象となることが多いため、病気による通院に備えることは難しい点には注意が必要です。

病気よりケガのほうが不安な方は、傷害保険の通院保険金も検討してみましょう。また、がんなど通院が長期間におよびがちな疾病に対して医療保険ですでに備えている方も、傷害保険の通院保険金を検討できるでしょう。傷害保険に加入することで、「ケガによる通院」への備えを追加でき、通院時に補償される範囲を広げられる可能性があります。

高額療養費制度

高額療養費制度は、公的健康保険で利用できる仕組みです。1ヶ月の医療費が一定額(所得によって異なる)を超えると適用され、超過した医療費の返還を受けられます。例えば、以下のケースでは、1ヶ月の医療費が60万円(公的健康保険適用前)かかった場合でも、高額療養費制度が適用されると実際に支払う自己負担額(自己負担の上限額)は83,430円です。

69歳以下で年収約370万円~770万円の方の高額療養費の計算方法(※1

  • 世帯ごとの医療費上限額=80,100円+(医療費267,000円)×1

例:1ヶ月に支払った医療費が20万円(実際にかかった医療費は60万円。3割負担の場合は窓口で20万円支払う)の場合

  • 医療費上限額(※2)=80,100円+(600,000267,000円)×1%=83,430
  • 返還額=200,00083,430円=116,570

1 年収の目安は加入する健康保険によって異なる

2 1ヶ月あたりの自己負担の上限額

公的健康保険が適用される医療費(差額ベッド代や入院時の食事代などは除く)が高額なときは、制度適用の申請手続きを実施しましょう。あらかじめ加入している健康保険で「限度額適用認定証」や「限度額適用・標準負担額減額認定証」を発行しておくことでも、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えられます。

参考:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成308月診療分から)」

預貯金

医療保険や傷害保険で通院治療に備えることは可能ですが、いずれも診療を受けたあとに給付金や保険金を請求する仕組みのため、受給までは一時的に自己負担で対応する必要があります。いつ通院治療が必要になるかわからないため、すぐに引き出せる預貯金で備えておくことも大切です。

また、医療保険や傷害保険などの民間保険を利用する機会はほとんどないと思われる場合は、保険料に支払うお金を預貯金に回すのも一つの方法です。健康状態やお金に対する考え方に合わせて、適切な方法で通院治療に備えましょう。

保険に入るべきか悩んだら「auマネープラン相談」にご相談ください。ファイナンシャルプランナーが、保険選びだけでなく家計に関するお悩みも丁寧にお伺いします。一人ひとりに合った対策をご提案いたしますので、ぜひお気軽にご利用ください。

通院に手厚い保険でもしものときに備えよう

入院や手術には多額の費用がかかることがありますが、通院治療でも想定以上の自己負担が発生することがあります。通院が長引く場合は想定以上の費用がかかるだけでなく、収入減のリスクもあるため、保険などを活用して備えておくようにしましょう。

どのような備え方がご自身やご家族に合うか悩んだときは、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。「auマネープラン相談」の無料相談にお気軽にお問い合わせください。

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