保険見直し 2025.12.23

医療保険は何歳まで必要か?高齢者にはいらないとされる理由や選び方も解説

「医療保険は何歳まで必要か」と悩んでいる場合は、将来貯蓄面・収入面で不安があるか、保険料を無理なく払い続けられるのかなどを考えましょう。また、定期的に保険を見直すことも大切です。

本記事では、医療保険が何歳まで必要か説明したうえで、「高齢者には不要」との意見が一部で見られる理由についても解説します。

医療保険は何歳まで必要か

医療保険にいつまで加入すべきかついて明確な決まりはありません。これは、人によって医療保険に加入する目的や必要性が異なるためです。

例えば、一般的に若い世代は医療機関を受診する機会が少ない傾向にあります。ただし、貯蓄が十分でない場合は、想定外の入院で家計が不安定になることを避けるため、医療保険が必要になることがあるでしょう。

また、高齢になると公的医療保険制度により医療費の自己負担割合は軽減されます。しかし、入院時に個室を希望することで発生する差額ベッド代など、公的保険でカバーできない費用に備えたい場合は、高齢になってからも医療保険に加入しておくと安心です。

このように、医療保険の必要性は年齢だけでは判断できません。そこで、「自分は医療保険に何歳まで加入する必要があるか」と悩んだ場合は、取り巻く状況を踏まえて判断することが大切です。

「今のままの保険でいいのか」「今から新たに保険に加入すべきか」など気になることがある場合は、無料で何度でも相談できる「auマネープラン相談」にお申し込みください。

【年代別】医療保険の加入割合

一般的に何歳まで医療保険に加入しているのか把握するために、年代別の医療保険加入割合を確認してみましょう。公益財団法人 生命保険文化センターが発表している「2022年度「生活保障に関する調査」(速報版)」の「医療保障に対する私的準備状況」についての回答結果を以下にまとめました。

【医療保障に対する私的準備状況】

年齢

全体

N

生命保険

損害保険

預貯金

有価証券

その他

準備している

準備していない

わからない

18〜19歳

63人

20.6%

4.8%

12.7%

1.6%

0.0%

27.0%

46.0%

27.0%

20歳代

445人

39.8%

9.7%

24.7%

4.7%

0.0%

53.3%

38.2%

8.5%

30歳代

641人

70.7%

17.3%

46.8%

9.8%

0.3%

83.9%

14.7%

1.4%

40歳代

909人

75.7%

23.4%

38.0%

6.1%

0.3%

87.3%

11.8%

0.9%

50歳代

866人

75.1%

27.4%

45.4%

8.5%

0.2%

90.3%

9.1%

0.6%

60歳代

927人

76.4%

23.6%

50.4%

10.0%

0.2%

88.2%

11.1%

0.6%

70歳代

993人

65.0%

18.2%

53.5%

6.9%

0.5%

82.8%

15.8%

1.4%

医療保障を生命保険で備えていると回答した人の割合は「18〜19歳」で2割、「20歳代」で4割程度ですが、「30歳代」より7割を超えて「60歳代」でピークを迎えています(76.4%)。「70歳代」でも大きく減少せず、65.0%の人が医療保障に生命保険で備えていると回答していました。

70代でも6割以上と高水準を維持しており、多くの人が医療保険の必要性を感じているといえるでしょう。

参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」(20233月発行)」

医療保険の必要性を判断する際のポイント

医療保険の必要性を判断する際は、年齢だけに焦点をあてずにさまざまなことを考慮することが大切です。考慮すべきポイントとして、以下が挙げられます。

  • 貯蓄面・収入面で不安があるか考える
  • 無理なく保険料を払えるか計算する
  • 公的年金をいくらもらえるか把握しておく

それぞれ確認しておきましょう。

貯蓄面・収入面で不安があるか考える

貯蓄面・収入面で不安があるかを検討したうえで、医療保険の必要性を判断することがポイントとして挙げられます。

公的医療保険により、日本ではかかった医療費の原則3割(※)が自己負担額です。例えば、医療費に1万円かかったとしても実際に窓口で支払う額は3,000円です。

そのため、公的医療保険を考慮しても現在の貯蓄・収入では支払いに不安が残る場合は、医療保険への加入を検討するとよいでしょう。また、快適な入院環境を求める場合や、公的医療保険の対象外である先進医療を受けたい場合も同様です。

7074歳は所得に応じて23割、75歳以上は所得に応じて13割が原則

無理なく保険料を払えるか計算する

無理なく保険料を払い続けられるか計算しておくことも、医療保険の必要性を判断するポイントです。

リタイアして年金生活になると、現役世代の頃よりも収入が減少する可能性があります。そのため、家計に占める保険料負担割合が大きくなり、日々の生活を圧迫しかねません。

収入の変動などを考慮したうえで、「70歳以上でも医療保険が必要か」などを考えましょう。

公的年金をいくらもらえるか把握しておく

自分が将来公的年金をいくらもらえるのかを把握しておくことも、医療保険の必要性を判断するポイントです。公的年金の受取額は自分が加入している社会保険や給与額などによって異なります。

想定していた額と異なり保険料を払えなくなる状況を避けるために、日本年金機構の「ねんきんネット」などを使って、自身の年金記録から見込額を把握しておきましょう。自分の年金で老後に備えられるのか気になる場合は、「auマネープラン相談」をお気軽にご利用ください。

医療保険を見直すタイミング

年齢だけでなく自分を取り巻く状況に応じて医療保険の必要性が変化するため、定期的に医療保険を見直すことも大切です。主な見直しのタイミングとして、以下が挙げられます。

  • 子どもが独立したとき
  • 住宅ローンを完済したとき
  • リタイアの時期が近づいているとき

それぞれ、なぜ見直しが必要なのか確認していきましょう。

子どもが独立したとき

子どもが独立したときが、医療保険を見直すタイミングです。

子どもが独立すると、教育費の負担がなくなり食費などの生活費も変動するでしょう。今までよりも支出面での負担が減る分だけ、医療費を自身で捻出できる余地ができるため、医療保険を見直せる可能性があります。

一方で、年齢を重ねたことで健康面で将来に不安が生じている場合は、余裕が生じた分医療保険の保障を手厚くすることも検討しましょう。

住宅ローンを完済したとき

住宅ローンを完済したときも、医療保険を見直すタイミングのひとつです。住宅ローンの支払いを終えると、毎月返済額として支払っていた分を家計のほかの項目に充てられるため、医療費が発生した際に自分で賄える部分が大きくなるでしょう。

なお、住宅ローンを完済すると、団体信用生命保険(団信)の契約も終了します。団信が無くなることで保障の不足が生じる可能性があるため、保険について再検討しましょう。

リタイアの時期が近づいているとき

リタイアの時期が近づいているときも、医療保険の見直しをしましょう。

多くの場合、老後は収入(受け取る年金額)よりも支出が上回る傾向にあります。2024年に総務省が発表した「家計調査報告」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の平均可処分所得は「222,462円」であるのに対し、平均消費支出は「256,521円」でした(約3万円の赤字)。

【65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支ー2024年ー】

実収入

非消費支出

可処分所得

消費支出

差額分

(可処分所得 − 消費支出)

252,818円

30,356円

222,462円

256,521円

34,058円

そこで、医療費の捻出を目的に貯蓄を取り崩すことを避けるために、医療保険への加入が必要になる可能性があります。リタイアの時期に近づいたら、将来の公的年金額や貯蓄額を踏まえ、未加入の場合は保険に加入することを検討し、すでに加入している場合は今の保障内容で良いかを再検討しましょう。

「老後はいくらあれば安心か」「今の家計で将来の資金は大丈夫か」などに不安がある場合は、お気軽に「auマネープラン相談」にご相談ください。

参考:総務省「家計調査年報(家計収支編)2024年(令和6年)」

高齢者には医療保険がいらないとされる理由

一般的に、高齢者になってからも医療保険は必要です。その一方で、「75歳過ぎたら医療保険はいらない」などの意見も一部であります。

高齢者に医療保険が不要とされる主な理由は、以下のとおりです。

  • 高齢者医療制度で対応できる可能性がある
  • 高額療養費制度で費用を抑えられることがある
  • 保険料が高くなる
  • そもそも加入できないことがある

各理由について、詳しく解説します。

高齢者医療制度で対応できる可能性がある

高齢者医療制度で対応できる可能性があることを理由に、高齢者は医療保険が不要とする考え方があります。

一般的に高齢者65歳から74歳まで「前期高齢者」、75歳以上「後期高齢者」と区分します。後期高齢者は、ほかの加入者とは異なり、後期高齢者医療制度に加入しています。

医療費について、高齢者のうち70歳から74歳までの人が負担するのは原則2割、75歳以上は原則1割(※)です。例えば、75歳以上であれば仮に1万円の費用がかかっても原則として1,000円の負担で済みます。

従来より医療費を抑えられるため、人によっては医療保険に加入していなくても治療費をまかなえるでしょう。

※所得によって1割負担・2割負担の場合あり

参考:厚生労働省「高齢者医療制度」

高額療養費制度で費用を抑えられることがある

高額療養費制度を利用することで医療費を抑えられる点も、高齢者には医療保険が不要とされる理由の一つとされています。高額療養費制度とは、医療機関や薬局で支払う医療費が1月で上限を超えた場合に、超過額の払い戻しを受けられる制度のことです。

最終的な医療費負担が一定額を超えないため、老後に高額な医療費がかかっても貯蓄や年金受取額などで対応できる可能性があります。ただし、高額療養費制度を利用する場合でも、原則として一度は自分で超過分も立て替えなければならない点に注意が必要です。

参考:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」

保険料が高くなる

保険料が高くなることを理由に、新たに医療保険に加入する必要はないとされる場合もあります。

健康リスクを考慮し、保険会社は歳を重ねるほどに保険料を高く設定することが一般的です。病気やけがの際にかかる出費に備えるつもりでも、医療保険に加入していない人が高齢になってから新たに加入すると、保険料の支払いがかえって家計を圧迫する可能性があります。v

そもそも加入できないことがある

必要性を判断する以前に、そもそも高齢だと医療保険に加入できないことがあります。

保険会社では、医療保険の被保険者加入年齢範囲を定めていることが一般的です。仮に加入年齢範囲が75歳までの場合、75歳を過ぎると医療保険に加入できません。

また、自分の年齢が加入年齢範囲内に該当していても、既往歴を理由に加入できない可能性があります。特に年齢を重ねるにつれて健康リスクが高まるため、加入を検討した際にすでに特定の病気にかかっていることがあるでしょう。

高齢者でも加入が必要なケース

よりよい治療を望む場合は、高齢者でも新たに医療保険に加入することを検討した方がよいでしょう。

高額療養費制度を利用すれば、高額の医療費がかかることを避けられます。ただし、先進医療にかかる費用や、入院時に自ら希望して1〜4人部屋に入室する際にかかる「差額ベッド代」については全額自己負担が原則です。

そのため、現在医療保険に入っていない場合や、保障内容が不十分と感じる場合は、新たに加入した方がよい可能性があります。また、現役世代でまだ医療保険に入っていない場合は、高齢になって保険料が高くなる前に加入することも考えましょう。

また、2022年10月から75歳以上でも一定の所得がある場合は、医療費の負担割合が2割となりました。2025年9月30日までは2割負担の対象者に負担を抑える配慮措置がありましたが、同年10月以降撤廃されているため、今後はより自身で医療費支出に備える必要性が高まるでしょう。

高齢者が新たに医療保険に加入する際に注意すること

高齢者で医療保険に加入できる場合でも、既往歴を理由に保障を網羅できない可能性があることに注意が必要です。自分に必要な保障がついているかを確認したうえで、加入するか判断しましょう。

また、保険料が高額になるため、公的年金収入だけでは支払いが厳しくなる場合がある点にも注意しなければなりません。今ある貯蓄と年金で家計を維持できるのか不安な場合は、「auマネープラン相談」にご相談ください。

「医療保険が何歳まで必要か」は人によって異なる

人によって状況が異なるため、「医療保険は何歳まで必要か」には明確な答えがありません。「75歳過ぎたら医療保険はいらない」「80歳以上は医療保険が不要」などと一律に判断せず、貯蓄面・収入面での不安や保険料などを考慮したうえで必要性を判断しましょう。

また、歳を重ねてから新たに医療保険に加入すると保険料が高額になる可能性が高い点に注意が必要です。現役世代で医療保険に加入していない場合は、早い段階で医療保険のことを考えておきましょう。

今のままの保険でいいのか不安な場合は、「auマネープラン相談」をご検討ください。auマネープラン相談では、お金のプロがお悩み解決を無料でサポートしています。

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