保険見直し 2025.12.23

三大疾病保険は入るべきか?がん保険や医療保険との違いと加入の必要性を解説

医療費への備えを考えるなかで、三大疾病保険に入るべきか悩んでいる方もいるでしょう。この記事では、三大疾病保険の基本的な仕組みや保障内容、加入する際の注意点を詳しく解説します。また、他の保険との違いや「三大疾病保険はいらない」といわれる理由も紹介します。

三大疾病保険への加入を迷っている方や、医療費への備えを見直したい方は、ぜひ参考にしてください。

三大疾病保険とは

三大疾病保険とは、三大疾病である「がん(悪性新生物)」「心疾患」「脳血管疾患」に特化して備えられる保険です。

「不規則な生活のため健康状態に不安がある」「血圧や血糖値などの数値を指摘されている」「家族が三大疾病を患っている」といった方の中には、加入するべきか悩む人もいるでしょう。

三大疾病保険の必要性を考えるには、まずその仕組みを理解することが大切です。ここでは、三大疾病の概要と三大疾病保険の基本的な仕組みを解説します。

三大疾病とは

三大疾病は日本人の代表的な死因といわれますが、実際にどのくらいの方が亡くなっているかまで把握している人は少ないでしょう。

厚生労働省の「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」における、2024年の死因順位別死亡数や死亡総数に占める割合は、以下のとおりです。

死亡順位

死因

死亡数

死亡総数に占める割合

1

悪性新生物(腫瘍)

384,111

23.9

2

心疾患

226,388

14.1

3

老衰

206,887

12.9

4

脳血管疾患

102,821

6.4

5

肺炎

8176

5.0

6

誤嚥性肺炎

63,667

4.0

7

不慮の事故

45,743

2.8

8

新型コロナウイルス感染症

35,865

2.2

9

腎不全

29,665

1.8

10

アルツハイマー病

25,595

1.6

参考:厚生労働省「令和6年(2024)人口動態統計(確定数)の概況」

悪性新生物はすべての死因の中で最も多く、死亡総数のおよそ24%を占めています。心疾患は2番目に多く、死亡総数に占める割合は約14%でした。3番目に多い死因は老衰で、続いて脳血管疾患です。脳血管疾患は、死亡総数のおよそ6%を占めています。

2024年に悪性新生物または心疾患、脳血管疾患のいずれかで亡くなった方は、70万人以上にのぼり、死亡総数に占める割合は40%以上となっています。

がん(悪性新生物)

がん(悪性新生物)は、遺伝子が傷ついた異常な細胞が増殖することで生じる病気です。

がんは、進行の度合いによって、上皮内新生物(上皮内がん)と悪性新生物に分けられます。上皮内新生物は、異常な細胞が基底膜(皮膚や粘膜の境目にある薄い膜)を越えずに上皮内に留まっている状態です。多くの場合、上皮内新生物の段階に手術で取り除けば、転移や再発の可能性は少ないといわれます。

一方、悪性新生物は、基底膜を越えて周囲の組織に浸潤した状態です。悪性新生物は、転移して身体中に広がったり組織を破壊したりするケースが多く、身体の衰弱を招きます。

厚生労働省によると、悪性新生物の治療における平均入院日数は14.4日ですが、がんの種類や部位、進行度などによっては、治療が数年に及ぶケースも少なくありません。がんの治療においては、早期に発見し適切な治療を受けることが重要です。

参考:厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況 退院患者の平均在院日数等

心疾患

心疾患は、心臓に関わる病気の総称です。心疾患は、年齢が上がるにつれ患者数が増える傾向にあります。心疾患にあたる病気の一例は、以下のとおりです。

病名

症状

狭心症

動脈硬化などにより心臓の血管が狭くなり、心筋の血液が一時的に不足する

急性心筋梗塞

心臓の血管が閉塞することで、心筋が壊死する

不整脈

脈拍に異常が出てリズムが乱れる

急性心筋炎

心臓がウイルスに感染し、ダメージを受ける

心疾患を患うと、身体全体の血流が悪化するケースが多く、発症後は心臓に負担を掛けない生活をする必要があります。場合によっては、働き方や暮らし方を変えなければならず、収入の減少を招く可能性もあるでしょう。

脳血管疾患

脳血管疾患は、脳の血管の異常により脳機能に障害が起きる病気の総称です。具体的には、脳の血管が詰まることで生じる脳梗塞や、脳の血管が破れて発症する脳出血、脳動脈瘤が破裂して起こるくも膜下出血があります。

脳血管疾患の発症リスクを高める主な要因は、高血圧や動脈硬化、糖尿病、肥満などです。そのため、中年以降に発症しやすい傾向があります。

脳血管疾患を発症すると、脳の機能が損傷します。そのため、寝たきりになったり亡くなったりするケースも少なくありません。リハビリによって症状が回復することはありますが、手足のまひや言語障害などが残る可能性もあります。

後遺症によっては、発症前と同じように働けなくなる可能性があることは知っておきましょう。

三大疾病保険の基本的な仕組み

三大疾病保険は、がん(悪性新生物)や心疾患、脳血管疾患にかかったときに、保障を受けられる保険です。保険会社によっては、「特定疾病保険」と呼ばれることもあります。

三大疾病保険では、三大疾病のいずれかと診断され保険会社が定める状態になった場合に、一時金を受け取れます。一時金が支払われる回数は、保険商品によって異なるため、自分に合ったタイプを選びましょう。

三大疾病保険には、保障が一生涯続く「終身型」と、一定期間のみ保障を受けられる「定期型」があります。また、保険によっては、被保険者が死亡または保険会社所定の高度障害状態になった場合に、死亡保険金や高度障害保険金を受け取れるものもあります。

加入する際は、保障期間や保険のタイプを十分に確認し、保険料とのバランスを踏まえて、過不足のない保障内容を選ぶことが重要です。

三大疾病保険についてさらに詳しく知りたい方は、「auマネープラン相談」を活用しましょう。auマネープラン相談では、ファイナンシャルプランナーに三大疾病保険の保障内容をしっかりと確認したうえで、最適なプランの相談ができます。

三大疾病保険と他の保険との違い

医療費に備える保険には、三大疾病保険のほかに、がん保険や医療保険、七大疾病保険があります。最適な保険を選ぶには、それぞれの特徴を押さえておくことが重要です。

ここでは、三大疾病保険とがん保険、医療保険、七大疾病保険の違いをそれぞれ解説します。

がん保険との違い

がん保険は、がんに特化した保険です。

がんと診断されたときに一時金を受け取れるほか、通院給付金や手術給付金、入院給付金などを受け取れる保険もあります。また、特約を付加することで、女性特有のがんや先進医療にも備えられます。

がん保険で保障の対象となる疾病は、がんのみです。そのため、三大疾病保険と比較して、保険料を抑えられる傾向にあります。

がん保険は、三大疾病の中でも特にがん治療に対して手厚く備えたい方に、向いている保険といえるでしょう。

医療保険との違い

医療保険は、病気やケガ全般に備える保険です。

医療保険では、所定の入院や手術を受けた際に、給付金を受け取れます。幅広い病気やケガに備えられる一方で、三大疾病にかかったからといって給付金額が増えることはありません。

なお、がん特約や三大疾病一時金特約など、三大疾病に関する特約を医療保険に付加することで、保障を手厚くすることも可能です。ケガや病気全般と三大疾病への備えを、1つの保険でまとめたい場合は、医療保険が選択肢となるでしょう。

ただし、医療保険に特約を付加すると、その分保険料が上がります。特約を付ける際は、事前に保険料を確認し、保障内容とのバランスを見ることが重要です。

七大疾病保険との違い

七大疾病保険とは、七大疾病にかかったときに一時金を受け取れる保険です。七大疾病に含まれる病気は以下のとおりです。

  • がん
  • 心疾患
  • 脳血管疾患
  • 肝硬変
  • 慢性腎臓病
  • 高血圧性疾患
  • 糖尿病

七大疾病保険は、三大疾病であるがん·心疾患·脳血管疾患に加えて、肝硬変や高血圧性疾患、糖尿病など、生活習慣の乱れによってリスクが上がる病気も対象となります。健康診断で血圧や血糖値などの数値の異常を指摘されたことがある方は、七大疾病保険は有力な選択肢となるでしょう。

七大疾病保険は、保障の対象となる疾病の数が多いため、三大疾病保険と比較して保険料が高くなる可能性があることは押さえておく必要があります。

どの保険を選ぶべきか迷った場合は、保険の専門家に相談できる「auマネープラン相談」がおすすめです。保険の悩みや保険選びについて無料でファイナンシャルプランナーに相談できます。

三大疾病保険がいらないといわれる理由

三大疾病保険は、日本人の死因の多くを占める疾病をカバーできる保険です。しかし、加入の必要性は低いといわれることもあります。

ここでは、三大疾病保険が不要といわれる以下の理由を解説します。

  • 他の保険でカバーできるから
  • 公的保険制度で備えられるから

それぞれを詳しく見ていきましょう。

他の保険でカバーできるから

三大疾病保険がいらないといわれる理由の1つが、他の保険でカバーできる点です。他の保険に加入している場合、三大疾病で治療を受けたときに保障を受けられるケースがあります。

例えば、医療保険に加入していて、三大疾病で所定の治療を受けたときには、入院給付金や手術給付金を受け取れます。三大疾病やがんに関する特約を付加していれば、医療保険でありながら、三大疾病に対する保障を手厚くすることもできるでしょう。

また、がん保険に加入している方は、がんへの備えは十分にできているため、三大疾病保険への加入は不要な場合もあります。

三大疾病保険への加入を検討する際は、まず現在に加入している保険の保障内容を十分に確認し、三大疾病へどの程度備えられているかを把握することが大切です。

公的保険制度で備えられるから

三大疾病保険が必要ないといわれるもう1つの理由が、公的保険制度で備えられる点です。

公的保険には、自己負担額を一定額に収めるための「高額療養費制度」や「限度額適用認定証」が整備されています。それぞれの特徴は、以下のとおりです。

制度の種類

詳細

高額療養費制度

  • 公的保険の対象となる治療費が自己負担限度額を超えた場合に、後から払い戻しを受けられる制度
  • 自己負担限度額は、年齢や年収によって異なる
  • 自費診療(自由診療)の治療費や、入院中の差額ベッド代や食事代などは対象外

限度額適用認定証

  • ひと月の支払額が自己負担の上限額までとなる制度
  • マイナンバーカードの健康保険証利用登録を行い、オンライン資格確認システムを導入している医療機関で受診する場合は、限度額適用認定証の申請·提示が不要で、窓口での支払いが自己負担限度額までとなる

上記のほか、勤務先で健康保険に加入している方は、傷病手当金も受け取れる場合があります。傷病手当金は、病気やケガの療養のため休業した場合、通算して16ヶ月にわたり、標準報酬日額(月給や諸手当などを1日あたりで計算した額)の3分の2相当額が支給される制度です。

ただし、差額ベッド代や入院中の食事代、通院のための交通費など、公的保険ではカバーできない費用もあります。

医療費への備えを考える際は、公的保険でどこまで保障を受けられるかを把握することが大切です。そのうえで不足するであろう金額を算出し、三大疾病保険で備えると良いでしょう。

三大疾病保険の必要性が高い人

「三大疾病保険は必要ない」といわれることもありますが、家族の既往歴や加入している健康保険の種類によっては、必要性が高くなるケースがあります。

ここでは、三大疾病保険の必要性が高いと考えられる人を3つのケースで紹介します。

三大疾病を患った家族がいる人

三大疾病を患った家族がいる方は、三大疾病保険の必要性が高い人です。

三大疾病は、発症原因のすべてが遺伝というわけではありません。しかし、大腸がんや乳がんの一部には、遺伝性のものもあります。

また、三大疾病の発症には、食事や運動、飲酒、喫煙といった生活習慣も大きく関わっています。同じ家に暮らし、同じ食事をとっている家族であれば、生活習慣が似ることで、同じ病気にかかりやすくなる可能性もあるでしょう。

家族に三大疾病を患ったことがある人がおり、自身も罹患リスクが高い生活をしていると感じる方は、三大疾病保険への加入を考えてみてください。

フリーランスや自営業の人

フリーランスや自営業の方も、三大疾病保険の必要性が高いと考えられます。

フリーランスや自営業の人は、会社員が加入する健康保険(協会けんぽ·組合健保)に加入していないため、傷病手当金の給付を受けられません。そのため、三大疾病の治療などにより仕事がストップすると、収入が大きく減る可能性があります。

フリーランスや自営業の人の場合、医療費への備えとしてはもちろん、治療により減少した収入を補てんする目的で保険に加入することも非常に有効です。

「収入が減少してもお金の心配をせずに治療に専念したい」「収入の減少により家族に迷惑を掛けたくない」と考えているのであれば、三大疾病保険への加入を検討しましょう。

治療の選択肢を幅広く持ちたい人

治療の選択肢を幅広く持ちたい人も、三大疾病保険の必要性が高い人です。

病気の治療には、公的保険の範囲内で受けられる標準治療と、自費で受ける「自由診療」があります。標準治療とは、効果や安全性が広く認められており、医療機関で標準的に受けられる治療のことです。標準治療にはさまざまな種類があるため、自由診療を選ばなくても、三大疾病を治すために必要な治療を十分に受けられます。

しかし、標準治療に加えて、先進医療や自由診療など、公的保険だけではカバーできない治療も選択肢に入れたいと考えているのであれば、医療費への備えをより手厚くしておく必要があります。その場合は、三大疾病保険への加入も選択肢となるでしょう。

三大疾病保険への加入を迷っているのであれば、「auマネープラン相談」にお気軽にご相談ください。保険のプロであるファイナンシャルプランナーに相談することで、自分にぴったりの保険を見つけましょう。

三大疾病保険の保障内容と注意点

最後に三大疾病保険の保障を受けるにあたっての注意点を解説します。注意点を見落としていると、期待していた保障を受けられなくなるおそれもあります。注意するべきポイントをしっかりと確認し、納得がいく契約を実現しましょう。

がん(悪性新生物)の場合

がん(悪性新生物)の保障を受けるうえでの注意点は、以下のとおりです。

  • 上皮内新生物は含まれないケースがある
  • 免責期間がある

三大疾病保険によっては、がんと認められるのは悪性新生物に限られ、上皮内新生物は保障の対象外となる場合があります。がんを早期発見した場合にも十分な保障を受けたいと考えているのであれば、上皮内新生物も保障対象となっている保険を選びましょう。

なお、上皮内新生物に対する保障は、悪性新生物と同額の一時金を受けられる場合や、悪性新生物よりも少ない一時金が支払われるケースなどさまざまです。契約時には、保障の内容や条件を十分に確認しましょう。

また、免責期間となる責任開始期から90日以内に診断確定されたがんは、保障の対象外となり、給付金は受け取れません。三大疾病保険に加入する際は、免責期間が設けられていることを念頭に置き、手続きを進めることが重要です。

心疾患および脳血管疾患の場合

心疾患および脳血管疾患の場合は、診断のみでは保障を受けられません。保障の対象となるには、保険会社が定める所定の状態を満たす必要があります。

一般的には「60日以上にわたり所定の後遺症が継続」「所定の手術を受けた」「継続して20日以上入院した」などの要件のうち、いずれかに該当する場合に給付されます。

こちらも、具体的な給付要件は保険会社によって異なりますので、契約時に必ず確認しましょう。

保険の仕組みや保障内容に不安があるときには無料でファイナンシャルプランナーに相談できる「auマネープラン相談」がおすすめです。auマネープラン相談では、自宅や近くのカフェなど、お好きな場所から相談できます。

三大疾病保険の保障内容を十分に確認し、加入の必要性を考えよう

三大疾病保険は、がん(悪性新生物)·心疾患·脳血管疾患を患った際に保障を受けられる保険です。

医療費への備えは三大疾病保険以外にも、医療保険やがん保険があります。また、公的保険制度を利用することで、医療費を一定の範囲内に抑えられるため、三大疾病保険は不要と考える方もいます。

しかし、三大疾病を患った家族がいる人やフリーランス·自営業の人、治療の選択肢を幅広く持ちたい人などは、安心して治療を受けるためにも、三大疾病保険への加入を検討しても良いでしょう。

三大疾病保険には、免責期間や保障が適用されるための条件があります。加入する際はあらかじめ保障内容や条件を十分に確認し、自分に合った商品を選ぶことが重要です。

保険選びに迷ったら、専門家に相談するのもおすすめです。保険のプロに何度でも無料で相談できる「auマネープラン相談」をぜひお気軽にご活用ください。

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